強打者列伝 野村克也 角川書店
QVCマリーンフィールドで千葉ロッテの試合を見る席はいつも大体同じエリアだ。
もう何年も通い続けていると、同じくこのエリアに座っているロッテファンとは皆顔なじみになっているが、特に同年代のおじさんたちとはある意味、親族同様の付き合いといったところだ。
なにしろ、そういうおじさん仲間との話が楽しいのは、数十年前のプロ野球選手の名前がポンポン出てきて、話がどんどん盛り上がることだ。
そんな楽しさが、ノムさんのこの本にはある。
多分、ノムさんの語ったことを編集者がまとめた1冊ということなのだろうが、ここに出てくる歴代強打者は、すべて自分が知っている選手ばかりであり（打撃の神様、川上も現役生活の最後の頃だったが、実際に試合でみたことがある）、QVCの仲間との話に出てくる打者達であり、そうそう、と相槌を打ちたくなる選手ばかりだ。
川上はもちろん、青田、大下、中西といった所、それよりもう少し後の年代の、長池、大杉、門田といった強打者たちでさえ、名前も知らないというファンは多いだけに、QVC仲間やノムさんのような連中がその名を挙げて、ああだったこうだったと語りだしてくれると、なんともうれしい気持ちになってくる。
聞くところによるとノムさんは、体調を崩しておられるとか。早く元気になって又、色々と昔話を聞かせて欲しいものだ。
(14年12月発行)