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2014年4月
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4/25 立ち位置の問題 4/23 TPPは重要だ 4/22 十代選手の活躍 4/21 逃げる船長と科学者 4/18 本当にテロリストか？4/17 スコットランド独立 04/16 山の日 04/15 悪魔の証明の罠 04/14 飛ぶボール 04/10 完敗だ！ 04/10 ダイオウイカの丸焼き 04/09 やわらかい肉 04/08 2050年の日本は？ 04/07 グローバリズムという理想 04/04 運転手はイスラム 04/03 理研というお役所 04/02 節約しなければ
2014年4月25日
立ち位置の問題
何人かで写っているスナップ写真、それぞれの立ち位置、ポーズ、目線で、その人達の性格だとか親密度といった関係が分かるという。
たしかに夫婦なり恋人同士を撮った時、二人がいまどういう関係にあるかは写真には結構正直に出るものだという話を聞いたことがある。遠縁の結婚式に招かれた離婚調停中の夫婦、この日だけは仲のよい夫婦を演じようと示し合わせておいたのだが、ふいに向けられたカメラの前では本音が顔をのぞかせてしまう。二人の間の隙間が変にあるし、笑顔も不自然で、目線もそれぞれが違った方向を向いていたりする。
「顔も見たくない！」「できれば近くにいて欲しくない」という本音は、一瞬向けられたカメラの前で隠すことは難しい。人の心の内はやっぱり正直に表情や仕草でてしまうのだ。
合コンで撮ったスナップ写真を見れば、誰が誰に興味をもっているかは一目瞭然だという話を聞いたことがある、意識しあっている同士は自然に近い立ち位置を取るからだという。さもありなんと思ったものだ。
そういえば、仏壇に飾ってある亡くなった父と母が一緒に写っている写真を見ると母は父の腕をしっかりとつかんで父に寄り添っている。なんだかんだ言ってもやっぱり父と母は死ぬまで仲が良かったし、母は父を常に頼もしい存在と思っていたのだろうなぁ〜と思う。タカさんにとっては心休まるとても好きな写真だ。
友達同志が写っている写真。どの写真をみても、真ん中近い立ち位置に写っているのは「リーダーシップのあるそのグループの中心人物」であり、自信にみなぎる「個性の強い人」だ。後ろのはじっこに写っているのはやはり内向的な性格、更に目線がそっぽを向いているとなればこの友達グループにあまり馴染んでいない人物だという類推は簡単にできる。
会社の記念行事だとか結婚式での大人数での記念写真などの場合には、社長を中心に偉い順、だとか新郎新婦との関係の濃い順といった大体の基準があるが、観光バスツアーでの集合写真だとか、恩師は出席していない同窓会の記念写真といったこれと言った序列ない場合でのそれぞれの立ち位置は、誰が指示する訳でもないのに自然と決まっていくが、皆の立ち位置が決まるまでの動きを観察しているとこれが結構面白い。
タカさんは子供の頃からクラス写真などではいつも最後列のはじっこに写っていることが多い。最近も、相変わらず後列の端が定位置だから、みかけによらず（？）性格が内向的なのかと思われがちだが、なあに、ただ単に腰痛がある所為もあって前列で中腰になりたくないというだけの理由である。
最近数十人のご近所メンバーと日帰り旅行に出かけた妻がそのグループの集合写真を見せてくれたが、なんと、中央というかど真ん中のポジションに彼女がいる。しかもしっかりとキメポーズを取っているではないか。そんなに意識しなかったけれど、彼女、意外とリーダーシップのある、目立ちたがりの性格のようだ。
まあ、どの写真でも、はしっこに写っている内向的な性格というよりも、これからの世の中、リーダーシップと、ガッツのある女性の方が流行る（？）ようだし－－－何しろ頼もしくてよい！と、いつも後列の端っこの立ち位置にいるタカさんは思った。
（04/24/14 10:00pm）
2014年4月24日
日本語とオノマトペ
「ごろりと横になる」を英語に訳そうとして辞書で「ごろりと」を引いてみると「be down」とある。意味は通じるかもしれないがbe downでは「ごろり」のニュアンスは通じない。
この「ごろり」はオノマトペ（擬音語、擬態語）といわれるもので世界中の言語の中で日本語はオノマトペが一番多い言語だといわれている。
それほど日本語の表現は豊かなのだ！と自慢できるとは思うが、逆に日本語は音節が圧倒的に少ないので擬音語でごまかすしかないからだ！などという意見もある。
しかしやっぱり雨の降り方一つにしても「ぽつぽつ降る」「しとしと降る」「ざあざあ降る」等々実に多様な表現が可能な日本語の方が、‘Rain’の一言かせいぜいちょっとポエティックに’Rain
falls’ぐらいしかチョイスのない英語に比べれば日本語のオノマトペの豊富さが他の言語に比べて豊かな表現を可能にしているように思うのだが。(英語にも、bumpとかpopといったいくつか擬音語がないではないがおそらく日本語の1/10もないと思う)
日本人としてつくづくオノマトペのありがた味を、身をもって感じたことがある。アメリカで現地の医者に行った時だ。日本でならば医者に「どうしました？」と聞かれたら「昨晩からどうもムカムカして、胃の辺りもシクシクするのですが---」と説明するところなのだが、英語のネイティブスピーカーでもない悲しさ、「ムカムカする」だの「シクシクする」が出て来ない！大いに焦ってもって来た辞書で引いてみると「ムカムカする」は’be sick at’とあるし、「シクシクする」は‘sharp pain’ となっているではないか。sickだから医者に来たのだし、「シクシク」は‘sharp pain’ の一歩手前の痛みなのに---と辞書に腹を立てるばかりだった。
結局、アメリカ人の医者の前にでるとなんだか自分が犬猫病院に行った犬のような気分になったものだった。皆さんも医者に行って問診をしてもらっている時に、オノマトペを一切使わずに自分の症状を先生に伝えることを想像してみられると、それがいかに難しいことなのかお分かりいただけると思う。
先日テレビを見ていたら外国人が日本語のオノマトペで一番感心したのは「日本語では音のない物を表現するオノマトペが実に豊富だ」と言っていたことだ。
確かに、「雪がしんしんと降る」「日の光がさんさんとふりそそぐ」「にやにや笑う」「シーンと静まり返る」などの表現は皆音のない物をオノマトペで表現しているが、その表現によって言葉以上にその情景が相手に伝わるように思う。
やっぱり日本語にオノマトペが豊かにあることは、日本語の強みだとおもう。これからも「どんどん」使って行きたいと思う。
(04/23/14 10:00pm)
2014年4月23日
TPPは重要だ
交渉事の理想の妥結点は、こちら側が51取り、相手方に49をゆずることだといわれる。こちらが90取って相手には10しか譲らないという交渉事は、かならず後でもめることは、歴史上の多くの事例が雄弁に物語っている。（第一次大戦後ドイツに過酷な賠償を求めたベルサイユ条約が、後に第二次大戦を引き起こしたように）
