日本人改造論 ビートたけし 角川書店
大仰に振りかぶったタイトルだが、本書の中身とタイトルとの関連はかなり薄いといってよい上に、99年に発行されたものの衣替え出版というから新刊という訳でもないとなるとそんなに期待できないのではと思いつつ読み始めたが、いつもの定番といってよい、ビートたけしならではのお笑いの衣をかぶせた社会批評は、やはり面白い。
なにも目新しい視点からの社会批評、人生論を語っている訳ではないけれど、この人の「なにも、世の中、肩肘張って生きることはない、一度、笑われてもいいや！と居直ってしまえば、楽になる」というお笑い芸人らしい見方をすれば、「なるほど、そうだ！」と相槌を打ちたくなることが多い。
たしかに、ビートたけし流の見方で世の中をみれば、世間では大まじめな顔をして行われていることの多くが、滑稽でもあるかもしれない。（例えば、国会論戦なんて、実にくだらない話を、大まじめな顔をしてやっている予定調和的な姿は、滑稽としかいいようがないともいえる）
古典落語を聞くように、話の筋も下げも分かっているにもかかわらず、ビートたけしのこの手の社会批評本は、たとえ初版の出版が16年以上前だとしても、飽きない面白さがある。
(14年12月発行)