ごまかさない仏教 佐々木閑・宮崎哲弥 新潮社
佐々木閑・宮崎哲弥による 原始仏教に関するかなり専門的な対談形式の哲学論といってよい一冊だが、但しある程度、原始仏教とその哲学の知識がないと多分、この議論についていけないだろうし、理解し難い面があるだろう。
仏教はその歴史の中で小乗と大乗の二大潮流があることは良く知られているが、本書を読むとその二大潮流に加えて源流ともいうべき原始仏教という流れがある（あった）ことが、よくわかる。
又、釈迦の教えに最も近い原始仏教を研究することによって、後の時代に人々が、なぜ小乗、あるいは大乗の教えに救いを求めたのか、原始仏教には何がたりなかったのか―――が理解できるような気がする。
仏教哲学研究において現在何が分かっていて、何が分からないのか―――という所を「ごまかさない」で二人が語り合っているところが興味深く、この両者の著作をもっと読んでみたくなった。
（17年11月発行）