E=mc2のからくりの 山田克也 講談社
アインシュタインの相対性理論について昔よくいわれたことはこの理論を本当に理解できるのは世界で200人位だろう―――ということだった。
全ての事物は相対的な物である―――という話などは、小学生でも理解しようと思えばできるが、特に相対性理論の真髄であるE=mc2は公式としては理解していても、なぜエネルギーが質量になるのか（質量がエネルギーになるのか）、そしてそこに何で光速という数値が入ってくるのか―――となると今でもどうも納得がいかないのだが―――。
そんな人達にとって本書は朗報と言えるのではないだろうか。本書に「からくり」だとして述べられている基本的な事柄、例えば電荷とはなにか、磁力や光とは何か、といった事柄は、何度となく様々な機会に学んでおり、それはそれで理解したつもりでいたし本書に述べられていることがらの一つ一つは、皆既知のことといえるのだが、それらを順々に説き明かしていきながら、その全ての事柄が最終的にE=mc2に見事に結実して行く―――という手法は、物理学の名解説者としての著者ならではの名人技と言えよう。
（18年2月発行）