超明解！国語辞典 今野真二 文芸春秋
「新明解国語辞典」のユニークな語釈を題材においた赤瀬川源平の「新解さんの謎」や、三浦しおんの「舟を編む」等では、それまでは余り取り上げられることのなかった国語辞書の面白さを教えられたが、本書もそんな国語辞書にまつわる話題を深堀した極めてマニアックな一冊である。
本書では、現在発行されている7種類の小型国語辞書を比較対象しながら、それぞれの辞書に込められた辞書編纂のコンセプトなどを著者なりに読み解いていったもので、こういう細部に亘る「研究」をしている人、いわば辞書オタクの世界というきわめてマニアックな世界に触れることができて極めて面白い一冊だ。
ある特定の言葉を取り上げて、それらがこの7つの辞書でどう語釈されているのか、どのような例文が載っているのか等々、今まで単にあっさり見逃してきた辞書にも実は、それぞれが極めて個性的な特徴をもっていることを知り、辞書というものが、実は中々味のある「本」なのだということをに驚嘆した。
もっとも、国語辞書を数冊持ち、それを読み比べる---等ということをする人は、おそらく日本中にもそう多くはいないと思うし、自分もやってみよう等とは思わないから―――本書も自分にとってはある種のエンターテイメント本に終わって仕舞いそうだが---。
（15年3月発行）