棋士マイケル・レドモンド マイケル・レドモンド 出版芸術社
マイケル・レドモンドさんは、アメリカ・カリフォルニア州のサンタバーバラで育ったがUCサンタバーバラの物理学教授であったお父上やその同僚の影響を受け、10才の時囲碁を覚えその面白さに魅入られる。
13歳の夏休みに父の知人に伴われて初来日、夏休みを利用した囲碁教室で6週間の囲碁漬けの日々を送ったが、囲碁のプロになる夢に目覚め14歳の時に日本棋院の院生となるために来日、大枝雄介九段の内弟子となって17歳でプロ合格し、平成12年には、ついにプロ最高位の九段に昇段しており、現在はNHKテレビの囲碁講座講師などとしても活躍、囲碁の世界普及にも尽くしている。
本書はそんな変わり種囲碁棋士であるマイケル・レドモンド氏自身が語る、自らの囲碁人生、そしてそんな囲碁人生における様々な思い出、あるいは囲碁界への提言、さらには彼の将来の夢（やはりビッグタイトルを取るということど）などから構成された一冊だ。
14歳という時期からプロ棋士の内弟子に入り住み込みをしながら修行に励んだという（14歳といえども、彼によれば遅すぎた、もっと早くやっておれば―――という悔いがあるらしい）、今時では日本人の少年達ですら中々しないような体験をした「日本人以上に日本的」なマイケルさんの体験談は、ところどころある棋譜がまったく読めない（囲碁をしらない）自分にとっても、何ら違和感なく楽しめる。
中国から、姉妹で日本に囲碁修行にきていた女性（妹の方）と結婚、二人の女の子にも恵まれて日本をこよなく愛するマイケルさんの愛すべき人柄が溢れた一冊だ。
NHK講座でも取り上げたという中国の囲碁格言「囲碁十訣」に関する解説も、囲碁を知らない自分にとっても、なにか古人の人生訓を学ぶようで面白かった。
（15年8月発行）