オバマ大統領の来日時にできれば日米のTPP交渉大筋合意！という見せ場を作りたいというのが日米両政府の思惑なのだろうが、共にそれぞれの国内反対勢力を抱える中で事務折衝は難航しているという。「日本の自動車に対する環境規制は厳しすぎる。日本はアメリカの環境基準クリアーしたアメ車の輸入を日本の環境基準を緩めてでも認めるべきだ！」というアメリカ側の主張は、まるで幕末の不平等条約にも等しい酷く理不尽なものであり、こんな条件を日本側が飲める訳もないだろうし、一方コメの国際価格から逆算すると、778%にも上る関税率を下げるのは絶対嫌だ！という日本側の主張も、あくまでも関税率ゼロが理想だとするアメリカから見れば「正気の沙汰とは思えない」ということになるだろう。お互いが100を主張し、相手には何も与えたくない！というのだからまとまる訳もないし、たとえまとまったとしても、お互いにうらみつらみは残るだろう。
今までの経験からすれば、何しろ押しまくれば最後日本側は、折れてくる！と考えるアメリカ側にしてみれば、「とことん押しまくれ！」ということなのだろうが、今回ばかりは日本側も結構強硬なようで、TPPの最終合意は今回のオバマ訪日時の日米共同声明には盛り込めない可能性が大のようだ。
アメリカ側は米自動車産業界、日本側は農業生産団体という圧力団体の利益を守らなければ政権が危うくなるかもしれない、という事情を抱えているだけに、お互いに交渉当事者でさえ「自分たちの主張は、非常識だなぁ〜」と思いつつ理不尽な要求（アメリカの環境基準にまで日本の環境基準を緩めよ！とか、コメの778％もの関税を認めろ！といった）を突っ張っている今の段階では、到底まとまらない。しかし、両者ともに原点に返ってTPPとは何かを冷静に考えてほしい。
今や世界の覇権争いに出ている中国のことを考えれば、アメリカにとってTPPによって太平洋地域の盟主的存在となることのメリットは計り知れない。又、「貿易立国」（最近はそういう神通力もやや薄れてきたけれど）と言われてきた日本にとっては環太平洋地域における貿易がより自由になること、特に日本からの輸出がより増えることから得られるメリットは計り知れないし、中国けん制の意味からも米国との同盟強化になるTPPの恩恵は大きい。メリットもデメリットもあるが、日米両国にとってTPP日米協議の妥結の及ぼす利益は大きいし、これが妥結できないことによって両者が受けるダメージの大きさを両国はよく考えるべきだ。
日本にとってコメが守らなければならない重要品目であるというところは、確かに日本の歴史、文化からすれば分かり易いが、牛肉や豚肉の関税については、交渉の切り札として譲ることも考えるべきだ。牛肉や豚肉を日本人が食べ始めたのはほんの150年ほど前からの話だから「日本の文化」という主張はちょっと弱いし、牛肉も豚肉も現在既に国内消費の6割以上が輸入であり、「国産」と称している国内産の牛豚の飼料の90％は輸入であることを考えれば、「やわらかくて日本人好みだが価格は高い国産肉」は残すにしても、スーパーで売るような肉は、関税ゼロにしてもよいのではないだろうか。（もちろん、アメリカ側にコメなどで歩み寄りの姿勢が見えた場合だが）もう半世紀以上、ハチマキをして「ガンバロー」を叫ぶ農協の顔色ばかりうかがっている場合でもないと思うのだが---。
（04/22/14 10:00pm）
2014年4月22日
十代選手の活躍
先週の女子プロゴルフツアーでアマチュアの勝みなみ選手が並みいるプロを相手に堂々と優勝を飾ったが、彼女はなんと今年4月に高校生になったばかりの15歳９ヶ月であり、これは一昨年優勝した韓国のキム・ヒョージュ選手の16歳10ヶ月を1歳以上上回る最年少記録だ。（日本人最年少記録は宮里藍の18歳３ヶ月だった）
女子スキージャンプでは世界に敵なしの快進撃が続く高梨沙羅選手も未だ17歳だし、以前から水泳、フィギアスケート、体操といった競技では敏捷性や体型といった面で、中学生、高校生の10代が有利だともいわれてきたし、水泳の岩崎恭子選手や、スケートの浅田真央選手のように10代前半で世界レベルに達した選手もいたが、経験や技術のつみ重ねが好成績の要素だと思われていたゴルフでもこれほどの低年齢化が進んでいることには正直おどろかされる。
このところスポーツ界で活躍する選手の低年齢化がとみに進んでいるように思うが同じ日曜日、一番感心したのは、プロ野球日本ハムファイターズの大谷翔平選手だ。大谷選手は今年プロ入り二年目、年齢はまだ18歳だ。二軍や育成枠には若い選手も多いだけに全プロ野球選手の平均年齢は23歳程度と言われているが、一軍のレギュラー選手となればその平均年齢は27歳といわれるだけに18歳はやはり相当若いといってよい。この日彼は、楽天を相手に好投、メジャーリーガーのアンドリュー・ジョーンズを154キロの速球で空振り三振に打ち取るなど今季早くも2勝目を挙げたが、あの勝負などは、今年前半のプロ野球における名勝負の五指に入るものだったと思う。しかも彼の凄いところは投手として登板しない時にはファイターズの3番バッターとして既に13試合に出場、打率3割8分5厘、打点も7とチームに欠かせない存在となっているといういわゆる二刀流を続けていてところにある。
シーズン前、並みいる評論家諸氏が「二刀流が通るほどプロは甘くない！」と口を揃えて言っていたことは記憶に新しい。たしかに高校野球ならば「エースで4番」という選手はいるし、むしろ、プロ入りするほどの選手ならほとんどが高校時代はエースで4番だった」選手ばかりと言ってもよいかもしれないがそれがそのままプロでも通用するとは---評論家の先生ならずとも到底予想できなかった事ではないだろうか。
これからも「そこそこの投手兼そこそこの打者」というのなら超高校級と言われた甲子園球児の中からは、出る可能性はあるかもしれないが、「20試合が終わった時点で2勝を挙げ、打率も3割8分5厘というのだから---メジャーリーグにもこんな選手は今後も出ないのではないだろうか。
ゴルフ、野球、スキー、スケートとどんどん進むスポーツ界の低年齢化だが、オリンピック出場選手の平均年齢もここ数十年の間にどんどん若くなっているという。この傾向がますます進むとしたら今から6年後、2020年の東京オリンピックの為の選手強化は今小学生から中学生の子供たちを中心に計画した方がいいということになるけれどと---思わず最近野球を始めた孫への期待度が高まるが---親ばかならぬ爺ばかだろうか---。
（04/21/14 10:00pm）
2014年4月21日
逃げる船長と科学者
沈みゆく船から誰よりも早く脱出したのは船長と乗務員達だった。
修学旅行中の高校生を含む462人もの乗客に適切な避難誘導をするべき乗務員が先を争って逃げてしまったのという信じられない行為によって、乗客50名以上が死亡、尚250人もの行方不明者が出るという大惨事となってしまったのだから乗客たちの家族の怒りの程はいかばかりであろう。
