驚くべき雲の科学　　　　リチャード・ハンプリン　　　　草思社　　　

土手に寝転んで時々刻々その姿を変える雲を飽きずに見ていた−−などという経験は恐らく誰もが一度はやったことがあると思う。童心に返るというかなんだか清々しい気持ちになれるものだ。

そんなこともあるからだろう、世の中には雲フリークといわれる人たちが随分いて雲の写真をとってマニア同士で見せ合ったりして楽しむサークルがかなりあるらしい。

メルヘンチックな雲の写真集を期待して本書を手に取った。美しい雲の写真も含め世界中の雲マニアが撮った雲の写真が90点掲載されているの。

英国気象局の協力えて、雲の専門家が監修に当たっただけあって、実に風変わりな雲の写真が多い。土手でのんびりと見ていた雲とは随分違う雲ばかりなのには驚かされる。

まさにUFOが飛来したように見える巨大なレンズ雲、竜巻によって巻き起こるなんとも不気味な渦巻き雲などに加えて、視点を変えて国際宇宙ステーションなどから見た積乱雲、あるいは彩雲や、ジェット機が作る衝撃波雲等々、実に珍しい雲、美しい雲ばかりだ。

様々な波の写真集である「海の波を見る｣同様、波とか雲といった自然が作る不思議な美にあらためて感嘆を覚える。