無心ということ　　　　鈴木大拙　　　　　　角川ソフィア文庫　　　

世界的な仏教学者であり、英語で著したその著作によって日本の禅文化を世界に広めたといわれる著者だが、その著作は日本の若者にも広く親しまれ、タカさんの青年時代には、「禅」についてとなると鈴紀大拙を読むのがもっとも早道だとすら言われたものだった。この「無心ということ」も高校時代に何回か読んだ記憶がある。

禅の思想は、「非論理の論理」だといわれている。そもそも「無心」という禅（仏教思想）という非論理の核心を論理的に理解しようとすること自身が矛盾ではないかと思わないではないが、大拙はそれをどうにか論理的に説明しようとしている。

浄土思想、キリスト教思想、道元などを引用しながらの大拙の「無心」解説は、時にはいささか超心理的過ぎはしないかと思える部分もあるが、あくまで論理的展開に終始しようとしており、こういった彼の姿勢が欧米人、あるいは青年層に受け入れられる理由かもしれない。

本書を読んであらためてナイーブ（？）だった青年期に受けた大拙の仏教思想が、今も自分の芯のところには残っているのだなぁ〜ということに気付かされた。

参照：鈴木大拙「禅とは何か」