海難事故にあったら船長は乗客の救助を最優先にはかり、脱出するにしても最後の一人として脱出するというのが世界共通の船長のモラルだというのに---韓国の船員モラルは一体どうなっているのだろう。タイタニック号の沈没の際も船長は最後まで留まり船とともに沈んでいったし、多くの船長たちがこのような海難事故で船と運命を共にしたという話は枚挙にいとまがないが---。
この卑劣な船長の行為を聞いて、最近日本でもおなじように「わが身可愛さ」の為に逸早く現場を逃げた人たちがいたことを思い出した。STAP細胞の問題で小保方さん一人に全ての責任を被せて、ごたごたから脱出を図っている理研という組織、そして論文の共著者で小保方さんの上司的存在である笹井副センター長のことだ。
小保方さんのSTAP細胞論文が「ネイチャー」に掲載された1月の記者会見では理研は「これは理研全体の偉業である！」といわんばかりの猛アピールをしていたことは記憶に新しい。京都大学という理研とは比べものにならないほど小さな研究機関で、山中教授がIPS細胞を発見しノーベル賞に輝いたことが、理研という巨大研究機関、そして長い間、山中教授のライバルといわれてきた笹井教授にとっては悔しくてならなかったという。そんな最中だけに小保方さんの研究に飛びついて「STAPの方がIPSより簡単に作れるし、ガン化の可能性も低い」等々と、京大に対抗意識むき出して飛びついた理研と笹井さんだったが、なんとなく分が悪くなってきたとたんに、「小保方一人が悪い！」「理研と笹井教授には一切責任はない！」という掌返しをはじめたのだから、何とも醜い話ではないか。
小保方さんの論文が本当に「不正」「ねつ造」だったとしても（まだ、そう断定するには尚早だ）、そんな論文を小保方さんと一丸となってネイチャーに売り込んだ責任は理研と笹井さんには一かけらもないという論理は、24歳の女性航海士に操船を任せて休んでいたという船長が「操船していたのは彼女であり自分ではない」「転覆の責任は自分にはない！」と言って第一弾の救助船に一般人と偽って紛れ込んで逃げたことと、同じではないだろうか。
小保方さんと一体となってやり始めたことで、小保方さんが糾弾されているとなれば、組織を上げてとことん小保方さん擁護のために全力サポートするのが、モラルある日本人としての筋ではないかと思うのだが---。
「妻が、妻が」「秘書が、秘書が」といって責任を逃れようとする政治家と同じレベルにまで理研の科学者たちのモラルは落ちているようだ。
逃げ出した韓国船の船長や船員を責める権利は、理研と笹井氏にはないのではないだろうか。
（04/20/14 10：00pm）
2014年4月18日
本当にテロリストか？
1950年中国共産党軍は突如チベットに侵攻、瞬く間にチベットの抵抗勢力を蹴散らして、これを併合した。力による侵略以降既に60数年が経つが、この間のチベット民衆による抵抗運動は中国政府によってことごとく蹴散らされ、弾圧、虐殺などによって殺されたチベット族は120万人にも及ぶといわれている。
2100年に亘って独立を保っていたチベットだが、1950年以来中国人によるチベット文化の破壊、人権の抑圧は続いている。
このような中国の他国侵略、人権の抑圧に対して国連は無力だ。いやむしろ、常任理事国である中国に媚びるかのように今も続くチベット族の抵抗の動きに対しては無視の態度をとりつづけている。
このような状況下、毎年散発的なチベット人の抵抗運動が起きてはいるが圧倒的な中国の治安当局の力によって押さえつけられるばかりで、チベットの人々の中には中国の横暴と、国際的な無関心による絶望感が広がっている。
やむに已まれぬチベット人の叫びに対してなぜ国際社会はここまで冷淡なのだろう。その理由の一つには、チベット人の反政府活動、抗議行動の全てが中国政府によって「テロ」と名付けられていることにあると指摘する人は多い。
9.11のあまりにも大きな被害に対して時のブッシュ大統領は「テロとの戦い」を宣言したが、あれ以来、世界中で起きる紛争は、相手側に「テロ！」というレッテルを貼った方が勝ち！といった様相を呈している。
120万以上を虐殺し、今もチベットの人権抑圧を続ける中国ではなく、その中国の抑圧に対して抗議や、犯行活動を行っているか弱いチベットがテロだというのは、余りに欺瞞に満ちていると思うが、中国が「これは内政問題である」「チベット人はテロリストだ！」と言い張る限り、国際世論もチベットの肩を持ち難いというのが実際だ。
キエフの政府庁舎を占拠し、町中に武装したデモ隊によるバリケードを築いて大統領を追放した親EUの反政府勢力に対しては支援を惜しまなかった欧米だが、ウクライナ東部のドネツク州などで政府庁舎や警察などを占拠している親ロシア勢力に対しては「テロリスト」のレッテルを貼って、これを排除するためにウクライナ国軍を差し向けている。
ウクライナの軍隊がウクライナ人に銃口を向け、実際既に多くの死傷者が出ているという。「国の軍隊が国民に銃口を向ける」などということがあってよいものだろうかという国際的な批判を避ける意味で、ウクライナ暫定政権はドネツクにおける新ロシア勢力は、「テロリストだ」というレッテル貼を行っている。「ウクライナ人の軍隊がウクライナ人に銃を向けているのではない、ウクライナ軍が銃をむけているのはテロリストなのだ！」というのがウクライナ暫定政府の言い草だが---自分たちがキエフで市街地占拠を行ったのはテロではない！という論理はどう考えても変だ。
EUも米国も、東部ウクライナの親ロシア派の人々の「住民の意思」は一顧だにせず「独立やロシアへの併合を望むと言っている親ロシア派の人々は、国境周辺に集結しているロシアによっていやいやそのように言わされているのだ」と言っているが、余りに説得力のない話に聞こえる。
本当のテロリストは一体どちらの側か---冷静に考えてみるべきではないだろうか。
（04/18/14 10:00pm）
2014年4月16日
スコットランド独立
ロンドン駐在が決まった時「スコッチウィスキーの本場にいけば大好きなスコッチがふんだんに飲める！」と大いに楽しみにしたものだったが―――ロンドンに着いて驚いたのはあの有名なイングリシュパブでもレストランでもスコッチを置いている店はほとんどなかったことだ。（東京に沖縄の泡盛を置いている店がないのと同じかもしれない）ロンドン市内のリカーショップに行っても日本の酒店ならば何十種類もあるウィスキーの銘柄が、あってもせいぜい1，2種類しか置いていない。
後に知ったのだが、ロンドンは英連邦の中の「イングランド」であり、スコッチウィスキーはグレートブリテン島の北に位置する「スコットランド」の名産であり、イングランドとスコットランドは同じ英連邦の一員だとはいっても長い歴史の中で征服したり征服されたりといったことを繰り返していることもあってお互いが強烈なライバル意識をもっていることもあってロンドンでは「スコットランドの酒なんかここには置いてねぇ〜よ！」といったことがあるらしいということだった。
スコットランドのウィスキー醸造メーカーにしても「日本やアメリカがありがたがって買ってくれるオラが国の酒をイングランドなんかに売ってやるものか！」という意識をもっているからタカさんの「ロンドンでスコッチを楽しもう！」という期待感は全くの的外れだったという訳だ。
