金曜日シリーズ全目次 ←ここをクリック
「日々草々」全バックナンバーリンク表 ←ここをクリック
2013年の各月バックナンバー：1月、2月、3月、4月、5月、6月、
フロント頁：”日々早々”のバックナンバー
2013年6月
＜＜6月タイトル＞
06/28 優しさの生まれるところ 06/27 アメリカの救急車 06/27 長寿死刑囚 06/25 来月も又やるの？ 06/24 市民感覚 06/21 そんなものもあったねぇ〜 06/20 捏造記事の作られ方 06/19 時代は変わった
06/18 不祥事と失態 06/17 訳わかんねぇ〜 06/13 別に恨みはないけれど 06/12 ねぇ、鳩山さん！ 06/11 政党は公共団体か 06/10 超世俗派
06/07 オスの生き甲斐 06/06 ネズミ捕り利権 06/05 当たる訳がない！ 06/04 強くなった！ 06/03 なんでも民営化 06/01 いつまでも思う夜
2013年6月28日
優しさの生まれるところ
最近は電車内で通話をしている人をまず見かけることはなくなったのは、ケイタイマナーが改善されてきたから、というよりはケイタイの用途がメールとかネット、あるいはゲームといったものになり、通話機能が余り使われなくなった影響ではないだろうか。そういう意味では車内放送の「電源を切るか、マナーモードにして通話はお控え下さい」の内「通話はお控え下さい」の部分はもう省いてよいのではないかとも思うが、「優先席付近では電源を切り」の部分は、まだまだ続ける必要があるのではないかと思うような光景に先日出くわした。
先日、JRに乗っていて優先席の乗客を何となく見ていたら席に座っている30代位の男女全員、更に、つり革にぶら下がっている人、横のドア付近に立っている人もすべてスマホをいじっている。回りに、心臓ペースメーカーなどの医療機器をつけている人はいないようだし（まあ外見ではわからないが）、「体が不自由な方」も見当たらなかったから、「席を譲る」必要も、「電源を切る」必要も、なかったのだろうとは思うのだが、本来、高齢者や妊婦、あるいは体の不自由な人用に優先されるべき席が若い人たちに占領され？しかも「医療機器の妨げになるので電源を切りましょう」というアナウンスも全員に無視されている−−−という光景は、なんとも異様に思えたのだ。日本人が一体いつから、こんなにも他人への「優しさ」、「思いやり」を無くしてしまったのだろうか。
以前、心臓ペースメーカーを入れていたT君が「近くで携帯電話を使われるとやっぱり恐くなる」と言っていたことを思い出す。今も病院などではケイタイが禁じられているのは、多分それなりに「携帯の電波が医療機器の誤作動の起こす危険性がある」という科学的な根拠があるからだと思うが、もしそれが事実であるとすれば「優先席付近での携帯使用」を控えるようにという注意喚起はもっと徹底すべきだし、科学的根拠がないことが既に証明されているというなら、メトロでさえ全線でネット接続ができるようになっている今の時代「携帯の電源をお切り下さい」というアナウンスはもうやめていいということになる。
それに現在「優先席」が一般席となんら変わることのないみんなで「早い者勝の席」でしかないと言う状況を考えれば、偽善的に「優先席」などというものを設けておく必要性もないような気がする。体に不調がないのならば「空いていたとしても優先席には絶対に座らない」という位の矜持は持っていたいものだ。
「優先」というのは「強制」ではないのだから「疲れているとか、空いている、というならば、だれにでも座る権利はあるはずだ」という反論が起きそうだが、人としての「優しさ」「思いやり」というものは、権利だとか義務という言葉とは無縁の事柄であるはずだ。
もっとも、最近は弱者といわれる者の側も、「負担は軽く、福祉は手厚く」「生活保護は貰わなければ損」「席を譲られて当然だ」とたかりともいえる権利主張ばかりしているようこともおおいに問題だ。
みんながみんな権利主張ばかりしている世の中では「優しさ」は生まれない。
（06/23/13 9:00pm S.T.）
2013年6月27日
アメリカの救急車
アメリカで事故に合い救急車で病院に運ばれたという場合、その救急車での搬送費用は後で請求が来る。医療保険に入っておれば保険でカバーできるが、料金はタクシーのように基本メーター料金プラス、距離料金という制度になっているから町から遠いところで事故を起こしたりすると、時には1000ドル近い金額にもなる。アメリカに行く時には海外医療保険などに入っておくことは必須だ。
アメリカが特殊な訳ではない。日本のように「全国どこでも、いつでも」救急車が駆けつけてくれ、しかも無料（公費負担）という国は、世界では寧ろ少数派だ。
最近は救急ヘリなどという手もあるものの、アメリカのような国土の広いところで「全国どこでも、いつでも」という態勢を敷くことは、物理的にそしてコスト的にも無理だ。従って、大都市などを除いて救急車は民間が運営しているのが普通であり、民間である以上、営利（料金徴収）は当然のことだ。市民もその了解でいるのだから、これが社会問題になることもない。
日本でも、例えば山岳遭難などの場合、民間人による救助隊の編成などといったことをしなければならないケースでは、その費用の一部、あるいは全額が遭難者、もしくはその遺族の負担になるケースがある。警察、消防、自衛隊、海保といった公的な組織が出動に当たった場合は、原則無料（公費負担）ではあるが、救助に当たる人達の人命や、多くの費用がかかっている、という自覚は各人がもっておくべきだ。「タクシー代わりに救急車要請」だとか「無謀登山の結果としての遭難による救助要請」といったことは厳に慎むべきだ。
テレビキャスター辛坊治郎氏がヨットによる太平洋横断中に浸水で遭難、自衛隊機3機、海保の巡視艇1隻による大掛かりな救助作戦によって漸く救出された。この救出作戦にかかった燃料費や人件費だけでも1000万いやそれ以上だったとも言われており、同氏が常日頃テレビ番組では「自己責任」を強調していたこともあって「そもそも、最初から無謀な計画だったのではないか」「自衛隊員が海上に着水しなければならないなど生命の危険もあった」といった非難の声が上がっているという。
中には、出航前辛坊さんが「浸水個所を応急処置して出発する」と書いていたブログを救助後に全文削除していたことで、『8月の日テレ「24時間テレビ」にサンディエゴ到着を合わせようと無理をしたのではないか』という憶測記事も流れている。毎年恒例となっているあのテレビ企画は、毎回、芸人を24時間走らせるなどして、随分とわざとらしい「感激のフィナーレ」を演出しているが、確かに、もし辛坊さんが盲目のヨットマンと二人で太平洋を横断、サンディエゴ入港が24時間テレビのフィナーレを飾る−−−ということなら確かに大感動シーンとなったことだろう。
ただ、もしこれが本当であったとしたら――、民間テレビ局の（あえて言わせてもらえば偽善的な）テレビ番組の企画だったとしたら―――救助隊員の生命と、貴重な税金をかけさせた辛坊さんが非難されるのも致し方ないともいえる。（もはや真相は分かりようがないが）
記者会見では辛坊さんは平身低頭、謝罪の言葉を述べていたが、あの誠意ある姿勢は評価できるし、これ以上彼を非難したくはない。アメリカの救急車の例もある、辛坊さんも「迷惑をかけた」と思うなら、1000万程度の救助費用を、謝礼として支払ってこの件を終わりにしたら−−−。
（06/26/13 9:00pm S.T.）
2013年6月26日
長寿死刑囚
1978年というから今から35年前、茨城県日立市で当時14歳になる女子中学生を誘拐し直後に殺害しながら、父親に3000万円の身代金を要求し、80年の第一審で死刑判決を受け88年には最高裁で死刑が確定した死刑囚綿引誠が、今月上旬、収容先の東京拘置所で、くも膜下出血で倒れ意識不明となり先日死亡した。74歳であったという。
被害者が一人、という事件ではあったが、韓国へのキーセン旅行などの遊興で作った1400万円の借金に追われ、親戚の資産家の娘を誘拐し、顔を知られているからと殺してしまってから身代金を要求する、というなんとも許しがたい誘拐殺人であったこともあり、一審から一貫して死刑の判決が下された事件であったが、綿引死刑囚は、死刑確定後、再審請求をくり返すなどして死刑執行を免れ、確定囚として30年以上を拘置所で過ごした後に病死によってその生を終えた訳である。
