公安調査庁 手嶋龍一・佐藤優 中公新書
アメリカの中央情報局（CIA）には、どれほどのスパイが働いているのだろうか。
英国の通称MI6などもジェームス・ボンドなどのスパイ映画では有名だが、諜報組織という性質上、その実態は今一つ定かではない。
日本にも公安調査庁などのスパイ組織は3つほどあるがその実体はCIAなどと同じく、かなりの部分ベールに包まれている。（近所の誰某さんの勤め先が、公安調査庁だ、等という話は聞かないが、デモなどを鋭い目で見ている公安らしき人物を見かけることは確かにある）
本書は、元NHK解説員でもあった手嶋と、外務省官僚であった佐藤という諜報関係に詳しい二人の対談形式による公安調査庁についての解説本であり、秘密のベールにくるまれた組織についての好奇心をかなりの部分満たしてはくれるものの、二人とも公安調査庁の内部にいたことはない、いわばアウトサイダーでもあり何処までが本当なのかとなると、CIAやMI6に関する小説などと同じように、今一つ信用できないような気がしないではない。
只、外国の諜報組織に比べると大人と子供の差があるとまで一時は言われていた日本のスパイ組織だが、二人の話を総合すると近年は、国際的にもその能力への評価は高いというから、なんとなくうれしくもあり又、怖いところではあるのだが。
（20年7月発行）