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2014年の各月バックナンバー：1月、2月、3月、4月、5月、6月
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2014年5月
＜＜5月タイトル＞
05/30 年年歳歳花相似 05/29 STAP細胞はあるんですか？ 05/28 保釈金(Bail bonds) 05/27 ほほえみの国のクーデター
05/23 復興工事のうしろめたさ 05/22 弁護士のモラル 05/20 忘れられる権利 05/19 労働力不足にどう対処する？ 05/16
世の中はフラクタル 05/15 外国人枠撤廃 05/14 カラスと人間の知恵 05/13 3Dプリンターラッダイト 05/12 日本人はラテン系
05/09 主君と親、そして公と私 05/08 小雀と鷹 05/07 あんたが言うな
2014年5月30日
年年歳歳花相似
毎年この時期になると唐代の詩人劉希夷の代表作「代悲白頭翁」の一説が浮かぶ。
古人無復洛城東 古人復(ま)た洛城の東に無く
今人還對落花風 今人還(ま)た対す落花の風
年年歳歳花相似 年年歳歳花相い似たり
歳歳年年人不同 歳歳年年人同じからず
(昔の人はこの街からもう姿を消してしまった
代わって今の人がやはり花を散らす風の中にたたずんでいる
来る年来る年 花は同じ姿で咲くが
行く年行く年 人のみが変わりゆく）
この詩から、人の世の無常を感じる人もいるだろうし、人の世の無常など歯牙にもかけぬかのように巡る自然の営みの荘厳さに打たれる人もいるだろう。
この時期になると、13年前のあの日の朝、庭に咲く大輪のピンクのバラの向うを「行ってきまーす」と言って出かけていったあの娘の姿を鮮明に思い出すのは、今年もまた、あの時と同じピンクのバラが見事に咲いているからだ。
バラと同じように、思い出の中のあの娘は変わらない未だ26歳のままだ。しかし、自分も妻もあれからもう13歳も歳をとり、間違いなくそれだけ老いた。時々、遊びに来る孫たちは、帰る時には仏壇に手を合わせていく。
二人とも、あの日にはまだこの世にはいなかったというのに、もうすっかり大きくしっかりしたお兄ちゃんと、その可愛い妹になった、二人ともこれからもすくすくと元気に育っていくことだろう。
仏壇に飾ったあの娘の写真をみながら妹の方が、「ママのお姉ちゃんは、お空にいるんでしょ」と言う。「そうだよ」と答えてふっと庭のバラに目をやると、なんだかあの娘が、そこにまだ佇んでいるような気がした。
古人無復洛城東
今人還對落花風
年年歳歳花相似
歳歳年年人不同
（05/29/14 10:00pm）
2014年5月29日
STAP細胞はあるんですか？
流行語大賞の選考会が今の時期に行われるとしたら小保方さんの「STAP細胞はあります！」は、多分、大賞候補にノミネートされるだろうが、理研側と小保方さん側の子供のケンカのようなやり取りをみていると共に「一体、STAP細胞は、あるのかないのか」には全く関心が無いようにも思える。
両者のやり取りを仄聞している限りでは、これはもうとても「科学者同士の論争」とは思えない、ののしり合いに近く、小保方さんがいかに稚拙だったのか、あるいはいかに悪意に満ちていたのかとか、㋃末に小保方さん同様の、画像切り貼り問題が発覚し、辞任した石井調査委員長をはじめ、他の4人の調査委員（小保方さんの切り貼りは不正だ！という結論を出した方々）の切り貼りはなぜ許されて、小保方さんの切り貼りは、なぜダメなのか、というなんとも低レベル泥仕合の様相だ。
そんな最中、今週、理研は、外部の有識者で作る「理研改革委員会」が調査するように求めていた、STAP細胞論文に「新たにみつかった不正のある画像」などについて「調査しない」方針であることを発表した。理由としては、理研のエースともいわれる笹井副センタ―長、丹羽CDBリーダーなど小保方さんを除く論文の共著者が「論文を取り下げる方向で検討しており、改めて調査する必要はないから」だという。
親告罪である強制わいせつ罪などの場合なら、示談が成立し、被害者が告訴の取り下げに同意した場合などに「公訴棄却」となる場合もあるが、科学の世界でも「論文を取り下げると言っている」という理由で「不起訴」どころか「調査もしないで放置！」というのだから驚く。真実を求め果敢に謎に挑戦することこそが科学者の本分だとおもっていたが、理研という日本最高の科学機関には、科学者の使命感などかけらもないらしい。タカさんは日本の科学界を買いかぶり過ぎていたようだ。
小保方さん側（小保方さん自身なのか、ついている弁護士達なのかは不明だが）が、なんでこちらの側だけ、不正だの捏造だのといわれなけれればならないのか、理研の連中だっておなじじゃないか！と息巻くのも、わかるような気がする。
なぜ「調査しない」という結論になったかといえば、新たな疑惑について再調査などして万一、不正だということになったら、その論文の共著者である笹井さんたち個人だけではなく、理研という大組織の存亡にかかわりかねないから、「この際臭い物にフタをしておこう！」と理研が組織ぐるみで隠蔽にかかったのでは－－－とかんぐられても仕方がないではないか。科学倫理の専門家というある東大教授も「論文の取り下げと、不正があったかどうかの調査は全く別もののはずなのに－－」と言っていた。
理研は、アベノミクスの成長戦略とやらでも1000億円規模の政府補助金が与えられることになっているいわば政府丸抱えのお役所といってよい組織だ。（参照：「理研というお役所」4/3/14）
なにか不祥事が起きる度に、責任逃れ、なりふり構わぬ組織防衛、にはしるお役所、政府出資の法人や財団、検察や警察といった組織同様に、倫理もなにもないがしろにして逃げ回る習性は、理研というお役所組織にもしっかりと根付いているようだ。
STAP細胞騒ぎ、もううんざりといったところだが、最後に一つだけ教えて欲しい。「STAP細胞はあるんですか？」
（05/28/14 10:00pm）
2014年5月28日
保釈金（Bail bonds）
アメリカの裁判所の周辺で‘Bail bonds’という看板を見かける。Bail bondsとは「保釈金」の事で、この看板を掲げているのは、いわゆる「保釈金肩代り業者」である。
