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2014年7月
2014年の下期各月バックナンバー： 7月、 8月、 9月、 10月 11月、12月、
＜＜2014年：7月分 タイトル＞＞
07/31 冷夏と言ったじゃないか！ 07/30 悪いインフレ 07/29 余計なことスンナ！ 07/23 強いアメリカが懐かしい 07/22
はっきりしろ！ 07/18 血統か環境か 07/16 規制に取り囲まれて 07/15 悪魔の証明再び 07/14 盗品故買だ！ 07/11 すすきの復活 07/10
Ambulance Chaser 07/09 甘くない移民受入れ 07/08 再調査に期待できるか 07/07 便利な公約 07/04 この世はパラパラ漫画なのか
07/03 河野談話の罪 07/02 地方に任せて大丈夫か
2014年7月31日
冷夏と言ったじゃないか！
気象庁が今年の夏は、ペルー沖の海面水温が高い状態が続く「エルニーニョ現象」が発生、その影響で日本は、全国的に「冷夏」になる、と発表したのは今年４月のことだった。
それ以降、5月、6月と暑い天候が続いていたが、気象庁はこの「冷夏予測」を変更せず、「涼しい夏が来る！」と言い続けていた。気象庁といういかにも権威のありそうなお上の機関の、自信たっぷり御宣託に期待を寄せて暑さに耐えていた人も多かったと思うが（もちろん、6月から7月初めの暑さは猛暑だった昨年と同じ位ではないか―――気象庁、又、外したな！と思った疑り深い人もいただろうが）、7月10日になって、気象庁はなんと今までの予想を一変、「エルニーニョ現象が起きる時期は、秋から冬にズレ込むので、東日本などではこの夏の平均気温は平年より高くなる見込み」とそれまでの冷夏予想を180度転換、「猛暑の夏」予測に変えた。
気象庁が、大げさに「猛暑になる！」などと予想を述べるまでもない、実際に7月10日の時点でもう既に猛暑だったし、今日この頃も連日の猛暑である。
「予報」というのは3ヶ月なり1ヶ月、あるいは1週間なり1日前に出るからこそ参考にするものである。「明日は雨でしょう」という予報、あるいは「今日は昼から雨でしょう」という予報だからこそ、「傘をもって出よう」とか「今日、洗濯物を干すのをやめておこう」となるのであって、気象庁が隣のおばさんが声をかけてくれるように「今、雨が降ってきましたよ！」と発表したからといって、これを予報とはいわないのではないだろうか。要するに気象庁のこの夏の予報は「大ハズレ」したのだ。
気象衛星の技術が進んだとか、気象データの捕捉精度が格段に向上した！と気象庁は大宣伝し、だからこの頃の天気予報は、よく当たるようになった！というけれど、「本当かよ〜？」と思う人は多いのではないだろうか。
先日の大型台風にしても房総半島に上陸！という予想があって、本当に房総半島に上陸した！と気象庁は発表したが、上陸していたはずの時間、首都圏、しかも千葉方面では風も雨も治まり、静かなものだった。これが、「50年に一度の経験したことがない規模の台風」という特別警戒警報が出た、大型台風だったのだろうか？？
もちろん、この手の災害に係る警報は、「空振りであっても、出さないより出した方がよい」に決まっているから文句はいうまい。しかし、「この夏は涼しい冷夏」という予報で人を喜ばせておいて（農作物に被害が出るのでは、と心配した人もいただろうが）、その挙句に本当に猛暑になった最中に、とぼけたように「今年の夏は猛暑でしょう！」などという予報を出すのだから－－－。気象庁という役所、本当に大枚の予算を使って、一体何をやっているのだ！といいたくなる。
ペルー沖の海面温度が高くなるのか、低くなるのか、などという広域での（おおまかな）気象現象でさえ、長期に予測することが難しいし、明日雨が降るかどうかさえも、中々当てられないというのでは、本当に気象庁が、天気予報などというものを、この先も続けていく必要があるのか！？と思わざるを得ないのだが――――。
