禅語を読む 西村恵信 角川選書
果たして禅は宗教という範疇にいれるべきなのだろうか―――よく言われる議論だ。
では禅は哲学かといえば、日常生活そのものが禅であるとして、実行を求める禅の修行は、いわゆる思索を中心とする西洋哲学などとは又随分と異質なものともいえそうだ。
本書は紀元五世紀に始まったといわれる禅の多くの実践者達の残した「禅とは何か」に関する言葉、いわゆる「禅語」を掲げ、それに訳文と解説を加えたもので、近年のものでは西田幾多郎や鈴木大拙、久松真一などの禅研究者の禅に関する言葉も加えることで、「禅とは何か？」を考えさせてくれる一冊になっている。
そうはいっても、そもそも「不立文字」、すなわち言葉では言い表せないといわれる禅を、禅語という言葉や文字によって理解できるかといえば、とてもとてもという感じだし、実際、一つ一つの禅語の訳文でさえ中々理解できないものが多いのは事実ではあるが、本書を読み終わるとなんだか、禅語のシャワーを浴びて、少しは禅が理解できるような気分になるだけでも、お得な一冊といえるようにも思うが－－－。
(14年12月発行)