パパは脳研究者 池谷祐二 クレヨンハウス
はじめて親になった脳科学者が、その目に入れても痛くないほど可愛い愛娘が3歳になるまで1ヵ月毎の脳の成長過程を、愛情をこめてしかも脳科学的に観察した記録だ。
正に人が人らしくなっていく観察記録と言ってよいが、その記録が、新米パパの愛情溢れる育児記録と相まっているから我が娘達の成長過程を思い出し懐かしくも、ほほえましいと同時に、人間の脳の発達過程という科学的な知識を学ぶという一石二鳥も三鳥もの面白さのある一冊だ。
生まれて数カ月の間は、自分の手足を意識的に動かすことすらできずにいた赤ちゃんが右と左に異なった動きをするようになる―――これだけのことだって赤ちゃんの脳が急激に発達しているということだという事を本書を読んでいると、極めて納得ができる。
見慣れたことではあるのだが、実はこんなところにも人間の脳の発達という科学が隠れていたと知って何だか楽しくなった。
嫉妬、といった感情一つにしても人間ならではのものだが、生まれて何カ月頃から芽生えてくるのか―――、一ページ、一ページ娘や孫の成長を思い出した。
（17年8月発行）