例えば、アメリカでは、酒気帯び運転は日本の「違反」とは違って「犯罪」とみなされ、刑法犯である以上は即逮捕となる。逮捕となれば少なくとも一泊は、拘置所に留め置かれ翌朝、裁判所に出頭しなければならない。大概の場合、裁判官はその場で「保釈金」の金額を決定し、被疑者がその保釈金を納付できれば、後日に開かれる正式な裁判の日までいわゆる「シャバ」にでることができるのだ。
保釈金の額は、犯罪の内容、被疑者の逃亡の恐れ、あるいは資力、といったもので異なるが、保釈金が払えないとなれば、正式裁判までの期間、拘置所暮らしをしなければならないのだから、まあ、誰だってその金額を工面しようと必死になるのは当たり前だ。ただ、直ぐにその金額を揃えられる人ばかりではない。例えば前記した酒酔い運転の場合（事故などを起こしていなければの話だが）、大体500ドルから3000ドルと言われているが（タカさんが経験した訳ではないので不確かではあるが）捕まった翌日に耳を揃えて支払える人は、そんなに多くないとも聞く。そんな時に便利なのが「保釈金肩代り業者」‘Bail bonds’である。この手の業者は、裁判所に出張っており保釈金額を裁判所から告げられた被告に寄ってきて「御用聞き」までしてくるという。（これもあくまで聞いた話だが）
彼等のビジネスは裁判所に対してその被告に言い渡された保釈金額を建て替え払いし（多くは、業者の保証書）、見返りとして手数料を取る---ことでなりたっている。
多くの被告は逃亡せずに、正式裁判に出廷してくるから、業者としては元手なしで金が稼げる、という割りのよい商売という訳だが、中には、保釈期間中に逃亡してしまう被告もいない訳ではない。この場合、当然、保釈金は没収されるから‘Bail bonds’業者としては大損だ。(逃亡した犯人を捕まえて、没収された保釈金をとりもどそうとする賞金稼ぎと逃亡犯の駆け引きを描いた「ミッドナイトラン」という映画を見られた方も多いと思うが---)
保釈金制度というのは、アメリカという国の法秩序が、きわめて合理的にというか機械的に運用されているということの典型例だという気がする。日本では逮捕された翌日に保釈金を払えば保釈される、というケースはないといってよい。全面自供して罪を認めたケースとか、逮捕から時間が経って、逃亡や証拠隠滅の恐れがないと裁判所が判断したケース等だ。
そういう意味では、先日のPC遠隔操作事件の片山被告の保釈は極めて異例だったといえる。これは、検察側の手続きミスなどが重なってのものだったのだが、保釈中に証拠の捏造など、保釈条件に反したとして片山被告は再拘留され、母親が工面したという保釈金1000万円は没収されることになった。片山被告の弁護団は、この1000万円は、母親が老後の資金として蓄えていたものなので、今後の彼女の生活を考えたらどうにか没収は勘弁してもらえないかと裁判所に申し入れた結果、裁判所もそこを考慮したのだろうか、没収は600万円に減額されたという。
それにしても親不孝な息子がいたものだと片山被告には腹が立つが、日本の裁判所は、機械的なアメリカと違って、随分と温情的なところもあるものだなぁ〜と感心した。
（05/27/14 10:00pm）
2014年5月27日
ほほえみの国のクーデター
現在海外逃亡中であるタクシン氏がタイの首相に就任したのは2001年、軍によるクーデターでその座を追われたのが2006年である。
自身はタイ有数の富豪であるタクシン氏は、数々の不正容疑、反対勢力の弾圧、処刑といった強権的政権運営などもあって就任当時から「悪い政治家」といったイメージが付きまとう一方では、タイの人口の大半を占める貧困層、農民層に対するばらまき政策によってタイ北部を中心にした根強い支持層をもっていた。
タクシン氏が海外に追われて以降も、妹のインラック氏を看板にたてる「タクシン派」は、こういった農民層の支持を背景に反タクシン派が運営する政府に対するデモを繰り広げ、数の上で有利に立つインラック氏が首相に就任後は、今度は野放図なバラマキ施策に反発する都市層を中心とする反タクシン派がデモを繰り広げる---といったことが繰り返されてきた。
そんなこともあって、タイの政治状況はこの20年近く不安定な状況が続いている。「ほほえみの国」ともいわれ観光資源に恵まれ、国民の高い教育レベルなどから伸びゆくアジア経済の中で、最も投資機会の多い国ともいわれたタイだが、こういった政治の不安定さ、治安状況の悪化などもあって、多くの機会を逸してきたというのも事実だ。（11年に起きたタイ洪水の際に、インラック政権が起こした数々の不手際で、日系企業などが投資を大幅に控えたこともあった。
そんなタイで再び軍がクーデターを起こした。タイが「王様と私」のモデルでもあった「絶対王政」を廃止した1930年以来、これが18回だか19回目のクーデターだというから軍事クーデターと聞くと、戦々恐々としてブルってしまう日本人からみたらなんとも理解しがたい話だが、通常通りの市民生活が営まれている映像がつたえられ、タイ日本人学校も今日から平常通りに開校されているというから、キツネにつままれたような気がしないではない。
政治は、民主主義的な方法によってえらばれた政府によっておこなわれるべきである、という民主主義の原則に基づけば、軍の武力による政権掌握である軍事クーデターは「絶対に容認できない暴挙」ということになる。案の定、アメリカを中心に西欧諸国は、一斉にクーデターを非難、制裁に踏み切る国や機関も出てきているが、一方ではタクシン派、反タクシン派のいずれもが敬愛しているといわれるタイのプミポン国王は、昨日、軍による全権統治を「承認」した。いってみれば、「錦の御旗」がクーデターを起こした軍に与えられた訳だから、これから先、国際世論がどう言おうが、タイ国内ではタクシン派も反タクシン派も軍による統治には抗いにくい状況だということが言える。
こうなってくると20年近くに亘る、タクシン派、反タクシン派による終わりない紛争に軍が「がまんの限界に達し」行動に出たことを、国父としての国王も認め、それによって市民生活も治安も一時的かもしれないが回復に向かっている---というアメリカなどにとっては信じがたい「民主主義の敗北、軍政による安定」が実現しているようにも思えるのだが---。
