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2014年3月
03/31 もう詰んでいる！ 03/28 婚活が少子化を招く3/27毛ほどのものでもない3/26 どちらに義があるか？ 03/14 男女平等と女ことば 03/13 自分の都合次第 03/11 大空襲とケネディー大使 03/10 二度も三度もおいしそう 03/07 海外へ行こう！ 03/06 お祭り終わって 03/05 選択のパラドック 03/04 オバマ政権は信頼できるか 03/03 幻の信用
2014年3月31日
もう詰んでいる！
政治資金規正法なり公職選挙法違反に問われそうな不透明な資金を追及され、苦し紛れの言い逃れをする政治家の醜態を一体、どれほどみたことだろうか。
過大な「事務所経費」追及された松岡農相が、「なんとか還元水に使った」と発言し却って世論の指弾を受けることになってしまい、遂には自殺してしまった事件も思い出されるし、直近では猪瀬都知事が徳洲会からの5000万円を「選挙後の生活不安のため」と言った例も世間の大きな嘲りのターゲットとなり、450万票を集めた知事という彼の栄光も泥にまみれることになった。
そして、今度はみんなの党の渡辺善美代表である。8億円もの金を化粧品会社社長から借りたことが週刊誌で報道され、その使途を問われて答えに窮して一例として挙げたのがなんと「大きな熊手」だったのは「なんとか還元水」や「生活不安」以上のインパクトがあった。8億円の熊手という彼の説明は小学生でも信じないだろう。
今がもし年末ならば、「大きな熊手」は、流行語大賞間違いなし！といいたいところだ。渡辺さんがどう言い逃れしようが、融資をした当の会社社長が「選挙資金として必要なので貸して欲しい」と頼まれたと証言しているし、2回の借り入れ時期がいずれも参議院選、そして衆議院選の時期とピッタリ一致していることからしても、この8億円が無届の政治資金、選挙資金であったことはあきらかだ。すなわち渡辺代表は政治資金規正法や公職選挙法に明らかに違反していることになる。
渡辺代表は過去においては、他の政党、他の政治家の政治資金に関する追及には常に厳しかったことも、今となっては裏目にでている。すなわち「他人のことには正義面して厳しく追及しながら、自分はそれらに輪をかけた悪質な違反をしていたとは---」という訳で、政界はもちろん世論の同情も集まらないだろう。
みんなの党を割って出た結いの党に対して「議席はみんなの党、すなわちオレのものだ！返上しろ！」と数か月に渡って嫌がらせをしつづけたことも、世間一般ではきわめて評判が悪かった。維新の会や結いの党などに対する嫌がらせと、安倍首相へのへつらいとも取れる接近によって政権中枢に是が非でも加えてもらおうとしていた、我執の強さ、といった点も、今やすべてが「渡辺氏は、党代表、および代議士を辞めるべきだ！」という声になって跳ね返ってきている。
どう考えても、渡辺代表は将棋でいえば「詰んでいる」状態だ。色々とウソの言い逃れの挙句に、自殺した松岡さんや、検察に白旗を掲げざるを得なかった猪瀬さんのようなみっともないことになる前に、渡辺さんはこの際、潔く政界から去るべきだと思うのだ---。
（03/30/14 10:00pm）
2014年3月28日
婚活が少子化を招く
生涯未婚率というのは50歳時点でまだ一度も結婚したことがない人の割合だ。最新の統計によれば現在日本人男性の生涯未婚率は20%、女性は10%に上るという。昭和以前においては日本の生涯未婚率は男女ともに安定的に2%であったことからすれば、望むと望まざるによらず「結婚しない人生」を選ぶ男女が猛烈な勢いで増えているという社会現象は、必然的に少子化を招き、日本という国が近い将来、この地上から消え去ってしまう前兆のようにさえ見える。
生涯未婚に加え結婚する男女にしても、その晩婚化が進んでおり（男性30.5歳、女性28.8歳）、未婚（非婚）に晩婚が重なれば当然、出生率は低下し、少子化を止めようがないからだ。（統計学上では35歳以上の女性の出産は、「高齢出産」に区分されており、実際35歳以上の女性の初産には様々なリスクが伴うといわれているからできれば避けたいところではある）
近年の日本の合計特殊出生率（一人の女性が一生の間に産む子供の数）は、1.4人前後に過ぎず、人口の維持に必要といわれる2.1を大きく下回っていることから考えても、このままでは日本人という人種が絶滅危惧種になる日もそう遠くはないようにも思えてくる。
女性の社会進出、格差の拡大など晩婚化、非婚化の要因は様々に語られるし、積極的に「結婚をしない」「家族を持たない」ことによって自由な人生を送りたいからという人も多いとなれば、政府があの手この手（子育て支援政策だの子育て手当など）で「生めよ増やせよ」と叫んでみてもその効果の程は疑わしいといわざるを得ない。
ところで、「婚学」なる学問（？）によると、近年若い男女が中々結婚できなくなっている理由の一つに、男女ともに盛んに「婚活」をしているからだという。
すなわち、多くの金と時間をかけて何度も婚活を行っていると「私はこんな思いまでして、婚活に努力したのだから、きっとその成果として素晴らしい相手が見つかるはずだ！」と選ぶ相手へのハードルを自分でどんどん上げてしまうことになり、結果婚期を逸することになるし、又、選択のパラドックスと言って、余りに多くの選択肢があると人は選択の決断ができなくなるからだという（2個の林檎から一つを選べといわれれば容易に選べても、百個の中から一つといわれたら選べなくなる）。