そうそう、19世紀の中頃に編纂されたオックスフォード大辞典の初版の「オートミール」の項には「家畜の餌、但しスコットランドでは人間も食べる」と書いてある、という有名な話しがある。（昔から、イングランド人はよくスコットランドを差別するようなジョークをいう。「ロンドンのホームレスの大半は、スコットランド人だ！」とロンドンっ子がいうのを幾度か聞いたことがある）
そんなイングランドとスコットランドの関係だが、スコットランドが英連邦に加盟して300年も経つ今になって独立論が盛り上がっているという。実際、今年9月には、スコットランドの分離独立の可否を決める住民投票が行われることが決まっており、イギリス中で「独立したいというなら独立して貰った方がせいせいする！」だとか「石油エネルギーが豊富なスコットランドが分離したら困る！」等々の意見が姦しい。
北アイルランドやウェールズなども含む大英帝国だが、現在人口は6300万人ほどで、スコットランドの人口は500万ほどだ。スコットランドは、イングランドに比べてあまり豊とはいえないこともあるし「スコットランドにかかっている社会保障費は、そこから得られる税収よりもはるかに多い」ということもあるからイングランド人の多くは「粋がって独立！などと言っているが奴らだけで国を運営することなんかできっこない！」と思っている者も多いとも聞く。いずれにせよ、ウクライナやクリミヤのように独立だの連邦離脱騒動が、内戦や軍事衝突に結びつくケースと違ってスコットランド独立の動きはそういった暴力的な要素がなく、ここ数百年の両者の歴史だとか、民族のアイデンティティーの争いであることは救いではあるが―――。
そういえば、日本でも沖縄独立運動というのが以前からあるけれど、スコットランド独立騒動とちょっと似ているような気がしないではないが－－－。
（04/16/14 10:00pm）
2014年4月16日
山の日
日本の年間祝日数は15日と世界でも祝日の多い国だが再来年（2016年）からは更に1日増えて年間16日になることが確実だとか。
というのも現在国会には2016年から従来の祝日に加えて8月11日を「山の日」とする祝日法改正案が与野党9党による議員立法として上程中であり、特に反対の動きもないので今国会中に成立する見込みだというのだ。
山の日はハッピーマンデー制の対象となる予定だというから再来年から祝日がなかった8月に必ず3連休ができる訳で、子供の夏休み期間中にお父さんも一緒に山に出かける等というチャンスが増えそうである。
もっとも「何で8月の第二月曜が山の日なの？」といわれると、たいした根拠がある訳ではないようで政治家の先生たちが「海の日があるのだから山の日を作った方がいいんじゃない」といったいい加減な根拠で決めたらしい。先生方も相変わらず暇を持て余しておられるらしい。
雇用側（企業側）にしてみれば、祝日の増加は労働時間が減少することもあって歓迎一辺倒という訳にはいかないだろうが、一般的には休みの日が増えることに文句をいう人は少なかろう。企業の中でもレジャー産業や、小売業、旅行業界などは真夏の時期の3連休は、ビジネスチャンスととらえて歓迎する向きも多いという。（学生、生徒にとっては元々夏休み中なので3連休になってもあまり「お得感」はないかもしれないが---）
さてそんな訳で再来年からはついに日本の祝日は年間16日になる訳で、さすがに年間16日となると「もはやこれ以上は増やせない！」というギリギリのところにきたような気がしないではない。そもそも、海の日、山の日、子供の日、敬老の日等々、諸外国にはないような結構こじつけっぽい祝日を色々作ってきただけに、山の日迄くると、もうそろそろ「祝日のネタ」が尽きてきたような気がしないではない。（海と山があるのだから空はどうだ！という声が聞こえてきそうだが--）
祝日と年末年始の休み、夏季有給休暇、土日休日等を加えると日本の勤労者の年間休日数は約150日程度と世界的にみても多い部類に入るというが---現役でバリバリやっていた頃のことを思い出すと、決してそうは思えず「欧米人に比べたら、俺たちは休みも少ないしやはり働き過ぎではないか？」などと思っていたものだが－－－年間祝日が16日と世界最多レベルになったとしたら、現役の方々の実感は少し変わってくるだろうか？
（04/15/14 10:00pm）
2014年4月15日
悪魔の証明の罠
「ない事の証明」は「悪魔の証明」ともいわれるように事実上不可能だといわれている。「ネス湖には恐竜はいない」ことを証明しようとすれば、例えばネス湖の水をすべて掻き出してしらみつぶしに湖の隅々まで探索して「やはり恐竜はいなかった！いないことが証明された！」といったとしても、「いや水を掻き出したことでネッシーは湖の地下に潜ったかもしれない」とか、「その期間、他の湖に移動した可能性だってある！」などといくらでも難癖をつけ「不存在の証明」を論破できる。
一方、「有ることの証明」すなわち「存在の証明」は、「不存在の証明」に比べてはるかに楽だ。もっとも簡単なのは「直接証明」といわれるもので一つでもよいから実物をもってくることである。「ネス湖には恐竜がいる」事を証明するためには、実際に一匹（頭？）でよいからネス湖で恐竜を見つけてくればよいのだから。
「STAP細胞はありま〜す！」と高らかに宣言した理研の小保方晴子ユニットリーダーも、いつまでも続く理研との水掛け論、マスコミの好奇心丸出しのゴシップ的報道を断ち切るにはこの存在の直接証明をすればよいのだが---。
「200回も作った」というなら、その内の一つでもよいから標本を提示するとか、あるいは「第三者も作っていま〜す！」というなら、その人に「STAP細胞の存在」を証言してもらえば済む話なのだが－－－。
ところが、なぜか小保方さんはSTAP細胞標本の提示も、実験に成功したという他の研究者の名前も「特許等の事情もあり、現時点では私個人からすべてを公表できない」という。四面楚歌状況に追い込まれ、自己保身に走っている理研幹部による小保方さん一人への責任の押しつけ、いわゆるトカゲのしっぽ切りにあっていながら、なお小保方さんが理研に義理立てしなければならない理由があるのか？？と、タカさんも素人ながら、どうにも不可解である。
小保方さんは「有る」と言いながら、存在の証明をしようとせず。一方小保方さんに責任を擦り付けようという理研側は、「不存在」を主張するからには、「悪魔の証明」に挑む必要があるという訳だから、このままいけば、STAP細胞があるのかないのかは、ひょっとしたら未来永劫決着しない可能性すら出てきているようにさえ思う。
日本一の科学研究所として3400人もの科学者を集め、年間8500億円もの予算を国から与えられている理研という組織が、「悪魔の証明の罠」に陥っている様は、なんともお粗末すぎると思う。
ところで小保方さんに対する世論の同情論（「理研のスケープゴートになっている」とか「孤軍奮闘の様子がけなげだ」といった）の大半は、男性からのものであり(何を隠そう、タカさんは心情的にも小保方さんシンパである－－－なにしろカワイイし）、批判論の多くは女性からだ、という話があるけれど本当だろうか。