明日、死刑が執行されるかもしれない、という恐怖に怯えながらの30数年の日々は、死刑執行という究極の刑罰以上に残酷なものにも思えるし、本人もそれでも執行よりもよかったと思っていたのかどうかと思わないではないが、それ以上に「刑の執行は死刑確定後、6ヶ月以内」という法規定があるにもかかわらず、この規定が全く無視されてしまっているという、現在の死刑制度、特に執行手続きの問題が浮き彫りにされているように思えてならない。
近年、年間の死刑執行数が死刑確定者数をはるかに下回っていることもあって、死刑確定者数は増える一方で既に130人を上回っている。綿引死刑囚を上回る長期収容の死刑確定囚でさえ10数人おり、近年死刑確定から執行までの期間は益々長引く傾向にあり、中には、20歳の時に起こした放火殺人事件で既に50年近く収容されている死刑囚もいる。彼は既に70歳を悠に超えている。
この一つの原因は、死刑執行命令が最終的に時の法務大臣によって発せられというところにある。死刑という究極の刑の執行判断は、他の刑執行以上に慎重におこなわれなければならないし、法務官という役人が機械的判断のみでおこなうべきではなく、国民の代表者でもある法務大臣によってなされるべきである、という法の建前は確かに理論的ではあるとは思うが、平均任期わずかに数ヶ月程度、長くて精々1年という政治家である法務大臣にとっては、できれば「自分の任期中は避けたい」と思うのも当然かもしれない。それでも、あえて何人かの刑執行を進めざるを得ないとなっても、やはり世論が、「あまりに残虐な殺人であり、執行は当然だ」と考えるような死刑囚、あるいは本人が「早く執行してくれ！」などといっている死刑囚を優先的（？）に選んでしまうし、その反対に何十回も再審請求をくり返している死刑囚などはどうしても「後回し」にし勝ちなのも致し方ないかもしれない。
再審請求中といえども、死刑を執行してはならないという規定はないが、法務大臣としては、やはり「寝覚めが悪い」と感じるかもしれない。それをいいことに（？）して、現在、死刑確定囚の大半は再審請求中である。中には、棄却されても、されてもすでに10回近い再審請求をくり返している者もいる。
人権という面からも、社会秩序の維持という面からも（この二つは往々にして対立するかもしれないが）、いまのままの死刑執行制度では、その内に100歳を超えた長寿死刑囚などという者が出てくるかもしれないし、それは人権的にも、法秩序的にも「余りにむちゃくちゃだ！」ということになるのではないかと危惧する。
（06/25/13 9:00pm S.T.）
2013年6月25日
来月も又やるの？
自公両党は公認候補者全員が当選、民主党は前回選挙での54議席から一挙に15議席へと激減、都議会第1党から公明党、共産党にも抜かれる第4党へ転落―――という都議選の結果だが、別にレースが終わった後の競馬評論のような後講釈ではないけれど、この結果は選挙前から分かっていたことではある。（参照：「捏造記事の作られ方」6/20/13 他）
このような選挙結果が予想されていたからこそ、投票率も前回よりも10％以上低い43％、組織票が強い公明、共産が議席を伸ばし、「どうしても、自民、公明が嫌い！」という票が、かといって落目の三度笠の民主に行くわけにもいかず（かといって、ブームの去った維新にも行けず）、共産だとかみんなの党辺りに投票した、というのが今回の都議選の結果だ。
各マスコミの選挙後の社説や評論は、「アベノミクスが評価された」という論調がある一方、「野党が、与党批判勢力を纏めきれなかった」と悔しさをにじませる論調まで、すべてが都議選は「現政権の評価の為の一種の世論調査」であったかのような扱いであり、「都議選は、何の為にやったのか」という点が全く示されていないのが不思議だ。
そもそも、都議会が一体何をやっているのか、都議会が必要なのか、を知っている都民は少ない。以前から、都議会は参議院同様、「必要なのかどうか」という論議がないことはなかったけれど、その存在意義や役割について住民も議員達も分かっていない以上、都議選が「大掛かりな世論調査」になってしまうことは避けられなかったともいえる。
一体、どの党、どの候補が、「我が党が、私が都議選でかったら都政上のこの問題を、こうします！」などと言っただろうか。「アベノミクスの評価」だの「憲法改正の是非」だけを争点（？）にしているとするというなら来月あるという参議院選挙でやれば済むことで、都議選という一地方議会選挙でやる意味がどれほどあったのだろうか。冒頭にも述べた通り、「都民を対象にした大掛かりな世論調査を、税金を使ってやった」ということだとしたら、これほどムダな話もない。
「参議院選挙の前哨戦という位置づけだ」などと主張するマスコミが多いけれど、それならば「一体いつから日本は三院制になったのか？」と聞いてみたい。
今回の都議選に際しても明確な党のヴィジョンを示すこともできなかったし、そもそも党の綱領すらない民主党からは、選挙前から沈み行く泥舟から逃げ出すネズミのように何人もの党所属都議が脱走、みんなの党やら維新へと鞍替えしたが、「選挙で受かる為なら恥も外聞もない」といったそういった連中も、随分落選したようで、まあ、こういった「篩い落とし」ができただけでも、よかったということなのかもしれないが−−−。
民主主義というシステムは、独裁制などとは違って、ある意味ムダといわれるようなことでもこつこつと積み重ねなければならない「手間と暇がかかる」制度だということなのだろうが―――。
又、来月になれば、無用の長物ともいわれる参議院の選挙という「壮大なるムダ」が行なわれるのだと思うと―――。
（06/24/13 9:00pm S.T.）
2013年6月24日
市民感覚
庶民感覚から離れすぎた裁判制度の改革策としてはじまった裁判員制度だが、本格的に導入されてから早くも5年が経過、さまざまな問題も指摘されてはいるものの「民意に基づいた裁判」の実現という当初の目的はかなりの部分で達成されてるようにも思っていたのだが−−−。
従来の裁判がややもすると、職業裁判官が前例（判例）に則って機械的に刑罰を定め、たとえ、どんな残虐な殺人であっても、「殺されたのが少数である」「加害者が19歳10ヶ月の未成年であった」「反省しており、更正の余地がある」という理由で死刑を回避、その結果、数年で社会復帰した犯人が再び殺人を犯す等といった事件もあり、被害者家族のみならず一般市民の裁判への不信感が募っていた以前に比べ、やや厳罰化の方向に流れすぎているのではないかという批判はあるものの、それが「市民感覚なのだ」といえる裁判員制度の方が以前の「杓子定規な法律解釈による裁判」よりマシだという認識は広く共有されているようにも思える。
そんな裁判員裁判だが、先日東京高裁で、一審で死刑の判決が覆されるという裁判員制度がはじまって以来の破棄判決が言い渡された。
この事件の被告は1988年に妻子を殺害、懲役20年の刑に服していたが刑期を終えて出獄した直後に南青山のマンションに押し入り一人を刺殺、強盗殺人罪で起訴されていたのだが、一審では裁判員により「複数を殺して刑に服したにも係わらず、再び金銭目的の殺人を犯した。悔悛の情も見られず、死刑をもって償わせるしかない」として死刑判決を下したものだが、被告側は「刑が厳しすぎる」と控訴していたもので、高裁の職業裁判官は、「20年前の殺人と、出所後の強盗殺人は別、強盗殺人の被害者は一人であり、死刑は重すぎる」として一審判決を破棄して無期懲役を言い渡したのだ。
裁判員裁判が「市民感覚」に基づいたものである、という制度の趣旨からすれば、「以前に複数を殺し、20年も刑期を勤めたにも係わらず、出所後、再び強盗殺人によって老人を刺殺するなどとんでもない。死刑に処すべきである」というのが「市民感覚」であったということになるが、法解釈の専門家である職業裁判官による法解釈は、「20年前の前科と、強盗殺人は、別人格が起こした殺人として同一視すべきではなく、又、被害者が一人なのだから死刑は重すぎる」というものだ。