「強権は民主主義の敵」という考え方ばかりでは生きた政治は立ち行かない、ということもあるのだろうか。
（05/26/14 10:00pm）
2014年5月23日
復興工事のうしろめたさ
高さ14メートルにも及ぶ巨大な防潮堤を9キロにわたって建設するとか、沈下した海岸近くの土地の大規模なかさ上げをして農地や宅地を造成する、といった大規模公共工事がはじまっている。
刑務所の塀よりも高い壁に囲まれ、海も見えない所に、観光客がくるだろうか？ そもそもそんな町に人が住むのか？ 農業人口はすでに平均年齢が65歳を超えているというのに、かさ上げして農地を作ったとして一体だれが耕作するのか？ 等々の疑問も出されるなか、「せっかくついた復興の予算を使わないで返上する手はない」という地方行政や、経済界の思惑もあって堤防の高さを多少低くする等の微調整はあるだろうが、大筋においては予算消化のための大工事は強行されるという。
そんな中、東北地方で自然保護、活動をしている団体のHPを見ていたら、震災から3年後のある地区の現状報告が出ていたが、色々考えさせられた。
人口が少なかったこの海岸沿いの地区では、復興予算がつかず（票につながらないからだろうが）震災から3年たつものの復興工事の手が全く入っていないのだとか。しかし、人の手が入らないことで、震災で地盤沈下してしまった農地は、今は生き物の豊富な干潟となり、後退した海岸線は、緑豊かな景観を作っているという。干潟や海辺にゴカイや貝、といった水生生物が増え、それらの生き物を求めて鳥などが訪れるようになっているとも。又、津波で崩れた堤防のガレキの隙間には、ウナギなどが住むようになってきており護岸がなくなったことで砂が削られることもなくなり、白い浜辺もでき、その砂浜の後背地には、多くの植物が繁茂しはじめてもいるという。今後数年たてば、浜辺には、林ができ、さらにはそれが森となるだろう。「海の生物は森が育てる」というから、あの大震災も、人が手を入れなくても、何年か後には、自然の大きな回復力によって太古から繰り返されてきた自然の生物遷移のサイクルが戻り、自然景観や生物の多様性が戻ってくると予測されるという。
陸地でも、数年たった耕作放棄地が徐々にかつての森に戻って、春には花、秋には紅葉といった美しい自然の景観を生み出し、用水路のあとにはゲンゴロウやホタルの幼虫などが戻ってきている---という話を聞くが、海でも陸でも人が「なにもしない」ことが、自然にとっては一番よいのではないかとすら思う。
人が生きて行くためには、護岸も埋め立ても、森の伐採や開墾も必要だろうが、それによってどうしても自然景観も、生物多様性も失われていくのはある種、必然と言える。「人間の生活か、自然か」という選択を迫られれば、どうしても「人間が第一」ということにならざるをえない。その結果がアマゾンの森林伐採であり、14メートルの護岸堤防であり、土地のかさ上げ復興による干潟の消滅、なのではないだろうか。
ただ、人がなにもしないことで自然が力強く戻ってきているこの新しい干潟の話を聞くと、我々は、どうしても自然を痛めつけ破壊することになる、大復興事業に対する少なくとも「うしろめたさ」位は、もっているべきだと思う。
（05/22/14 10:00pm）
2014年5月22日
弁護士のモラル？
70年代後半に松戸市周辺で起きた連続女性暴行殺人事件の容疑者として逮捕された建設現場作業員小野悦男の裁判で、弁護団は、「小野の自白は、警察が容疑者を留置場に長期間拘置し強要したものであり彼は真犯人ではない」と、冤罪を主張した。「小野さんを救う会」などの支援組織も結成され、一審では無期懲役が言い渡されたものの、控訴審は「自白の任意性は認められない」と証拠能力を否定、窃盗罪のみ有罪を認定して一審の無期懲役を破棄する判決が下され、検察が上告を断念したことによって、小野悦男の殺人罪容疑に対しては無罪が確定した。
当時の新聞には、「主文が読み上げられた瞬間、傍聴席からは拍手が起こり、廊下からも法廷に入りきれなかった支援者の拍手の音が聞こえてきた」とあり、又、16年ぶりに釈放となった小野悦男は「体の不自由な母の世話をしてやりたい」と語り、人々の涙を誘ったとも報じられている。今も続く「冤罪」事件の典型ともいえる光景だ。
当時、代用監獄ともいえる留置場に長期に拘留しての取り調べ方法などの問題が指摘されはじめており、高裁がその弁護団の主張を認めた以上は、この無罪判決には文句をつける筋合いのものではないのは事実だが---。
小野は、保釈の翌年には、窃盗罪で逮捕され、2年間服役し、さらにその3年後、少女殺人未遂で逮捕されたが、その捜査の過程で彼の住居の裏庭から腐敗した別の女性の首なし死体が発見され、小野の部屋から遺体の頭部を切断したのこぎりなども押収された。小野はこの殺人、死体遺棄で起訴されその後、無期懲役が確定した―――。
この殺人、死体遺棄事件が、既に無罪が確定した一連の女性殺人事件と多くの共通点があったことで、当時「あの連続殺人事件群も、やはり小野による犯行だったのではないか」という疑念が週刊誌等に報じられたが、もちろん「一事不再理」を原則に基づいて、あの連続殺人の真相が解き明かされることはなかった。
小野の無期懲役確定とともに、以前の事件での「救う会」は、一体何を根拠に「小野さんは無実だ！」と叫んだのか？ 多くの証拠が、小野が真犯人であることを示していたのに、なぜ弁護団は「冤罪」を主張し続けたのか？ という批判の声が上がった。 あの裁判で、小野が有罪になっておれば、少女の殺人未遂事件や、女性惨殺事件は起きなかったと考えれば、小野弁護団と「救う会」は、「この二つの事件の共犯ともいえるのではないか」という意見もあったのだが---。「弁護士は、被告の利益の為に働くのが使命だ」「警察の権力に対して、個人の側に立って支援するのは正義である」という彼らの主張の前には沈黙せざるをえなかった。
他人のPCを遠隔操作して殺人予告メールなどを出していたとして威力業務妨害罪で公判中だった元IT関連会社員の片山祐介被告が、保釈中に真犯人を装って「片山被告は無罪だ！」というメールを出し、その発信元が彼自身である事実をつかまれたことで、無実を主張していた、遠隔操作事件の真犯人も自分であることを認めざるを得なくなった事件で、幾度か片山被告の記者会見に同席し、彼の冤罪を主張していた弁護士が、「真実が明らかになってよかった」などと昨日までの自分たちの居丈高な主張を忘れたかのようにケロリとしているのには、小野悦男弁護団の言い訳、言い逃れと似た物を感じ、なんとも釈然としなかった。