そういえば30を過ぎてから初めてのお見合いの相手と結婚した、等という例も多かった昔を考えると今の婚活全盛こそが、晩婚化、非婚化、そして少子化の元凶かもしれないと思わないではない。
（03/27/14 10:00pm）
2014年3月27日
毛ほどのものでもない
日本軍による慰安婦強制連行を認めた平成5年の河野談話が、実は「強制連行された」と主張する元慰安婦の証言を裏付けも取らずに鵜呑みしたものであることを、当時の談話とりまとめの責任者であった石原元官房副長官が2月の国会で証言した。
世界各地で韓国が「日本の蛮行」として吹聴してまわり日本人の名誉を著しく傷つけている「強制連行」が、事実無根だとしたら、これは日本という国家とその国民の名誉の為に、直ちに河野談話を取り消し、新たな談話を出すべきであることは言うまでもない。
「慰安婦強制連行」は事実ではないことは、以前からさまざまな証言によって明らかになっている。2月の石原元官房副長官の証言以来、世論調査でも約60％が、「河野談話の再検証を行うべき」と答えている。やってもいない強制連行で世界中から非難されている以上、この際、「やった」と言っている河野談話を再検証し、正すべきは正し、韓国が世界で行っている「侮日、貶日」に反撃すべきだ！と多くの日本人が考えるのは当然だ。
その意味では、2月に安倍首相、菅官房長官「河野談話の再検証」に着手する意向を示したことは当然といえば当然だった。
しかし、もし再検証によって強制連行の事実がなかったことが証明されたとしたら、侮日の根拠を失うことになる韓国は猛反発、オバマの仲介によるハーグでの日米韓の首脳会談への不参加をちらつかせる韓国に配慮したのか、安倍首相が「談話の作成経緯は検証するが、談話の見直しは行わない」と言い出したのには、呆れて物もいえない思いだ。
16人の元慰安婦を自称する人たちの証言が虚偽であるとが「検証」されたとしても、「慰安婦を強制連行した」という河野談話は見直さないし、新しい談話も出さないというのだから―――安倍さんは一体何を考えているのか。
河野談話という日本という国を売るようないい加減な談話のおかげで、この20年間、日本の国際的威信はめちゃくちゃに傷ついた。
そんないい加減な談話は、すぐにでも再検証し、もし談話に誤りがあるとなれば、直ちに訂正し、新たな正しい談話を出すべきなのだ。
朴大統領が、談話を見直すな！と言っているのは、見直されては、強制連行が事実無根ということが明らかになってしまうことを恐れているからだ。
再検証、談話の見直しを行わないことによってますます傷ついていくのは、日本という国の名誉だ、クレームおばさんの朴大統領への「配慮」など、それに比べたら毛ほどのものでもないというのに。
（03/26/14 10:00pm）
2014年3月26日
どちらに義があるか？
ハーグで開かれたG7首脳会議は、ロシアによるクリミア半島編入を強く非難し、ロシアをG8から追放することを決定したという。
正直言ってクリミアのロシア編入問題は、日本にとっては地政学的にみてほとんど関係ない問題だから、できればロシアにも他の西側諸国のどちらの側にも付かず、かといっていずれからも恨まれることのないようなどっちつかずの姿勢を示しておく方が得策なのだが―――相変わらず外交において自主性を持てず、器用に動き回ることが下手な日本は、情けないことにいやいやながら「ロシア非難 西側に媚を売る」ことになってしまったようだ。なにかといえば日本に対して「失望」などとケチをつけたがるアメリカに尻尾を振るのではなく、北方領土問題などを考えればロシアのプーチンにいい顔をしておいた方が得だという気もしないではないが、そこはそれ70年間の間に、アメリカの下駄の雪になる習性が身についてしまったようで、今回の安倍さんのアメリカのポチぶりには少々がっかりではあるが。
そもそもクリミア問題は「西側諸国とロシアのどちらの言い分に義があるか？」といえばオバマなどが主張するほどにはウクライナ/EUに義があるとは思えない。
ウクライナでは2010年に大統領選挙が行われ僅差ながら親露派の大統領が選出された。しかし、この選挙結果に不満を持つ反露・親EU派が暴力的なデモなどによって親露派の大統領を追い出していわばクーデターによって政権を握ったのが現在のウクライナ暫定政府である。クリミアをはじめとするウクライナ南部にはロシア系住民が多く、彼らは当然この暫定政府を「民主主義的に選ばれた親露派大統領を暴力的に追い出した政府」として認めていない。「民主的方法で成立した訳ではない暫定政府の下にいる位ならこの際、ウクライナから分離独立したい！」と考えたのがクリミアをはじめとするウクライナ南部の人々である。
選挙で選ばれた大統領を追い出すという「力による現状変更」を行ったウクライナ暫定政府はお咎めなしだが、住民の82％〈投票率85％の96.5%〉が住民投票によってしめした意志、「クリミアのロシア編入」の実行は、「力による現状変更」であるとして強く非難するG7のご都合主義的な言い分に「義」があるとは思えないのに、なぜ日本政府はこちらの側についてしまったのだろう。
アメリカやEU諸国は、「住民投票結果は認めない」言っているが、クリミアの住民の82％が住民投票で示したロシアへの編入してもらいたいという「住民の声」を黙殺することは、彼らが常日頃いうところの「民主主義」に反するのではないだろうか。