専業主婦の扶養控除の問題でも批判論の大半は、同性である「働く女性」からのものだとも言われているように「女の足を引っ張るのは女」ということがよく言われるけれど―――まさか！
（04/14/14 10:00pm)
2014年4月14日
飛ぶボール
「ラベル汚れ」「印刷が少しずれている」などという理由で港の検品でハネられた高級輸入ワインは、「不良品」として市場には出ずに廃棄されるか「訳ありワイン」として値引きして市場に出される。中身には何の問題もないのに－－－。
過剰品質要求などと言われる日本の輸入検品は極めて厳しいし、もちろんあらゆる製品において日本では「なんでここまでの厳しい検品が必要なのか？」と疑問に思うほどの厳格な製品検査が当たり前だ。
そんな日本で「統一球」という名目でミズノ社一社独占によって供給されているプロ野球の使用球が、その定められた反発係数を上回る「違反球」（言い換えれば「不良品」である）が納入されていたことが発覚した。
昨年はNPBが意図的に反発係数の高いいわゆる「飛ぶボール」にこっそり変えていたことで、加藤良三コミッショナーの首が跳んだが、今年もまたこりもせず公表された反発係数を上回るボールすなわち「不良球」が使用されていたことが分かったという訳だ。NPBという組織、なんだかエラソーに「統一球」だのどうのこうのという資格があるのかということになると思うが――。
しかも検査で違反球が供給されている事実が判明しているのに、ミズノに独占供給権を与えてしまっている為に直ぐに違う球を代替してくれるメーカーもなく、日本のプロ野球では、7月位まではこの「飛ぶ違反ボール」を使い続けるしかないというのも実にお粗末な話しだ。
不思議でならないのは冒頭述べたように、「日本製品」と言われるものならば、出荷前に厳格な製品検査をし、もし規格外品、不良品があったら、これをハネる、といった厳しい検査をしているはずなのに、日本を代表する運動具メーカーであるミズノ社ともあろう企業が、本当に出荷前検品もせずに違反球を製造し、納入し続けてきたのかということだ。そしてそんないい加減な形で納入されたボールにプロ野球関係者の誰も気が付かなかったというのは本当か、ということだ。
もし本当にこんないい加減なことが堂々と行われていたとしたら、それはとりも直さず「競争のない一社独占」契約などという契約は決して誰のためにもならない、ということではないだろうか。
それとも、かつては過剰な位品質にこだわっていた日本の製造現場が、いつの間にか、劣化していたということなのだろうか。
いろいろ考えさせられた「飛ぶボール」問題だ。
（04/13/14 10:00pm）
2014年4月11日
完敗だ！
ここまで完膚なきまでに負け！となれば、却って清々しいような気がしないではない。オーストラリアなどがハーグの国際司法裁判所に提訴していた南氷洋における日本の「調査捕鯨」だが、先月末、同裁判所は「日本の調査捕鯨は実質的には商業捕鯨であり中止すべきだ」という判決を下したという。国際司法裁判所は一審制であり控訴することもできないというのだから、日本の完敗、無条件降伏である。
1982年に国際捕鯨委員会総会によって禁止された商業捕鯨だが、アイスランドやカナダなどの伝統的捕鯨国は、国際捕鯨委員会から脱退し捕鯨を続ける中で、日本は委員会に留まり、捕鯨資源調査の名目で年間400頭程度の捕鯨を続けてきたのだが、国際司法裁判所がいう通り、「調査の目的といいつつ、なんで年間400頭もの鯨をとらえなければならないのか？」と言われれば、その通りであり、「調査」捕鯨などという詭弁がもはや通用しなくなったということだろう。
日本が本当に捕鯨という日本の伝統的文化を維持したいというのであれば、ハーグの法廷においてもアイスランドやカナダのようにこの「伝統文化」という点を強く訴えるべきだったのに、「調査捕鯨は環境調査であり、商業捕鯨ではない！」などという日本人自身も信じていないような詭弁を弄して何が何でも捕鯨に反対という連中をごまかそうとしたという日本の法廷戦術の不味さこそが、今回の敗訴の原因である。外務省だか農水省だかしらないが、この裁判の担当であった役人たちの外交下手、法廷闘争下手が日本の伝統文化を又一つ消してしまったということだ。
これで今後、日本では捕鯨はほんの数十頭の沿岸捕鯨と、アイスランドなどからの鯨肉輸入に頼るしかなくなった訳で、「はりはり鍋」も「くじらの尾のみ」「くじらベーコン」もいずれは消えゆく運命となってしまった。給食で鯨カツを食べた世代のタカさんにとっては寂しさを感じる話ではあるが―――もっとも、実際のところこの数十年の間にせいぜい2，3度しか鯨肉料理を食べたことがないことを考えれば今更それほど寂しがる話ではないのかもしれないが―――。確かに、商業捕鯨が禁止されてから30数年となれば、40歳より下の年代の日本人のほとんどが鯨肉を食べた経験がない訳であり、タカさん世代のように「伝統的食文化の消滅！」と騒ぐほどのことでもないのかもしれない。（案外、日本の調査捕鯨中止でショックを受けているのは捕鯨船に体当たりするなどのパフォーマンスで資金集めをしていたグリーンピースなどの環境テロ集団かもしれない）
国際司法裁判所における日本の敗訴が決まった翌日、オーストラリアのアボット首相が訪日、安倍首相との間で豪州産牛肉の関税引き下げなどを含む日豪EPAで合意している。「これからは鯨肉ではなくて、豪州産牛肉を食べましょう！」ということで、日豪首脳は手を打ったということなのだろうか－－－。
「捕鯨は日本の伝統的文化である」「白人社会の反捕鯨の動きは、それに名をかりた、日本叩きだ！」と言ってきたタカさんにとって、この口惜しさをいやす手立てとしてはせいぜい「豪州産肉は絶対に食うもんか！」というやせ我慢ぐらいしかない－－－というのも悔しい話ではあるが－－－。
（04/10/14 10:00pm）
2014年4月10日
ダイオウイカの丸焼き
毎年エイプリルフールにはちょっとしたウソで家族をだますことにしているが、今年のエイプリルフールには、最近日本周辺でひんぱんに上がっている深海に住むイカ、ダイオウイカの話題にひっかけて「昨日、日比谷公園でダイオウイカのイカ焼きがあったらしい」という話をしてみた。
昨年1月NHKが「世界初撮影! 深海の超巨大イカ」 というタイトルで深海探査船がダイオウイカの泳ぐ様子を捉えた映像を流し随分と話題になった。
タカさんも、あの「白鯨」にも登場する幻の巨大深海イカが実際にみられるとは！と、「さすがNHK！」と感心してみたものだった―――。
しかし、その後、どういう訳か「世界初撮影!」以降、日本列島周辺ではあちらでもこちらでもダイオウイカが目撃、捕獲され、最近ではほぼ毎日のようにダイオウイカが上がってきているという状況だけに、もはやダイオウイカに「幻の」という接頭辞をつけるのもはばかられる状況になってしまった。
