古代ローマ人の24時間 アルベルト・アンジェラ 河出書房新社
今から2000年前といえば、日本はまだ弥生時代から古墳時代、人々の集落は竪穴式住居だったことを考えるとその頃の古代ローマの人々は高層の集合住宅に住み街には公衆浴場や公衆トイレがあったというのだから彼我の差の大きさにはいまさらながら驚嘆する。
本書は、そんな古代ローマ最盛期の一日を描くことで、当時のローマ人の暮らしぶりをフィクション風に再現したもので、もちろんその、細部は様々な史料にもとづいており、古代ローマという驚異の歴史をまざまざと体験することができる。
当時のローマの人口は150万人に上ったといわれるが、その内奴隷は約15％を占めていたというのは、労働が身分のある者がやる仕事としては蔑まれていた所為でもあったこともあって、官僚や学者といった仕事にまで従事する奴隷も多かったという。
ローマの人々はどんなものを食べていたのか、政治はどのように行なわれていたのか―――。
本書はイタリアでもベストセラーになったというが、なるほど、本場のイタリア人にとっても古代に生きた誇らしい先祖の生活を知るということがどれほどスリリングなことかと想像がつく。
願わくは、縄文、弥生の時代の一日を本書の様に再現して欲しいものだ。
（10年7月発行）