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2014年1月
＜＜1月タイトル＞
01/31 教養とは 01/30 安全と安心 01/29 家庭内野党 01/28 人の命の問題 01/27 レディーファースト 01/24 国の為に？ 01/23 チップとお通し代 01/22 いいとこどり 01/21 美味い話 01/20 ニジマス弁当 01/17 多数決の神通力 01/16 歯医者も大変だ！ 01/15 睡眠と文化 01/14 隠し湯とディオパン 01/10 日本は軍国主義だって！ 01/09 告げ口外交の起源 01/08 メルケルさんの大ケガ 01/07 しっかりせんか！野党
2014年1月31日
教養とは
タカさんの座右の銘は、江戸時代の儒学者、佐藤一斎の言葉「少にして学べば、則ち壮にして為すこと有り。壮にして学べば、則ち老いて衰えず。老いて学べば、則ち死して朽ちず。」だ。
佐藤一斎の「言志四録」の中にある言葉だが（参照：「言志四録」を読む ）、「少年時代に学んでおけば壮年になってから役に立ち、何事かを為すことが出来る。壮年のとき学んでおけば老年になっても気力の衰えることはない。老年になって学んでいれば、知識も一層高くなり、社会の役に立つことも出来るから、死後もその名が朽ちることはない、という意味だ。
往々にしてこの言葉を、「勉強しなさい！勉強しないと偉くなれないわよ！」という母親から子供への言葉と同じ意味だと捉えがちだが、佐藤一斎の趣旨は、学ぶこと、教養を身につけることこそが、世の中の人々の為になることなのだすなわち｢少年の時に学んでおくことによって壮年になって社会の役にたつことができる、壮年になっても学び続けることが老年になっても尚、社会の役に立とうという気力につながる、老年に至っても学んでおれば、それは未来の世代の人々の指標となり未来社会の役に立つだろう」という意味である。
今まで自分が本当に学んできたか、あるいは今も学んでいるか、そして学んだことをどれだけ役立てたかを自問するときには、悔悟の念がないではないし、自分を磨き続けるという意味でいえば今の自分を反省する部分は多いものの、老年になった今、あらためてこの言葉の重みを感じる。
教養すなわち社会に対する奉仕の心、優しさだという彼の言葉を、今の社会に当てはめてみる。
例えば政治の世界。世界中の政治家が皆、十分な教養をたくわえていたとしたら、そもそも諍いは起こらない。たとえ起きたとしても「社会の為に役立とう」という教養ある政治家同士の話し合いによって戦争などというもっとも無教養なことは起きる訳もない。これは政治の世界ばかりではなく、経済、文化、あらゆる分野で言えることではないだろうか。
逆に、こういう視点に立って考えると（自分自身の反省を込めての思いではあるが）世の中には、いかに教養人が少ないかということにもなるのだけれど。
（1/30/14 10:00pm S.T.）
2014年1月30日
安全と安心
「安全」と「安心」は似たような言葉だがまったく違う。一番大きな違いは「安全」は確率で計ることできるから示された確率が極めて低いものであれば「ほぼ安全と考えてよい」と思えるが、「安心」は心理的なものなのでいくら数字を示され「まず大丈夫」といわれたところで「いや、そうは言っても安心はできない！」という類のものだ。
アメリカの国家運輸安全委員会の調査によると、アメリカ国内で、航空機に乗って死亡事故に会う確率は0.000034%だが自動車に乗っていて死亡事故に会う可能性はその約33倍の、0.03%である。確率から考えれば自動車に比べて航空機ははるかに安全な乗り物ということができるのだが―――。
2001年のアメリカ同時多発テロの後、人々は航空機による移動を避けて自動車による移動を選択したために10月から12月までの3ヶ月間だけでもアメリカに於ける自動車事故による死者数は前年比で1000人増加した。人々が安全ではなくて安心を求めた結果だが結局、死者の増加という実に皮肉な結果に結びついてしまった訳だ。
安全には科学的根拠という客観性があるが、安心は、主観的なものでありいわゆる「思い込み」に近いものだ。しかし往々にして人は客観的数字より主観的な思い込みを優先しがちだ。
「杞憂」の語源となった「天が落ちてくるのではないか」という不安を、安全の基準で考えれば、確かに6500万年前に恐竜を絶滅させた隕石落下があったし、小、中規模のものなら数万年単位での隕石落下、すなわち「天が落ちてきた」ことはあったから、100％安全だということはできないものの「まず、大丈夫だろう」と考えることはできる。しかし「安心」という点から考えれば、「6500万年前にあったのだから明日、大隕石落下あってもおかしくない」ということになり不安で不安でしょうがない、ということにもなる。
3年前、福島の原発であれだけの事故があったのだから原発は少なくとも「安心」ではないだろう。しかし、「安全」という観点からみたらどうなのだろう。
かつて電力会社は原発事故の確率は1000万年に一度、といっていたが福島以来、この確率を信じる人はいない。
どれだけ安全対策をとったところで小規模の事故ならば500年に一回だ、いや50年に一度だ、といった反原発派の試算もあるが、いずれにせよ、原発再稼動を行なおうというならば、この辺りの確率を科学的根拠に基づいて、どれだけ説得力のある物として発表できるか、にかかっているといえよう。
今現在、原発再稼動容認派、反対派いずれの側も、「安全」に基づく議論ではなく、「安心」すなわち極めて主観的、情緒的な議論をしているに過ぎない以上、この問題は容易に解決するとは思えない。
世界一のレベルにあるといわれる日本の原子力技術専門家の、奮起を期待したい。
（1/29/14 10:00pm S.T.）
2014年1月29日
家庭内野党
風力や太陽光のような自然エネルギーだけでは現在の日本の電力需要を到底まかなうことができないが、そんな中で原発を全て廃止すれば当然化石エネルギーの大量消費が避けられない。折からの化石燃料価格の高騰や、円安もあって日本の貿易赤字はついに11兆円と過去最高を記録したという。もちろん「原発を全て止める為には、化石燃料輸入の為にカネがかかるのは致し方ない！所詮、カネで済むはなしではないか」という意見もあるから、あえてこの「原子力か化石燃料か」の議論は、いまは脇においておこう。
しかし、進行する温暖化ガス排出による地球温暖化をどう防ぐのか、という話になるとやはりこの「原子力か化石燃料か」の議論に全く目をつぶるわけにはいくまい。
震災前にはそれこそネコも杓子も、叫んでいた「温暖化防止」の叫びだが、当時言われていた「自然エネルギーの比率を増やしつつ安全性に配慮した一定量の原発、そして天然ガスなどの化石燃料のベストミックスによってCO2排出削減をはかる」という話は、少なくとも「原発即廃止」の人達からは出ることはなくなっている。
自然エネルギーだけで日本のエネルギー需要を賄うことは何十年か、何百年先には可能かもしれないが現実論としては無理だ。現在、再生可能エネルギーといわれるエネルギーに水力を入れても日本の需要の8%に満たない。今後カネに糸目を付けずに風車やソーラーパネルを日本中の土地という土地に設置したとしてもそれでも日本の需要を賄いきれないのだ。よほどの技術的ブレークスルーがない限り、日本中、見渡す限り風車と太陽光パネルだらけの景観となってしまっても尚「よかった、よかった、これで原子力も化石燃料も使わないで済んだ！」と大喜びできるものだろうか。