最初のころは、とらえたダイオウイカを各地の水族館や博物館が引き取って保存処理などを施していたようだが、こう次から次に上がってくるとなれば、その内処分に困って、イカ焼きにして食べてしまおう！などという話もでてくるのではないかと思って、エイプリルフールのネタにしたわけだったのだが－－－。
大きな物になると全長20メートルにもなるというダイオウイカだけに、これを丸焼きにするとなると相当でかいBBQ網が必要になるだろう－－－とか、ゲソ焼きだけでも数百人は食べられるのではないか―――などと想像は膨らんで結構面白かったし、例年通り妻はすっかりこのダイオウイカの丸焼き話を信じ「あんなに大きなイカでは大味過ぎて、やっぱりあまり美味しくないんじゃな〜い」などと乗ってきたりしていたのだが－－－（後で、エイプリルフールで騙されたと知って例年通り、カンカンに怒っていたが－－－）
今日、新聞を読んでいたら昨日、富山県射水市で全長約５・１メートルのダイオウイカが水揚げされたというニュースが載っていたが、その記事の中に、このダイオウイカを試しに食べてみた人の話として「イカ特有の歯応えはなかった。塩辛く、塩の塊を食べているようでおいしくはない」という感想が載っていた。
タカさんの先日のウソのような「ダイオウイカの丸焼き」ではなかったものの、やっぱりもう取れ過ぎの感のあるダイオウイカは標本ではなく、食べられるようになっているということらしい。
深海に住むダイオウイカがこう頻繁に上がってくるのは、何か大きな地震の予兆ではないか、とか地球温暖化で何か不気味な変化が深海で起こっているのではないか？といった話もあるというから、あまり気持ちのいい話ではないけれど－－－なにはともあれ本当に、日比谷公園でダイオウイカの丸焼きパフォーマンスが開催されるなどという瓢箪から駒のような話が実現する日が近々くるのかもしれない。
（04/9/14 10:00pm）
2014年4月9日
やわらかい肉
グルメ番組などで、牛肉が高級でいかに美味しいかを説明する時「口の中でとろけるようだ！」といった表現がよくつかわれる。日本人にとって「やわらかい」「上質な脂身（サシといわれる）が入っている」という表現は、その肉がいかに美味しいか、高級であるかを示すほめ言葉だ。逆に言えば「固い」とか「噛みごたえのある肉」という表現は、その肉がいかにダメな肉であるかということになる。
日本の和牛の認知度が世界的に高まっている昨今では、アメリカ人や欧州人なども、「やわらかい牛肉」を美味しいと認める人の割合が増えてはいるが、世界一の食肉輸出国であるブラジルなどの南米各国、あるいは豪州やニュージーランドからの訪日観光客の中には神戸牛のステーキなどを「噛みごたえがなく物足りない」「これは肉とはいえない」と言って嫌がる人がまだまだ多いという事をご存じだろうか。
南米や豪州などでは肉牛の肥育方法は、広い草原に放牧し、そこに生えている草を勝手に食べさせる、といういわば自由放任の方法をとっている。豪州などでは、日本向け輸出用の肉牛に限って、出荷の3－4か月まえにフッェドロットと言われる肥育場に集めて栄養価の高いトウモロコシなどの穀物飼料を集中的に与えてサシの多い肉を作る、といった突貫作業をするようにはなっているようだが、基本的には豪州産やブラジル産の肉牛は終生（？）、ワイルドな環境で草を食べて育てられる（グラスフェッドという）、当然脂身の少ない赤身の肉になるが、豪州や、ブラジルの人たちは幼い時からこういう自然のままの牛肉こそが本物の肉だと考えており、濃厚飼料を与えて育てた脂肪分の多い「やわらかい」肉は、人工的な肉として嫌う傾向があるのだ。
（アメリカでもテキサスあたりに行って食べるステーキ肉は、やたらとでかいけれど、サシなどはほとんど入っていない赤身肉が多く、当然固い、いや言い方を換えれば「噛みごたえのある」肉だ）いまでも多くのアメリカ人が「本物のステーキ」だというのは固めの肉であり、神戸牛ステーキのように口の中でとろけるような肉を「なんだか気味の悪い肉」という人は多い。
オーストラリアのアボット首相が訪日し、安倍首相との間で日豪EPA協定を大筋合意したという。合意の主な内容は、豪州側が日本車にかけている輸入関税を撤廃し、その反対に日本は豪州産牛肉にかけている39％もの関税を段階的に半分に下げるというものだ。現在、日本が輸入している牛肉のほぼ半数は豪州産だが、今回のEPA妥結によってその輸入量は更に増えることが期待されている。TPP交渉において日本側の輸入関税撤廃を主張してゆずらない米国に対するけん制策という意味合いもあるとも言われている。アメリカ産牛肉は、濃厚穀物飼料による肥育を行ったいわゆるグレインフェッド（穀物肥育）であり日本人の口には合うが、豪州産に比べて関税分だけ高くなってしまうとなれば、今後、さらに豪州産牛肉に日本の食肉シェアを奪われることにもなりかねないだけに、今回の日豪EPA妥結が、日米間のTPP交渉に与える影響は大きいのではないだろうか。
ところで価格面では輸入牛肉に押され気味の国産牛肉だが、今回の日豪EPAによって再び何らかの補助金が用意されることになるのだろう。「国産」牛とは言ってもそれらの牛が食べる飼料の90％は輸入されていることを考えるとこれは本当に「国産」なのか？と思わないではないが－－－。
豪州も、アメリカも日本人の口にあった「やわらかい肉」の生産に力をいれはじめており、しかも価格も安いとなれば、いつまでも酪農農家に手厚い保護策を与えながら高い国産牛を育てることの意味があるのだろうか、と思わないではないが。
（04/8/14 10:00pm）
2014年4月8日
2050年の日本は？
2011年に70億人を突破した世界人口だが、今現在でも1分間で137人、1日で20万人、年間7千万人の割合で増え続けており、既に72億人を突破しているという。
72億人というとてつもない数になった我々現生人類、ホモサピエンスだが、この72億人は皆、今から約7万年前、住んでいたアフリカの大地を離れ〈人類の「出アフリカ」といわれている〉世界中に拡散していったわずか数百人ともいわれる小集団を祖先としていることが、DNAの検査結果から分かっている。
アフリカに住む黒人と、我々モンゴロイド系、そして北欧に住む白人とでは見かけは随分違うけれど、遺伝子レベルでみればほとんど同じだというのだから確かに「人類は皆兄弟」と言ってもよいことになる。（そんないわば親戚同士で差別しあい、諍かいあっている場合ではないのだが－－－）
昨年、国連が公表した世界人口予測報告書によると、現在の72億人を数える世界人口だが、今後12年の間にさらに10億人の増加が見込め、2050年には96億人、2100年 には109億人に達するという。もっとも、地球には、100億とか110億という人口を支えるだけの食糧生産力やエネルギー量があるのか――となると大きな疑問符がつかないではないが－－－。いずれにせよ「人口増加」がもたらすイメージは、ここまで人口が増えてくると決して明るい物ではない、いやそれどころかどちらかといえば終末論に近いネガティブなイメージばかりだ。
