朝日新聞 世紀の大誤報 池田信夫 アスベクト
朝日新聞が従軍慰安婦強制連行という捏造記事を30年近く放置した罪は重い。
これが、単なる（というのも変だが）誤報とか、捏造ということであるならば、それが判明した早い時期に訂正し、謝罪することでここまで大きな問題にならなかったかもしれない。
朝日のもっとも思い罪は、この誤報、捏造が早い時期から各方面によって指摘され、朝日社内においてさえも訂正、謝罪をすべきだという議論があったにもかかわらず、問題をすり替えるなどして30年間も放置しつづけたことにある。
その間に、日本の国際的な名誉は取り返しのつかないところまで棄損されてしまった。又、昨年の記事取消し以降も、朝日が国際的に傷ついた日本の名誉を回復するためになにか努力をしたかといえば、全く皆無であり、むしろ居直りともとれる自己正当化に血眼になっている様は、この上なく醜く、こういう新聞社が社会の公器として存在し続けていてよいのかとさえ思わせるものがある。
朝日のこの慰安婦問題に関する本は、人々の朝日に対する怒りがいかに大きいかを表すように、実に大量に出版されているが、その中でも本書はピカ一といってよい労作だ。
従軍慰安婦強制連行という虚構がどのような人々たちによってでっち上げられてきたのか、その真の目的はどこにあったのか、といった点から説き起こし、この極めてイデオロギープロパガンダ（反日という）的な虚構に携わった日本国内外の犯人を具体的に指摘するといったいわゆる「事件の真相」においても本書は優れているが、たの慰安婦問題の書籍に欠けがちな、それでは日本はこの朝日が日本に与えたダメージを少しでも修復するためには、何をしたらよいか、といった点について具体的にのべているところに大いに読み応えがある。
ただ、著者が巻末に掲げた朝日新聞に掲げて欲しい謝罪社告文が、余りにも今の朝日の（逃げ回って責任回避ばかりしている）姿勢とはかけ離れていることを考えると、著者のまさに正鵠を得た提言も、その実現はほとんど不可能にも思えてくる。
やはり、朝日新聞という会社は、すべての責任をとって廃刊しかないと思うのだが。
(14年12月発行)