宇宙はどこまで行けるか 小泉宏之 中公新書
実際にロケットを飛ばしている科学者によるロケットエンジンの話だから、ややもするとSFチックにもなりがちな宇宙の話がより現実的な問題として把握できて面白い。
近年、IC技術の軽量化が進んだおかげで衛星の小型化、あるいは超小型化が可能になったこともありロケットの推進力にかつてのように燃焼型のエンジンばかりではなくイオンエンジンなどのエンジンが使われるようになってきている。
著者は「はやぶさ」のイオンエンジン運用にも携わって今もそのトップランナーとして研究を続ける人だけにどの話も興味深い。
又、かつては一回で使い捨てだった第一段ロケットが最近では回収して再利用されている話とか、いま計画されているという有人火星探査計画の詳細等、徐々に将来の夢的な話に移っていくから、なんとなく荒唐無稽さを感じないで済むところも、類書に比べて好感が持てた。
(18年９月発行)