内閣情報調査室　　　　　今井良　　　　　幻冬舎　　　

今もそうかもしれないが、日本は外国の諜報機関にとってスパイ天国といわれたものだが、最近よく中国で日本人が「スパイ活動」容疑で拘束されているが、この頃は少しはこういった諜報活動も充実しているのだろうか。

国際諜報はともかく、オウムやイスラム国のテロなどにおける公安体制は、一時期にくらべ大分充実してきているようだし、原発反対デモや沖縄基地反対でもなどの場合、過激派の行動などもあるだろうから、日頃からの警戒が必要なことはいうまでもないところだが公安体制はどうなっているのだろうか。

あまり知られることのないこういった治安、諜報戦に触れた一冊として期待したが、ある部分満足、ある部分「やっぱりこの程度か」という感想を持った。

タイトルは「内閣情報調査室」となっており、確かに記者としての著者のテリトリーである「内調」がメインに書かれているが、日本における情報機関である公安調査庁、警察庁公安部、外務省、防衛省などについてもその現陣容を含め詳しくのべられており、それぞれの特長や日本の統合的情報網などについても述べられており興味深い。

北朝鮮によって多数の日本人が拉致された当時、そのことを知る機関もなく政府自身も長い間、半信半疑であったという悲惨な状況が最近は、かなり改善されているようにも見受けられるのは、社会情勢が益々不安になっている時だけに、頼もしいようにも感じる。

（19年5月発行）