ヒトの進化七〇〇万年史　　　　河合信和　　　　ちくま新書　　　

例えば01年に発行された「人類の進化」には人類の歴史は500万年と書かれているが今、人類の誕生は700万年前というのが定説である。

これは90年代に発掘された原人の化石の年代測定法がより正確になったことにより200万年も人類誕生が遡ったということなのだが、同じように、この例のように00年以降の10年間における人類化石の新発見は驚くべきものがありその結果、人類起源史は大きく書き換えられている。

本書は、そんな人類化石の発見史（いわゆる化石ハンター達の熾烈な発見合戦はある種の宝探し物語としても面白い）、それらの新発見によって現在得られている最新の人類史が語られており読み応え十分だ。

少し前までは人類は猿人→原人→旧人→新人という梯子型の進化を遂げてきたと考えられてきたが、近年の新化石の発見によって、原人、旧人、新人などの多様な人類種が同時並行的に生きていたことが明らかになっており、かつての人類進化の梯子型は否定されている。

かつては多様であった人類が、今や我々ホモサピエンスのみとなり、他の人類種は絶滅してしまったという訳だ。

なぜ我々だけが生き残り世界のあらゆる地域に拡散し70億人を擁するようになったのかについても、人類史研究は多くの示唆を与えてくれる。