弁護士の使命が、「被告の利益の為ならなんでもする」ことであり、それが司法制度という社会インフラの為に必要な「コスト」であると理解してはいても、他人のパソコンを乗っ取り、4人もの何の関係もない人たちに多大な迷惑をかけ、捜査当局を小ばかにするようなメールを送り付けるなどして混乱させた上に、まっかなウソである冤罪主張を続けたこの片山という男を、ここまで増長させ、世の中を混乱に陥れたことに弁護士が「ほう助」の役割を果たしていたとはいえないだろうか。そういう責任の一端でも感じるならば、弁護士からも「謝罪」の一言があってもよかったのではないかと思うのだが。
最近は、過払い金請求だ、肝炎の国家賠償だと、「被害をどんどん訴えたら、賠償金をとってあげますよ！」という弁護士事務所のCMのなんとないいかがわしさ、徳洲会事件で選挙違反事件の片棒担ぎのようなことをやっていた弁護士たちをみていると、最近益々、弁護士という職業に対する世間の尊敬の念が大幅に低下しているようにおもうが（参照：「三百代言」(02/2/14)）―--これもまた社会的コストとして致し方ないこととして許容せざるを得ないのだろうか。
（05/21/14 10:00pm）
2014年5月20日
忘れられる権利
「英雄故郷に入れられず」ということわざがある。一国の英雄と言われるような人物でも生まれ育った故郷では「子供の頃は寝小便たれだった」「村の娘の尻を追いかけて娘の親にボコボコにされたことがある」などという英雄にしてみれば「忘れて欲しい」エピソードが知られており、故郷では形無しだし、英雄自身も故郷には近づきたがらない―――といったことがあるからだろう。
人は誰でも一つや二つの赤面するような失敗談、忘れて欲しい過去、があるだろう。若いころ、友達仲間と一緒にエロ本を万引きし警察に補導され親には泣かれる、学校は停学処分―――とか、二股だったことがバレ、直前に結婚式をキャンセルせざるを得なかった－－－などといった過去は、本人にしてみれば「もう随分と以前のことなのだから忘れて欲しい！」と思うだろう。昔だったら「人のうわさも七十五日」というようこういった情報も、時の経過とともに他人の記憶からは薄れていってくれたものだったが、情報化社会になった現代では一度ネットなどに流れた虚実取り混ぜての個人のプライバシーに関する噂、記録の類は、いつまでも残るようになってしまった。
人気デュオ、CHAGE & ASUKAのASUKAが覚醒剤所持の疑いで逮捕された事件の報道が随分にぎやかだが、その一連の報道の中で派生的情報として「過去に覚醒剤で逮捕された芸能人」の名前などが報じられている。今回のASUKA以上の大騒ぎとなったのりピーや、押尾学などの名前や顔写真がパネルになって報じられるのは、まあ事件の大きさや大物だったといった点を考慮すれば致し方ないかもしれないが、判決後一定期間活動を自粛し復帰してからもう10年以上も経つ芸能人、覚醒剤逮捕で初めて名前が知られることになった小物タレントなどの名前までネットには出ているとなると、なんだかちょっと気の毒な気がする。（20年程前にハワイの空港でパンツに麻薬を入れ、税関を通ろうとして逮捕された、今は亡き某大物俳優Kの場合などはいくらなんでももう忘れてあげればよいのにと思わないではない）
先週、EUの最高裁にあたる欧州司法裁判所は、グーグルの検索によって自分の16年も前の裁判記録が表示されるのは不当だとするスペイン人男性の訴えを認めグーグルに対し、個人情報を削除するよう命じた。これは「知る権利」や「言論の自由」を最優先に情報化社会を切り開いてきたネット社会に対して、それ以上に「忘れられる権利」が優先することを示した画期的な判決ということもできるような気がする。
政府の情報独占や情報操作を打ち破って政府と個人の力関係に風穴をあけたインターネットの力は、これからも尊重されるべきではあるが、一方ではテロ勢力などによって国家安全保障体制が揺るがされるといった弊害を生んでいるのも確かだ。それと同じように「知る権利」の拡大に貢献してきたインターネットが、一方では個人の「忘れられる権利」を侵害している事実も確かにある。
いまのところ「忘れられる権利」に対する保護体制が全くと言ってよいほどない日本だが、この辺りで一度立ち止まって考えてみる必要があるのではないだろうか。
（05/19/14 10:00pm）
2014年5月19日
労働力不足にどう対処する？
全国で牛丼店を展開する「すきや」が、決算で現在全国の180店舗でアルバイト店員不足のために営業休止中であることを明らかにした。
アルバイト店員一人で深夜営業を切り盛りさせるなどの徹底的な人件費削減でブラック企業などといわれながらも利益を上げてきた牛丼チェーンだが、深夜の一人勤務を狙った強盗のターゲットになるなどの問題も頻発しその人件費削減一本やりの経営方針にかげりがみえつつあった。そんな中、アベノミクス効果もあってか俄かに人手不足状況が起こり、それに加えて少子化による若年労働人口の減少が一気に顕在化するなどのことが重なっての180店舗閉鎖という緊急事態が押し寄せてきたようだ。
元々、人件費などの経費を切り詰めることによって利益を上げてきたこの手の企業にとっては、アルバイト店員の時給大幅アップということもできず、この状況が続けば更に閉鎖せざるを得ない店が増えてくるという状況もありうる。コンビニなども含めて若年層の非正規雇用によって経営が成り立っている業界にとっては、以前から言われていた「少子化に伴う労働力減少」という激震の前触れがついに押し寄せてきたというところだろうか。
東日本大震災の復興予算の執行も、建設現場における人員不足が深刻で中々進んでいないという。ユニクロなどの大手では現在雇用中の非正規社員を、全員正社員採用とするなどの措置を取っていち早く人員対策に乗り出したところもあるというから、これからの労働市場は深刻だ。
そういう状況が急激に進んでいるからだろうか、「外国人労働者」受け入れの拡大の検討がかたられはじめている。まさに泥縄式というしかない話ではあるが、遂に政府も労働者不足問題によって追い詰められつつある、ということなのかもしれない。