そういえば、2007年に、コソボが独立を求めた際にはアメリカとNATO諸国は、「住民投票でコソボの住民の意思が示されたのだから！」としてユーゴスラビアからのコソボ分離を強く支持したではないか。それでいながら、今回クリミア住民の意思が「ウクライナからの独立、ロシアへの編入」だとはっきりと示されているのに、なぜこれを認めず「力による現状変更だ！」等と非難するのだろう。まさにアメリカとEUのご都合主義そのものではないだろうか。
タカさんは、なにも、クリミアやロシアの肩を持てといっているのではない。幾らアメリカのご機嫌をとりたいからと言って、この問題で「義」のない側に立って、ロシアのG8追放のお神輿まで担ぐ必要はないのではないかと言いたいのだ。
（03/25/14 10:00pm）
2014年3月14日
男女平等と女ことば
「腹、減った、何かくおうよ！」と言っているのが若い男だとしたらそんなに違和感はないが、もしそれが若い女の子だったら「どうなのかなぁ〜」と抵抗を感じてしまう世代のタカさんだが、最近はこういったしゃべり方が男女共通の言葉になってきたような気さえする。
30年ほど前までは、男尊女卑の封建社会の残滓が社会全般に色濃く残っていたのは事実だ。しかし国連人権委員会等からの度重なる勧告などによって「文明開化」を迫られた日本は、86年に男女雇用均等法を施行し、01年の森内閣が「男女共同参画担当大臣」のポストを新設するなどした頃から、日本社会も徐々にではあるが男女同権、男女共同参画推進へと梶を切り始めたように思う。（国際標準から言うとまだまだだ！という声もあるが）
確かに、男であるか女であるかによって、就職をはじめとする様々な差別があった事がおかしいのであって、あらゆる機会において男女は平等の権利と義務を持ち新しい日本社会を築いていくべきだと思うだけに、タカさんは、男女共同参画、男女同権には諸手を挙げて賛成だ。
しかし、それが冒頭述べたような女性の「腹、減った、何かくおうよ！」というはき違えた「男女同権」意識になって表れ、日本語という我々にとっての民族的、歴史的遺産の破壊につながってしまうことには大きな落胆と哀しみを感じざるを得ない。すなわち、本来の日本語にあった「男ことば」「女ことば」まで、あたかも悪しき風習であったかのように、無くしてしまうことが、男女同権を推進する「良いこと」だとは思えないのだが―――。
たしかに、英語をはじめとする外国語の多くには日本語のような「男ことば」「女ことば」の違いはない。英語ならば「腹、減った、何かくおうよ！」は、男が言っても女が言っても‘I
’m hungry, Let’s eat something.’だ。だからといって、男女同権を最優先に、日本語の「男ことば」「女ことば」という男女平等に反するような語法は改めるべきだ、文化としての日本語の伝統を破棄し、世界共通後ともいえる英語の語法で日本語をしゃべろうよ、ということにすべきではないと思うのだが―――。
国際標準（この場合、男女同権という考え方）の内、とりいれるべきものは、とりいれ尊重していくべきだが、同時に、日本の歴史、文化の伝統も守るべきものは守っていくべきだ。やっぱり、女性は「お腹がへったわ、なにか食べましょうよ」位のことばを使って欲しい。
それにもう一つ言いたいのは、男女同権とは、男と女の違いを一切なくすべきだということではないということだ。男女の差別は無くさなければならないが、どうしても避けられない生物学的な男女の違い（区別）は、尊重すべきではないだろうか。スポーツの世界でも、トイレにしても、男女のジェンダーの違いを一切なくしたらよいなどという暴論は成り立ち得ない。それは、人類始まって以来の男女の生物学的差異は、男女平等や男女同権の掛け声だけでは変わりようがないという事実があるからだ。
そもそも男はどう逆立ちしても、子供を産むことはできないし、女性もいくら男と張り合おうといっても射精は出来ないのに、それをむりやりになんでもかんでも｢男女平等｣という呪縛にとらわれて、イコールにしようとすれば、人間社会そのものが崩れてしまわないだろうか−−−。
先日、そんな話をしていたらある人から「大丈夫、女性が女ことばをしゃべらなくなっても、ニューハーフのお姉さんたちが、ちゃんとその伝統文化を守ってくれるから！」といわれた。
タカさんが言いたいのは、そういう事ではないのだが−−−。
（03/13/14 10:00pm）
2014年3月13日
自分の都合次第
「アラブの春」の大きな成果といわれたのはエジプトで30年独裁を続けたムバラクが政権の座を追われたことだった。「民衆の力によって独裁者が追われた」、というのだから民主主義の守護神、人権の砦を表看板にしているアメリカにとっては、わが事のように歓迎すべき出来事のはずなのだが―――アラブの中では唯一、対米協調路線をとり同盟国であるイスラエルとの国交関係を持っていたムバラク政権が崩壊する事は、アメリカの本音としては、歓迎すべからざる都合の悪い事だった。
そんな自分の都合で、どちらかといえば、小さな声で新体制支持姿勢を示したアメリカだったが、ムバラク後エジプトの政権を握ったのは危惧した通り、反米を掲げるムスリム同胞団であり、「民主的な選挙」によって選ばれた新大統領は、ムスリム同胞団の指導者であったムルシである。
ムルシは「民主的な手続き」によって憲法を改正、その憲法に基づいてエジプトのイスラム化政策を推進しはじめたが、ムルシのイスラム化政策によってムバラク時代から得ていた利権を剥奪されることになった軍と、旧富裕層の民衆は、遂にクーデターによってムルシを追放した。