なにかというと「日本がお手本とすべきだ！」と挙げられるドイツの場合でも2050年までに再生可能エネルギー比率を25％に高めるのが精々だというし、残りのエネルギー源はフランスの原発から買うとか、中国のPM2.5問題でも悪名高い石炭、そして輸入原油に頼るのだという。これって本当に「ドイツのエネルギー政策は素晴らしい！」と諸手を挙げて賞賛すべきことなのだろうか。
そもそも、相変わらず石炭と石油と天然ガスを使い続けるとなれば、「CO2削減による地球温暖化防止」は、頬かむりせざるを得なくなるのでは。
昨年暮れに、安倍首相のもっとも手ごわい野党であり「家庭内野党」ともいわれる昭恵夫人が東日本大震災の被災地の巨大防潮堤計画に関する会合に出席し「15メートルもの高さの防潮堤では景観が崩れ、環境も破壊される。もう一度考えてほしい」と計画見直しを主張したという。帰宅した首相にも「何とかならないの」と迫ったが、首相は「一度決まったものは変えるのは難しい」と答えたという。
昭恵夫人が昨年末見学に訪れたのは塩釜市だが、15メートル防潮堤予定の彼女が上陸した無人島での一つは水浸しで、田んぼや畑らしきものはなかった、というのだから彼女ならずとも、「何のために景観や環境を破壊してまでも15メートルもの防潮堤で島を取り囲むのか？」と思うのは当然だ。（多分、地元の土建業界と行政の癒着の結果なのだろう？）
石油と原子力を使わなければ温暖化が進むだろうし、「津波に対して絶対安全な備え」を求めれば、白砂青松の景観も環境もめちゃくちゃだ。
一方のデメリットに目をつむり、言いたい放題の要求に、どこかでだれかが喝を入れる必要がありそうだ。日本人ももう少し賢くなろうよ！
（1/28/14 10:00pm S.T.）
2014年1月28日
人の命の問題
冷凍食品に農薬を混入させ逮捕された男は、同僚達との雑談で「いくらでもできるよなぁ〜」と言っていたという。人様の食べる物を作っている工場が、実は猛毒の農薬を「入れ放題」だったと聞いて、親会社マルハニチロとその子会社の食品安全管理は一体どうなっていたのか、そして監督官庁もちゃんと仕事をしていたのか！とあきれるばかりだ。
なにせ事は、人の命にかかわることなのに、こんないい加減なことがまかり通っていたとは―――冷凍食品は怖くて口にできないのではないかとすら思うが、日々の食材、あるいは今の食品業界、外食産業など全てが冷凍食材なしでは成り立たない、と聴けば、原発反対！といいながらも電気を使わない訳にはいかないのと同じことだと気付き、鼻白まざるを得ない。安全神話が強く信じられていた日本で、実は安全は酷く軽んじられていたことが次々と明らかになってきている。
マルハニチロも酷いが、それ以上に酷い話もある。JR北海道だ。昨年の函館線の脱線事故を端緒に約270箇所もの線路異常が発覚したが、その後も、幾度かの業務改善命令を受けながら改善せず、挙句には検査データの隠蔽、改ざんまで露見した。線路異常を放置したままにしておけば、又再び脱線事故などが起き、まさに「人の命」の問題になるということに何故目をつぶったのだろう−−−。
安全が第一であるべき鉄道事業でありながら、目をつぶって自動車暴走運転をくり返すようなことをしていて平気だというその体質が全く理解できない。
隠蔽や改ざんも酷い話だが、更には昨年9月に回送列車の自動列車停止装置（ATS）を運転士がハンマーで破壊するという事件も起きた。救命ボードに釘で穴を開けるに等しいこの犯罪に対してJR北海道は、この運転手を、出勤停止15日の懲戒処分という大甘処分で済ませようとした。菅官房長官が記者会見で「安全安心をぶちこわすような行動をした人に、たった15日間の処分はありえない」と述べたことでJR北海道はようやくこの運転手を告訴したが、この安全軽視、身贔屓の体質は腐りきっているといってもよいのではないだろうか。
JR北海道では 20年11月からの酒酔い運転防止の為の乗務員の乗務前アルコール検知器の導入を組合員比率約84％を誇るJR北海道労組が拒否したために、全国のJRで唯一、検査の義務づけを行なえなかったというとんでもない話があった。ようやく昨年改善されたものの、ATSを壊した運転手の甘い処分も、労組の横暴と、その労組に迎合する本社のタッグによって、乗客の安全は常に二の次、三の次にされた結果だ。
民間企業である、アクリフーズという子会社のみならず親会社マルハニチロ本体も、安全管理を怠ったことにより、その経営は非常に厳しいものにならざるを得ないだろう。ところが、マルハニチロ以上に酷いJR北海道、JR北海道労組は、上場もしておらず実質的には100％の国営企業だ。公営であることをいいことに、彼等がこれからも安全管理を怠り続けても、即倒産といったことにはならない。民営化前の国鉄とその組合の悪いところを、更に悪くしたようなJR北海道。
この際、北海道の人々と北海道を訪れる人達の命を守るために、一旦、経営破綻させて、経営者側、組合側を全員新しいやる気のある鉄道マンと入れ替えて再出発させる以外ないのではないだろうか。
（1/27/14 10:00pm S.T.）
2014年1月27日
レディーファースト
男女の関係について、儒教的な考えが主流をしめていた時代には「妻は、三歩下がって夫の後をついていく」といった姿勢が望ましい、と言われていた。
しかし、西欧のレディーファーストのエチケットは、例えば、「エレベーターに乗る時には男性が開いたドアを押さえ女性が先に乗降するのを助ける」といった風に、全く逆のエチケットがよしとされる。
最初にアメリカ駐在をした時には、このレディーファーストにいささか戸惑ったこともあった。もちろん、日本でも買い物に行けば妻の荷物を持つのは当然やっていたが、海外では女性がいるのに気を使わずに先にエレベーターに乗り込む男性がいたりすれば「なんて野蛮人な！」などといった目で見られるのではないかと、ある意味ではエレベーターの乗降時はやや緊張したりしたものだ。
海外に住んでこういったエチケットに慣れ、日本に帰ってきてからしばらくは、ドアが開いたので女性を先に下ろそうと、待っていると「三歩下がって」に慣れている女性の方が「このおじさん、早くおりてよ」といった顔をするなどという「にらめっこ」状態になることもあった。
あの頃はまだ、日本では、「三歩下がって」の古くからの考え方と、新しい欧米流「レディーファースト」がせめぎあっていたのかもしれない。
最近は、若い世代を中心にこのレディーファーストが、日本でも大分定着しているが、歳のいった夫婦などではまだまだ「三歩下がって」と「レディーファースト」がせめぎあっているような気がする。
現在80歳で生涯独身を貫いているタレントの黒柳徹子さんが、理想の男性のタイプを問われて「若い時は、頼りがいのある年上の男性で荷物を持ってくれるような人だったけれど、この歳になると年上となると介護をするような相手になってしまうので―――やっぱり若い人がいい」と言っていたが、ニューヨーク生活の経験がある、彼女だけに、理想はレディーファーストということのようだが、80代の女性の大半は、まだ「三歩下がって」がおおいのではないかとも思う。
レディーファーストのマナーは中世の「強い男性は、か弱い女性を守るべきだ」という騎士道精神から発しているといわれているが、最近では、男性よりはるかに体力もある女性が増えていることとか、男女同権意識もあって「何故、男が女性の荷物をもたなければいけないのか」などという若い人もいるという。