一方、日本という国単位でみてみると、少子化による人口減少傾向は将来も進むようだ。今年1月に政府が発表した将来人口推計によれば2050年には日本の総人口は1億人を割って9700万人になるという。すなわち世界人口に占める日本人の割合は1%に過ぎなくなるという。かつては世界経済に占める日本経済の割合は米国と並んで18％にも達していた日本だが、新興国経済の成長などもあって現在では既に8%を割り込んでいるが、これに人口減が加わる2050年には、日本経済の存在感は当然数％にまで落ち込んでいるだろう。
現在日本の総面積38万㎢のうち人が住んでいるのは18㎢、すなわち無人地区は全体の53％だが、人口が1億人を割る2050年には、無人地区は全体の62％に広がっていると先週国土交通省が発表している。外国人移民の受け入れも今の調子でいくとさほど多くなっているとも思えないとなると、2050年、すなわち今から36年後の日本は、経済力もこじんまりした、国土の62%は人も住まない原野や森林に戻っているということでもある。自然環境破壊を伴う人口増加にくらべれば、自然の多い人口の少ない国の方がずっと良い！と考えることもできる。
いずれにせよ2050年の日本は、タカさん自身が見ることのない世界ではあるが、我々の子や孫の世代にとって、日本という国がいまよりもずっと住み易い国になっていればいいなぁ〜とは思う。
（04／7／14 10:00pm）
2014年4月7日
グローバリズムという理想
いまや「グローバリズム」は、世界的なコンセンサスとなっている感がある。辞書によれば、グローバリズムとは「地球上を一つの共同体と考えて世界の一体化を進めようという思想、運動」とあるが、「世界は一つ」という考え方は、国連憲章などにもうたわれているように、至高の平和思想として容易には反対しにくい思想である。
しかし、勿論世界には大きな反グローバリズム運動がある。さすがに正面切って「世界は一つではない！」とか「人類はみな兄弟ではない！」などと叫ぶわけにはいかないから、それは時には、グローバリズムによって進められる地域開発による環境破壊に反対する！という環境団体が掲げる「反グローバリズム」の形をとったり、グローバル化する経済によって発展途上地域から低価格の商品が入ることで雇用が脅かされる先進国の労働組合関係者が掲げる「反グローバリズム」であったりする。
すなわち、環境主義者を名乗ることや、あるいは「労働者の権利を守れ！」とさけぶことによってグローバリズムに反対している限りは、「偏狭な民族主義者、人種差別主義者！」というブーイングを避けることができるからだ。
コロンブス以前の北アメリカにあった原始林の95％を開拓によって伐採してしまった連中が叫ぶ「アマゾンの森を守れ！」という環境運動や、「後進国労働者の低賃金労働によって、自分達の仕事が奪われるのは許せない」という、先進国労働者の「自分さえよければ」という利己主義的な考え方に、「グローバル化によって地域の伝統が失われる」などといったオブラートを被せただけの「反グローバリズム」には胡散臭さが漂うが、そういう反グローバリズムが大きな勢力を保っているのが実情だ。
一例として上げれば、「日本の農業を守れ！」と、TPP反対を叫ぶ人たちも、広い意味では、既得権者による反グローバリズム運動の一派ということができる。
コメの完全自由化を許せば、日本のコメの数分の一以下でできる海外のコメが入ってきて日本のコメ作は全滅する。コメが全滅すれば、日本の里山の守り手がいなくなって、日本の自然の風景が失われる―――だからTPP反対！といった論理をきかされると、なんだかこの人たち、コメを守りたいのか、里山を守りたいのか、はたまた補助金の上乗せが欲しいのか分からなくなってしまう。
日本のコメを自由化すれば、日本の農業は全滅し、アメリカなどの巨大資本が潤うだけだ！というのが彼等の論理だが、日本にコメが売れるようになれば、東南アジアで貧しい暮らしをしている零細農民たちの暮らしが少しは豊かになるかもしれない、という可能性もないではない。そうなると、TPP反対とは「自分さえよければ」という既得権者による利己主義的な主張、ということになってしまうかもしれない－－。
経済学者のジャグディーシュ・バグワティーは、反グローバル化運動の参加者たちは、新興国・途上国から低価格の商品が入ることで雇用が脅かされると懸念する先進国の労働組合関係者とか市場経済にそもそも反対な共産主義者などさまざまなバックグラウンドをもっていると指摘しているが－－－。
人類にとってグローバリズムとは本当に良い事なのかどうか、改めて考えてみる必要はありそうだ。
（04／6／14 10:00pm）
2014年4月4日
運転手はイスラム
現在、日本の総人口は1億3千万弱だが、その内外国人在留者は200万人ほどだ。単一民族と言われる日本列島に住む人々の中に200万人の外国人がいることが、多いのか少ないのかの感覚は、人によって違うだろうが、欧米各国に比べれば少ないことはいうまでもない。
欧米各国では在留外国人の割合が日本よりもはるかに高いのみならず、移民などを経てその国の国籍をとったいわゆる「元外国人、あるいはその子孫」の割合は、帰化申請が世界一厳しいなどともいわれる日本に比べれば桁違いである。
少子化による労働生産人口の減少が避けがたい日本にとって新しい働き手の確保は焦眉の急の課題だが、高度な機械化などによって労働生産性を上げること、あるいは女性の社会進出を促進することなどの他に考えられるのが、この外国人労働者、移民の受け入れ問題である。
英仏では既に13％、ドイツに至っては19％の移民人口があることを考えれば、日本でも早急に人口比で少なくとも5％程度の移民の受け入れは必要かもしれない。
5％すなわち650万人である。既に200万の外国人がいることを差し引いたとしても、新たに450万から500万人の移民の受け入れが必要ということになるが－－－。
古代においては渡来人と言われる大陸からの人々を多く受け入れてきた日本だが、この1000年近くに亘っては、外国人の受け入れはまれであり、なじみがないだけに、新たに500万人もの外国人を、受け入れることができるのかどうか－－それによって日本社会はどのように変わっていくのだろうかとちょっと心配だ。
外国人労働の受け入れといえば、20年程以前から、介護士や看護師労働に外国人を採用しては－－－という提起がなされ、実際、インドネシアやフィリッピンなどからの受け入れの試みがなされているが、外国人労働者の流入によって既得権が侵されるのではないかと抵抗する、看護師組合などの圧力をバックにしたいやがらせ的な妨害工作によって、毎年数名、せいぜい十数名の合格者が出るに過ぎないという現状を考えると、500万などという数の受け入れが容易に行えるとはとても思えない。
ドイツではゴミ収集などのドイツ人がやりたがらない汚れ仕事はほぼ100％トルコからの移民あるいは出稼ぎ労働者が行っているという。日本でも大病院の清掃などの仕事では東南アジア系が働いているのを見かけるが――ドイツ並みになる日がいつかくるのだろうか。
日本中の町に新大久保（韓国系）や、池袋東口（中国系、台湾系）、葛西（インド系）のようなエスニックな街並みができてくる日がいつかくるのだろうか－－－。異質な文化の受け入れに慣れていない日本人が外国人労働者のコミュニティーとうまくやっていけるのかという点にも心配はある。数年前に自民党が、毎年20万人の外国人労働の受け入れ案をぶち上げていたことがあったがどうなっているのだろう－－－。
