春は来る

スギ花粉が飛び始めたようで街にはインフルエンザ対策の為ばかりとはいえない、花粉症対策の為とおぼしきマスク姿が増えてきているような気がする。

昨年夏の日照量が少なかった影響で、今年のスギ花粉の飛散量予測は平年並みより少なく、多かった昨年の半分以下になるらしい。又、今年の冬の平均気温が低いこともあって花粉が飛びはじめたのも昨年より2週間ほど遅いのだとか。

日本三大名瀑の一つ袋田の滝も先日全面結氷したがこれは6年振りのことだという。確かに今年冬の寒さはかなり厳しいということのようだ。

そういえば、先日、気象庁が今年最初のさくらの開花は予測を発表したが、開花は例年より遅くなるだろうとのことだ。（まあ、今年のさくらの開花は例年より早くなるだろうなどとは素人でも思わないが）

さくらの開花も、スギ花粉の飛び始めと同じ位遅くなるとすると首都圏でのさくらの開花は丁度、入学式の時期とぴったり重なるかもしれない。大学の9月入学が話題になっているけれど、やっぱり日本の入学式はさくらの季節がぴったりすると思うのは、古い世代だからだろうか。

昨年も、さくらの開花は例年より遅かったように記憶する。少なくとも2年連続で「例年より遅い」となると、「地球温暖化」はどうなっているのだろう？　と思わないではないが、あれだけ「地球温暖化」を叫んでいた温暖化カルトの人たちは最近は、随分と静にしているけれど―――都合の悪い時には静にしているというのは何故だろうか。もっとも、中には「今年の冬が寒いのは、地球温暖化の所為だ！」という珍妙な説を唱える温暖化カルトの御仁がいないではないが。

今年の春の訪れはいつ頃になるのだろう。二十四節季の一つである「啓蟄」は、地中で 冬ごもりしていた虫が春の到来を感じ、草木が芽吹くと同時に地上へ這い出してくる日だそうで今年は3月5日がそれに当たるが、今年の寒さからすると後2週間ほどで春になるとはちょっと思えないのだが―――。

そうそう、啓蟄といえばアメリカにもこれと似たような季節のイベントがある。ペンシルバニア州などを中心としたドイツ系移民の人たちが19世紀から守っている風習で、例年2月2日に冬眠しているグランドフォグというジリスの一種を無理やり穴倉から引っ張り出し、そのグランドフォグに春の訪れる日を占って貰うというイベントだ。（グランドフォグが、タキシードにシルクハット姿の祭の主催者に、グランドフォグ語でお告げを伝えるのだという）

今年のグランドフォグのお告げによると「今年の冬は後6週間続く」のだそうである。即ち、このお告げによると春の訪れは3月15日頃、すなわち啓蟄の10日後ということになる。気象庁の予報とどっこい程度の信頼性（？）はありそうなお告げだ。

いずれにせよ春まであと一ヶ月程。あと一ヶ月も寒さが続き、インフルエンザや花粉症に悩まされるのかと思うとちょっと鼻白むけれど、「終わらない冬はなくあと一月もすれば春になる」と前向きにとらえれば、春もそんなに先の話ではないと思えてくる。

（2/16/12 9:00pm S.T.）

船中八策とオッカムの剃刀

坂本龍馬が大政奉還後の新国家体制の基本方針として起草したのが「船中八策」だが、これにあやかって大阪維新の会が「維新版・船中八策」を発表した。

龍馬自身が当時の幕藩体制をほぼ全否定し、あらゆる既得権を一から見直そうとして策定した「超革新的」な国家体制理念であったオリジナル版に比べれば、橋下版は「現状変革型」のまだまだスケールが小さい改革案に過ぎないようにもおもえるが、これでも、既得権にズブズブと浸かっている与党、野党を始め、現体制の中に安住している既得権者にとってはどきりとする内容かもしれない。

保守的になりがちなタカさんにしても、参議院の廃止だとか首相公選制などに見えるような憲法改正を伴うような施策を大胆に主張しているところにはちょっと胸のすく思いに駆られる。

今まで、橋下人気に擦り寄ろうと姑息に動きまわっていた既成政党にとっては、この八策は踏み絵の役割を果たすのではないだろうか。

案の定、各党の八策に対するコメントは橋下人気に殊更逆らって選挙民に嫌われたくはないという思惑もまだあって、戸惑いとか、「どうせ無理に決まっている」などという本音は隠した当たり障りのないものになっている。

TPP反対や消費税増税反対を唱えている小沢グループや、国民新党の亀ちゃんたちは、橋下船中八策にはTPP参加や消費増税が書かれていることでいままで色目を使って「連携」を叫んでいたことと辻褄が合わなくなってしまったのは何だか笑える。

みんなの党の渡部代表は「我々のアジェンダとほぼ同じ」などと相変わらず橋下人気にぶら下がる気らしいが、16人の所属国会議員の内、11人も所属議員がいる参議院が廃止になったら党としてやっていけるのだろうか。（維新の原動力となった島津藩だったが、廃藩置県になって殿様でいられなくなった島津久光は「こんなはずでは！」と激怒したと伝えられるが、渡部さん、本当にそんなに粋がって大丈夫？---もっとも参議院廃止なんて実現する訳がないとタカを括っているのかもしれないが）

