あむんぜん　　　　　平山夢明　　　　　集英社　

アバンギャルドといわれる芸術作品は、理解できるあるいは理解できているフリをしている一部のファンにとっては価値があるのだろうが、大部分の人にとっては全く理解しがたいし、むしろそれは芸術に対する冒とくである、として憎まれさえすることもあるようだ。

著者は、一部ファンにとってはその作品は、前衛的として受け入れられているようだが、本作を手にとってみて正直言って余りのハチャメチャさに、こんな作品の読書日記をつけることさえ無駄で時間の浪費だと思ってしまったし、こんな作品ともいえない駄文を出版することさえ許されないことなのではないかとも思ってしまった。

幾つかの短編（らしきもの）で編まれた一冊で、表題作「あむんぜん」は、いわゆるエログロナンセンスを徹底しようという作者の意思のようなものを強く感じるが、それでいて、散文の集積のようなもので、作者が一体何が言いたくてこの著作を出したのかが、さっぱり理解できないし、理解できないという事で、自分がおかしいのではと思うこともなく、こんな作品を出す人の方がおかしいのではないだろうか、そしてこの作家（？）の作品が好きだという人（多分、無理してそう言っているのだろうが）の方がおかしいのではないか？と思えて、更に先に読み進めることが出来なかった次第。

(19年7月発行)