気が遠くなる未来の宇宙のはなし 佐藤勝彦 宝島社
ビッグバンによってこの宇宙ができてから今日までは138億年だといわれる。
その138億年を1日、24時間の尺度に縮めると、人類が誕生した今から500万年前は、23時59分30秒過ぎに過ぎないし、ましてや人類の文明が始まったのは深夜24時まで残り1秒を切った23時59分59秒過ぎでしかない―――。
こういった超スケールの「宇宙年齢」の話や、天の川銀河にはおよそ2000億個の恒星があり、この宇宙には天の川とおなじような銀河が約７兆個ある―――といった宇宙の大きさの話―――想像すらできないでかいスケールの話に溢れているからこそ、宇宙論、宇宙物理学の話には興味が尽きない。
しかし、そんなスケールの話も本書を読んでいると「まだまだ小さい話」に思えるのだから宇宙論大好きな身にとっては答えられない一冊だ。
宇宙開闢以来の138億年というとてつもなく長い時間でさえ、これからの宇宙の未来という時間スケールではまだまだ短く思えるのは、本書が述べる宇宙未来論が、「1000億年後間の宇宙」あるいは「100兆年後の宇宙」といったスケールで展開するからだ。
100兆年後の宇宙となると、たかが（？）138億年というビッグバンから今までの時間でさえ24時間スケールにすれば1秒にもはるかに満たない時間に過ぎないということになるではないか―――となれば、我々の一生なんて「うたかた」とすらいえないほどの時間になってしまう。
ボイジャーが4光年離れた太陽から一番近い恒星系に到達するのは今から7万年後だという。一番近い星でさえ7万年かかるという宇宙の片隅にいる我々人類だが、その科学知識が、この広大な宇宙の大きさや、あまりにも悠久の時の流れを楽々とカバーしているということには、なんだか喝采を叫びたくなるではないか。
（13年11月発行）