「三歩下がって」から、レディーファーストへ、そして将来は、「男女ともに自分の荷物は自分で持つ」といった風に、再び男女間のエチケットが変わってくる可能性もあるのだろうか。
（1/26/14 10:00pm S.T.）
2014年1月24日
国の為に？
今から53年前、ケネディーが大統領就任式で語った言葉「国が君に何をしてくれるかでなく、君が国に何ができるかを考えよう」は、デュマの小説「三銃士」で有名な「一人はみんなの為に、みんなは一人の為に（One for all, All for One）」 と同趣旨の考え方だといえるのではないだろうか。
個人の権利は守るために全体は最大限の尽力をなすべきであり、同時に個人はその属する集団のために奉仕しなければならないという趣旨であり、否定しがたい理念のようにも響くが、この当時のアメリカはベトナムへの軍事介入に本腰をいれはじめた時期でもあり、又当時米国では徴兵制をとっていたこともあって「もし戦争が起こったら個人は、国の為に戦うべきだ」という裏の意味がケネディーの本意であった、といった解釈がなされることもあり、リベラル勢力（ケネディーの支持母体でもあった）の中には、彼に裏切られた、と感じる人達も多かったという曰くのある言葉でもある。
元々、愛国心発揚に今も極めて熱心な米国だけに、このケネディーの言葉の影響で多くの兵士が勇んでベトナムの戦場へと向かったという事実がある。今もし、安倍首相が、ケネディーのこの言葉を演説で語ったとしたら（絶対に語りはしないだろうが）―――3.11のがれき引き受けに日本中が示した拒否反応のことを思えば、個人の権利意識だけは異常なほど高く、全体のことなど考えない日本人のことだから、安倍さんは、猛烈なバッシングを受けて即退陣、なんていうことになるのではないだろうか）
5年毎に行なわれている「世界価値観調査」に「もし戦争が起こったらあなたは国のために戦いますか」という質問があるが、「はい」と答えた比率が世界の約40ヶ国の中でもっとも低いのが日本であり、その比率は15％だ（「いいえ」が47%、「わからない」が37%）、日本の次に低いドイツでも33％、次に低いスペインが37%、に比べてもダントツに低いといえる―――ベトナム95％、中国90％がもっとも高い。ちなみに韓国74%、米国63％が「はい」である）
そういえば寺山修二に「マッチ擦るつかのま海に霧深し身捨つるほどの祖国はありや」という歌がある。戦時に幼少期を過ごした軍国少年であった彼が、戦後、あまりにもあっさりとそれまでの価値観をうち捨てて軽薄化していく日本の現状を嘆いた歌とも、いや日本にもっとしっかりして欲しい、という歌だとも言われているけれど、今の若者が寺山と同じように「身捨つるほどの国」だとは思っていない、国を信頼していない、ということが、世界価値観調査の結果に現れたのだろうか、それとも−−−。
中国、韓国は「日本は軍事国家だとレッテル貼りに必死だが−−−世界で一番「国の為に戦う」気のない国民が多い国を、「軍事国家」と罵る人達の思考回路は一体どうなっているのかと思わないではない。
（1/23/14 10:00pm S.T.）
2014年1月23日
チップとお通し代
海外旅行に行くのが嫌だ！という日本人が少なからずいる。言葉が分からない、治安が悪そう、PM2.5が凄そうだから等々様々な理由があるけれど、その中の一つに「チップをいくら払ったらよいかわからないから」という理由があると聞いて「な〜あるほど！」とうなずいてしまった。
確かに、日本人にとってあのチップという制度、一体どういう場面で、どの程度払ったらよいものかさっぱり分からない。払うべきところで払い忘れたたら「ったく！日本人ってぇ奴は！」と軽蔑されるのではないか、そんなことで国際的（？）に日本の評判をおとすことになったら―――なんて、心配する人もいるかもしれない。
払わなければ払わないで恥をかくだろうし、かといって払いすぎたら払いすぎたで「日本人ってぇ奴は、チップの相場も分からない田舎者だ！」とバカにされそうだし−−−などと考えたら、「そんなに気を使ってまで海外に行きたくはない！」と思う人がいても不思議ではない。
その点、日本国内では（綺麗なお姉さんのいる店などを除けば）チップなどという訳のわからないことに気をつかわないでよい、海外もチップなどという悪習（！）を止めどうしてもというなら（Service charge）として15％なり20％を上乗せしてくれれば良さそうなものなのに！と思う気持ちもわからないではない。
ところが、海外から日本を訪れた旅行者が、「我々の国にこんなバカな制度はない！」「理解できない！」「と怒っている日本の料金があるというからびっくりした。料理屋や居酒屋などに入った時に出てくる「お通し」だという。
注文してもいないのに、勝手に出してきて、タダだと思って食べたら（食べなくても）すくなからぬ料金を取られるのだから「詐欺だ！」という怒りにかられるのだとか。海外の人達がチップという制度に疑念を抱かず、当然の経費と考えているのと同じで、日本人の多くは（勿論、タカさんも）お通し代が「不当だ！」などと考えたこともなかっただけに、外国人旅行客の意見にちょっとびっくりした。
たしかに、お通しとして出てくる品といえば精々小鉢の酢の物だとか、2−3切れのピリ辛こんにゃく、といった物だ。（料理ができるまで、まず摂り合えずこれを摘まんでいて下さい、というのがお通しだから、手の込んだ豪華なものをだすのは却っておかしい）
外国人だけではなく最近の若い人の多くも、この程度のもので、タダならともかくカネを取るのはケシカランと考えるらしい−−−今までそう思ったことはなかったが、いわれてみれば確かにそんな気もしないではない。
某大学が、お通し代についてのアンケート調査を行なったが、お通し代が「高い」と回答した人が全体の66％もあったという。確かに、明朗会計が売りで、料金も格安という居酒屋チェーンでもお通しは出て来るし、断る訳にはいかないところがほとんどだ。古い日本の食べ物屋の商習慣ではあるが、そういった商習慣が日本人にさえ理解されなくなってきているのが現実のようだ。
我々日本人がチップの習慣を我慢しているように、外国人や若い人たちにもお通し代になれてもらうか−−−それとも、この際「席料」（Table charge）と無粋な名前に変えることも考えた方がいいのかもしれない−−−。
（1/22/14 10:00pm S.T.）
2014年1月22日
いいとこどり
古く非効率だといわれてすっかり影をひそめてしまった日本的経営だが、その特徴の一つが終身雇用制度だった。逆に考えれば、終身雇用制度の崩壊こそが、この20年の日本社会のあらゆる面での変容の原因だとさえいえるかもしれない。
終身雇用制度の「非効率」を廃し、合理的といわれるアメリカ型の雇用制度への転換をはかってきたことが、果たして良かったのか悪かったのかを断定することはできないけれども、とにかく、もう二度と日本社会が終身雇用制度に戻ることはないだろう。今や終身雇用は「失われた古き良き日本の伝統」の一つといってよいだろう。
「日本の伝統」といえば古くは神事として行われたという起源を持つ相撲もその一つだ。考えてみると、日本の伝統である相撲と終身雇用は密接に結びついているように思える。
