ニュートンとコーヒータイム　　　マイケル・ホワイト　　　　　三元社　

天才とはそれまで常識と思われていたことを覆し、新たな常識を作りだした人のことだと言われる。

確かに、ガリレオ、コペルニクスがそれまでの天動説という常識を覆し今や彼等の唱えた地動説が常識となっていることを考えれば、彼等を天才というのが相応しい事に納得がいく。　

その意味では万有引力の法則という今や小学生でも知っている「常識」を唱えたニュートンは間違いなく天才といってよいが、それまで誰も思いつかなかった―――当時は非常識といわれたに違いない―――発想を思いついたニュートンは一体、どうしてそんな突拍子もない発想にいたったのだろうか？

本書は、ニュートンとの架空のインタビューの形をとって、彼が万有引力の法則に思い至った方法を探ろうという試みだが、万有引力の法則は、なんと彼のオカルト研究の中から発想されたものだという。

いわれてみると、確かに、オカルト研究という突拍子もない発想からでないと、こんな突拍子もない考えは出て来ないかもしれない。

ガリレオが望遠鏡で木星の衛星の動きを観測したことから地動説の発想を得たのとちがってニュートンの万有引力の法則は、まったく想像の中から発想されているという意味で、彼はガリレオ以上の天才なのかもしれない。

ニュートンは名うての気むずかし家であり、錬金術にのめり込んだことも伝えられているように、当時の非常識人であったことに疑いはない。いまでいうなら何らかの発達障碍者だったのかも―――。

そういえば、「天才ときちがいは紙一重」というではないか。その点、常識にばかり囚われている自分は、間違いなく凡人である―――と思う。

(18年12月発行)