「市民感覚」と「専門家による法解釈」の違いが、制度導入5年目にしてはからずも浮き出てきたともいえる訳だが、ある意味では、「裁判員制度って、本当にこのまま続けるべきなのだろうか」「以前の制度に戻した方がよいのではないか」という議論のきっかけにもなるような重要な事案であるようにも思える。
上告されるのだろうとは思うが、裁判の行方に注目して行きたい。
（06/23/13 9:00pm S.T.）
2013年6月21日
そんなものもあったねぇ〜
中村草田男の句「降る雪や明治は遠くなりにけり」は昭和6年、彼が31歳大学生であった時の句だという。明治という時代が終わってから25年、大雪の降る朝、彼の青山にある母校の小学校近くを歩いている時に詠んだ句といわれているが、草田男の句の中では一番好きな句だ。
今、昭和という時代が終わってから25年だ。今31歳の若者の昭和という時代懐古の心境がまさに草田男の句の明治に相当するということになるのだろうか。
5歳か6歳だったときの記憶が、あの句のように鮮やかにあるものなのだろうか、とも思うが、あの時に40そこそこであった自分にとっては、確かに最近とみに「昭和は遠くなりにけり」の感が強い。
昭和レトロブームの火付け役にもなった、映画「三丁目の夕日」も、第一作は東京タワーが建設中の昭和30年代前半、昨年公開された第3作も、東京オリンピックが終わった昭和39年が舞台になっており、映画の主人公淳之助の年など正にタカさんとぴったり同じ位だけに、自分にとってはあのシリーズは、まさに「ストライク！」の懐かしさがある。
あらためて考えてみると、草田男が「明治は遠くなりにけり」と感じたのは、やはりわずか25年の間に、時代があまりにも変わってしまったからではないか、という気がする。自分にとって「昭和が懐かしい」のは、やはりこのわずか25年で、日本の町の風景も、社会の様子も、まったく変わってしまったと感じるからだろう。失われたものだからこそ懐かしいのだ。
一例をあげれば、女性の服装一や、髪形だ。昭和60年代の映像でみると全く信じられないような変わり様だ。まして昭和30年代となると（「三丁目の夕日」では）町のおかみさんの中には和服に割烹着をきているという、いまの子供にとってはまるで時代劇のような服装や髪型がある。
映画の中の町の景色にしても、例えばデパートや大手スーパーは必ずと言ってよいほど、アドバルーンをいくつもたなびかせていたが、今や見上げる空もないほどに高層ビルがたちならぶ東京では宣伝効果もあがらないからだろうか、アドバルーンなど見ることもなくなってしまった。
最近、ニッポン放送の朝の番組で「日本絶滅種辞典」という、主に昭和にはあったが最近見なくなった、聞かなくなった言葉や物を懐かしむというコーナーがあって、昨日、このコーナーで『セスナが空から「大売出し！」などという宣伝ビラを撒き、子供が夢中でそれを「何枚拾えるか！」などと競争でおいかけたりもした―――』というのが取り上げられていたが（あのセスナ広告も、もう随分昔に、「子供が車にはねられる危険性がある」として禁止になったらしい）、アシスタントの女性（多分随分若いのだろうが）、まったく想像もつかないようで、反応ゼロだったのを聞いてつくづく「昭和（といっても昭和30年以前）は遠くなりにけり−−−」と思った。
この調子でいくと、今から25年後、今7歳と4歳の孫たちが大人になった時には、何を懐かしむようになるのだろうか、まったく予想もできない。案外、スマホ位でも、「ああ、そういえばそんなものもあったねぇ〜」などという話になっているかも−−−。
（06/02/13 9:00pm S.T.）
2013年6月20日
捏造記事の作られ方
「誤報記事」は新聞にとってあってはならないことであるが、「捏造記事」となると、もうこれはあってはならないどころの話ではなく犯罪であり、その責任をとって「廃刊」する位の処分を自らに課するのが、日本を代表するような大新聞ならとるべき「マスコミとしての倫理」ではないだろうか。
小川栄太郎氏の著書「約束の日 安倍晋三試論」には、今年１月迄朝日新聞主筆を勤めていた若宮啓文は、故三宅久之氏に「安倍を叩くのが、朝日の社是だ」と語ったとある。本人は否定しているようだが、「侵略を進出と言い換えた」と虚報を捏造し、かつては「南京大虐殺」の捏造写真を掲載して今日の日本に対する国際的誤解のタネをまいた前科や、その他あまりに多い誤報、捏造を考えれば、やはり朝日にとっては反日は「社是」であるという話もさもありなん、とも思う。（侵略進出問題も、南京大虐殺写真捏造も、すでに捏造、誤報であったことが明らかであるにも係わらず、朝日は未だに訂正も謝罪もしていない）
そんな朝日新聞が又、捏造といってよい記事を又、堂々と掲載している。
飯島勲氏の北朝鮮訪問に関して小泉訪朝時のアジア大洋州局長であった田中均氏が、安倍首相を批判したインタビュー記事に対して安倍首相が自身のFACEBOOOKでの・・・・『このインタビューを読んで、私は11年前の官房副長官室での出来事を思い出しました。拉致被害者5人を北朝鮮の要求通り返すのかどうか。彼は被害者の皆さんの「日本に残って子供たちを待つ」との考えを覆してでも北朝鮮の要求通り北朝鮮に送り返すべきだと強く主張しました。... 私は職を賭してでも「日本に残すべきだ」と判断し、小泉総理の了解をとり5人の被害者は日本に留まりました。予想通りその判断は毎日新聞や一部マスコミからも批判的に報道されました。しかし、その後 田中均局長を通し伝えられた北朝鮮の主張の多くがデタラメであった事が拉致被害者の証言等を通じ明らかになりました。あの時田中均局長の判断が通っていたら5人の被害者や子供たちはいまだに北朝鮮に閉じ込められていた事でしょう。外交官として決定的判断ミスと言えるでしょう。それ以前の問題かもしれません。そもそも彼は交渉記録を一部残していません。彼に外交を語る資格はありません。』という発言を取り上げ、民主党の細野豪志幹事長と波長を合わせ「個人攻撃だ」「首相に自制を促す」と社説で批判している。
しかし、上記に安倍首相の発言全文を引用したように、又、産経新聞なども報じているように田中氏が「外交を語る資格はない」理由として安倍さんが上げているもっとも大切なポイントは太字にした部分、「外交交渉の記録を一部残していない」という部分であり、「拉致の被害者を加害者に返すべきだ」という「血も涙もない」致命的な判断ミスは第二のポイントだ。
朝日は、第一のポイントは勿論、第二のポイントも全く記事ではふれず安倍さんの「彼に外交を語る資格はありません」という部分だけを抜き書きし、「個人攻撃だ」「権力者として自制すべきだ」と言っているのだ。
田中氏は現在、「元外交官」という肩書で評論活動を行っており、毎日新聞でもその立場でインタビューをしている。その意味で田中氏が「個人」ではなく「公人」というべき立場にあることを朝日はなぜことさら隠すのだろうか。これらの事実からあきらかなのは、一連のこの問題に関する朝日の社説及び記事は「社是」だといわれる、「反日捏造記事」だということである。
安倍首相の反論に鼻白んだのか、民主党の細野幹事長は、批判の矛先を「安倍さんの反論は、表現の自由への懸念がある」と言い出している。首相ならば、どんな捏造記事を書かれても、どんな的違いな批判をされても、反論すべきではない、という意味だとしたら細野さんの主張こそ「表現の自由への懸念」があるのではないだろうか。（参照：「汚い交渉術」11/21/02）他
幹事長がこれでは−−−、和牛商法の巨大詐欺事件の安愚楽牧場の広告塔として多くの人々を騙して訴えられている海江田代表のこともある。民主党はやっぱり終わりが近いということのようだ。
（06/19/13 9:00pm S.T.）
2013年6月19日
時代は変わった
今年3月から、地下鉄でも全区間でインターネットやE-メールの接続が可能になったということもあるのだろうか、今や移動中の車内の半分以上の人が、スマホやケイタイをいじっている。
若い頃から短い乗車時間でも、なんだか手持ち無沙汰な気分がして必ずと言ってよいほどに新聞か本を手にしていたタカさんだが、先日、ふっと車内を見回したら、本や新聞を読んでいるのは、どうもタカさん一人だけで、あとはスマホかケイタイ、という状況になっていることに気付いて−−−自分だけが時代から取り残されているようで愕然としてしまった。