そうそう、官公労、日教組を支援団体に持つ民主党にとっては「橋下版・船中八策」の「公務員改革」やら「教育改革」は受入れがたいだろう。

衆議院の比例定数削減に難色を示している公明党やその他の弱小政党にとっては「行政改革」や「政治機構の再構築」による中央、地方の議員定数削減には反対せざるを得ないだろうし−−−。

あっちもこっちもちょっとやそっとの手直しではどうにもならないほど複雑怪奇になってしまった日本の政治・社会システム、そういった既存の体制、システムに寄生しているいわゆる既得権者がごまんといるという日本の行き詰った現状を思い切って変えるには、橋下・船中八策ではまだまだ不十分だし、まして既存の政党が擦り寄ることができるような八策では意味がない。

複雑に入り組んだ問題を、原則に戻ってシンプルに解決する最後の手段は、「オッカムの剃刀」だというが―――そんな船中八策を策定するような政治家はいないものだろうか。

（02/15/12　9:00pm S.T. ）

東電国有化？

原発の運転停止にともない火力発電所のフル稼働状態にある各電力会社だが、折からの輸入燃料価格の高騰もあってその採算は急激に悪化している。（こんな折に、円安だったら更に大変なことになっていることを思えば、世の中がブーブー言うほどには円高も悪いことばかりではないかも）

東電は2011年度3月期の決算予測で営業赤字が6950億円になると発表したが、この大幅赤字の主な要因は火力発電燃料費と電力料金の差によるものだという。東電はこの他にも原発事故関連の賠償金として最大1兆7000億円が必要だというのだから、首都圏の電力供給をどうにか確保しつづける為には国が何らかの形で、1兆円規模の資本注入をして東電を生きのこらせて（生かさず殺さず）いくしかない。東電を破たん処理してしまい（公的管理下で）生き残らせるという方法もあったが、民主党政権は、既にその機を逸してしまっている以上、ここはやはり東電に資本注入するしか手はない。

資本注入後の東電の経営形態だが、JR労組からの資金提供スキャンダルなどのある新左翼系（全共闘系？）の枝野経産相は、東電が国に経営権を渡すこと、すなわち東電国有化が資本注入の条件だと主張、一方、東電は勿論のこと経済界は電力事業の国有には反対だというがいずれにせよ「東電を生かしておく」という同じ目的に向かっている限り、結局、資金を国民が負担することには変わりはないだけに、枝野VS東電のバトルは我々納税者から見ると「八百長相撲」の観は免れない。

枝野さんが国有化を強く主張するのは諸外国で進んでいる「発送電分離による電力自由化の促進」にあるという見方が強いようだ。確かにアメリカなどでは発送電の分離により発電事業の競争が促進されているといメリットもあるが、逆に電力事業が採算性にばかり主眼が置かれるために供給が不安定になるなどというデメリットもでている。（砂漠の真ん中の小規模太陽光発電所に送電線を引くとか、過疎の町に送電する会社がないといった問題、あるいは大規模投資による発電所建設が行われなくなるといった問題が起きている）

確かに、地域電力独占をよいことに東電は殿様商売をしてきたこととか、福島原発であきらかになった杜撰な管理体制、あるいは一般企業よりも高い従業員給与や福利厚生の手厚さへの反発（やっかみ）から、「東電から経営権を取り上げろ！」といった声も高いけれど、国鉄から民営化されたJRを再び国営に戻してよくなるとは思えないことを考えれば「東電を国営化してしまえ！」という一時の激情にかられた意見はどうも暴論に思える。（東電の電力料金値上げ申請に対して政府は「待った！」をかけているが、電力が国営になった場合、値上げ申請するのも国、値上げに「待った！」をかけるのも国、という利益相反がおきるが、どうするのだろう）

福島原発の問題からの鬱屈が、国民には「東電の国有化」という話を聞いただけで「東電、ざまぁ〜見ろ！」という余りお上品とはいえないメンタリティーを生んでいるのだろうが、よく考えてみると（タカさんは東電の肩を持つ気も、そんな義理も全くないが）原発事故にしてみても東電と国（経産省やら原子力委員会といった）が二人三脚で推進してきたという過去があるのに、一旦事故が起きたら国はその責任をしらんぷりして「東電が悪い！」と東電叩きの先頭に立っていることこそおかしいのではないかとおもう。（「ただちに影響がない」と言い捲くっていた当時の官房長官の枝野さん、原発緊急時にどなりまくるだけで事態をより混乱させたダメ菅が、東電幹部たちのように頭を下げたり、謝ったりしたことがあるだろうか）

そうそう、1兆円からの公的資金（1兆円もの我々の税金）が注入がなされようとしているというのに、民主党内、野党からは賛成とも反対とも全く意見が出て来ないし、政府内でも枝野さんと藤村官房長官の意見が違うなど全く意見統一ができていないというのも一体どういう訳だろう。

なにしろ肝心な野田首相が東電問題をどうしようとしているのかが明らかでないというのだから―――。日本の内閣は最早、統治機構としての体をなしていないということなのだろうか。