地球科学入門 平朝彦 講談社
宇宙物理学も面白いが、我々の住む地球も科学的に興味は尽きない。宇宙物理の謎は底知れない程深いが、自分達の住んでいる地球自身についても、宇宙科学に匹敵するほどの謎に包まれており、しかも我々が今までに知りえたことといっても、宇宙の謎同様ほんの一部にしかすぎない。
ただ、宇宙に比べれば地球については地表面のほんの一部とはいっても、我々がフィールドワークによって探査することができるのは、月や火星にようやく探査機を送れるようになったに過ぎない宇宙に比べれば、ほんの少しはマシといったところだろうか。
本書はそんな地球科学に関して、地球の海洋底、大陸地形、地層、火山、プレートテクトニクス、地球史、地質学など実に広範囲にわたって豊富な図版を駆使して実に詳細に解説したもので、地球生物史や生命の起源問題といった問題や、東北大震災や南海トラフの問題といった最近の出来事についての解説など実に広範囲にわたるまさに「地球科学」の、実に贅沢な解説本になっている。
座右に於いて時折眺めていきたい一冊だ。
（20年11月発行）