「地球のからくり」に挑む 大河内直彦 新潮社
著者の「地球の履歴書」や「チェンジングブルー」が面白かったので他の著作も読んでみようと探したのが本書だが、期待に違わず面白い一冊だった。
内容は、タイトルからはちょっと類推し難いが、エネルギー、そして地球規模のエネルギー循環についてのものだが、他の著作同様に、幅広い著者の碩学振りを発揮して書かれた本であり、この方面の知識のない読者にも極めて分かり易い解説がなされており、エネルギー問題を中心にした現代社会の問題点を知る意味でもお勧めの一冊と言えると思う。
地球上の生命がほぼ全て、そのエネルギーの源泉を太陽に依存していることを説き、そのエネルギーの循環がどのような形で実際行われているのか―――という問題などは、我々が日頃疑問に感じず、「当然のこと」として受け止めてきたが、「実はこういうことだったのだ！」とあらためて説かれると、なんともフレッシュな驚きがある。
その他に、「そもそも、石油はどのようにしてできたのか」という疑問が現在どのように考えられているのか、といった問題についてのレックチャーや、シェールガス、メタンハイドレードなどの新エネルギーの起源と将来性などについての解説も実に興味深かった。
（12年6月発行）