なぜ私は韓国に勝てたか 加藤達也 産経新聞出版
産経新聞の加藤ソウル支局長が朴槿恵大統領への名誉棄損で逮捕起訴された事件、曲がりなりにも言論の自由、民主主義を標榜する国でならあり得ないような事件ではあるが、更には加藤支局長に対する出国禁止措置といった強迫手段までとり、大統領の顔色をうかがって起訴をした韓国検察、さらには恣意的な訴訟指導を行った裁判所という実に前世紀的な韓国司法に対して一歩も引かず論理的に戦った、産経新聞社そして加藤氏の不屈の精神には頭が下がるし日本人の一人として誇らしく思う。
こういった不当に対する断固とした拒否姿勢と、世界的にも高まった韓国に対する批判の嵐の中で、遂に韓国司法当局も、無罪判決を下さざるを得ず、加藤氏の完全勝利に終わった。
本書は、その事件の顛末を含め、韓国側の余りにも理不尽な論理と、それに加藤氏側がどのように抗して戦ったかを詳細に述べた一冊であり、韓国が葬りさろうとしている彼等にとっては恥辱の記録を後世に残す為の基調な一冊といえる。
行き過ぎた名誉棄損による起訴、加藤氏の出国禁止措置といった国際的にも嘲笑をうけるような行為に踏み切ってしまった韓国政府だが、さすがに行き過ぎたとおもった時には時すでに遅く、引っ込みがつかなくなり、何度も加藤氏と産経に「遺憾の表明」、あるいは「和解」を持ちかけることでの早期解決を打診してきたという事実が本書では述べられていたが、そういった甘い誘いを断固拒否しつづけて遂には全面的な勝利を得た加藤氏は、事実でもない慰安婦強制連行を「認めて謝罪さえすれば、かつて、一度頭を下げてさえくれればもう二度と触れないから」という韓国側のウソにみすみす乗ってしまい、日本と日本人の名誉を傷つけてしまった宮沢、河野といった日本の無知蒙昧政治家と比べて、どんなに立派に思えることか―――。
やはり、この国とは極力、拘わらず、できるだけ無関係で過ごすことがいかに大切かということを本書が教えてくれているような気がしてならない。
(16年1月発行)