民主的な手続きによって選ばれた大統領を軍のクーデターという暴力によって追放した新政権を、本来は非難しなければ整合性のとれないはずのアメリカの人権外交だが、現在エジプトが進めているムスリム同胞団弾圧には、見て見ないフリをつづけている。
外交とは諸国間で行なわれる自国の利益確保の為の駆け引きのことだ。「人類の平和のために」とか「人権のために」等々の、お為ごかしな理想論のオブラートでくるんだりされることが多いけれど、実情は極めてドロドロした利権争い！といった方がよいぐらいである。
そう思えば、エジプト情勢に対するアメリカの姿勢の変遷は、よく分かる。結局、エジプトの民衆の人権や、民主主義は、アメリカとその同盟国イスラエルの利益に比べれば「どうでもいい事」だということなのだ。
おなじような事が、いま、ウクライナ問題、クリミア問題でもいえる。
2010年、ウクライナでは民主的選挙によってヤヌコビッチが大統領に選ばれたが、2月、反ヤヌコビッチ派は半暴力的なデモによってこの大統領を追い出した。タイで選挙によって選ばれた首相を追い出そうと繰り出したデモには反対したアメリカは、ウクライナのデモには反対しないどころか寧ろ歓迎するコメントを寄せた。
反ヤヌコビッチ派が政変によって政権を握ったことに怒ったクリミア自治共和国住民は、住民投票によってウクライナからの分離独立し、ロシアへの編入申請をおこなおうという。住民投票によって彼等の自由意志が「独立」という結果となってしめされるとすれば、本来ならば「民意」を尊重すべきだと主張するはずのアメリカはクリミア分離支持に回ってよいはずなのだが―――。
アメリカやEUとしてはクリミアがロシアに併合されることは軍事上、エネルギー需給上も都合が悪い。結局、彼等にとって不利益となればクリミア住民の｢自治｣なんてどうでもよい、ということなのだろう。
生き馬の目を抜くような外交の世界、日本も冷徹に自国の利益の為ならば、欧米や中国、韓国とおなじように自分の都合次第で「ああいえばこういう」式の、屁理屈を堂々と主張することが出来るだろうか−−−。
（03/02/14 10:00pm）
2014年3月12日
大空襲とケネディー大使
3年前の今日3.11は東日本大震災によって2万を越える死者、行方不明者がでた我々日本人にとって忘れてはならない日だ。失われた命に対して我々は深い哀悼の意を表し、一刻も早い復興を成し遂げることを誓わなければならない。
奇しくも3.11の前日3.10は、今から69年前、アメリカ軍のB-29爆撃機300機が東京上空に襲来、38万発の焼夷弾に約2000トンのガソリンをつめて投下した日である。
既に能力を失っていた日本の防空体制をついたこの夜間の焼夷弾攻撃は、東京の下町を中心に降り注ぎ、折からの冬型の気圧配置にともなうからっ風に煽られた竜巻のような業火は、下町のほぼ全域を焼き尽くした。わずか2時間半という短時間に赤ん坊を含む無辜の一般市民10万人の命が奪われたのだから、これはまさに世界史上最大級の虐殺行為だったと言ってよい。
敗戦国日本は戦後、東京裁判などの勝者による報復裁判を受けいれた（強要された）が、一方、東京大空襲や、広島、長崎への原爆投下という戦勝国による虐殺行為が戦争犯罪として裁かれることはなかった。まさに、戦勝国には｢勝てば官軍」敗戦国日本は「全て泣き寝入り」を余儀なくされたのだ。
先週、NHKのクローズアップ現代で、アメリカの駐日大使に昨年末就任したキャロライン・ケネディー氏のインタビューを見た。
昨年11月の就任以来、インタビューを申し入れていたNHKだが、ケネディー氏は、NHKの経営委員に就任した作家の百田尚樹氏が、東京裁判に対する批判的な見解を述べたこと、あるいは南京事件に関する疑義を述べたことと、同じく新会長に就任した籾井勝人氏が、東京大空襲、原爆投下を「大虐殺」と表現したことを理由にインタビューを拒否していたことを2月に明らかにしていた。しかし先週、それが実現したからには、NHK側がケネディー氏に対して何等かの歩みよりをしたのではないか−−−と思いながらこのインタビューを見ていたのだが。
案の定、インタビュアーの国谷裕子の質問の中に、あきらかなケネディー寄り、反安倍政権よりのケネディー氏におべっかを使う表現が見られた。
一つは、日米関係に関する質問の際の前フリに「日米関係は安倍政権の一員、NHK経営委員、会長の発言で影響を受けているといわざるを得ないのですが−−−」という発言をした点だ。首相の靖国参拝は、日中両国が難癖をつけていることは兎も角、首相自身が言っているように、これは安倍首相の「心の問題」であり、日本という国レベルでみても「完全に内政問題」である。国谷氏は、それをなぜ「アメリカが批判するのは当然」といわんばかりの発言をしたのか。
彼女がケネディー大使に媚びへつらっているのか、あるいは中立であるべきNHKの一員であるにもかかわらず「偏向」しているかのいずれかであろう。
もっと、許しがたいのは二つ目の点だ。｢東京大空襲は無辜の市民に対する無差別虐殺である｣という籾井の発言趣旨については、東京大空襲の総指揮官であったカーティス・ルメイ大将自身が認めてもいる。（但し、彼は「だからどうだというのだ！俺たちは戦争に勝った！」といってはいるが）すくなくとも10万人の犠牲者の同胞である我々日本人にとって籾井会長の発言は、ケネディー氏に謝る筋の問題ではない。