少し前には、朝の通勤電車では背広にネクタイのサラリーマンが「日本経済新聞」を読みながらつり革にぶら下がっている−−−というのが定番だったし、帰宅時の電車では夕刊タブロイド紙を読んでいる−−−人が多かったことを思い出すと、ここ数年の車内風景の変わり様は、まさに激変という言葉がぴったり、という気がする。
今、車内でケイタイなりスマホなりをいじっている人たちが、あれで何をしているのか、と好奇心が湧く。聞くところによると、もちろん、ネットでその日のニュースや、天気予報などの情報を読んでいる人もいるが、大半はメール、パズドラなどのゲーム、Face bookやTwitterなどをやっているのだという。その一方、あの鳴り物入りで「便利だ！」と宣伝されたキンドルなどの電子書籍は（電車内では）まだほとんどいないのだとか。そうなると、ほんの数年、数十年前に、あれだけ車内で読まれていた新聞、雑誌、そして書籍といった紙のメディアの利用者は、「激減」しているということになる。「出版不況」だと巷間盛んにいわれるのも、大いにうなずけるところだ。
通勤時の新聞から得られる情報、文庫本から得られるわずかな情報だけでもアップアップしていた時代に比べたら、今、現代人が得られるようになった一日当たりの情報量はその数十倍、数百倍、いや数千倍にも匹敵するかもしれないが、他人事ながら心配なのは、受ける側の人間の情報処理能力、情報吸収能力は昔と余り変わっていないということだ。
Face bookの友達申請で100人の友達ができたとしても、じっくりと人生を語り合える友人は今も昔も、少数に限られる。Twitterで数万の人々に情報発信できたとしても、自分の真心が伝わる人の数は、今も昔も変わらないはずだし―――などと思うのは「ケイタイを持たない主義」の負け惜しみだろうか−−−。
そういえば、ケイタイやゲーム機が使われるようになる前は、電車に乗ってきた幼い男の子は、靴を脱いで窓に向かって座り、口をあけ車窓の景色を見ていたものだが、最近の子供は、DSなどに熱中、車外の景色など見向きもしない−−−やはり「時代が変わった」ということなのだろうが、幼い日々に眺めた車外の景色は、DSゲームと違って、一生の思い出になるのになぁ〜などとも思うのだが−−−。
（06/1813 9:00pm S.T.）
2013年6月18日
不祥事と失態
「基準は、一切変えていない」と主張していたNPB(日本プロ野球機構)が、実は今年から「統一球」の基準変更メーカーであるミズノに指示、しかもその変更の事実をメーカーに口止めしていたという問題で、なぜこういった事実を選手やファンに対して隠蔽していたのかと釈明を求められたNPBの最高責任者である加藤コミッショナーが「これは隠蔽とかそういうことではない。私は不祥事だとはおもっていない。失態である」と居直ったのには皆があきれ返ってしまったようだ。
開幕早々より選手やファンの中では「昨年の‘飛ばないボール‘が今年は'飛ぶボール’に変ったのでは？」と再三言われてきたが、素人が見てみ昨年より格段に増えたホームラン数から「何かあるな！」と思うのも当然だった。(参照：「強くなった！」6/4/13）
しかしNPBもミズノも「一切変えていない！」といい続けてきたが、それを今頃になって「実はこっそり変更していました」と告白したのだから、この間、ファンをはじめ関係者は「騙されていた」訳であり、騙した側が、これを「不祥事ではない」と言い張るその厚かましさにはあきれ返るばかりだ。加藤さんは小さい頃に親から「悪いことをしたら、ちゃんと謝りなさい！」と教わらなかったのだろうか。
「不祥事」とは辞書には「組織・団体などが起こした社会の信頼を失わせるような出来事･醜聞」とある。一方「失態」は、「人の笑いものになるような失敗」である。その意味するところは天と地ほど違う。方やその責任を問われることであり、後者は本人が人に笑われるだけで済む話だ。
加藤さんがNPBの事実隠蔽、しかもメーカーに対する口止め工作を、不祥事ではなく精々失態でしかない、と考えているとしたらそれこそ大問題ではないだろうか。
メジャーの実力コミッショナーと違って、日本のプロ野球コミッショナーは、功成り名を遂げた高級官僚、司法関係者などがつく「名誉職」、はやい話が「お飾り」である。「天下り」の美味しい椅子として「たいした仕事もないが、厚遇される」ポジションに過ぎないが、唯一「仕事」といえば、いざという時に組織を代表して「責任」をとることであるのは、どんな組織トップにも当てはまることのはずなのに−−−。
NPBで具体的に統一球変更を指示していたのは事務局長などの数名であり、この変更の事実は加藤コミショナーには発表の直前まで知らされていなかったという。加藤さんも、記者会見で堂々と「私は知らなかった！」と弁解がましいことを言っておられたが、組織の長としてこんな重要なことを知らされていなかた、ということだけでもその組織がいかにダメかを示しており、それも又、組織の長である加藤さんの「責任」なのに−−−。
不祥事を起こしても誰も責任をとらないどころか、居直ってしまう、というのは政治や企業経営など今日本のあらゆる場面で見られることだ。
体罰問題や、資金の不正流用、理事の猥褻行為等々で責任を問われても、頑として辞めず、会長の椅子にしがみついている全柔連の上村会長といい、加藤コミッショナーといい、どうして日本人はこんなに「潔くない」人間ばかりになってしまったのだろうか。
（06/17/13 9:00pm S.T.）
2013年6月17日
意味わかんねぇ〜
今、流行りの言葉でいうならば「意味わかんねぇ〜」ということになるだろうか。
北朝鮮の独裁者金正恩は「世界クラス」のスキー場建設を指示、現在北朝鮮東部の馬息嶺では、海抜差1300メートル、数十万平方メートルにわたる地域で、幅40メートルから120メートル、ゲレンデ総延長110キロメートルという大スキー場建設が大量動員による突貫工事で進行中であり、金正恩の命もあって年内完工予定だという。
一般国民のみならず軍隊でさえ深刻な食糧不足に陥っているといわれる国で、総動員令をかけての食糧増産運動なら兎も角、指導者の趣味だという（彼はスイス留学経験からスキーを楽しんでいたのだとか）スキー場建設に国の資金と、人民の労働を注ぎ込もうというのだから、このお坊ちゃん指導者のやることなすこと、我々から見ればまさに「意味わかんねぇ〜」である。
拉致問題、核問題という超難問を抱えた日本をはじめとする関係各国にしてみれば、この種の理解不能の暴走を続ける北朝鮮に対して「対話」を求めていかなければならないという立場だが、全く常識にかからない相手と、一体どうやったら「対話」が成り立つか、外交当事者ならずとも、途方に暮れる事態といわざるを得ない。
独裁政権、独裁者というものが、すべからくこの「意味わかんねぇ〜」状態に至ることは、古来よりの人類の歴史が示している。サダム・フセインの時代、国際試合で負けて帰国したイラク代表選手が「国家反逆」の罪を問われて処刑されたこともあったし、本来、政治に対して中立であるべきスポーツが独裁者の「ご威光」を示す手段として使われた例は数限りない。（まあ、ナベツネの権威も、ある意味では「巨人軍支配」という目に見える形があるからこそ保たれているのも、同じかもしれない）
「国民の満足な食事」よりも、「世界規模のスキー場建設」が優先するという、世界最悪の独裁国家の正に狂気、愚行が、こうやって堂々と行なわれているという事態を、誰もどうすることもできないのだろうか−−−。三代に亘るこんな理不尽な行為を北朝鮮の人々は、本当に一体どう思っているのだろうか。長年に亘る「偉大なる指導者」に対する洗脳は、今やかの国の人々の思考能力さえ奪ってしまったということなのだろうおか。
独裁者の横暴、愚行といえば思い出すのは、オーウェルの名作「動物農場」だ。動物たちが飲んだくれの農場主を追い出して理想的な国を築こうとするが、指導者の豚が独裁者と化し、恐怖政治へ変貌していくという物語だが、動物達に擬して、理想の下にはじまった革命が、全体主義、独裁主義に変貌し、人々は、独裁者の愚行と横暴から抜け出すことができなくなっていくというのだが―――。