確かに現在、日本に在住する外国人は、200万人程度と、人口の2%にも満たない。この割合は、米国の16%はともかく欧州各国の10 %に比べても極端に少ない。せめて欧州並みの10％（あと1000万人）の移民を受け入れるならば日本の労働力不足は一気に解消するだろうが、この2000年に亘ってほとんど外国人を受け入れてこなかった日本人がそんなに多くの外国人とともに暮らしていくような覚悟ができるかどうかにはおおいに疑問もある。どうも、今の日本人たちの本音も、「労働力は欲しいが、外国人が隣近所に大量に入ってくるの---」というのが本音なのではないだろうか。
又、医師会や看護師会のなどが、東南アジアからの看護師受け入れに何かと理由をつけて反対してきたように、日本の既得権益者が外国人受け入れには総論賛成をとなえながら、各論や裏で抵抗を示しであろうことも予想される。
戦後の「第三国人」による犯罪や、最近の外国人犯罪の多発もあって、今も日本人のもつ移住外国人に対するイメージは決してよくはないというのも日本人の移民受け入れアレルギーの理由でもある。
この先、益々深刻化する日本の労働力不足に対する即効性のある処方箋は外国人労働者の受け入れしかないのは明らかだが（子育て支援---などといった悠長な対策では問題解決まで100年かかるかもしれない）、果たしてそれを受け入れるだけのメンタルの準備が日本にあるとは思えないのが実情だ。
（05/18/14 10:00pm）
2014年5月16日
世の中はフラクタル
植物の葉を見るとそこに走っている葉脈の別れ方には一定のパターンがあることに気付く。葉柄といわれる葉の根元の部分から走る太い葉脈が少し細い葉脈に枝分かれし、その枝分かれした葉脈は更に細い葉脈に枝分かれし、その枝別れした葉脈はその先で又更に枝分かれして---という風に同じ形が縮小されながらも末端にまで続いているように見える。
人間の体内に張り巡らされた血管の分岐構造も葉脈と同じようなパターンの繰り返しだし、腸の内壁も同じようになっている。
フランスの数学者マンデル・グローブはこのように全体と細部が自己相似形になっている図形を「フラクタル構造」と名付けたが自然界にはフラクタル構造が実に多い。
宇宙からみた海岸線の形は、浜辺の波打ちぎわに波の残す跡と相似だし、川の流れが支流に分かれていく図形は、その支流が更に下流で分かれて作る図形とそっくりである。
レオナルドダヴィンチは、「渦」の形が自然界を形作っているのではないかと生涯を通じて研究を続け、彼の絵画にも多くの渦が描かれているが、人間の心臓にも渦の構造があることを発見したことは有名だ。この心臓の渦構造は、後に近代医学で実際に証明された。
銀河系宇宙をはじめとする宇宙に存在する銀河の約7割が「渦巻き銀河」であり、太陽系の誕生にも渦がかかわっていることが知られている他、アンモナイトをはじめとする原始生命体の構造も渦巻き型である―――などの事実からこの自然界は、超巨大な全体構造から微少構造、生命体構造に至るまでが、渦というフラクタルでできていることを近代科学の知見は証明している。500年も前にこのことを発見したダヴィンチの偉大さに今更ながら驚かされる。
そうそう、日経平均などの相場の動きを表すチャートの形も、日足といわれる一日の動きを表す折れ線が作る形と、月足、年足、あるいは10年、20年単位のものが作る形と相似と言ってよいほど似ている。
直線的に進歩しているとばかり思っている文化構造や科学、あるいは人類の歴史をみても、いや隣の人の行動パターンや、100年前の我々の祖先の生き方と自分の行動や心情は、ほとんど相似なのではないかと思う時、現代に生きる我々が繰り返す愚行の数々への失望感にも、「これまた自然の摂理なのだ」という諦めの気持ちが持て、いくらか心が静まるような気がする。
（05／15／14 10:00pm）
2014年5月15日
外国人枠撤廃
ハワイ出身の高見山が関取に昇進したのは47年前の昭和42年のことだった。国技であり神事に起源をもつ大相撲の土俵に外国人が上がってよいのか！等という今なら人種差別発言として大問題になりそうな評論が有力紙に堂々と出ていたことを思い出す。あれから半世紀、現在開催中の大相撲夏場所では3横綱全員が外国出身、外国籍だし幕内全42人中15人の力士が外国出身だ。こうなれば、もっと外国出身力士を入れて日本生まれの力士（遠藤や稀勢の里といった？）との対決を煽った方が、相撲人気は上がるような気がするがどうだろう。最近になって相撲協会は外国人力士の増加に歯止めをかけはじめたようで「外国出身力士は一部屋、一人迄」という規定をもうけたが、そんな規定もその内に「非関税障壁！」と海外から批判がでるかもしれないから止めた方がよいかも。
プロ野球ではどうだろう。ヤンキースの田中将大や、ダルビッシュなど優秀な選手の海外流失に怒りの声を上げる張さんのような人もいるが、なにせ日本での報酬の十倍ともいわれる高額報酬が提示されるとなれば、優秀な選手を日本にとどめておくことは無理だ。これからも日本人選手の海外移籍は続いていくことだろう。今、むしろ問題なのは力が一段も二段も上の外国人選手が、次々に訪日し、日本人選手達が顔色なしといった状況、いわば「大相撲状況」になっていることだろう。
現在NPB（日本プロ野球機構）の規定では各球団が支配下登録できる外国人選手数には制限がない。但し一軍のゲームに出場登録できる外国人選手は投手・野手トータル4人までとなっている。実際問題、昨日（5月12日）におこなわれた6ゲーム、12チームの中で外国人選手が出場していなかったのは1チーム（西武）だけであり、3人の外国人選手が出場したチームはなんと3チーム（オリックス、楽天、広島）もある。セ・リーグの打撃10傑には5人の外国人選手、本塁打争いではパでは1‐2位、セでは1‐6位が全て外国人だ。今や日本のプロ野球は外国人選手なしでは成り立たないというのが実情のようだ。
そうそう、ジャイアンツでは昨日負傷した4番のアンダーソンに代えてキューバから大物セペタを獲得、いきなり4番で使うのでは？という噂もあるし、横浜DeNAも同じくキューバのグリエル選手を年俸1億円で獲得したという。（これこそまさに「キューバしのぎ」というべきか－－－）