寧ろ、「東京大空襲は虐殺だった」という籾井氏発言に対して、ケネディー大使が何で不満なのかをずばり質問するのがジャーナリストとして国谷さんの務めだったのではないだろうか。「10万人の無差別殺傷も当然だった」というのだとしたら、広島、長崎に行き原爆碑の前で頭を垂れたのは、彼女の受け狙いのパフォーマンスだったとおもわざるを得ないし、そんな大使に日米友好の役割を担って欲しいとはとても思えないのだが―――。
オバマ政権の意向を受けたのであろう、彼女のこういった東京大空襲犠牲者たちにたいする冷酷な仕打ちに対して、朝日や毎日などは「ほら、みろ、籾井は、ケネディーさんを不快にさせた。これは安倍政権の落度だ！」とはしゃぎ回っている。
日本はアメリカの属国ではない、虐殺された同胞の無念を、いつまでも忘れないだけの独立国としての矜持をなぜ国谷氏は捨ててしまったのだろう。
（03/11/14 10:00pm）
2014年3月10日
二度も三度もおいしそう
タカさんはもうかれこれ30数年ヒゲを生やしている。
ヒゲというのは自分には見えないけれど他人にとってはやはり目立つ特徴かもしれないだけに、もし今タカさんが突然ヒゲをそり落としたら回りの人たちは、いくらかはびっくりするのではないだろうか−−−と思うのだが―――。
地に潜っていた虫が地上に這い出してくるという啓蟄の日、全聾の作曲家を偽っていたことを週刊誌で暴かれて以降、地下に潜って（？）いた佐村河内守氏が奇しくも地上に姿をあらわした。
長髪を七三刈りにし、ヒゲを剃って、トレードマーク（？）のサングラスを外して現れたときには、日本中がびっくりしたことは間違いない。タカさんのチョビヒゲとはインパクト（？）が違う。
延々2時間半にも及んだという記者会見は、ソチオリンピックが終わってネタにコマっていたニュースショーや、スポーツ紙にはまさにねがったりかなったりの干天の慈雨になった感じがする。
なにせあのイメチェンだけでもニュース映像としてはインパクトありすぎだし、会見の内容が突っ込みどころ満載で、この先しばらくこのネタで数日間はひっぱれそうだ。（この手のゴシップ大好きのタカさんとしては、ゴースト作曲家の新垣さんや佐村河内氏の義母辺りの反論インタビューなんかを是非期待したいのだが―――）佐村河内氏はまさに「一粒で二度おいしい」（ちょっと古いかぁ〜）グリコのような人だ。
「ベートーベンと同じように全く耳が聞こえない」ということと、「交響曲HIROSHIMA」をはじめとする多くの曲を全聾というハンディにも負けず作曲した」という二つは、「まっかなウソでした、申し訳ありませんでした」とあっさりと認めながら、「新垣氏が週刊誌にしゃべったことはみんなウソ」「義母の言っていることもみんなウソ」であり自分は、被害者だ、二人を名誉毀損で訴える！という。
更には手話の方を見ないで記者の質問が終わるやいなや答えていたにもかかわらず、「今も手話なしでは会話が出来ないことは、絶対にウソではありません！」というあきらかにウソをつく−−−。大きなウソはあっさり認め、小さなことでは「天地神明に誓って私はウソを言っていない｣と訴えているのだが―――。
一万円ちょっと入った財布盗んだ現場を押さえられ犯人が、盗みを認めながらそこに入っている100円玉は、元々自分が持っていた100円だ！と言っているようなもので、財布を盗んだ罪が少しでも軽くなると思っているのと同じだということが、佐村河内さんにはわからないのだろうか。
特番まで作って「日本のベートーベン」と持ち上げたNHK、レコードを出して儲けたレコード会社は、本当に佐村河内氏のウソに気付いていなかったのかの検証、彼らの反省の言葉、今になると「たいした作品ではない」と言われている交響曲HIROSHIMAを「素晴らしい！」とヨイショしていた「有名作曲家達」の改めてのHIROSHIMA評等々、タカさんとしては、まだまだ二度とはいわず三度も四度も味わってみたいネタである。
（03/09/14 10:00pm）
2014年3月7日
海外へ行こう！
中年を過ぎてからはもちろんだが、若い時から海外旅行期間が長くなればなるほど、「日本食」に対するノスタルジーが強くなるのはタカさんがやはり日本人だからなのだろう。
昨年トルコに行った時も、世界三大料理の一つといわれるトルコ料理は美味しいし、なにしろものめずらしさがあるから、最初の内は大いに喜んで食べていたのだが―――旅行が1週間を過ぎた辺りから、どういう訳か食事時間がきても一向に空腹を感じなくなってきてしまった。ところが旅行最後の日、イスタンブールに帰ってきてどうにか「日本食レストラン」を見つけて入った時には、急に腹が減って「なんでもいいから2-3人分持ってきて呉れ！」と叫びたい気分になったものだった。
海外生活通算15年に加え、出張だ、旅行だといった期間を足せば、随分長い間、異国で過ごしてきたというのに、やっぱり自分という人間を構成している「食」の土台には、「日本食」がしっかりと根をはっているのだなぁ〜と思った。
タカさんのいう「日本食」とは、世界遺産になったあの芸術品と言ってよいほど見事な「和食」である必要はない。さらには海外で「日本食」として有名な寿司だ、テンプラだ、すき焼きだといったものである必要もない。極端な話、大根おろしを添えたたまご焼きに、ちょっと醤油をかけたものとか、肉じゃが、さつま揚げ程度のもの、要するに、幼い頃から食べなれた「おふくろの味」「普通の日本人家庭の味」のことだ−−−。（夏目漱石や福沢諭吉などの時代ならば懐かしい日本の味となれば、白いご飯に味噌汁、漬物」だったかもしれないし、今の若者ならそれは案外「トンカツ、ラーメン、鳥唐揚げ」等というものかもしれない―――「日本食」は世代とともに変わるのだ−−−）
