岩石はどうしてできたか 諏訪兼位 岩波書店
今から50年以上前の高校理科の科目は「物理」「化学」「生物」と「地学」の四教科の中からの選択制だったが、その内もっとも人気がなかったのが「地学」だったように記憶する。
その理由は様々だが、物理、化学、生物の場合には公式なり用語を記憶すればよいところがあり、大学入試に有利だとおもわれていたところがあったけれど、地学に関してはそのカバーする分野が広すぎて受験生の詰込みには不利と思われたところがあったことと、何しろ地学は「泥臭い学問」というイメージがつよかったこともあったように思う。
本書の著者は、地学の中でも「岩石学」という分野に長年没頭された方のようだが、本書でも「岩石学はどうしても泥臭い学問と思われてきた」と語っておられる。
本書を手にとったのは、火山由来の岩石である花崗岩や玄武岩、安山岩や堆積岩である砂岩や礫岩、チャートなどの見分け方について知りたいと思ったからだったが、タイトルと違って本書の内容は、岩石学に携わった古今東西の学者についての紹介というものであり、タイトルと内容の齟齬にはいささかがっかりしたものの、著者の岩石学に対する情熱とか、学問することの喜びがひしひしと伝わってくるという意味では、全く知らない世界を知ったようで十分に満足できるものであった。
(18年1月発行)