今から約80年前、オーウェルは、「人々の日々の食糧」よりも「世界規模のスキー場建設」に邁進する今日の北朝鮮を予知していたということなのだろうか―――とすら思えてくるのだが。
（06/16/13 9:00pm S.T.）
2013年6月13日
別に恨みはないけれど
気象庁が先月29日に「つゆ入り宣言」を発して以来、昨夜まで2週間、関東地方では全く雨が降らなかった。
ある気象予報士が「今年は今のところ、空梅雨でして−−−」と言っていたけれど、「つゆ入り宣言がハズレた、というのと空梅雨というのとでは、どう違うのですか−−−」とキャスターに突っ込みを入れられて困った君、になっていたのが笑えた。
「記録をとり始めて以来最も早いつゆ入り−−−」などと、したり顔で宣言していた予報官も、さすがに関東では2週間近く雨が降らないとなると、随分と焦ったのではないだろうか。まあ、そういう訳だから、昨日午後から雨が降り出した時には、多分、気象庁予報室では歓声が上がったことだろうし、ひょっとしたら、その日の夜は、全員が、祝賀会に繰り出したかもしれない。
もっとも、この雨も「台風3号の影響」だというから「つゆの雨」とはちょっと違うような気もするけれど、「そんな細かいことはどうでもいいじゃないか、降ることは降ったのだから−−−」というのが、ハズレても、ハズレても、恥じ入ることもなく予報を出し続ける（厚顔なる？）天気予報士の生業なのだから―−。
仏壇の前の線香の煙の動きを完全に予測することは不可能だ。その部屋に流れ込む外気の微妙な動き、仏壇の前に座っている人の体温、あるいはその人のちょっとした体の動きや、息の向きや強さ、といった数限りない（無限ともいえるほどの）要素とその変化を完全に読みきることができるならば、一見、「完全なる線香の煙の動き予測」が可能なようにも思えるけれど、こういった実に様々な要素（エネルギー保存の法則でいうところの「エントロピー」）は、「増大し続ける」という「熱力学の第二法則」からすれば、これらの動きがどのような結果をもたらすか（いわゆる予測）が「不可能」であることは科学的に証明されている。
複雑系（Complex System）の有名な例、バタフライ効果（北京の一羽の蝶のはばたきが、遠く離れたシカゴに大雨を降らせる）も、基本はこのエントロピー増大の法則に基づくものだし、二重振り子（振り子の錘の先にもう一つ振り子を吊るした場合、この二つの振り子の動きを予測することはできない）の実験(興味のある方は、ネットで検索するといくつかの画像があります)も同じだが、要するに「数多くのエントロピーが複雑にからみあって起こる現象の結果はカオスである」という原理を、天気予報にせよ、地震予知にせよ、あるいは株価や競馬の予想を生業とする人、あるいはその予測、予報を信じてしまう人たちは、分かっているのだろうか−−−。
今日本に近づきつつある台風にしてもそうだ。今まで、例え一度でも一週間前から気象庁が発表する「台風針路予報円」が、ピタリと当たったことがあるだろうか。九州に上陸する予想が外れて四国に上陸−−−ならば、まあ当たったといえるかも（？）しれないが、上陸するという予報が全くハズレて、快晴が続いた−−等ということも、一体何回、何十回あったことだろう。
お天気キャスターやお天気お姉さんに、別に恨みがある訳ではありませんが−−−。
（06/12/13 9:00pm S.T.）
2013年6月12日
ねぇ、鳩山さん！
国連が発表した昨年度の世界各国二酸化炭素排出量だが、排出量第一位の中国が約3％、第二位のアメリカも同じく3％前年に比べ減ったという。中国では、酷い大気汚染で都市を中心にした人々の政府批判が相当たかまっていることもあって排出規制が多少強まっていること、省エネ設備への切り換えが行なわれはじめていること等もあって削減が実現したということのようだ。中国は今までほとんど排出防止策には手をつけておらず、排出し放題だっただけに、「ちょっと省エネ化を図った」だけでも、「削減率」が大きくなるのは当然で、数字のマジックとはいえるけれど、まあ「減るには減った」のだからよし、としよう。
米国が減ったのは、例のシェールガス革命によって排出量の多い石炭から、ガスへの燃料転換が行なわれていることが関係しているようだ。今後、さらにシェールガスの開発が進み、オバマ政権が進める原子力発電所の建設計画が進めば、さらに削減幅は増えてくる、とも期待されているという。
そんな中、ロシア、インドに次いで、排出量第5位の日本は、前年に比べ5.8％の増加という不名誉な記録を作ってしまった。
世界の総排出量の22％を占める中国、19％を占める米国に比べれば、全体の4％を占めるに過ぎない日本で5.8％増えたからといって目くじら立てるほどの影響はないのかもしれないけれど、世界各国が理由はともかく地球温暖化ガス排出量を削減している最中、日本だけが増やしている、となれば、日本の落度を直ぐにあげつらう中国やら、韓国辺りから、またぞろ日本非難の声が上がるのではないかとちょっと嫌な気分である。
日本の排出量増加の原因はあきらかだ。3.11以来の原発（二酸化炭素をほとんど排出しない）の稼動全面停止、そしてその代替としての火力発電のフル稼働によるものだ。中国や米国などと違って、既に最先端の省エネ技術を持つ日本では、すでに極限に近い排出量の削減が行なわれてきただけに、今後、これ以上の技術革新の余地はさほど多くはない。このまま、原発の稼動停止、火力発電の稼動、さらには新規増設などが続けば、来年度以降も二酸化炭素排出の大幅削減は難しいといわざるを得ない。
そういう意味では「地球温暖化防止の為の鳩山イニシアチブ」などと名打って、あの宇宙人首相が09年に国連でぶち上げた「90年比、25％削減」だとか、「チームマイナス6％」などという絵空事（当時から言われていた）の「コッパズカシサ」にいまさらながら日本国民として赤面を隠せない。
「25％削減の目標が、今や年間6％の増加になっている！」という事実を、「CO2削減！」「地球を守ろう！」などといっていた関係機関やマスコミ、それに「市民グループ」は、今、どう捉え、どう反省し、どうしようとしているのだろうか？
まあ、多分、ちょっと前まで、そんなことを叫んでいたことなど、すっかり忘れて（あるいはとぼけて）、今は「原発再稼動反対！」を叫んでいるのだろう。
日本では、地球温暖化防止も、原発反対も、その時々の気分によって好き勝手に叫んでいるだけという人が多いというか、そういう人ばかりという気もするが――。ねぇ、鳩山さん！
（06/11/13 9:00pm S.T.）
2013年6月11日
政党は公共団体か
インド国民議会で「政党は公共団体かどうか」が激しく論争されている。政権与党内部の経理、人事などについての情報開示が十分ではなく、一部のボス及びその取り巻き一派によって不正経理、情実人事が行われているのではないか、という野党連合からの指摘に対して与党は「政党は、プライベートな結社であり、全ての内部情報を開示する義務はない」と主張している。
しかし、政権与党の資金収支、経理の公正さ、あるいは人事決定プロセス（民主的な手続きの下で行なわれているのか―――といった）等は、直接政府の政策決定に影響する事柄であり、情報が開示されていないということは、ひいてはインド政府の意思決定を国民がチェックできない、ということにもつながる―――政党は公共性を持っており公共団体として、その情報は開示されるべきだ、という野党側の主張も頷けるところである。
日本でも、政党は「法人格」を持っていると規定されているが、これは日本の政党が、政党交付金という公金の受益団体である、ということに基づくものであり、「政治資金」に関しては規制を受けることを意味しているが、政党の「結社」としての面をみれば、地方公共団体のような「政治中立性」や「人事決定システム」などにおいて「公共団体」動揺の規制を受ける訳ではない。