そういえば、30年以上前、パプアニューギニア島の西半分にあるインドネシア領、西イリアン州に1ヶ月ほど仕事で行っていたことがある。来る日も来る日も、ヤシ油を使った焼きメシだ、フライだ、といった物ばかりが出てきて、いくら若いといってもしまいにはあの匂いが鼻について腹は減るのだが、食事が喉を通らなくなるほどだった。
漸く仕事が終わり、帰国の途についたのだが、経由地の香港で一泊することになり、その夜、日本食レストランに出かけたのだが、そこで食べた「胡瓜とワカメの酢の物」の美味しさは今でもわすれられない。
考えてみると、タカさんが今、和食にせよ日本食にせよその良さを実感し、それを強く愛しているのも、長い間海外で暮らし、それらの国々でその地の料理の美味しさ、素晴らしさを知ることによって、それまで自分自身が意識しなかった、日本食の良さに気付かされたからなのではないだろうか。
海外で暮らす多くの日本人がいままで意識したこともなかった「愛国心」に気付かされるというのも、同じような理由からではないだろうか。
近年、日本の若者の内向き志向が強まり、日本からの海外留学生や、海外勤務希望者が激減しているというが―――いささか心配な傾向だ。
日本にいたら分からない「胡瓜とワカメの酢の物」の良さを体感する為にも、若者よ、海外に行こう！
（03/02/14 10:00pm）
2014年3月6日
お祭り終わって
17日間に亘って開催されていたソチオリンピック、閉幕からかれこれ10日ほど経って漸くテレビでの連日の「感激の場面をもう一度」やら「総集編」も終わり、あの異様といってもよいほどの熱狂もおさまったようだ。それにしても、フィギアが行なわれた日などは「寝不足で−−−」などという人が続出したあの盛りあがりはたいしたものだった。日本人のお祭り好きにはあらためて感心させられた。
もっともお祭りというものは、終わってしまえば一気に熱がさめてしまうもので（面白うて、あとはかなしき鵜舟かな、という句もある）、早寝、早起き、夜中の中継は全く見ていなかったタカさんに「凄いわねぇ〜、バイアスロンで日本は銀メダルとったのよ！」などと翌朝教えてくれていた妻でさえ、もう選手の名前などすっかり忘れてしまったようで、今日位になると「バイアスロンのあの子」とか「ハーフパイプのあの子」などと言っているのだから、どうもスポーツに関心があったというよりか、只単に奥様族の話題についていく為のミーハーで中継を見ていた節が濃厚だ。
ソチオリンピックの最中にNYに数日出張していたという人が言っていたが、日本での大騒ぎを知ってNYに行ってびっくり、新聞報道もテレビも、ソチオリンピックにはほんの少し触れるだけで、一般市民はほとんど関心を示していなかったという。
そういえば、今Twitter社が、オリンピック期間中、ソチ関連のツイートが世界のどの国でどれ位盛り上がっていたか、を公表したが、これを見ると、なんと日本が第2位開催国ロシアを上回って第1位になっているではないか。（3位カナダ、4位モンゴル、5位オランダ）
結果としては日本は、金銀銅の合計でメダル8個と、国外で開かれた冬季オリンピックとしては、2番目に多い数メダル獲得が出来たのだから熱狂するのも当然、という見方もあるが、今回は競技数も増えた結果、全98競技、メダル総数294個もあったのに、その中の8個が多いといえるのか？ 連日アナウンサーがあれほどの絶叫を続けるほどのことだったのか？というややしらけた見方もできなくはない。（いやいや、アメリカのスポーツ総合誌「スポーツ・イラストレーテッド」の事前予想「日本のメダルは6個」を上回ったのだから上出来！という見方もあれば、日本選手団長橋本聖子参議院議員が事前に掲げた目標は、「金が5個、金銀銅合わせて10個」だったじゃないか！という人もいる）
そうそう、そういえば某民放テレビ局が、ソチに派遣したスタッフが、日の丸のハチマキを締め、両頬にも日の丸をフェイスペイントし、大きな日の丸の旗を振って熱狂応援している画像が世界中に流された！と自慢げに繰り返しその画像付きで流していたが−−−大相撲中継で、山高帽を被り日の丸のセンスを振っている変態オジサン同様、あの記者のバカ振りは、多分世界中で笑われているのではないかとタカさんとしては同じ日本人として恥ずかしい気がするのだが−−−。
ソチオリンピックを威信にかけて成功させたい一心で5兆円もの金をかけたというプーチンさん、世界一、ソチオリンピックに熱狂した日本人に好意を持ってくれただろうか。北方四島返還交渉に、少しでもプラスになるならば、あのハチマキオヤジの恥ずかしさも少しは報われるのだが。（願わくば逆効果になっていませんように）
（03/05/14 10:00pm）
2014年3月5日
選択のパラドックス
心理学でいう「選択のパラドックス」をご存知だろうか。
タカさんは、中華レストランで料理を注文するのがどうも苦手だ。コース料理にするとか、あるいはその店の「お勧め」を選んでしまうことが多い。（数人での宴会などになれば、必ず一人は料理に詳しい人がいるもので、そういう時は彼に全権を委ねるのが一番楽だ）別に中華料理の知識が乏しい訳ではない、むしろ色々なメニューを知っている方だと思うのだが―――迷ってしまって中々決められないのだ。
