左対右 きき手大研究　　　　八田武志　　　　化学同人　　

以前「日々早々」でも書いたが（参照：「右と左」6/22/12）右利きと左利きの違いに関しては不思議に思うことが多い。

本書は、日本における利き手研究の第一人者（そういう分野の研究者がいるということにちょっと驚いたが）による右利き、左利きに関する興味ある薀蓄が満載だ。

スポーツ選手に左利きが多い（少なくとも一般人の左利き比率よりは高い）という巷間いわれる話は本当なのか、右脳人間だといわれる左利きゆえに右脳がつかさどる運動神経にすぐれているのではないか―――という仮説の信憑性は？と言った具合で、研究とはいいつつも、著者自身が大いに楽しんでこの問題を追及している姿がうかがえ読んでいても楽しい。

もちろん、さすがに「研究者」だけあって本書にあげられている様々な問題の学術的な裏づけは、かなりしっかりしている。但し、データはしっかりしていても、そのデータをどう読み取るか、という部分には多少なりとも著者の独断もないとは言えないような気がしないではないが。

左利きは「頭がよい」というのは本当か、あるいは左利きにホモが多いとか、左利きは概して短命というのは本当か等々、様々な俗説、珍説を挙げまじめに検証しており右利き左利きに関する興味は益々深まる。

ヘビにもとぐろを巻く時、くねくね這う時に右利き、左利きがあるという。ほんとうかなぁ〜と思うと同時に、じっくりとヘビの右利き、左利きを研究している人が世界にはいると知ってなんだか嬉しくなった。（蓮舫さんならば「何の役にたつのですか！」と言下に否定するだろうが）