世界地図を読み直す　　　　　北岡伸一　　　　　新潮社

国際政治学者であるというよりはむしろ多彩な外交評論などで活躍している著者は、国連の次席大使を務め、今やJICA理事長を務めている。

そんな経歴があったからかもしれないが、世界中を飛び回り、又国際人脈を構築している人物として中々稀有な人材といえるのかもしれない。

そんな著者が国際問題を扱っている雑誌FORESIGHTに連載したコラムをまとめたのが本書である。

国際関係といっても、本書では著者がJICA理事長として訪問した50か国を中心としたものであり「ロシアの隣国」「アフリカ」「中南米」「太平洋の島嶼国」「アジア（ミャンマー、ベトナム、東ティモール、タジキスタン）」などの俯瞰図的な記述が多く、中国やアメリカ、EUといった国々への言及は、文庫本であるからか敢えてなされていない。

その意味では、目新しい切り口での世界政治の俯瞰図となっているとも言え、ページを捲る手が止まらなかった。

(19年5月発行)