笑うコツ壺 城啓介 河出書房
「もっといい洒落、いいなしゃれ」というダジャレのおかしさを英訳して伝えることは不可能だ。
英訳して俳句の詩趣をどうにか表現することはできても、あの五七五、七七のリズム感のもつ趣を外国語で伝えることはできない。
まして、こういうリズムと相まって伝えられる川柳や狂歌、あるいは都都逸の色っぽさや諧謔さもやはり日本語ならではのものだろう。
先代の三遊亭円楽監修という本書には、そういった日本語ならではの「ことば遊び」の数々が紹介され、又、それを例にして新作の「笑えるネタ」がたっぷりと載っている。その多くは、落語の中でよく使われていることもあって、そういった一席もいくつか紹介されているなど、気楽に読めて意外と為になるものばかりだ。
浄瑠璃好きが高じて、日常の会話を何でも義太夫の節をつけてしまう旦那がいて、なんにでも口三味線をつけてしまう男との掛け合いになるという「豊田屋」、お寺ではなくても山号寺号を見立てたら、1つにつき50銭やる、という若旦那に、50銭欲しさの幇間が「あんまさん、もみ療治」「時計屋さん、今何時」「お嫁さん、拭き掃除」と次々に見立てていくという「山号寺号」など、あらためて、日本語の面白さに気付かされた。
(04年㋃発行)