大宇宙MAP 沼澤茂美・脇屋奈々代 誠文堂新光社
宇宙のスケールというものを頭の中で理解することは極めて難しい。
1977年に打ち上げられ今太陽系外に向かって旅をつづけているボイジャーだが、発射から35年後の現在、太陽から地球までの距離の約130倍(130AU)を飛び続けているという。
大変な距離ではあるが、一光年すなわち約63000AUに比べれば、ほんのスグソコでしかない。ボイジャーがこのまま飛び続けても地球から一光年先に到達するのはあと1万7千年後である。
こう考えた場合、太陽系からもっとも近い恒星ケンタウルス座α星の4.4光年という距離の絶望的なまでの遠さに驚愕する。
そして、我々の太陽系が所属する天の川銀河の大きさは直径で10万光年、すなわち光が10万年かかる距離をボイジャーが脱出するのに今から17億年後である。
いやいや、10万光年なんて宇宙のスケールからみればとるに足らない距離だ。なにせ我々が今知る限りでは宇宙の果ては、光速でも138億年かかる距離にあるのだから－－－。
そんなとんでもない広大な宇宙を、惑星や恒星、星団に星雲、様々な形をした銀河や銀河団といった天体の姿を豊富な写真で楽しめる他、それらまでの距離を示して実感させてくれるなんとも楽しくなる一冊である。
願わくは、もう一つ大きな版であればとは思うが、眺めているだけでも実に楽しい一冊である。
(14年5月発行)