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古生物たちのふしぎな世界 土屋健 講談社
地質時代の覚え方の語呂合わせである「顔知るデブ医師、罪自白三、四」（カンブリア紀、シルル紀、デボン紀、石炭紀、二畳紀、三畳紀、ジュラ紀、白亜記、第三紀、第四紀）の内、二畳紀（ペルム紀）までの時代を「古生代」というが、化石のスターともいえる恐竜たちに代表される「中世代」の前、エディアカラ生物群というなんとも奇妙な生物群が登場した後の今から5億4200万年前から2億5100万年前の時期である。
本書はこの古生代の生物の化石をカラー図版で示し解説するという化石好きにはなんともうれしい一冊だ。
従って、化石界のスターともいえる中生代を代表する恐竜化石は全く出て来ないとか、古生代後期から中生代を通して繁栄し、恐竜と並んで我々になじみのあるアンモナイト類の化石に関する記述が少ない等の寂しさはあるものの、古生代の生物の何とも不思議な姿かたちに魅了されて図版を眺めているだけでも飽きない。
他の書評などには、色が想像を含め過ぎているのではないかといった評もあったけれど、色のない化石の写真ばかりの図鑑に比べると我々の古生代という全く知らない世界への想像を膨らませてくれるエンターテイメントとしての面白さは十分だ。（その点、博物館で恐竜の化石の実物をみる楽しさと、図鑑にえがかれた色付きの恐竜の想像図を見る楽しみとが別物であるのと似ていると思う）
巻末に置かれた索引や、参考文献一覧の豊富さから類推するに、これらの色付けなどにしても、それなりの根拠に基づいているのだろうと思えるから、「色が鮮やか過ぎる」という批評の方だって根拠がある訳ではないだろうに～と言いたくもなった。
（17年6月発行）