出来立てホヤホヤの新党が、民主的手続きによらないオーナーの独断による党人事を行なったところで、この党が反社会的団体でもない限りは、誰に文句を言われる筋のものではない、というのは憲法によって「結社の自由」を保障されている日本では当然のことではある。いやいや、政党助成金を受けている某政党、あるいは某々政党では、実際オーナー的党首やら、共同代表やらが、党内の人事やら、政策（？）決定を独裁的に決めても、誰からも文句言われる筋合いの物ではない−−−というのが現状だ。
ただ、そうなるとやはり、問題がないではない。かつての（ひょっとしたら、今でも）自民党総裁選が「サントリー、ニッカ」（三億円、二億円）、あるいは「5当、4落」（5億円で当選、4億なら落選）などといわれたように札束選挙によって行なわれ、そのいわば「公職選挙法が適用されない金権選挙」によって当選した総裁が次期首相になってきたという過去を考えれば、少なくとも政党助成金を受ける位の政党は、半公共団体として、最低限の情報開示、コンプライアンス規制を受けてもよいのではないかとも思う。
自民党ばかりではない、つい最近まで政権の座にあった民主党にしても、そもそも結党の際に、ママから貰った金（脱税だった）でオーナーに納まった宇宙人が、金の臭いで集まった有象無象の神輿にのって、好き勝手なことをやっていたし、挙句には、自由党解党資金を懐にした小沢一郎に食いつかれて迷走、遂には次の選挙では解党間近なほどの凋落では―――といわれるまでに落ちぶれたのだから、公共団体とか私党かといったレベルどころではない、とんでもない烏合の集団だったという事例もある。
インド国民議会の論争を笑ってみている訳にもいかない。日本でも政党の公共性について、もう少し突っ込んだ議論をしてもよいのではないだろうか。
（06/10/13 9:00pm S.T.）
2013年6月10日
超世俗派
イスラームの戒律は豚肉食を禁じている。モハメッドがイスラーム教を起した時代、勿論アラビアには冷蔵システムなどなかったから、肉の中でも特に傷みやすい豚肉をたべて食中毒を起こす人が多かった。モハメッドは（というかモハメッドの口を借りてアッラーは？）「豚肉を食べてはならぬぞよ！」とのたまい、それがコーランに書かれ戒律となったといわれている。
イスラームが飲酒を禁じている理由も、超乾燥ししかも極暑のアラビアの砂漠地帯では、過度の飲酒により死に至る者も多かったから(日本でだって暑い最中の過度の飲酒は危険だ)「酒を飲んではならんぞよ！」とアッラーが言ったことになったのだ。
コーランに書かれたイスラームの戒律で現代に生きる我々が「変だなぁ〜」と思う戒律も、モハメッドの時代のアラブの気候、風土、あるいは人々の暮らしを考えると、「なるほど！」と理解できるものが多い。（男は4人迄妻を持ってもよい、という教えも、当時戦争が相次ぎ、男達の多くが戦死してしまい、寡婦や父親のいない子供が多く、男女比率が極端になっていた為だといわれている）
西暦620年頃に起きたとされるイスラーム、そしてその頃に定められた戒律の数々だが、それ以降、今日に至るまでには、随分不都合（？）と思われるようになった戒律や決まり事もあったはずだが、それらの戒律が「正式」に破棄されたり、「間違いだった」として変更されたことはない。それは、モハメッドが「最後の預言者」であり、コーランがその最後の預言者が伝えた「唯一絶対の神の言葉である」、というイスラームの基本教義によるものだ。
絶対に間違った事を言わない神が、最後（ということは、もうこれから未来永劫、モハメッドを超える預言者は現れないということでもある）の預言者に語った言葉を、変えられる者などいない。（モハメッド以後の誰も、「モハメッドは神の言葉を間違って伝えた」などといってコーランの語句を訂正することはできない）コーランに書かれたことは絶対に変えてはいけないし、絶対に変わらないのだ。（あれ！日本国憲法と似ている？）
イスラーム教国であるトルコだが、今から90年前、ケマル・アタチュルクに主導されたトルコ革命が成立、近代トルコ共和国が成立した。アタチュルクは、トルコの近代化、西欧化に努め、オスマントルコ時代のイスラームによる国家統治との決別を図り、以来約1世紀に亘りトルコは政教分離を貫いてきた。
政治と宗教はそれぞれを尊重しあうものの、相互に干渉しない！というトルコの国是によって、トルコは中東の国々の中でも図抜けた近代化を成し遂げ、資源に乏しい国でありながらも、豊かな国を築いてきた。
しかし、西欧諸国から見れば、トルコはやはりイスラーム色の強い国、イスラーム国である。そのトルコがキリスト教国であるヨーロッパ諸国が作ったEUに「入れて頂だい！」といくら言い続けても、EUはなんだかんだと難癖をつけてさっぱり入れてくれない。トルコ人にしてみれば、『これだけ、努力して西欧化してきたのに、入れてくれないというなら、この際、コーランの戒律に則った「正しいイスラーム教国」に戻るべきなのではないか』と考える者も出てくるのは当然かもしれない。
エルドワン首相を筆頭に、現在の政権党は、ことあるごとにトルコ建国以来の国是をあらため、イスラーム化強化を図ろうとしている。それ対して、「今更、イスラームの戒律で雁字搦めの生活なんかに戻りたくない！」という「世俗派」といわれる人々が全国規模のデモを連日繰り広げている。
例えば、今までトルコでは自由に飲めていたアルコール飲料（酒）が、今年春から夜間販売が禁止された。夜間飲酒禁止さらには全面的な飲酒禁止へと続くのではないかという懸念を持つ酒好きのトルコ人も多いという。
かつては酒が飲めたイランでもホメイニ革命以来、酒が飲めなくなったし、アラブの春で政権を握ったモルシ大統領のエジプトでも禁酒化の動きがある。
酒が飲めない、豚肉が食べられない国に住む人々は気の毒に！と思うのは、イスラームとは縁のない国の「超世俗派」だからなのだろう。
（06/09/13 9:00pm S.T.）
2013年6月7日
オスの生き甲斐
動物番組、例えばNHKの「ダーウィンが来た」等が、あのかつての人気長寿番組「水戸黄門」と似ているような気がする。黄門様ご一行が通りすがった藩で善良な男女が、何らかの事件に巻き込まれている。事件の裏には、悪代官だったり悪徳商人だったりがいて権力や金の力を嵩にきて男女（往々にして二人は恋仲だ）に横車を押してきていて−−−という訳だ。番組開始早々に、助さん格さんが印籠を見せてしまえば良いものを−−−毎回、状況判断がよくない黄門様が「助さん格さん、ここはしばらく様子を見ましょう！」などと言い出すものだから、皆が事件に巻き込まれてしまい、なんだかんだで事件解決までに50分位かかってしまう−−−という難点はあるものの、善人は善人顔、悪人は悪人顔をしているし、なにしろハッピーエンドになるという「お約束」があるだけに、老若男女、誰もがたいして頭を使わずに楽しめた−−−というところが「水戸黄門」が42年も続く国民的長寿番付となった理由だったと思う。
「ダーウィンが来た」もまずその回で取り上げられる様々な生き物の生態紹介からはじまり、その生き物が「恋の季節」（子供が見ているからこういう表現になるのだが、要するに交尾の季節）を迎え、メスを巡ってオス同士が猛烈に闘い、子供が生まれ、子育ての苦労があって、親たちが、必死に子供達を襲いかかる天敵から守る−−−という感動シーンもやはり「お約束子」の一つだが、何しろ、最後は巣立ちというハッピーエンドとなるのは、助けられた男女が幸せに包まれ、ご一行の旅立ちを見送る−−「水戸黄門」のラストシーンそっくりである。
いや、なにも「ダーウィンが来た」と「水戸黄門」の共通点を言いたかったのではない。「ダーウィンが来た」を見ていると、人間を含めた生き物全てが、「子孫を残すこと」にその生涯をかけているという「お約束」があまりにも厳然とした事実としてある、ということをあの番組を見ていると感じさせられるということを言いたかったのだ。「人は、なんの為に生きているのか？」などという哲学的な思いにかられる時、あの「ダーウィンが来た」を見ると、きっとその疑問は氷解するかもしれない。
ところで、百歩譲って、人の(動物としての)生きる目的が「子孫を残すこと」だとしても、我々男性（オス）はどうなるのだろうかという疑問が次に湧いてくる。ほとんどの生き物ではオス(父親)は、交尾したら終わり、子育てには参加しない。（ライオンもアザラシも、オスは子育てには全く無関心だ）人間にもっとも近いといわれるチンパンジーやゴリラだって、父親が子育てに（ほとんど）参加していないところをみると、人間だけが他の生き物とは随分と違ってきているように思えてくる−−−。