大相撲において、幕下以下の力士は、住むところ食事などは所属する部屋から与えられるとはいうものの基本的には無給、年間数十万の場所手当があるだけだ。若くして大相撲に入門することは、ある意味では若者がある企業に就職するのと同じようものだが、相撲界という企業に就職して稽古に励んでいる時期、すなわち企業に就職して研修している期間、新弟子たちはタコ部屋で無給（年数十万円の場所手当という名の小遣い銭はでるが）の研修を受けさせられているのと同じだ。研修期間は無給というのだから、今でいうブラック企業に就職したようなものだ。
ようやく番付を上げて（研修を終えて）十両以上の「関取」になると最低でも月給105万（年収で1300万程度）、横綱になれば月給282万、その他の手当などを入れると年収5000万程度だといわれている。その他の待遇も、幕下以下とは雲泥の差だ。（若い内は安月給だが、大企業幹部ともなれば黒塗りの車や秘書が付いたかつての日本式経営の企業と同じだ）
もっとも、関取の待遇はよいとは言っても他のスポーツの一流に比べたらそれほどでもない。例えば、横綱の年収を5000万円だとしても、年俸5000万以上のプロ野球選手は、全球団では130人以上いることを考えればむしろ安い、というべきかもしれない。しかし、他のスポーツと比べたら大相撲が圧倒的によいのは現役を引退しても親方や役員としての終身雇用が保障されている点だ。
関取として一定程度の実績を残せば、相撲協会に残ることができ65歳の定年までの給料が保証されている。定年退職に当たっては一般企業と同様、退職金も支払われる。
まさに、相撲界こそが今も、しっかりと日本的終身雇用という日本の伝統を守りつづけている企業ということができる。（15歳で入門した若者は、最初は無給、あるいは超低賃金でこきつかわれるが、実力プラス年功序列のレールにのれれば65歳までの50年間、企業（相撲協会）が面倒をみてくれるのだから、一億円の年俸をとっていても次の年、戦力外通告をうけたら収入ゼロになるプロ野球にくらべたら、はたしてどちらが、金銭的にも精神的にもプラスといえるだろうか）
終身雇用制をとっていて近代化から取り残されたかのように見える大相撲だが（たしかに、場所中の観察室でマンガを読んでいて厳重注意を受けた高砂親方のような「なにもしないおじさん」がいる点は、かつての一流企業と同じだが）「番付一枚違えば天と地の違い」といわれるように「実力主義」はしっかりと取り入れているし、以前は日本人力士しか入門できず閉鎖的な社会だったが、今や、積極的に外国人力士に門戸を開放し、いわゆる「外国人雇用」に大きく梶を切るなどの、アメリカ的経営のよい面も取り入れている。
そういう意味では、相撲界は日本の多くの企業も見習うべき、和洋両方の経営法の「いいとこどり」の例（成功例といえるかどうかはまだ推移を見守る必要があるが）ではないかなぁ〜とも思うがどうだろう。
（1/21/14 10:00pm S.T.）
2014年1月21日
美味い話
「やせたい！」という多くの女性達の願望に「つけこんだ｣商売の年間売り上げは一体どれぐらいの額に上るのだろう。下剤でもあるまいし「飲むだけでやせる」などという宣伝文句のなんだか詐欺に違いない、と思うような商品、一部上場の食品会社や製薬会社のダイエットサプリ、痩身エステなどの類の勢いは物凄いものがある。
なんだかインチキ臭い産業だけれども、年間何百億円というこの産業からの広告料収入で成り立っているマスコミが批判的に報じることもないし、まあ、やせたい！一心の消費者達も、「これを飲んでやせられればもうけもの」という気休め目的で利用している訳だし、別に効果がでなかったからと言って「訴える！」と息巻くほどのものでもないから、販売者が抗議されることもない。これから新事業をはじめようという向きには、ダイエット産業は、まだまだ有望な分野といえるのではないだろうか。
ダイエット産業同様、人々の欲望、願望につけこんだビジネスといえば、「英語」ではないだろうか。中学から始まった学校の英語教育でいくら勉強しても多くの日本人にとって英語をしゃべることは至難の業だ。「英語がしゃべれるようになりたい！」という日本人の願望は、もうかれこれ100年以上の歴史があるのではないだろうか（にもかかわらず未だに、多くの日本人にとってその願望は叶えられてはいない）
ちょっと前、駅前といえばパチンコ屋より多い位の教室をかまえたNOVAなんていうのが大流行していたこともあった。英語ビジネスもダイエット産業同様に、廃れることのない産業だ。
NOVAが全盛だった頃、ある関係者に聞いた話ではこの商売ほど少ない投下資本の割に儲かる商売はないとのことだった。NOVAの教室を開こうと思えば、駅前にあるビルにいくらかのスペースを借りて、レンタル屋から借りた机、椅子、ホワイトボードを並べ、プータロウの外国人をアルバイト教師に仕立てあげればよいのだから、レストラン等を開業するのに比べたら設備投資は極めて少なくて済むし、もし客が集まらなければ外人をクビにして机やホワイトボードをレンタル屋に返せばよいのだから、こんなに楽に儲かり、リスクの少ない商売はない、と言っていたのを思い出す。NOVAは、社長が自家用ジェットを何機か持つなどのバカな散財をした為に潰れたが、今も相変わらず英語ビジネスには客が押しかけ、儲かるという状況に変わりはないという。（日本人の英語願望は益々高まるばかりで、将来、この願望が満たされる可能性もないとなれば英語ビジネスの将来展望は明るい）
そんな折角のビジネスチャンスを頂こう！と最近稼ぎまくっている一例といえば「聞き流すだけで英語がしゃべれるようになる」という奴だ。「テキストは不要」「ただ、聞き流すだけ」で某ゴルフ選手のようにすらすらと英語がしゃべれるようになる！というのだから、「飲むだけでやせる」と美人モデルを使って宣伝するダイエットサプリに飛びつく女性と同じように、｢英語がしゃべるようになりたい｣客が殺到するのも当然だ。
宣伝通り、半年だか1年の間、CDを一日何分か聞き流すだけで英語がしゃべれるようになるなら、世界中で「聞き流すだけ」の語学教育が盛んになっているだろうし、文部省もこの英語教育法を取り入れていてもよさそうなものなのに―――とは「客」は考えないようだ。
ダイエットサプリ同様、宣伝には「あくまでも個人の体験です」という断り書きが義務付けられている訳ではない、英会話CDを5分とか10分聞き流すだけで魔法のように皆が「ある日、突然英語がしゃべれるようになった」なんていうことがある訳もない。
「必ず儲かる」「飲むだけでやせる」「聞き流すだけでしゃべれるようになる」という美味い話は―――ある訳もないことを肝に銘じようではないか。
（1/20/14 10:00pm S.T.）
2014年1月20日
ニジマス弁当
ミシュランに載るような一流レストラン、リッツカールトンなどの一流ホテルが、バナメイエビを芝エビ、ロブスターを伊勢エビなどと偽って提供していたという例の「食品偽装」問題。話題として面白かった(?) 所為もあって最後の頃は、マスコミの重箱の隅を突っつくような揚げ足とりともいえる「告発」が続いた。
そんな風潮があったからだろうか、なじみのスーパーやレストランではいつの間にかメニューが変わっているものもある。
タカさんがお気に入りだった近所の「手こね鳥唐揚げ」は、偽装問題の最中から突然姿を消した。多分「おい、本当に手でこねているのか？」と問い合わせられたら「実は機械でこねていました」と答えざるを得ないし、そうなれば「偽装だ！」と騒がれて大変なことになる！と心配したに違いない。
