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イスラム教徒の頭の中 吉村作治 CCCメディアハウス
エジプト考古学者としてエジプトに長くくらしイスラム教徒の女性との結婚生活経験もある著者によるイスラム教徒の物の考え方を解説した一冊だ。
タカさんもエジプト駐在の経験がありこの地の人々の考え方が、日本人のそれと余りにも違うことに当初は当惑というよりもむしろ苛立ちを覚えたものだが、慣れるにしたがってむしろ、彼等の物の考え方の方が人間的なのかも知れない――と思うようになった。
例えば、物を盗まれた時、エジプトの同僚からは「盗むということは、神が許さない事であり盗人は死後地獄に行く。すなわち、彼が地獄にいくような事（盗み）の機会を作ってしまったあなたも悪い！」といわれて、びっくりすると同時に、きっと経験なイスラム教徒であるに違いない盗人が、何だか可哀想に思えたことがあった。
本書では、女性の結婚観がいかにドライなものであるのか、男にとってメンツとか名誉というものが、いかに大切なものであるのか、といった正にエジプト生活した経験者にとっては「あるある」の事例が豊富に述べられていて、しかも、何故彼等がそのように考え、行動するのかが解説されていく。
只、ここで述べられているエジプト（イスラム教徒）の考え方に「なるほど、彼等はこう考えているのか―――と多くの日本人読者が納得するかどうかとなるといささか疑問に思う。
タカさんでさえ慣れるのに2年程はかかったし、未だに納得できず「所詮、我々は、イスラムとうまくやっていくことはできないのではないか？」と思うところも多い故に。
（17年3月発行）