わが子を「自分のお腹を痛めて産んだ」女性には、本能的な母性本能がそなわっているのは理解できるが、お腹を痛めることもないし、この子が我が子であるという生理的な確信がもてない男性が、父性を持っているのはなぜだろう。
「ユダヤ人」であることの第一条件は「母親がユダヤ人であること」である。父親がいくら「この子は我が子だ！」と言ってもユダヤ法では認められない―――至極、合理的な考え方ではないか−−−。
「水戸黄門」と「ダーウィンが来た」から「父性とは何か」「男の生きる目的は何か」を思わずかんがえてしまったのは父の日が近い所為だろうか。
（06/06/13 9:00pm S.T.）
2013年6月6日
ネズミ捕り利権
運転免許を持っている人で「一度もスピード違反をしたことがない！」と自慢げに語る人がいる。取得以来、ずっとペーバードライバーだという人ならともかく、偶にでも運転する人で「スピード違反は絶対にしていない！」というのはあり得ない！のではないだろうか。
「私はウソをついたことがありません」というのと同じで、要するに「ウソ」だと思う。正確にいうならば「スピード違反で捕まったことがない！」というべきだ。
というのも、道路交通法では、スピード違反とは制限速度を1キロでもオーバーして運転することであり、「スピード違反罰金表」でも15キロ迄のスピード違反でも、「違反点数1、罰金9000円」と規定されている。すなわち、制限速度50キロの片側二車線道路で、偶々アクセルを踏んだら瞬間的に55キロ出てしまい、そこで白バイのスピードガンに引っかかったら「止まりなさい！交通規則違反ドライバー！ 罰金9000円！」と言い渡され、抵抗のしようがない。規則は規則、警察には勝てない！のだ。
国家公安委員長といえば、警察にとってもトップに当たる御仁が、昨日の閣議後の記者会見で、警察の交通違反取締りについて、「取締りのための取締りになっている傾向がある」と苦言を呈し、あり方を見直す必要がある、との考えを示したという。例として、「歩行者のいない50キロ制限の片側2車線の直線道路では交通の流れで70キロくらい出る。そういう所での取り締まりは疑問だ」と述べたというから、(随分と昔の話だが)堰堤上の直線道路、しかも歩行者も車も前後に見当たらないところでネズミ捕りに引っかかってチケットを切られたタカさんとしては、古谷さんというこの国家公安委員長、嘗ての郵政造反派で、離党復党をくり返した人物として信用していなかったけれど、ちょっと見直した。
タカさんもあの時「なんで、こんな見通しのよい歩行者のいない道路でネズミ捕りなんかしなければいけないのか、警察はもっと他にやることがあるだろう！」と思ったものだが、なにせ相手は「お上」である上にピストルを持っていることを考えたら口答えもできなかった悔しさ紛れの鬱憤ではあるのだが−−−。
一説には「各警察署にはノルマがあり、月末になるとノルマ達成の為に捕まえ易そうなところでネズミ捕りをやっている！」だの、「警察の人事異動時期には送別会費用を稼ぐためにネズミ捕りが増える」などという噂も絶えない。警察はもちろんそんな噂を否定はするものの重箱の隅を突っつくような取締り、即ち古谷さんのいうところの「取締りのための取締り」をやっている限り警察庁が掲げる「親しまれる警察」にはとてもなれないようにも思う。
もっとも、この数十年、歴代国家公安委員長の在任期間は精々半年、短ければ2,3ヶ月ということを考えれば、警察がこの古谷さんの苦言を「なるほど！」と思い、「事故の減少に資する、納得できる取締りへの改革を図ろう！」などと一念発起する可能性はゼロだといってよいだろう。
警察にしてみれば「どうせすぐいなくなる、国家公安委員長のいうことなどスルーしておけばよい！」と思っているに違いない。それに、もし10キロや20キロのスピード違反は「ある程度大目に見る」ということになると、罰金収入が減り国の財政が困る、と財務省が文句を言ってくるかもしれないし、違反点数で保険料を上げて（儲けている）損保業界も困るから反対するだろう。
要するに、日本で何事も改革が進まない理由は、スピード取締りでさえ既にしっかりとした「利権構造」に組み込まれていることによく現れているように思う。
（06/05/13 9:00pm S.T.）
2013年6月5日
当たる訳がない！
気象庁が「関東・甲信はつゆ入りした」と発表したのが先週の水曜日、あれから一週間、雨はさっぱり降らない。寧ろ、暑くなってきているくらいだから、「つゆ明けしたの？」などという冗談すら聞こえてくる。それにしても−−−相変わらず当たりませんねぇ〜気象庁さん！
千葉ロッテマリーンズのホームであるQVCマリンスタジアムでは休日限定だが、87歳になる元漁師のおじいさんによるその日の天気予報を球場ビジョンで発表している。若い頃は幕張の漁師、現在は球場内のモツ煮店オーナーでもあるというこの「お天気当て名人」は、その生涯を通じて、お天気が命という職業に携わってきたこともあって(球場のモツ煮店も試合が中止になるかどうかが仕込みなどに大いに関係している)その的中率が高いことで有名な人であるのだとか。
明日どころか今日、雨が降るかどうかでさえ中々当たらない気象庁と、このお天気名人の「体感天気予報」とでは一体、どちらの成績がよいのか、誰かきっちりと検証して欲しいようにも思う。
試合予定日に、屋根なし球場であるQVCで雨が降るのか降らないのか、あるいは今降っている雨が試合開始時間までには止むのか止まないのかは、年間数十回は球場に出かけてマリーンズの応援をしているタカさんにとっては、結構重要な事柄である。降らないと言っていたからと、すっかりとそれを信用して出かけてみたら海浜幕張の駅で「本日試合中止」の知らせが出ているのを知りすごすごと帰宅したことあってあの時はつくづく「天気予報などを信用した自分がバカだった！」と、悔しい思いをしたものだ。
まあ、往復の交通費がムダになっただけのタカさんなら、その被害たるやたいしたものではないが、ゲームの主催者、選手などの関係者、球場内外の飲食関係者や場内販売アルバイトにとっては、予報の当たり外れは笑い話で済む話ではない。
とはいうものの、膨大な気象のエントロピーが複雑に作用しあった結果で起きる天候の変化を、いかに凄いコンピューターを使ったところで、ピタリと当てることなんてできない相談だということは、ちょっと科学的な思考ができる人ならわかりそうなものなのに。
ちなみに、凄い、凄いといわれる体感天気予報にしても、外れることは（しばしば）ある。もしベテラン漁師や船乗りの体感予報が当たるというならば、昔からの数々の漂流話などは起きなかっただろうし、蒙古来襲が「神風」によって撃退された！などということも起きなかっただろうに−−−。
天気予報ですら中々当たらないというのだから、地中深くでの大陸プレートの複雑な動きやら、無数にある断層同士の複雑な動きによって起こる地震などを、日単位、月単位、あるいは年単位で予知しよう！などということが、「できる訳がない！」ということに、気付かない人がどうしてこうも多いのだろうか。
「マグニチュード7の地震がxx年以内に起きる確率はxx％」などという地震予知が随分とセンセーショナルに報じられる昨今だが、気象庁の「3ヶ月予報」と同じ、いやそれの何百分の一以下の信用度しかないのではないか？という疑いは拭えない。
（06/04/13 9:00pm S.T.）
2013年6月4日
強くなった！
ボールが飛びすぎて一発のホームランで決まる試合ばかりで面白くない！という声があったこともあり「飛ばない」といわれる統一球が採用されて今年で3年目を迎えたプロ野球だけれども、飛ばないはずのボールが何故か今年は随分と飛ぶようになって、各チームとも昨年比大幅にホームラン数が増えている。
