微生物が地球をつくった P・G・フォーコウスキー 青土社
宇宙には数兆個の銀河があり、一つの銀河に1千億とも2千億ともいわれる恒星があり、各恒星にはいくつかの惑星があって少なくとも一つの恒星である太陽には、我々のような生命が存在しているとなれば---宇宙全体では地球以外に生命体がいる可能性、そしてその中には我々と同じ、あるいはそれ以上の知能をもつ生命体がいることは確率計算からいえば絶対といってよいことになるのだが---。
1977年に打ち上げられたボイジャー1号は打ち上げから35年後の2012年、遂に太陽系を離れ現在も時速5万4千キロで地球から一番近い恒星、ケンタウルス座プロキシマに向かって宇宙空間を飛行中だ。
プロキシマの周辺には地球と同じような惑星が存在するかもしれないし、その惑星には地球と同じような生命体がいるかもしれない。是非とも探索してその結果を知りたいものだが―――ボイジャーがプロキシマ周辺に到達するのは、今から8万年後のことである。すなわち、我々が太陽系外惑星での生命の存在を知る可能性があるとしてもそれは今から8万年後ということになる―――となれば、我々が地球外の生命体、まして知的生命体に遭遇できる可能性は（タイムワープなどが実現可能にならないかぎり）限りなくゼロに近い、ということにもなる。
本書は、宇宙起源史、地球史、地球生命の起源といったテーマを通じて、生命というものの仕組みを著者なりの説を展開する中々意欲的な著作であり、そのタイムスパンの広さ、それでいて生命のミクロな視点とともに、大宇宙を俯瞰しての生命の可能性といった巨視的な俯瞰に至るまで詳細かつスケール出語る1冊だ。
長い地球の生命史のその90％以上は、微生物のみが占めており、微生物が登場してから20億年後に登場した多細胞の動物などの生命体のみならず地球というガイアの不可欠な中核システムをなしているのが、この微生物であり、それらの生命体の、呼吸、たんぱく質合成、細胞のエネルギーを放出すシステムの基本にあるのが、微生物であるという。
宇宙、そして地球、そして生命の不思議は知れば知るほど興味は尽きないが、そんな好奇心を大いにくすぐってくれる一冊だ。
（15年10月発行）