火山入門 島村英紀 NHK出版
小学生時代には火山の分類として「活火山」「休火山」「死火山」という3つをならったが、もう何年も前からこの分類はなくなり今は「活火山」と「活火山ではない火山」の二種類だけだという。
過去に噴火したことがある火山は又いつか噴火、爆発をする可能性があることは、火山噴火の警戒レベルが低かった御嶽山が突然爆発し多くの死者を出した、ということからも分かるように、現在でも火山噴火予知はほとんど不可能に近いという事実からも我々は思い知らされている。
日本を代表する火山学者である著者によれば、陸上に存在する世界の火山の約7分の1が面積では陸地の0.25％でしかない日本列島に存在し、しかもその内活火山（過去1万年以内に噴火したことがある火山）が110山もあることを考えれば、我々は常に火山噴火に対する備えをしなければならないという。
火山噴火の種類（人類文化のみならず、地球上の生命に重大な危機を及ぼす類の噴火は幾度も起こっている）、歴史的噴火の規模、あるいは噴火が起きた際に想定される様々な被害の数々など、あらためて火山というものを知る意味では貴重な一冊である。
又、本書は火山に対する警戒、恐怖をあおるだけではなく火山が日本にもたらしてくれた数々のメリットについても詳しく触れられており著者の火山研究者であると同時に「火山好き」であることがうかがえて楽しくもなる。
いずれにせよ、この日本列島で生きている以上、火山を知り、火山に備えるとともに、火山と親しむという覚悟も又必要であることを教えられたように思う。
（15年5月発行）