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遺伝子の川 リチャード・ドーキンス 草思社
個々の生物体（すなわち自分もあなたも）は、DNAの次世代、そして未来への橋渡し役に過ぎない―――というドーキンスの「利己的な遺伝子」のセンセーションはネオ・ダーウィニズムの旗手と言われるドーキンスを、ダーウィン以上の強力なダ―ウィニストに祭り上げてしまった感があるが、その強烈な主張は、生命に対する人類が長く持ち続けてきたロマンを吹き飛ばしてしまうほどのインパクトがあっただけに大きな賛辞とともに、宗教界をはじめとする勢力からは、大きなバッシングを受けたものだった。それらに、全くめげないドーキンスの強烈なネオ・ダーウィニズムが、また、一部の支持者には大絶賛されって――という繰り返しが岡目八目的には面白いのだが――。
本書も、あの「利己的な遺伝子」以来のドーキンスの主張が強烈に述べられているので、やや、マンネリ感がないではないけれど、本書ではあの「利己的な遺伝子」で述べられた説にもとづく、生命の未来像が描かれている部分が面白いし、「利己的な遺伝子の究極の姿」という「思考実験」は、あらたな生命論にとどまらず未来型哲学にさえ発展可能だと思える。
実は、本書が最初にかかれたのは実に今から20年以上前の、1995年だというから、ドーキンスの「過激度」がどれほど筋金入りなものなのかを物語っているという点も面白い。
（14年4月発行）