科学のミカタ 元村有希子 毎日新聞出版
毎日新聞の科学記者である著者は、同紙の読書委員も務めているらしい。そんな著者がある日感じたという清少納言が「枕草子」で述べている日本女性の感性に基づく自然の見方―――を現代的科学の見方の視点をいれて書いた短文エッセー集である。
清少納言のものづくしにならって「こころときめきするもの」の中にニホニウムや、はやぶさ２、チバニアンなどの話題を取り上げそのほかにも「すさまじきもの」「おぼつかなきもの」として時事問題や科学の話題などを巧みに取り上げていく。
新聞記者らしい好奇心と科学好きの博識とを織り交ぜての軽いエッセー風の文章だが、時には「生きるとは」「生物としての人間にとっての生きがいとは――」といった中年に達した独身女性の思いがふと述べられる―――。
中々面白い一冊だった。
（18年3月発行）