白百 原研哉 中央公論社
「好きな色は」ときかれて「白」と答える人は多いが、果たして白は色なのか？となると様々な説がある。
白は無彩色というカテゴリーに入りすなわち「無色」ということだから「黒」や「灰色」と同じく「色がないと」いうことになるのだからすなわち「白は色ではない」ということになるのだが―――。
しかし、それは逆に「白」というものは日本的な美意識の中に存在する「空」の概念を感じ取る人の感覚のことであると考えることもできるわけで、デザイナーでもある著者は身近にある様々な「白」を挙げて、そこに個人的な美的感覚、あるいは日本文化、またあるいは日常の風景や考えていることをかぶせて、彼の美意識、あるいはデザイン感覚を語っている。
美意識がそれほどに研ぎ澄まされている訳ではない自分でもここに挙げられた百の白については、それぞれに共感を覚える。
（18年1月発行）