雪の結晶 ケン・レプレクト 河出書房新社
「雪は天からおくられた手紙である」と言ったのは「雪の博士」として知られ随筆家でもあった中谷宇吉郎の言葉であるが、袖に降りかかる雪粒の中に見つけた六角形の雪の結晶がつくる自然の造形美に子供の頃からうっとりとしたものだ。
そんな、雪の結晶は、全く同じ形と大きさのものは二つとないといわれているが、本書に集められた様々な形の結晶の写真を見ても、実に多種多彩であり科学的な解説もさることながら只々見とれてしまう。
基本は六角形とはいうものの、雪は結晶する温度、核となる部分の大きさ、湿り気具合といったちょっとした条件でその形は様々だ。
本書でも、六角形、星形、しだ状星形、さや形等、基本形21種類に分類されているが、必ずしも左右対称ではない物や、対称であっても微妙な違いがあるものなどもあり、確かにこの世に二つと同じものはないということもうなずける。
雪の結晶形成に関する科学、あるいは結晶の観察方法、撮影方法などにも詳しく趣味として雪の結晶を楽しんでいる人達にとっては、またとないガイドブックとなっている。
（14年10月発行）