機械でこねようが、手でこねようが、味で違いが分かる客なんていないに違いなかろうに、あの時の「偽装摘発騒動」の勢いはある意味では、総ヒステリー状態だったことを考えると、「手こね唐揚げ」の静かなる退場も仕方がなかったのだろう。
あれ以来、日本中のレストランメニューから多くの「手打ち」「手のべ」「手造り」が消え去ったのではないだろうか。
あの騒ぎの最中、「メニュー偽装がこんなに横行しているのは監督官庁がいい加減だからではないか。消費者庁は何をやっているのだ！」という声が起きた。そんな声があったからだろうか、消費者庁は昨年末「メニュー表示のOUT例」なる指針を発表した。
これによるとバナメイエビを芝エビ、ブラックタイガーを車エビと表示するのはアウトとされているなど、昨秋の偽装騒ぎの時に話題になった食品のほとんどがアウトとされている。アウトとなればレストランなどでは表示を変えざるを得ない。「バナメイエビのチリソース」では余り美味そうではないからこれは単純に「エビのチリソース」にすればよいが、「牛脂注入加工肉」を使って提供していた「ビーフステーキ」あるいは「ステーキ」が、全てアウトとなるとファミレスなどからは「ステーキ」がメニューから姿を消さざるを得ない。
「鴨南蛮」もこれからは「合鴨南蛮」あるいは「あひる南蛮」とメニューに書けというのが消費者庁の指導だが、「鴨南蛮に、合鴨を使っていることなどこの100年続いていることなのに！」というブーイングが老舗そば屋辺りから出てきたら、消費者庁はどう答えるのだろう。
回転寿司のサケもほか弁のサケも、実はニジマス（サーモントラウト）であるが、消費者庁はこれもアウトだという。さあそうなるとこれからシャケ弁は、ニジマス弁当にならざるを得ないけれど、回転寿司業界もほか弁業界も黙って従うだろうか。
「シャケ弁」はともかく「鴨南蛮」「（機械打ちであっても）手打ちそば」などは、すでに「伝統的料理名」になっている。そんなものまでお役所的な「指導」「指針」を出すことは、寧ろ滑稽にさえ思えるのだが。
（1/19/14 10:00pm S.T.）
2014年1月17日
多数決の神通力
民主主義（デモクラシー）とは何か、という問いに一言で答えることは難しいが、「諸個人の意思の集合をもって物事を決める意思決定システム、政治体制のこと」といった辺りが、まあ、一般的な答えということになるだろうか。
現在、民主主義国といわれる国々で一般的にとられている「個人の意思の集合」とは、原則「多数決」である。51人が賛成ならば49人が反対であっても「この集団の意思」は、「賛成」とする、というのが多数決である。
しかし、多数決とはいっても100人中の81人が投票などによる個人の意思表示に参加せず、投票した19人の内、10人が賛成、9人が反対だったとしたらこの集団の「意思の集合」は、「賛成」だと言ってよいものだろうかとか、賛成票を投じた者の多くが買収されて「賛成」に投票したとか、脅迫されて「賛成」に投票したに過ぎないという場合はどうなのか？等々、単純に「多数決で決めた民主的結論」という訳にもいかない、という場合もある。（ヒトラーのナチスが当時、最も民主的といわれたワイマール憲法による選挙の結果生まれたとか、イラクのサダムフセイン政権も国民投票において99.9％の圧倒的支持を得て政権運営に当たっていた−−−等「民主主義」の「不都合な真実」の例は数限りない）
民主主義はベターな制度ではあるが、完璧でベストな意思決定システム、政治制度という訳でもない。しかし、いかに問題、欠陥があるとはいえ、民主主義に変わるシステムがないことも事実だ。（参照：「民主主義は難しい」12/03/13、等々）
タクシン派、反タクシン派による政争によるタイの政治混乱が益々深刻だ。汚職裁判に於いて有罪が確定したタクシン元首相は、国外逃亡し、逃亡先から妹のインラック首相を傀儡にして、自らの「恩赦」法案を可決させた。
タクシン・インラック兄妹の支配下にある与党は、以前から貧困層に対する数々のばら撒きを行なってきたこともあって、いまだにタイの過半数をしめる貧困層の支持は厚く、もし選挙を行なえば再び圧勝することはあきらかだ。ばら撒き策に反発する都市部の中間、富裕層を支持基盤に置く反タクシン派は、選挙実施には反対だ。
反タクシン派としては、タクシン派の目論む「多数決によるタクシン氏の恩赦へのお墨付き」を阻止するために「選挙実施の前に、インラック内閣は辞職し、政治改革を優先すべきだ！」と首都封鎖デモをしかけている。反タクシン派の大規模デモは、「多数決では負けるから、その前にどうにか政府を倒してしまえ！」という反民主主義的な策謀にも見えるが、「タクシン派の貧困層に対するばら撒きによる民主主義の形骸化を阻止するにはこの手しかない」という主張にも一理あるようにも見える。
お互いの側が、「わが方こそ正しい民主主義の担い手だ！」と主張しているのは、「民主主義」という名目の神通力がいかに強いかということの証左ではないだろうか。「民主主義」の神通力は、戦争の際につかわれる「平和の為」という神通力に似た絶大な威力がある。
タイのこの「民主主義」争いは、決して対岸の火事ではない。日本でも「民主主義」という名であれば、なんでもかんでもOK、といった風潮は顕著だ。
原発問題、普天間問題、特定機密法案等々、我々を取り囲む諸問題すべてを、単純に(国民投票のような）多数決で決めれば、たしかに「民主主義的政策決定」といえるかもしれないが−−−。
（1/16/14 10:00pm S.T.）
2014年1月16日
歯医者も大変だ！
豪華客船「飛鳥」で約4ヶ月をかけての世界一周クルーズの料金は、一番安いランクでもお一人様約500万円、最も豪華な客室となるとお一人様約3000万円だ。夫婦で世界一周、となれば当然その倍額となるわけで中々一般庶民には手の届かない金額ではある。（それでも「飛鳥」のこの料金は、外国の豪華客船に比べれば格安であり、乗客の99％が日本人！という気楽さもあって日本のお金持ちには好評だとか）
料金もさることながら4ヶ月間もの時間をかけるとなると乗客は、「カネとヒマ」の両方がある人達ということになる。飛鳥でこのクルーズに参加した知人の話によると、そんなこともあって乗客の大半が、現役を退いた会社経営者、医者といった人達だったという。知人もリタイア直後に世界一周に出かけた口だったが、その話によれば、それでも乗客の中にはちらほらと「現役」というカップルがいたという。会社経営、医者、あるいは弁護士などで、収入がかなり良い人でも、現役中なのに、4ヶ月も現場を離れていても大丈夫、という仕事は少ないはずだが−−−と聞いたら「現役」のほとんどは、歯医者さんだったという答えを聞いて「なるほど」と思った。
医者と違って人の命を左右する訳ではない歯医者の場合、患者の予約を調整し「来月から4ヶ月ほど休診」ということも可能だし、なにせインプラントで土台を作り上下総入れ歯、なんていうものになれば数百万円、なんていう料金がかかることを考えれば、「相当儲かる商売」だろうし、まさに「カネとヒマ」が自由になる職業なのだろうと思ったものだったが−−−。
そんな話を聞いたのは、実はいまからもう十数年も前の話だが、最近は歯医者業界(?) もそんなに甘くないのだそうだ。聞くところでは、近年は、特に都市部の歯医者は、高齢化や競争激化によって廃院、閉鎖が続いているのだとか。
一説では日本中の歯医者の数はコンビニの数を上回っており、毎日１軒の割りで閉院が続いているという。そういえば、最寄り駅周辺のビルにはかなりの数の歯医者がひしめいており、一頃は駅前といえばサラ金だったのに、最近は2-3件の歯医者が入っているビルがあるなど歯医者がかつてのサラ金にとって代わった感がある位だ。