日本のプロ野球は良い日本人選手はメジャーに取られ、それで空いた選手枠には外国人選手がどんどん入ってくるというのだから－－－プロを目指す少年達にとっては憧れのプロの道は益々きびしくなっていくようだ。
もうこうなったら、大相撲もプロ野球も外国人枠などというケチ臭い規制をとっぱらって全て海外に解放してみるのも一つの手かもしれない。1番から9番までが全員、3割打者の外国人選手！なんていうのも面白いのでは！あまりにも打てない千葉ロッテマリーンズの試合からフラスト一杯で帰ってきたタカさんのやけくその自由化論である。
（05/14/14 10:00pm）
2014年5月14日
カラスと人間の知恵
生ごみの集積場でカラスが器用にくちばしで被せてあるカラス除けのネットを外しゴミ袋を突っついているのを見たことがあり、なんと頭がいいのだろうと感心したものだった。ネットの端を固定するなどの工夫をしてないとカラスがくちばしで外してしまうだけではなく、野良猫や野良犬が何の苦も無く外してしまうなどということもあってゴミ集積場にはゴミが散乱するなどという悲惨なことになっていることもあったが、最近のゴミネットは(さすがにカラスより頭の良い人間のことだけに)、ネットの端に重りが付いたものなどの様々な工夫がされているし、そもそもこの頃は、野良猫や野良犬と言ったものがいないばかりか、ペット猫などは毎日良い物を食べつけている所為か、生ごみには興味をしめさなくなっているからタカさんのご近所のゴミ集積場が荒らされて－－－ということもすっかりなくなってきたように思う。
新聞を読んでいたら、福岡ではカラスの生息量が大幅に増えており、しかも今がちょうど繁殖期ということもあってカラスのゴミ集積場荒らしで市には苦情が殺到しているという。ゴミ場荒らしだけではなく、増えたカラスがまき散らすフンで道路が汚れ、それに水をかけてブラシでこすって清掃するのも大変な作業なのだとか。
その姿が不吉と言われる黒一色という理由だけでそうそうは好かれないカラスだが、これが生ごみを突っついて散らかすわ、フンで町を汚すわだから更に嫌われているのだが、カラスも子育ての為に、おあつらえ向きのエサである生ごみがあるのだからどうにかしてその生ごみを得ようとして頭をつかうのは自然の摂理だし、豊富なエサのおかげで個体数が増えればフンが多くなるのもこれまた当然の成り行きだ。ゴミ集積場が悲惨な状態になり、道路がフンだらけになる、というのもカラスが悪い訳ではない、すべてがゴミ集積場にカラス除けの工夫をしないで言ってみればカラスの繁殖を手助けしている人間の責任だ。
町によってはカラスが活動しない夜の内にゴミ収集をやるとか、ネットに工夫をする、更には鉄製の蓋のついたゴミ集積箱を設置するなどの対策によってカラスの繁殖を防いでいるところも多いが、福岡ではそういった知恵を使っているのだろうか。
生ごみというエサが手に入らないとなれば、カラスの個体数も自然界で得られるエサ、たとえば木の実や小動物などの数量に合った数に減ってくるという。増えたカラスを人為的な方法によって駆除するのではなく、こういった自然界の仕組みを生かしてカラスと人間の共存をはかるべきだ。
それだけの知恵が人間にはあるはずなのに。
（05/13/14 10:00pm）
2014年5月13日
3Dプリンターラッダイト
石油・ガスの掘削といえば地上から垂直方向に掘削し石油・ガスが比較的多く溜まっている地層と地層の間から吸い上げるというものだったが、近年のエネルギー事情に大革命をもたらしつつあるシェールガス・シェールオイルの掘削方法は、これらのガスを含む地下に横たわっている頁岩層にそって水平方向に掘削するという新しい掘削法によっている。「垂直から水平へ」という発想の大転換による技術革新が、エネルギー問題、環境問題の解決のキーになる可能性もある。（まだ、様々な不確定要素や、問題も多くのこされているが）
このシェールガス掘削における技術革命が、豊富な石油・天然ガス資源を背景にEUなどに於ける威圧的なプレゼンスを維持していたロシアの外交的立場に微妙な影響を与えていることは、ウクライナ問題などにおいてもロシアが米欧に対して一定程度の譲歩をせざるを得ない状況を作っている。ロシアが「文句をいうなら石油とガスを止めるぞ！」と威圧した場合、米欧が「止めるなら止めてみろ！そうなればアメリカからシェールガスを入れるだけの話だ！」と居直る可能性があるからだ。資源を強みとして押しまくってきたロシアの経済・外交がシェールガス掘削技術革命によって却って弱みになる可能性まで出てきたという訳だ。
19世紀初め、イギリスは自動布織機の導入によって世界の繊維市場を独占するほどの大繁栄を手にいれた。しかし、この自動織機革命によって仕事を奪われるのではないかと恐れた手工業者や労働者が、「ラッダイト（機械破壊）運動」を行った。近年もIT技術の革新に伴ってその職を奪われることを恐れた人々による「ネオラッダイト」と呼ばれるIT技術革新反対運動が行われている。（貿易自由化などに反対する反グローバリズム運動などもネオラッダイトの変形ともいえるのではないだろうか）
大きな技術革新、社会体制の変革に対しては必ずといってよいように反対運動や批判が起きるが、自動織機にせよIT技術にせよ結局は、その技術革新が人類社会に大きな前進をもたらしてきたという実績を思えば、それらの批判も所詮は、あのラッダイト運動に等しい「無駄で愚かな抵抗」といえるかもしれない。
大学職員の男が自宅に所持している3Dプリンターを使って拳銃を作成、その自作拳銃が十分な殺傷能力をもっていたという事件による衝撃は、「3Ðプリンターの使用規制あるいは所持規制もかんがえなければならない」という極端な規制論を生んでいる。3Ðプリンターというどんな精密なものでも大型のものでも立体設計図にもとづいて自動的にしかも短時間で作ってしまう、という超革新的な技術の発達は、場合によっては自動車や家電なども自動化によって作れるというところにまで進化する可能性を孕んでいる。「そんなことになったら我が社は不要になってしまう」「そんなことになったら自分の仕事はなくなってしまう」と3Dプリンターに不安を感じる向きも多いだろうが、そんな革命的技術の発展によってもたらされるであろう社会の利便性は、想像もできないほど大きいようにも思う。
