はつみみ植物園 西畠清順 東京書籍
百五十年続く花と植木の問屋の五代目だという著者は、プラントハンターとしても世界を駆け回り既に数千種類のプランを収集してきたという。
そういう肩書の著者が著した一冊となれば、植物の不思議さについてのうんちくがつまった一冊ではないかと思って読んでみたのだが、はっきり言って本書は期待したような植物に関する「はつみみ」ともいえる知識が詰まった本という訳ではなかった。
確かにいくつかの植物に関する知識（うんちく）らしきものが書かれてはいるが「アサガオはなぜ朝咲くか」「サボテンのトゲはなぜあるのか」といった疑問を掲げるもののその答えは、既に大方の植物好きがとっくの昔に知っていることばかりであり、どうせ、こういったある意味陳腐な疑問を掲げるのならば、パロディー的なオチをつけるなりの工夫が欲しかったと思えるものばかりだった。
しかも、本書の大凡半分（いやそれ以上かもしれない）は、著者自身の個人、プライバシーに関する記事であり、著者の年代の人達の「個人ブログ」を読まされているようなところばかりであり、結果的に本のタイトルに惑わされて買ってしまったことをいささか悔いるようなところもあったのは事実。
（16年6月発行）