夕べもここにいた！　　　　　なぎら健壱　　　　毎日新聞社　　　　　　

多芸の人、なぎら健壱の中々ユニークな物の見方、コメントはテレビ、ラジオでいかんなく発揮されているが、「東京酒場漂流記」のような下町の酒場探訪記、というか酒場探訪を通じてなぎら自身の人生観やむかしながらの東京の下町情緒をテーマにしたエッセーも又、彼の多芸の内の一つだろう。

彼のB級グルメ的なこの種のルポエッセーを読んで、自分もそれらの酒場を訪ねて飲んだ暮れてみたいと思った人はタカさんばかりではあるまいし、又、実際にそれらの酒場に実際に行ってみた人もいるのではないだろうか。

本書はあの「東京酒場漂流記」から約20年、再びなぎらの下町酒場探訪だが、今回は前著とは大分違い、見開き半ページがその酒場の写真、もう半分がその酒場に関するなぎらのエッセーになっている。

まあ、両方あわせると、どの店にも今すぐにでも行ってみたくなることは前著と同じだが。

ただし、大体の店が酎ハイに合う、ホルモンとか焼肉、焼き鳥などのちょっと重いつまみが中心の店が多く、まあタカさんの好みとしてはさっぱりとした物で飲める店などがあるとありがたいのだが。（そば屋とか、小料理屋で一杯という店なんかが一番好みなのだけれど。こういう店はあまり酒場という範疇に入らないかもしれないと思うが）