人間が一回の食事で食べられる量といえば、精々一皿か二皿に過ぎない。4人で出かけ、皆で分け合うとしても注文できるのは精々10皿程度に過ぎないが、レストランのメニューに載っているのは大きな店ならば100種類とか200種類といったとんでもない数だ。例えば、スープの場合、「スープメニュー」には、10種類やそこいらの料理が並んでいる。この中から1種類、もしくは2種類を選ぶだけでも迷う。「王道ならばカニとフカヒレのスープだがちょっと高いしなぁ〜、シンプルに中華たまごスープも悪くないなあー、あれー、酸辣湯もあるのか--こいつも捨てがたいし、この青菜のスープというのも美味そう〜」などと迷い始めたら時間はいくらあっても足りない。
先日、妻と出かけていて出先で昼になった。近くにあった中華料理の店で昼食を摂ろうということになった。上手い具合にその店には、メインの料理とスープ、デザート等がついた「お昼の定食｣があるから迷うこともない、と思って入ったのだが―――。ところが、その店にはお昼の定食だけでも「日替わり定食」の他に8種類ほどある。Aはメインがエビチリだし、Bは回鍋肉（ホイコーロー）、Cは青椒肉絲（チンジャオロース）、Dは八宝菜―――といった具合だ。
男らしい（？）性格の妻は「私、この日替わりにする」と直ぐに決断し「すみませ〜ん」と直ぐにも店員を呼んで注文を告げたい雰囲気だ。タカさんも、最初は「日替わり定食」にしようかなぁ〜と考えていたのだが、妻の決断を聞いて「二人とも同じ物を頼んでもつまらないかなぁ〜」と考えたらついつい迷いはじめてしまった。中々決まらないために早くも妻はイライラしはじめた様子、迷えば迷うほど目移りがして焦るし―――そんな時、ふっと定食メニューの最後を見ると「お好み定食」というのがある。この店の全メニューの中から超高額メニューを除いた一品をえらべば、他の定食と同じようなセットがついてくるという。ということは｢お好み定食｣を選ぶと、今度は更にメインを何にするか200種類ほどの中から一品を選ばなければならない――――などと考えはじめたらもう全く決まらなくなってしまった。結局、選んだのは元に戻って妻と同じ「日替わり」だったのだから、妻には、いやぁ〜な顔をされた。
これこそが「人間、選択の幅が広いほど、選択決定ができなくなる」という心理学でいう「選択のパラドックス」である。
始めてお見合いした相手と結婚に至ったという話は、昔はよくあったという。お互いにこの先、そう度々お見合いのチャンスがある訳ではないと考えれば、いまある目の前の選択肢（一人のお見合い相手）で妥協してしまわないとひょっとしたら婚期を逃すかもしれない―――となれば、決断も早くなるかもしれないが、現代のように男女ともに度々大人数の婚活パーティーに出ていると、選択肢（理想の結婚相手）が多すぎて、一人を選ぶなどということがとてもできなくなってしまう−−−という訳だ。
昼食の後、家電量販店に行き新しいパソコン選びをした。どの機種も機能の違いは皆似たりよったりなのだろうに、実に多くの機種が並んでいて、その数が多すぎて、一台を選ぶのに随分と迷わされた。これも「選択のパラドックス」だ。現代はまさに「選択のパラドックス」だらけということが、できるようだ。
もっとも、選挙での投票先に迷うのは、選択のパラドックスではなく単に「碌な選択肢がない」という理由からではあるが。
（03/04/14 10:00pm）
2014年3月4日
オバマ政権は信頼できるか
サリンを使うなどして反対派勢力地区住民まで大量虐殺を行なっているとされるシリアのアサド政権への包囲網からアメリカが突如降りたことには国内外から激しい非難の声が起きたが、特にアサド政権と鋭く対立してきたイスラエルそしてサウジアラビアなどのアラブ諸国といったアメリカの古くからの同盟国の怒りは相当はげしかった。
その後オバマは、今度は国際経済包囲網によって核開発停止を迫っていたイランと、経済封鎖を緩和することを前提に協議を開始することで合意、イランの核開発放棄を後一歩というところにまで追い詰めていた同盟国、特にイスラエルを激怒させることになったことは記憶に新しい。
中東における最大の同盟国イスラエルとサウジアラビアの信頼を失うことになったこのようなオバマの外交姿勢に対しては、アメリカ国内でもユダヤロビーや共和党支持層などから激しい反発があったが、もちろん一部には、それを穏健な平和主義的な決断だったという評価もないではない。
オバマのこのような「穏健な」といわれる決断が、50年後、100年後にどのような歴史的評価を得ているかは、今の時点ではなんともいえないが、少なくとも包囲網を解かれたことでシリアのアサド政権が、あたかも反政府勢力住民等に対する攻撃にフリーハンドをえたかのように激しい攻撃を再開、新たに2万人以上の住民虐殺、そして200万人とも言われる避難民が出る事態となっていることとか、又、シリア政府の激しい攻勢が、経済制裁網の緩和によって資金的な余裕ができたイランからのヒスボラなどを通しての資金援助が継続されていることなどを見る限りは、イスラエルのネタニエフ首相がオバマ決定に対して出した声明「歴史的なあやまち」という厳しい非難が当たっているようにも思える。
この二つの決定は、第二次大戦後長い期間を経て構築されてきた国際関係の構図に大きな転換をもたらすものであったと言ってよい。その決定の可否はここでは置くとしても、今まで一貫してアメリカとの同盟関係を維持してきたスンニ派イスラムの盟主サウジアラビアや、国家の存亡をかけてイスラム諸国と対峙してきたイスラエルの信頼を失ってまでも、彼等の敵側に塩を送ったオバマの決断が、「歴史的」（あやまちかどうかは別にして）であったことだけは間違いない。
イスラエルのネタニエフ首相、そしてサウジアラビアの怒りは、信頼していた友の裏切りに対する怒りであり、それは血がたぎるほどのものであっただろうことは、容易に想像がつく。