客というか患者が殺到する人気の歯科医院も勿論あるが、中高年の院長先生がこぢんまりとやっているようないわゆる「町の歯医者さん」となると、それなりに客の入りも落ちているようで確かに「ご主人はベンツ2台、奥様はミンクのコートを着てBMW、お嬢さんがAUDI」なんていう昔の「歯医者といえば金持ち」というイメージとは大分違ってきているかもしれない。（細かい作業が必要な歯科医は、視力が衰えてくる60歳を過ぎると、現役を続けるのが体力的にも難しくなるのだとか―――その点、聖路加の日野原先生のような医者と違って、100歳を過ぎても現役、という訳にはいかないらしい）そうそう、最近は治療を受けると、商品券などと交換できるポイントを出すなどのサービスで患者集めをする歯科医院もあるというから、確かにこの業界もそうそう甘くはないというのは事実のようだ。
時間は十分あるタカさん夫婦だが、二人そろって直ぐ船酔いする体質であり、宝くじにあたったとしても飛鳥のクルーズには参加するつもりはない。（いや、決して負け惜しみで言っているのではありません、念の為）
（1/15/14 10:00pm S.T.）
2014年1月15日
睡眠と文化
年間を通じて続けている早朝ウォーキング（昔はジョギングだったのに−――）の為に、毎朝5時前には起きるようにしているのだが、習性となっている早起きとは言え、冬のこの時期になると寒さで、さすがに起きだすのを辛いと感じることはある。
明け方雨の音が聞こえ、今日はもう少し寝床にいてよい、と思うと正直、なんだか随分得をしたような気分になることもあるのが特にこの時期である。
そんなに辛い思いまでして早起きしなくても、もう少し温かくなってからウォーキングをすればよいのに、と思わないではないけれど、やはり朝いつも通りの時間に起きないと、その日一日のタイムスケジュールが狂ってしまい、それが体調のリズムを狂わせるような気がするだけに、寒さで「もう少し寝ていようかなぁ〜」と思ってもやっぱり起き出してしまうのは、A型だからなのかもしれない。
早起きが辛いというなら「早寝をすればよいではないか」、「昼寝をすればよいではないか」という医学的(?) アドバイスもないではないが、現代日本で生活していて「早寝と昼寝を組み合わせて、十分な睡眠時間を取る」などという生活は、いかにリタイアした身といえども中々難しい。（読みたい本もたくさんあるし、テレビ番組にしても見逃せないものも多い）
「世の中に、寝るほど楽はなかりけり、この世のバカは起きて働け」などという戯れ歌もあるが、小原庄助さんの「朝寝、朝酒、朝湯」は身上を潰す、と教わった身にとっては、どうも「十分な睡眠時間を取る」ことになんとなく罪悪感のようなものをもってしまう。雨の日などいつもより2時間近く遅く起きると、その日は終日なんとなく体調が悪い、ということもあることから考えると、自分にとっては「寝るほど楽はなかりけり」というほどではないような気もする。（入院して日がな一日、ベッドに寝かされている時の無聊さは、「楽」とは正反対の気分だった）我ながら日本人っていう奴は、不自由にできているなぁ〜とは思うが。
いまでも原始時代の人類とおなじような狩猟採集生活をつづけているアフリカカラハリ砂漠に暮すサン族（以前はブッシュマンという名で呼ばれていた）は、日没と同時に寝て日の出とともに起き、一日の労働時間（狩りに行ったり、木の実を集めたりといった食料調達にかける時間は、精々2-3時間）、一日の食事時間もそんなに長い訳ではなく、余った時間は、昼寝をして過ごすのだとか。冷蔵庫もない砂漠の中なら食べる量以上の食糧を得る必要もない、即ち労働時間は短くて済むし、電気がなければ夜更かしする意味もないから、こういう生活が出来るのだろうが、せっせと働いて食べる量以上の富を貯える必要に迫られ、夜と昼の区別もないような生活を続けている現代人には、睡眠を削ることは、必須条件となっているとさえ言えるのではないだろうか。まさに狩猟採集生活と現代生活の文化の違い故のことだろう。
ところで、アメリカの女性にとっての「最高のぜいたく」とは、朝、夫がベッドに、朝食を乗せたトレイを持ってきてくれる−−−ということなのだとか。コーヒーのCMなどでは度々使われるシチュエーションだが−−−。ベッドの上でしかも寝巻きのままで朝食を摂ることが、なぜ「最高の幸せ」になるのか―――ベッドでの食事を余儀なくされる入院の時を思い出すタカさんにとってはまったく理解できないのだが−−−。これも又「文化の違い」なのだろうか。
（1/14/14 10:00pm S.T.）
2014年1月14日
隠し湯とディオパン
信州に行くと、あちらにもこちらにも「信玄の隠し湯」がある。「信玄って、そんなに年中温泉に浸かっていたのか!? しかも、隠し湯というからには他人には教えないで！ 結構セコイ武将だなぁ〜」なんていうツッコミを入れたくもなるが−−−。
勿論、刀傷の有効な治療薬も治療法もすくなかった戦国時代、戦で傷ついた部下たちを、敵に知られない地で、再び戦力として使えるように、治療に専念させるために「隠し湯」を使ったのだろうが−−−。
信州には「温泉に入るサル」で有名な地獄谷もある位だし、かの地の温泉に、精神的、肉体的なヒーリング効果があるのは事実なのだろうが、ただ、その効果のほどはそれほどしっかりした医学的根拠がある訳でもないようだ。
塩化泉とか硫黄泉のように、消毒薬っぽい成分が入っている温泉ならいかにも「切り傷、創傷」に良さそう！とも思えるが、「肝臓病、胆のう炎によい温泉」だとか「通風、リューマチによい温泉」となると、どうなのだろう。実際に肝臓病や通風が治った温泉客がいままで何人いたのか？あるいはその温泉のどのような成分が肝臓や通風によいのか？？という疑問がわいてくるし、そういった疑問を解消してくれるようなデータも資料もお目にかかったことはない。（そんなデータを要求する湯治客もいないだろうが）
「あのリッツカールトンがフレッシュジュースとメニューに書いているのだから、フレッシュに違いない」と客が騙されていたように、お役所の「温泉効能書」に、肝臓病に効く、通風に効く、と書いてあるのだから、きっと効くに違いない！と湯治客が思い込んでいるだけ−−−という可能性もあるのではないだろうか。
フレッシュジュースが還元濃縮ジュースかが判定できるほどの敏感な味覚を持っている訳でもない大半の客が、フレッシュジュースだと思い込んだのとおなじように、温泉に入って「ああ、気持ちい〜い！」と思った湯治客が、そこで「この温泉は肝臓に効きますよ！」といわれれば、本当に効いたような気がしただけかもしれない。
ノバルティスファーマの社員が治験データを操作し、同社製降圧剤「ディオパン」に「脳卒中や心臓病の発症を抑える効果がある」というウソの効能を書いて、不当に1000億円もの売上をしていた問題にしても、患者の側が実際に効果があるかないかを実感できる訳でもない以上、処方してくれた医者、ディオパンを認可した厚労省、ノバルティスファーマを含む日本の製薬業、あるいは薬学会、医学界を信用したからこそ起きた問題だといえる。薬の効果なんて、服用して即、効果が実感できるものなど皆無だ。要するに、「信頼」という前提に立って服用しているに過ぎないというのに、その信頼を医療関係者すべてがグルになって裏切ったというのだから、酷い話だ。
