アシモフの雑学コレクション　　　I・アシモフ　　　新潮文庫　　　　

「アシモフの科学者伝」でSFの巨匠であり、稀代の科学ライターとしてのアシモフの知識の豊富さに驚いたものだが、本書もまさにそのアシモフらしさが十分に楽しめる一冊だ。

いわゆる一行薀蓄を集めた本書の全ての事項をアシモフ自身が集めたものだとは思わないものの、ここに納められたミニ薀蓄知識のバラエティーの広さには再び驚かされる。

この手の薀蓄、ミニ知識といった事柄に、興味があるという好奇心の強い人たちにとってはまさに痒いところに手が届くような一冊ということができるだろう。

科学、歴史、法律、芸術、偉人伝等々多彩なジャンルごとに整理されたミニ知識は、もちろん、知らなくても別に不自由はないけれど、知っていれば何だか随分得をしたような気分になれることは請け合いだ。

「潮汐の影響で地球の自転は10万年で1秒ずつ長くなっている」「17世紀のアメリカでは男女同一賃金制であった」「コロンブスが新大陸を発見してから3年で150万人の原住民が虐殺された」等々、その一つ一つを酒席などでネタにしたら随分と座が盛り上がるような気もするが、逆に「うるさい！」と嫌がられる可能性ももちろん高いかもしれない。