銃規制の問題は、銃規制の問題として新たな体制を考えればよいことである。銃規制に名を借りて新技術3Dプリンターの規制を持ち出すとは---ラッダイト運動のばかばかしさは歴史が教えているではないか。
(05/12/14 10:00pm)
2014年5月12日
日本人はラテン系
各地で行われるイベントでダンスやチア、ハワイアンやサンバといったダンスパフォーマンスが行われるのはいまや珍しいことではなくなった。チームの主催者達、あるいはそういったダンス教室の先生達は、自分たちのダンスを披露できる機会を求めて各地のイベント予定を一年以上前からチェックし、パフォーミングの場を求めて猛烈な働きかけをするのだとか。
多くのイベントの出演枠は「地元優先」ではあるものの、その「地元」にあるチームの数の方が、出演枠よりもはるかに多いというのが実情だから、「あそこのダンス教室に所属すれば発表チャンスが多い」という実績に、教室の浮沈がかかっているといわれる位で、先生達も必死だそうだ。（昔の地元の夏祭りの盆踊りならば、参加者自由、だれでも踊れたが、最近の「フェスティバル」は、そんなに簡単なものではないようだ）
かつて「シャイで引っ込み思案」などといわれた日本人だが、カラオケが普及しはじめた頃から、「人前で歌いたい」「人前で踊りたい」といういわゆる「出たがり」に変わってきたような気がする。「乞食と役者は3日やったらやめられない」と言われるが、舞台に出て多くの人に見てもらうという経験は一度味わうと、その快感は忘れられないものになるようだ。
週末の土曜日、ロッテvs楽天戦を観にQVCマリーンフィルドに出かけた。千葉ロッテマリーンズのホームゲームで応援パフォーミングを行うチアリーディンググループ、「Mスプラッシュ」のおばさん版（失礼！）である平均年齢38.8歳の地元千葉の女性たち３１人のチアリーディングチーム「ママ・スプラッシュ」による応援パフォーマンスが7回裏の始まる前にグラウンドでくりひろげられた。試合はロッテが快勝、試合後のヒーローインタビューのお立ち台に立ったのが鈴木大地、藤岡貴裕というおばさん好み（？）の人気選手であったことも手伝って両サイドをこのママスプラシュのメンバーが取り囲んで大はしゃぎだったが、10代、20代のメンバーからなる本家のMスプラッシュのメンバーの体型（出るところは出て引っ込むところは引っ込んだ）に比べるとさすがにアラフォー近いママさんたちは、出るところも、引っ込むところも、ちょっと出過ぎ、という観があったが、チアガールコスチュームで派手に、体を動かし、あふれんばかりの笑顔で踊る姿にはパワーを感じさせるものがあった。
日曜日には、今度は幼稚園生から中学生程度までの女の子たち数百人（？）が試合開始前と7回にグラウンド一杯に広がってチアダンスを見せていたが、彼女たちも実に楽しそうに踊っていた。
こうやってみていると、日本人特に世代を問わない女性たちの踊り好きと、「みんなの前で踊ってみたい！」という気持ちの強さをひしひしと感じた。
どうも近年、日本人はついにお祭り好き、踊り好きといわれる「ラテン民族」になったようだ。
（05/11/14 10:00pm）
2014年5月9日
主君と親、そして公と私
韓国人は自国を「儒教の国」であり礼節を重んじる国だと自負していると聞いていた。
しかし、旅客船セウォル号の沈没事故で次々に明らかになってくる事実---乗客を置き去りにしてわれ先にと逃げ出した船長をはじめとする乗組員、最大積載量９８７㌧に対してその４倍近い３７８８トンの貨物や車両を積み、その過積載の事実を事故後に隠蔽しようとした運航会社、過積載は昨年３月の就航以来、事故当日までに２４１回の運航の内、約６割の１３９回に及んでいたにも関わらずそれを見て見ぬフリをしたのか、一度として違反を問うことをしなかった港湾当局のあまりにもお粗末な安全管理意識（運航会社と管理当局の癒着の可能性も報じられている）等々を知るにつれ、世界各国の人々が「本当に韓国は儒教に基づく礼節の国なのか」という疑念は抱いたのではないだろうか。
「韓国は儒教の国」というのも「剣道は韓国が起源」だとか「寿司は韓国発祥の料理」といったたぐいの根拠のない「ウリナラマンセー（我が国万歳）」の類ではないかとさえ思えてしまう。
韓国でもっとも重んじられる儒教の徳目は「孝」でるのに対して、日本では「忠」にあるといわれる。親の仇と主君の仇のどちらを先に討つべきかといえば、日本ではもちろん「主君の仇」が先（主君の仇討の為に親を嘆かせた赤穂浪士がよい例だ）だ。（薩摩藩で武士の子弟に行われていた郷中教育では、「先に出会った方」という実に実利的な答えを、教えていたというが）韓国では当然、親の仇が先だし、世宗に殺された「死六臣」の例のような忠義の逸話は少ないといわれる。
「孝」の対象、すなわち親乃至身内は、「自分自身」と同じ意味に近い極めて私的なものであるが、「忠」は自分自身を離れた他人、組織といった「他」あるいは「公」的なものである。「私」が大切か、「公」が大切か、の違いこそが日韓の徳目の違いになってはいないだろうか。私的なものよりも公的なものが大切だと考えるか、公的なものよりも自分自身、あるいは身内こそが大切だと考えるのか---。
乗客の避難に力を尽くし最後は船と運命をともにしたタイタニックの船長と、乗客を置いてパンツ一枚でわれ先にと脱出したセウォル号の船長との違いは、「公」という徳目を重んじる英国と、そうではない韓国の違いだ、と書いたのは英国の有力紙だ。
ローマ法王は、この事故の経緯を知って嘆き「韓国民が、この事故を契機に“倫理的に”生まれ変わるよう望む」と語った。まかり間違えば人種差別発言ともとられかねない言葉をローマ法王が語ったことにはさすがに韓国人もショックをうけたのではないだろうか。
吹き出した問題の全てが韓国社会の体質であるなどということではもちろんないが、自らを「儒教道徳の国」と誇っていた彼等の自信を根底から揺るがしているということはいえるのではないだろうか。
（05/8/14 10:00pm）
2014年5月8日
小雀と鷹
強大な軍事力を持つアテネは、度々ミコノス島を襲撃、島民の生存を脅かし、生き残った島民には重税を課して搾取し続けた。「何故あなた達は私達にこのような無理な要求をするのか」と嘆き訴えるミコノス島の住民に、軍事国アテネは言った「なぜ小雀のいうことを、鷹がきかねばならないのか」と。
