頂きはどこにある？　　　　スペンサー・ジョンソン　　　扶桑社　　　　

アメリカでは本書を自己啓発の為のテキストとして使っているのだとか。著者の前作「チーズはどこに消えた？」の柳の下のドジョウを狙った同じような作りの一冊だが、日本でも「勝間和代さん推奨！」とかなりあざとい宣伝で煽られている。

悩み多いがその悩み解消の為に小難しい本を読むのも面倒だ、という人には好まれそうな2-30分もあれば読める幼児向け寓話のようなものであって再三「この話を友人にも話してあげましょう！」などと書かれているところは何だかインチキ宗教のパンフレットのようなところもある。

要するに「人生には山もあり谷もある」だから逆境にある時はその谷間でるようにすべきだし順境にある時にはそこに長く留まることを考えるべきだが必ずいつかは下り坂がはじまりますよ、といった今更大げさに言われる必要もないような話が書かれている。

まあ、「全米で人気沸騰」だとか「この本を読んで元気が出てきました」などといった煽りを意識しながら読めば感激する読者も多いかもしれないが、なんだか間違って催眠商法の現場に迷い込んでしまったようないや〜な読後感だけが残った。