飛びすぎたら飛びすぎたで「大味な試合ばかりで面白くない」と言っていたファンが、統一球を採用してからの昨年までの2年間は今度は、「野球の醍醐味であるホームランが減って面白くなくなった」と言い出した。プロ野球も客商売である以上は、「お客様は神様」なのだから今度は、統一球を止めるのかと思ったが、そこはそれ、メンツを重んじるプロ野球コミッショナーだけにわずか3年で「統一球ヤーメタ！」というのも恰好がつかないとでも思ったのだろうか、「統一球は昨年までのものと変わらない！」との公式コメントを出している。しかし、裏では、こっそり「飛ぶ統一球」に変えているのではないか？という勘ぐりが、ファンやマスコミ、選手間でさえ囁かれている。
統一球導入前の2010年のプロ野球の、ホームラン総数は1605本であったのが、統一球を採用した初年度2011年は939 本・2012年は881本と確かに激減しているにもかかわらず今年2013年は、各チーム年間144試合中の約1/3強である50試合前後を消化した時点で既に460本と昨年のホームラン数の1/2強に達している。これは一試合平均では1.48本に相当するから、この勢いで行くと今年の年間ホームラン数は、1278本にもなる計算だというから確かに日本野球機構（NPB）がいう「昨年と変わっていない！」という言葉は、眉にツバつけて聞かなければ−−−と思うファンが多いのも当然かもしれない。
中には、今年のボールが飛ぶ理由として「打者が慣れてきた」「バットの性能向上」を上げる識者もいるようだが、打者の多くが「明らかに去年よりはボールが飛ぶ」といっていること、あるいはピッチャーや外野手の中には「明らかに昨年までの2年間ならば、外野フェンス前で落下していたような飛球が、今年はスタンドに届いている」という実感を語る者もいるとなると、やはりNPBの「変わっていない！」というコメントの信憑性は低いようにも思う。
勿論、統一球が採用されてから3年目となれば、そこはそれ何しろプロである選手達が技術を磨いた結果、統一球の規格は変わらないけれど、飛距離が出せるようになったのだろう、というプロ野球選手の技能の凄さに注目する見方もあり、小さい頃からプロ野球選手に憧れて育った（小学生の頃の夢は、「プロ野球選手」だった）タカさんとしてはこの説を信じたいところだが−−−。
ちなみにタカさんのパリーグの贔屓チームである千葉ロッテマリーンズは、昨年からほとんどと言ってよいほど主力メンバーが変わっていないが（なにせ金のないチームなので）、昨年144試合で64本だったホームランが、今年は51試合終わった昨日の時点で35本である。昨年とほぼ同じメンバーがこれだけ打つようになったということは、素直に今年の千葉ロッテは、「進歩しているし、強くなった」ということなのだと信じたいのだが−−−。
飛ぶボールの謎の答えを考えながら観戦するのも又一興ではあるだろう。
（06/03/13 9:00pm S.T.）
2013年6月3日
なんでも民営化
官がやらないでよい仕事は民に任せて効率化、国民負担の軽減、サービスの向上をはかるべきだという「民営化」は、日本でも国鉄や電電公社、道路公団等々で図られてきた。
なにしろ権限やら利権を手放したくない政治家やら、官僚、労働組合などの抵抗もあって民営化といっても「名ばかり」だとか「中途半端」に終わっているものも多いけれど、かつての「親方日の丸」意識丸出しの官業時代にくらべれば、民営化によって随分とよくなったものも多い。
郵政民営化にしても既得権者達の猛反対もあって、未だに随分中途半端な形ではあるものの、やはり国民全体の利益という観点で考えれば「官業」時代に比べれば、現在の方がすべてにおいてよくなってきているといえるのではないだろうか。
勿論、効率ばかりを追求したために民営化により、より広い意味での公共性が損なわれたという意見もあるけれど、財政赤字が益々大きくなっている現状を考えれば、民間による競争を活用してのある程度の取捨選択も必要だともいえるのではないだろうか。（民業を圧迫する官営の国民宿舎などの多くは、‘ムダ’の一言で片付けられるようなものもあった）
90年代にイギリスではじまったPFI（Private Finance Initiative）も、民営化の大きな流れの中で始まった方式といえる。これは、本来、国や市町村などの「官」が運営してきた公共施設を、民間に施設整備と公共サービスの提供をゆだねる手法であり、日本でも徐々にこの方式が活用されはじめている。
英米では、民間委託の刑務所、民間委託の図書館といったものには成功例も多いし、ゴミの収集、水道事業などは官が直接やると碌なことはないといった「常識」までできつつあるという。
そんな、イギリスでこれはちょっとやり過ぎではないかと思われるような民営化が検討されているという記事が過日の‘TIMES'に載っていた。
何と、「裁判所の民営化」だそうである。裁判所の施設や裁判所職員を全て民営化してしまえば、司法予算が年間10億ボンド以上削減できるという何とも大胆な改革案だ。裁判官は司法の中立を守るために、会社員になる訳ではなく従来どおりの身分とするものの、裁判所の建物の建設、維持、管理、あるいは司法職員は皆民間企業に属することにするというのだ。確かに、司法のサポートは何も国がやる必要はなく、民間企業に任せた方が効率的だというのも一理あるようにも思えるが−−−。それにしても、刑務所の施設、看守などの職員全てを民間企業に委託してしまったイギリス、軍隊でさえ民間軍事会社にあらかた委託してしまっているアメリカなどの例を見ていると、次には裁判所民営化を検討中、という事情はなんとなく理解できる―――彼等は、その次は一体何を民営化しようとするのだろうか―――。
そういう目で見ると、日本でも民営化したらもっと効率的でよい仕事をしてくれそうなものはたくさんあるようにも思う。こんなものはもう官がやらなくてよい、民間に委託してしまった方がよい、というものは考えてみると実に山ほどあるようにも思うのだが−−−。
（06/02/13 9:00pm S.T.）
2013年6月1日
いつまでも思う夜
その幼い日々も若い時期にも、家族とともに何年もアメリカで暮らし、大学を出てからはキャリアウーマンとして溌剌として活躍していた麗子だから亡くなってから12年が経つからといって仏教でいう十三回忌という法要も似合わないように思うし、本人も恐らく望まないようにも思うので、あの娘の亡くなった日には極々近親者だけでお墓に集まって彼女を偲ぼうと思っている。
それにしてもあの日から早くも12年が経ったとは中々実感できないことだが、自分も既に60半ばとなり、麗子の生前にはまだこの世に生まれていなかった彼女の甥っ子や姪っ子ももう小学生と幼稚園生となっていることを思うとやはり生きているものの世界は時と共にあの日から遠くへ流れてきてしまったことを実感させられる。
仏教儀礼としての十三回忌も、物の本によればこの年以降の回忌法要は、近親のみで行い服装についても普段着に近い物でよい、となっているようだ。人の世の知恵は、千年以上も前から離別から12年近くたてば、そろそろこの世に生き残っているものも、平常心で迎えなさい、と言っているのかもしれないが―――父親にとっては、12年位ではとてもとてもそんな気持ちにはなれはしないけれど―――。
当時巨人軍の4番打者だった松井秀喜が同学年だということを麗子が言っていたことを思い出す。「同学年でもあちらは年俸5億円、私は―――」と冗談交じりに言っていたが製薬会社勤めのキャリアウーマンとして彼女なりの自負もあっての余裕の発言だったのだろう。
その松井ももう38歳、大々的な引退式までやって一線から退いてしまったというのだから―――やはり12年という年月はそれなりに長い時間だったということなのかもしれない。
あれから12年、今38歳になっている彼女は、生きていたらどんな女性になっていただろうかと思う。妻によれば、麗子は「お母さんのような主婦になりたい」とも言っていたというから結婚していたかもしれない。結婚してからも仕事は続けていただろうか、それとも専業主婦になっていただろうか。子供は何人いただろうか―――若くして亡くなった娘の父親としては、いくら考えても詮無い事だとは思うものの、ああだ、こうだといつまでもいつまでも思う夜である。
（05/31/13 9:00pm S.T.）
2013年の各月バックナンバー：1月、2月、3月、4月、5月、6月、
金曜日シリーズ全目次 ←ここをクリック
「日々草々」全バックナンバーリンク表 ←ここをクリック