このディオパン事件は、いってみれば関係者全てが共犯者だといってよい。しかし、治験データを意図的に改ざんしたというノバルティスの元社員や、社員の身分を隠して治験グループに派遣したノバ社も、あるいはノバ社から多額の寄付を受けて治験データの操作を見逃していた大学も、厚労省という監督官庁も、一人として「詐欺」で訴えられた訳ではない。加害者側が告発者を兼ねていたのではまともな不正追求など出来るわけもない。(泥棒に縄を綯わせているのと同じことだ）
治験データ改ざんによる薬の販売が詐欺でなく誇大広告に過ぎないというのは、食品偽装を「誤表示だ」といってごまかしたのと同じだが、被害者である一般国民には、その不当を訴える手段すらない。
信頼で成り立っているはずの医者と患者の関係をここまで裏切り、しかもうやむやに済ませようという日本の医療行政、どうにかなりませんかねぇ〜。
いずれにせよ、信玄の隠し湯の方の効能の方が、現代の医薬品の薬効よりもよほど信用できるというのだから、なんとも情けなくなるではないか。
（1/13/14 10:00pm S.T.）
2014年1月10日
日本は軍国主義だって！
国内からの首相の靖国参拝批判の理由の大半は、「中国や韓国が批判しているから」というものが大半だ。嘗ては「憲法の言う政教分離に反するから」という理由を掲げる向きもあったけれど、様々な裁判の結果「首相といえども私人としての信教の自由があり、玉ぐし料などが公費ではなくポケットマネーから支払われている限り憲法には抵触しない」という結論が定着し、又、「政教分離を憲法でうたっているアメリカでも大統領は就任式で聖書に手をおいて宣誓しているじゃないか」などという意見もあって、（なにせ、なんでもお手本であるといわれるアメリカでもそうだというのだから）朝日新聞も最近はすっかり「公人か、私人か？」などということは問わなくなっている。
「中国や韓国が批判しているから」とか「何も、今の時期にいかなくても」という批判に対しては、「今までそういう意見にも気遣ってきたけれど両国ともにその気遣いを評価しないどころか、ますます図に乗ってきているから、参拝してもしなくても同じならこの際参拝しよう」と安倍さんが考えたとしてもおかしくはない。寧ろ「自分達の祖父や父などが祀られている靖国に一国の首相が参拝してくれるのはあり難い」「日本人としての矜持が取り戻せた」という賛成意見が世論の半分以上だというのも理解できる。
それでは、中国や韓国はなぜ批判するのだろうか。首相の靖国や伊勢神宮への参拝を、日本の憲法問題を理由にして批判する訳にはいかないから、どうしても靖国に祀られている外国人も含む250万柱が全員「戦争犯罪者」である、といった理由をかかげなければならなくなる。（もちろん、そんなことはない）
確かに、勝者による報復裁判である東京裁判において死刑判決を受けたA級戦犯7名をはじめとする刑死者が合祀されてはいるが、彼等の名誉は戦後、4度に亘る国会決議によって法的に回復されており現在は「昭和受難者」の扱いになっている。少なくとも日本国民が日本の国会決議を無視し、中国や韓国に同調して彼等を未だに「戦争犯罪者」として今も非難するのは彼等の無知の証左ではないだろうか。「でもA級戦犯合祀が問題ならば分祀すればよいではないか」という意見もあるが、お寺や教会とは違い、日本の神社には墓はない。すなわち靖国に祀られているのは個人ではなく一つの大きな「御霊」である。御霊はいってみれば金塊のようなもので、死者は全て溶かされて金塊の一部になったようなものである以上、「A級戦犯分祀」などということが不可能であることは、神道という宗教をちらりとでも知っていればわかりそうなものなのに。
アメリカのアーリントン墓地には南北戦争で亡くなった南軍（奴隷制擁護派）の戦士たちも眠っているが、大統領がアーリントンを訪れたからといって、アフリカ諸国や国内のアフリカ系アメリカ人が抗議したとか、墓を掘り出して南軍戦死者は他の墓地へ移せ！などという話はきいたことがない。
昨日、中国の国連大使が、首相の靖国参拝は「日本軍国主義を体現したもので、他国に対する戦争のための精神的な道具になっている」と述べたという。この20年間毎年10％以上軍事費を増やし続けてきた中国が、戦後70年間に亘って戦わず世界平和に貢献してきた我が国を「日本軍国主義」などというレッテルを貼ることのバカバカしさを考えれば中韓の靖国参拝批判が単なる難癖、嫌がらせに過ぎないことは明らかだ。そんな国外からの難癖に、日本国内から「中国や韓国が批判しているから」とか「何も今の時期に」と同調するかの発言があること自体、信じられない気がする。
（1/09/14 11:00pm S.T.）
2014年1月9日
告げ口外交の起源
子供の頃、ちょっとしたいたずらを見つけられ、クラスの女の子に「言ってやろ、言ってやろ、センセにいってやろ」とはやされ経験のある元悪がきは多かろう。「黙って見逃せ！」とは言わないまでも、「何でお前が、先生に告げ口しなければいけないんだ！でしゃばりめ！」などと逆恨みした記憶もないではない。
まあ、確かにいたずらをしたのはこちらだから、逆恨みには違いないし、言い付ける！と言っている女の子が悪い訳ではないから、あまり大げさに文句をつけるわけにはいかないが、もし「言い付ける！」と言われた事が、全く事実無根であるとか、濡れ衣であったとすれば、この告げ口そのものに対する怒りのみならず、「告げ口」という卑劣といわれる行為に訴えようとする女の子に嫌悪を覚えるのではないだろうか。
韓国の朴槿恵（クネ）大統領の「告げ口」外交が全開なのだとか。東南アジア各国、欧米各国やロシアにまで「あのねぇ〜、日本がねぇ〜、こんなに悪いことをしているんだよ！」と、外交慣例上異例の「いいつけ口」をして回り、日本の評判を落とすことこそ韓国大統領の使命だとでも思っている狂乱振りには呆れるしかないが、しかもその内容が、彼女の一方的な思い込みや、全くのウソばかりとなれば、隠忍自重をモットーにしてきた日本も「堪忍袋の緒が切れた！」というところではないだろうか。
「ねぇ、ねぇ、聞いて！ 隣の奥さんたら、神社にお参りに行ったのよ、信じられる？」なんていわれた近所の奥さんたちもきっと「神社に行こうが、教会に行こうがどうでもいいじゃないの」と戸惑ったことだろう。中には共産主義という名のインチキ宗教にはまっているおばさんの中には、「ほんと、いやあーね！」なんてクネおばさんに口調を合わせるのもいるかもしれないが、そんなの一々気にして「じっくり、時間をかけて神社参拝に対する理解をえたい！」なんて言っていたのでは、今までくり返してきた失敗の上塗りになるだけだ。（クネおばさんの家は、慰安婦問題などのウソ八百を並べて日本にケチをつけるという何とも呆れた前科があるだけに）その他にも、人の家の持物である竹島やら、対馬から盗んだ仏像を「元々、私の物よ！」などとヌケヌケといいはるような御仁だ。まともな論議なんか出来る相手ではないと分かりそうなものだ。
イスラエルやサウジといった最友好国からでさえ「歴史的な間違い！」などと非難を受けているオバマ政権が、「失望している！」などとクネおばさんが少しは喜びそうなコメントを出したからといって、日本国内には「やっぱり神社参拝に行かない方がよかったのではないか」などと言い出す者もいるけれど、ここは堂々と「これは我々日本人の心の問題である」という当初からの主張を伝え、「同盟国なら日本人の心を理解しろ！」と叱責する位の気概を見せて欲しいものだ。
そもそも、広島、長崎に原爆を落とし、さらには無差別空襲で何十万もの日本人を殺戮した加害国が、被害国日本の戦後の平和貢献をわすれたかのようになにが「失望している」だ！