そうそう、以前アメリカでこんなジョークを聞いたことがある。「モスクワとニューヨークのタクシー運転手の共通点は？」「両方とも英語がしゃべれない」というものだったが－－－。東京でタクシーに乗ったら、カーラジオからコーランが流れてきた－－－なんていう日がいつかくるのだろうか。
（04/3/14 10:00pm）
2014年4月3日
理研というお役所
理研の正式名称は独立行政法人理化学研究所である。国の最先端技術研究所として毎年国から850億円にも上る予算（我々の支払った税金）が投入されている。スパコンの「京」だとか大型放射光施設SPRIG-8などの超大型研究施設を有しており、物理、化学、生物などあらゆる分野の研究者が集結しているという意味では、科学者にとっては憧れの研究施設ということができる。
STAP細胞のデーター不正問題で揺れる小保方春子氏が所属する発生・再生科学総合研究センターだけでも230人もの研究者がいて年間30億円もの研究費が与えられているというから、こんなに恵まれたこの分野の研究所は日本中探してもない、と言っていいぐらいだというが、その研究成果に目立ったものがなかったのは事実のようだ。
そんな理研にとっては、3年前に京都大学の小さな研究室で山中教授がIPS細胞を発見、ノーベル賞を受賞したという事実は衝撃だったようだ。すなわち、あれだけの莫大な予算と、大人数の研究者を抱えた恵まれた研究室であるにもかかわらず、これといった成果が出ていないのに、山中教授は数人のスタッフと少ない予算であんな世界的な業績を上げているではないか---「理研なにやってんだ！」といった世間の批判があるのではないかと思った理研が、小保方さんのSTAP細胞研究に起死回生の逆転打を期待し、前のめりになったことが、今回のお粗末な偽造、ねつ造問題になったのではないだろうか。
理研はつくづく「お役所だなぁ〜」と思う。中央官庁なり警察なりの「お役所」は、いつでも手柄は組織全体のもの（そして組織幹部のもの）とするくせに、不祥事などが起きると、その組織でもっとも弱い個人に責任のすべてを転嫁し、組織の幹部の責任はうやむやにして組織防衛にはしるが、今回の理研の対応がまさにその「お役所らしさ」丸出しだからだ。というのも、1月にSTAP細胞発見の記者会見をやった時には、理研のお偉いさんたちが打ちそろって出てきて「IPS細胞と比較してガン化リスクが低い」とか、「STAP細胞の方がはるかにIPSよりも収率が高い」などと山中さんに対抗心剥き出しにして散々理研の成果を吹聴しまくっていたのに、データー不正問題の最終調査報告の際には「小保方春子リーダーの単独犯」と個人の責任に全てを被せ、理研という組織自身の責任逃れに終始しているからだ。
小保方さんが、一人ですべての不正を行ったとしても、それを今の今まで理研の同僚や上司たちの誰もがチェックできなかったという、実に杜撰な研究管理体制こそが、問題だということに理研はそこをほおかむりしてしまっている。
論文ねつ造問題が起きると常に問題になる「何にも知らないけれど、論文のハクをつけるために、名前を貸しただけの共著者の責任」と同等の責任が、理研という組織全体には問われるべきだ。
もし、小保方さんがあの全盲の作曲家を偽装した佐村河内氏だとしたら、理研は新垣さんというゴーストライターや、やたらと佐村河内氏をヨイショしていた音楽界、マスコミと同じだ。「小保方さんが悪い」「佐村河内が悪い」ということだけで済ませているが、本当に悪いのは、そういう不正を助長した側（そういう意味ではあの論文を採用した「ネイチャー」も同罪だ）にあるのはいうまでもない。
（04/2/14 10:00pm）
2014年4月2日
節約しなければ
消費税値上げ前の週末に近所のスーパーに出かけたが大変な混雑だった。いつもならばレジも全部空いているわけでもなく、一つのレジに2,3人も客が並ぶのが精々なのに、すべてのレジが空いていてそれぞれのレジに10人以上の客がカート一杯の品物を積んで並んでいるという混雑ぶりだった。
住宅や車、家具や家電といった金額が張るものならば消費税値上げ前の駆け込み需要も分かるが、スーパーの食料品などはそうそう日持ちする訳でもないからそんなに買い溜めてみても－－－とは思うものの、やはりそうは言っても今日買えば4月1日以降に買うよりは3%安いとなれば、買い溜めに走るのはまさに「庶民感覚」という奴なのだろうと思った。そういうタカさんもこの日スーパーに走ったのはビールを買っておこうと思ったからなのだが－－－。
17年前に消費税が3%から5%に上がった時には、負担が2%増えるというだけで値上げ前の駆け込み需要と値上げ後の買い控えの落差が激しかったことを思い出す。あの年には消費税値上げ後に、悪いことにアジア通貨危機やら山一証券の破たん、などという事件も重なったこともあって結局、橋本政権が吹っ飛ぶことになったことを思うと、今回は3%も上がるのだから－－－とちょっと嫌な予感がしないではないが－－－。
ビールのケース買分も含めてレジで払ったのは9千円位だったから、?に入ってからの買い物に比べれば270円の節約になったという訳だ。なんだ、270円の為にこれだけの行列に並んだのか！と思わないではなかったが、しっかり者の妻にいわせれば「270円と言っても落ちている訳ではないのよ！」ということになるらしい。彼女に言わせれば、3％が家計に与える影響は月に1万円程度、年間で12万円になるという。確かに年間12万円の出費増は、収入が決まっている我が家の家計にとっては「たかが」という訳にはいかないことは確かだ。生活防衛という意味では、本当は何かを節約してその1万円を捻出すべきなのだろうが－－－。
昨年後半位からご近所ではかなりの家が、改築や新築をしていたが、あれは間違いなく消費税の3％値上げ前の駆け込み需要ということだったようだ。ということは、４月以降は個人住宅やマンションの需要はやはりかなり落ち込むということになるのだろうか。
そういえばタカさんも昨年末に車を買い換えたしWindows xpのサポート終了に備えてパソコンの買い換えもした。これってやっぱり「消費税値上げ前の駆け込み需要」になるのだろうか？ 車もパソコンも後10年位はつかうだろうから、そうするとタカさんは個人的には「消費税値上げ後の買い控え」をすることになり、これが景気の落ち込みの一要因になるのだろうか？？
もっともビールの方は本当ならば、「消費税が上がったのだから飲む量を控える」ようにするべきなのだろうが―――中々そうはいきそうもない。多分１個月もしたら買い溜め分も飲みつくしてしまうことになり、来月には値上げをしぶしぶ受け入れて新規購入をすることになりそうだ―――。たかが3％、されど3％である。
月１万円の節約、結構難題である。
（04/1/14 10:00pm）
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