チャーリー・パーカーの伝説 Ｒ・Ｇ・ライズナー 晶文社
タカさんのモダンジャズ歴は大学に入った（67年頃）からだが、特に学校が学生運動で休講閉鎖になっていた時期には、新宿のモダンジャズ喫茶（ジャズレコードを聴かせる）「DIG」に入り浸っていたものだ。
モダンジャズといえばタカさんの一番のお気に入りは、その頃からマイルス・ディビス（今も、尚そうだが）だが、そのマイルスの師匠だといわれるチャーリー・パーカー（愛称バード）は、既に1955年に亡くなっていたものの、バードのレコードがかかると、「やっぱり、いいなぁ〜」と聞きほれたものだったし、自分でも何枚かバードのレコードを買った思い出がある。
あの、マイルスを育て、大きな影響を与えただけあってパーカーのモダンジャズに残した足跡は大きいし、今も、バードの影響は深くジャズという音楽に残っている。
天才とも言われるバードだが、実は努力の人であったことが本書には詳しく書かれている。
しかし、その死因が何度かの入院を繰り返した麻薬の過剰摂取であったこと、多くのジャズマンに影響をあたえ育てたという実績の反面、金と女に汚く、数々の裏切りも平気でやったことなどにも表れているように、私生活は完全に破滅型であったことなども、本書には詳しく描かれている。
他の芸術分野でもそうであるように、優れた天才的な芸術家にはこの種の破滅型の人間が多いが、チャーリーバードもその典型だったのだろう。
しかし、その破滅型の私生活にかかわらず、死後既に70年が経とうというのに、今も、バードの演奏を聞くと魂が揺さぶられるような気がする多くのジャズファンがいるのは、やはり彼の芸術性の高さゆえだろうと思う。
（98年3月発行）