強い軍事力のみがこの過酷な弱肉強食の国際政治の舞台において唯一、頼りになる力であるという現実を伝える話として古代ギリシャ時代から語り継がれる話だが、ミコノス島の住民たちの直面した現実は、二千数百年が経った今も国際政治の世界で生き続けている。
ソ連邦崩壊によって東西冷戦が終結した1989年から91年にかけてフィリピンでは第二次世界大戦中から米軍に提供していた軍事基地の撤去が図られた。当時、ピナトゥボ山大噴火によって基地が被災したこともあったし、国民の中にあった中国寄り、反米の気運も基地撤去を後押しした。そんなフィリッピン側の事情と、海外軍事費削減政策を掲げていたクリントン米大統領の意向が一致したことで、クラーク空軍基地やスービック海軍基地から米軍は一斉に撤退を決めたのだ。
この米軍撤退によりそれまで保たれていたこの地域の軍事的な安定は一気に流動化した。というのも、それまで米軍の軍事力を畏怖して静かにしていた中国が、南シナ海での活動を活発化し、フィリピンが領有権を主張しているミスチーフ環礁を占拠して建造物を構築し実効支配を強め、南沙諸島全域の支配へ乗り出したのだ。
鷹である中国という大国の前の小雀に過ぎないフィリピンでは、中国の不当支配を国際社会に訴えたが、もちろん中国は、「なぜ小雀のいうことを、きかねばならないのか」という態度を取り続けた。もはや、ここにいたっては、フィリピンにできることは、もう一頭の鷹である米国に再びこの地域に出てきてもらう以外にはなくなっていた。
イラクの核問題、シリア問題などで「弱腰」外交を続けてきたことで国際的にもかつての威信を失いつつあった米国オバマ政権だが、中間選挙を前にしてさすがにこれ以上「弱腰」批判を受けることはマイナスと判断したようで、ウクライナ問題でもEU以上に強硬な姿勢を示し始め、先般の日本をはじめとする東南アジア歴訪でも、フィリピンの要請を受け入れてフィリピンへの米軍再派遣と、この地域での安全保障体制の再構築に乗り出す姿勢を示した。
クラーク、スービックなどのかつて基地があった地域では、91年の米軍撤退以降、経済が低迷していたが、再び米軍が来ると知って地元は大いにわいているという。又、米軍撤退後にイスラム原理主義組織による爆弾テロなどにより治安が一気に悪化したこともあって、米軍と比軍との共同作戦による反テロ作戦に期待する国民も多いというから、今や、フィリピン国内にはかつて米軍を撤退させた当時の「反米気運」はなく、むしろ「米軍歓迎」ムードが高いという。
2000年を経ても頼れるものは「やっぱり軍事力なのか！」と、人類の進歩のなさにがっかりとするが「夢想平和主義」ともいわれる日本にも、何かを教えているような気がするフィリピンの米軍基地再開である。
（05/7/14 10:00pm）
2014年5月7日
あんたが言うな
小保方さんのSTAP論文に「改ざんと捏造がある」と認定した理化学研究所調査委員会の石井俊輔委員長が、自身の研究論文に問題があったとして突然、辞任したが、その後、この委員会の委員長を除く5人の委員の内、弁護士の1人を除く4人の理研所属委員のうち3人にも同じく論文に「切り貼り」疑惑が出たが、皆さん石井委員長と同様「自分の論文の（切り貼りは）論文不正ではない！」と居直っておられるようで、タカさんのような素人には「小保方さんの切り貼りは、改ざん、捏造なのに、どうして委員の方々は改ざん、捏造ではないの？」とどうにも不思議でならない。
理研という日本屈指の研究機関の偉い順でいえばナンバー3に当たるという副理事長という職にある石井さんをはじめとする錚々たる科学者が、「責任を感じて」辞職したというのだから、少なくとも小保方さんを「捏造だ！」と断罪した調査委員会の結論に対する信用は全く失われたと言ってもよい。（風俗に来た客が店の、お姉ちゃんを説教しても笑われるだけだ）
こうなってくると、理研の先生たちやら、理研に義理があるからか（？）小保方さんをくそみそに言っていた科学者の先生達にたいする世間の見る目が、「尊敬」から「嘲笑」に変わってしまっているのも、どうにも致し方ないようにも思えてくる。
この一連の騒ぎを見ていて、なんだか妙にデジャヴ（既視感）な感覚にとらわれたのは年金未納問題の追及の舌鋒鋭く当時の小泉首相達のことを「未納三兄弟って言うんですよ！」と迫った民主党の菅直人が自分も未納だったことが発覚し民主党代表辞任に追い込まれ、頭を丸めてお遍路に出た（あれも随分とあざといパフォーマンスに見えたが）ことを思い出したからだった。あの時、菅さんも「私の未納は、厚労省の不手際」などと言い訳し、未納当時の厚労大臣が自分であったことが発覚して、ますますドツボに入ってしまったが、石井さんやら他の委員の「自分のやつは不正ではない！」という言い訳と、やたらと似ているような気がしてならないし、はやくもお笑いネタにもつかわれているとなると、石井先生もお遍路にでもでないとおさまらないのでは－－－。
菅さんの「未納三兄弟」は、民主党の「ブーメラン」と言われたが、最新の世論調査による民主党の支持率がわずかに3.1％と超低迷しているのも、菅さんをはじめとする今も続くブーメラン体質、すなわち「自分を棚において、他人をけなす」体質がひびいてのものだろう。（そういえば、菅さんのみならず小沢さんも、小泉さんの未納を糾弾後、自らの未納が発覚し代表戦出馬辞退に追い込まれたし、岡田さんやの兼職疑惑や、辻元さんの秘書給与も皆、他人を責めたてた後で発覚したもので、なんとも恰好の悪いものだった）
英語のことわざにKnow your own faults before blaming others for theirs.というのがあるが、日本のことわざでいえば「己を責めて他人を責むるな」ということだろうか。
そういえば、我が家でも妻に文句をいうとすぐに「すいませんでした！でも、あなただって何よ！」と返ってきて、口答えができなくなることがしばしばある。
STAP論文と民主党ブーメランを今一度、我が心にも教訓として刻んでおこう。
（05/6/14 10:00pm）
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