もっとも、クネおばさんが得意な告げ口、讒言のオリジナルはもうかれこれ30年以上前の、教科書問題や慰安婦問題でのでっち上げ記事を書いて中国や韓国首脳に「ほら、日本はこんなことをやっていますよ！あなた達、怒ったらどうですか！」とたきつけて回った朝日新聞などの反日勢力だった。（中曽根首相の靖国参拝を中国や韓国に御中進に及び、「あなたたち怒りなさい」と督促したのも彼等だった）
クネさんがやっている「汚いこと」の起源は日本国内にあると思うとその脱力感たるやは半端ではない。
（1/08/14 10:00pm S.T.）
2014年1月8日
メルケルさんの大ケガ
スイスで休暇中だったドイツのメルケル首相がスキーで転倒し、骨盤骨折重傷を負い今後3週間の予定をキャンセルしたという。骨盤骨折ともなれば本当に3週間程度の予定キャンセルで済むのかとも思うが、いずれにせよお気の毒にというしかない。ドイツばかりではなくEUの要人中の要人であり、それは取りも直さず世界の重要人物でもあるという御仁が、いくらなんでも「スキーをやっていて大ケガ！」というのだから(メルケルさんには申し訳ないが)、ケアレスというかお粗末というか、ご本人及びその回りの連中の危機管理意識の低さには呆れる。メルケルさんといえば昨年、携帯の通話がアメリカの国家保安局に全て盗聴されていたことが明らかになったこともあったけれど、場合によっては大きなケガもあり得るスキーを自由に楽しむことができるということ自体に、「一流国であるはずのドイツの国家的な危機管理体制は一体どうなっているのか？」と思う。
オバマ大統領にしても、安倍総理にしても現職にある限りにおいては「スキーで思い切り滑降してみたい！」と言っても（そもそもそんなダダは言わないと思うが）、回りが絶対に止めるだろう。一国の首脳ともなれば、休暇期間中に楽しめるのはSPにぐるりと囲まれてやるゴルフ位のものではないだろうか。
｢余人をもって変え難い｣ポジション等というものは先ずない、とも言われる。企業の実力派会長、あるいは社長の中には「俺に代われる者なんていない！」などとその地位にしがみついて離れない人もいるけれど、実は彼等に万一のことがあったとしても、ちゃんと誰かがその地位を次ぐものだし、まあどうにかなるものだが、それでも、現役でバリバリやっている実力者、権力者が突然倒れるというような今回のような場合、瞬間的というか短期間は混乱が起きるというのも事実だ。
安倍さんが下痢ピーで突然首相を辞任した時も、甘利さんがTPP交渉直前に入院した時も、いくらかの混乱があったことは確か。（まあ、直ぐにどうにかなったけれど）メルケルさんも、骨盤骨折でベッドに縛り付けられるとなれば、外遊も閣議も当座は無理だろうし、病室からのオバマさんとの電話会談だとか、彼女の病室で閣僚を集めての閣議というのでは、中々その責務遂行は難しかろう。
一部上場企業の多くも経営幹部、あるいは管理職にいたるまで定期健康診断の受診を義務化しているところがほとんどなのは、いかに「いくらでも代わりはいる」とは言え、突然倒れられた場合に起きる混乱が経営上のマイナスになるからだ。
餃子の「王将」の社長が射殺された事件でも、同社の経営上、あるいは企業イメージにおいてそれなりのマイナスがあったであろうことは想像に難くない。
もっとも、首相、大統領といえども一つの体制、組織の一つのコマである民主主義国家であれば、不慮の事故などの場合でも、どうにか体制を保つことも出来るだろうが、絶対独裁体制を固めつつあるといわれる北朝鮮の金正恩や、同じく権限集中を図っているといわれる中国の習近平などの場合、彼等に万一のことがあったとしたら、今川義元の首がとられたことによって大勢力であった今川家が短時日で滅亡したのと同じように、体制の崩壊、もしくはそれに近い大混乱が起きる可能性も考えられる。
「鉄の女」サッチャーに倣って「新・鉄の女」とも言われるメルケルさんの一日も早い現場復帰を祈る。
(1/07/14 10:00pm S.T.)
2014年1月7日
しっかりせんか！野党
まだまだがら空き状態に見える大相撲だけれども、昨年の大相撲観客動員数は3年ぶりだかに回復傾向をみせているという。
八百長問題などの不祥事続きということもあったし、なにせあの暴力横綱朝青龍の引退（というよりはクビ）以来、白鵬の一人横綱時代が続き、大関陣はいずれも10勝も挙げられない有様では、見に行く気もしないという時期が続いたが、ようやく日馬富士という横綱が誕生、期待値ばかり大きかった稀勢の里がようやくどうにかなりそうな形勢というのだから観客動員数が上向きになり始めたのも分からないではない。
やっぱり、圧倒的に強い横綱は必須だが、この横綱に対抗できる二番手、三番手がいてこそ相撲は面白くなる。一強だといって多少は手抜きしても大丈夫、という横綱が出てきてしまうと、相撲全体の質も落ちる。（白鵬がそうだったという訳ではないが）
どんなスポーツでもトップクラスが2乃至3いて、お互いが相手を意識しあい切磋琢磨すれば、全体のレベルも向上するし観客動員数も上がるのが道理だ。
そんな意味で、心配なのは日本の政治だ。昨年7月に3年3ヶ月も続いた衆参のねじれが解消、「決められない政治」から脱却できたのはよかったけれども、自公与党の一強体制、というよりは野党の弱さがあまりにも極端になったことが、今後の日本の政治の質を下げ続けるような気がしないではない。
与党の政治運営については「強引」だとか「丁寧さを欠く」といった批判があり、これらの批判は朝日や毎日のメシのタネだからそちらに任せるとして、ここで指摘したいのは大関陣、いや違った、野党のだらしなさである。
一応「野党第一党」を名乗っている民主党だけれども、選挙区選挙で落選し比例復活したような御仁が党首というだけで、他の野党に「野党再編」の声をかけてもどこの党首もバカにして集まっては来ない。海江田さんは、年初早々、特定秘密保護法を与党攻撃の材料に―――などと言っているけれど、尖閣ビデオを実質「特定秘密」に指定して、国民の目から隠しておきながら、何を今更白々しい！と、世間の見る目は覚めている。菅首相に無視されて、国会答弁で泣いたような党首では「党勢復活」なんて無理だ。かといってこの人に代わる対抗馬もいない。
みんなの党という名の「（渡辺善美）個人の党」も、渡辺さんの「自民党復帰し、大臣ポストに付きたい！」と言う我執が丸見えでは、次の選挙ではもうこの党はないのではないかとも思える。それに「結いの党」とやらへの逃亡者に対する嫌がらせも、世間での評判が悪すぎる。そうそう、結いの党にしても、江田さんの政界渡り鳥振りは、神奈川ではともかく全国的には泡沫扱いだ。ここも早く、民主党なり自民党なりに吸収してもらった方がよさそうだ。
維新の会にしても、もう賞味期限はとっくに切れた。そもそも、82歳の石原さんや、75歳の平沼さんと組んで「維新」だの改革だのといってもなんだか笑えてくる。やっぱり、勢いだけでの野合は失敗だったのではないですか？ねぇ橋下さん。
今年の日本の政治が面白くなる可能性があるとすれば、一強の横綱が、勇み足やらお手つき、で自らオウンゴールを続け、千秋楽にこれまた勝ち星の上がらない大関陣と、9勝同士、10勝同士で決定戦をやる場合だろうが―――まさか！
（1/06/14 10:00pm S.T.）
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