お互いの国益維持の為の場における同盟関係においては、常にこのような信頼と裏切りの関係は起こり得るが、同盟関係にある以上は、その維持に努めるべきであることが求められる。
その為には、お互いが相手のことを思い、できる限り相手の嫌がることをしない努力を怠ってはならないのだが−−−。どう考えても、最近のオバマ政権の外交方針は、方向感を失っているように思えてならない。
その点、ウクライナの政変に当たって、間髪をいれず強い姿勢でクリミア半島にロシア軍を派遣し、掌握してしまったロシアのプーチンの姿勢は、その良し悪しは別にして、極めて強い方向感があるように思われる。烏合の衆となりつつあるEU諸国、そして彼等、方向感を失って漂流するオバマ政権では、このクリミア問題に対するロシアの強硬姿勢に対抗する術があるとは思えないのだが−−−。
さて、ウクライナ問題とはG8の中で一番、関係の薄い日本だが、ここのところどうも信頼に欠く「同盟国」アメリカの下駄の雪を続けていくべきなのか−−−一考の余地はあると思うのだが。
（03/03/14 10:00pm）
2014年3月3日
幻の信用
額面を印刷した紙っぺらに過ぎないお札が貨幣として価値を持っているのは、日本銀行、すなわち日本という国がその紙幣の価値を保証しているからであり、又、人々も、日本国が日本銀行券（お札）に与えた「保証」を信用しているからである。
もし、日本の財政が破綻した（あるいは破綻のリスクが極めて高い）となれば、だれもが日本銀行の権威なるものを信用しなくなるだろうし、信用もしていない銀行が発行した紙幣等というものは、子供が手書きした「子供銀行券」と同じで単なる紙っぺらになってしまう。
世界には円やドルのような「ハードカレンシー（国際決済通貨）」と呼ばれる国際的にその価値を認められ通用する貨幣があるが、これも基本的にはその貨幣の発行国の信用が国際的に認められているからこそである。ハードカレンシーに対して韓国のウォンだとか、エジプトのポンドのような「ソフトカレンシー」と呼ばれる通貨があるが、これらの通貨は、かろうじて発行国内においてのみその国の信用が保たれているものの、国際的には「とても信用に耐えない」という評価がなされているということなのだ。(エジプトで仕事をしていた時、一部の給料は出向先のエジプト企業からエジプトポンドで支払われていたが、エジプト国内のホテルの宿泊やらエジプト航空のチケット代金以外には使い道が無く、闇ドルに換金すればレートは悪いし等々、実に持て余したものだった)
金やプラチナなどのように国際的価値が認められていて通貨同様の機能をもつ物もあるが、これは、「世界中にある全ての金を集めても、50メートルプール2杯分しかない」といわれるような「金の希少価値」を人々が「信用」しているからこそ通貨価値を持つのだ。場合によっては国が発行した通貨以上に金が信用力を発揮する場合もある。（ディフォルト寸前の国では、人々が自国通貨を必死にハードカレンシーや金などに替えようとするのもこの所為だ）
株式や債券についてもやはりその発行元に対する人々の信用が、何らかの形で担保されている（と人々が信じている）からこそ、価値を持って交換（売買）されているのであって、その発行元の信用が失われれば、紙幣同様単なる紙っぺらに過ぎなくなってしまう。
要するに現在の交換経済（貨幣経済）の基本には常に「信用」という土台がなければならない、というのが貨幣論の教科書の第一章に書いてあることなのだが−−−。
昨年から急に注目を浴びるようになったビットコインだが、オンライン上の仮想通貨などとも訳されているように、ドルやユーロあるいは円などとも交換可能な通貨としての価値があるといわれてきた。但し、この仮想通貨の土台となるべき「信用」がどのように担保されているかについては、当初より様々な疑義が指摘されてもいた。
ビットマネーの仕組み、信用の裏づけなどについては、既にネット上に開発者であるというサトシ・ナカモト氏なる人物の論文や、ネットオタク（ハッカーなどを含む）の様々な論文が出されてはいるが、未だに学問的に認証され確定しているものではない。
要するに「ビットコインはサイバー空間に詳しいハッカーやオタクなどの、いわば物凄い天才たちが、作り出した訳の分からないアルゴリズムによって成立している通貨らしい−−−」という人々の「思い込み」（神話）が信じられていることが、ビッドコインの「信用」の裏づけの正体なのだ。「何とも訳のわからない仕組だが、サイバーの天才達が作った仕組みというのだから、凄いに決まっている」というのが、ビットコインという幻の正体だったのだ。
しかし、今回ビットマネーの最大手取引所である「Mt. Gox」社が民自再生手続きを申請し、経営破たんしたことで、実は仮想通貨を巡る神話が一気に崩壊してしまった。お化けの正体が一気に白昼の下に晒されてしまったのだ。手をかえ品をかえて、これからもビットコインに変わる仮想通貨は出てくるだろうが、「サイバー上」という幻の世界における「信用」を、現実世界の実体ある「信用」に置き換えることが、果たして出来るとは思えないのだが−−−。
もっとも、ドルの信用の裏づけとなっているアメリカの信用、円の裏づけとなっている日本経済の信用も、いつの日かビットコインの信用と同じような幻に過ぎなかった−−−ということになる日が来ないとはかぎらないが−−−。
（03/02/14 10:00pm）
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