まあ、猛暑にいらだつタカさんの八つ当たり意見という要素は強いが。
（07/30/14 10:00pm）
2014年7月30日
悪いインフレ
先日発表された13年度の物価上昇率は0.8％、この調子が続けば、昨年5月に、黒田日銀総裁が「異次元の金融緩和」とともに掲げた「2年で消費増税の影響を除いた物価重賞率2％」という数値の達成はほぼ確実ともいわれている。
実体経済を伴わない金融政策だけで景気をよくしようとするのは、温度計をこすって「室温が上がった！」というようなものだ！と批判的であったタカさんには、（参照：「上がったものは下がる」5/29/13、他）黒田さんから「謝れ！」とお叱りがあるやもしれない状況だが－－－。
だが、本当に「13年度の物価上昇率は0.8％」は喜ぶべきことなのだろうか。いや、物価上昇の中身を知れば、むしろ不安にかられるべきなのではないか、とさえ思う。
物価上昇、すなわちインフレには2種類ある。良いインフレと悪いインフレだ。
物価が上昇する、すなわち人々が物を買うようになって需要が供給を上回れば、物価は自ら上昇する。生産現場では需要に追い付こうとして稼働率が上がり、人手不足が起こり賃金の上昇が起きるだろうし、新工場建設、といった設備投資も増えるだろう。そうなれば、手取り賃金が増えた人々の消費は益々旺盛になるだろうし、新規投資による経済の活性化も起きるだろうから、これが更なる物価上昇（景気上昇）に繋がるだろう。これがいわゆる良いインフレだ。
ところが、先日発表されたに「13年度の物価上昇率は0.8％」の中身をよく見てみると、上昇に寄与したのは「原発停止による電気などのエネルギー価格の上昇、異次元の金融緩和による円安による輸入原材料、天然ガス、原油コストの上昇」が、その大半を占めており、良いインフレの最大のメリットであるべき「賃金上昇」は、中小企業など大半の企業ではまだみられていない。加えて、円安にもかかわらず、輸出がそんなには増えていないという問題もある。（自動車を除いて、円安のおかげで輸出が増えている、という中小企業は皆無と言ってよい）
すなわち、消費者にとっては「収入は増えないのに、電気代やらガソリン代が高騰、消費税まで上がって生活は昨年に比べて苦しくなってきている」というのが、実体だ。まさに「収入が増えないのに、物価だけが上がる」という悪いインフレになっているのだ。庶民の懐から出て行くお金は、海外の資源国に回ってしまい、国内には全く残っていない、ということだとしたら―――「黒田さん凄い！」「アベノミクス凄い！」と喜んでいる場合ではない。
もっとも、黒田さんや日銀ばかりを責める訳にもいかない。我々にもこの悪いインフレの責任の一端はある。良い例が原発再稼働問題だ。
安全最優先で取り組むのは当然だが、この際、規制委員会がGOサインを出した原発の再稼働を視野に入れ、電気などのエネルギー価格上昇に歯止めをかけるべき、いや国際標準よりもはるかに高い日本のエネルギー価格を下げる努力をするべきだ。（原発再稼働が難しいといわれる、北海道電力は、この夏、再び10％の電気料金値上げを申請しているし、他の電力も同じ程度の値上げを考えているという）
日銀は、温度計をこすって「室温が上がった！」と叫び、庶民は原発再稼働アレルギーをヒステリックに叫ぶだけというのでは、悪いインフレが益々進む一方で、我々の暮らしは決して良くはならない。
（07/29/14 10:00pm）
2014年7月29日
余計なことスンナ！
2009年の衆議院選挙で自民党が歴史的惨敗を喫し政権が民主党に移った半年後、それまで麻生内閣で厚生労働大臣を務めていた舛添要一さんは、沈みゆく泥船からいち早く逃げるが勝ち、とばかりに自民党に離党届を出し「新党改革」の代表に就任したばかりではなく、数名の自民党議員に自民離党、新党改革入りを促した。
この掌を返したような舛添さんの変身ぶりに自民党執行部は、激怒、舛添氏の離党届を受理せず、反党行為を行ったとして舛添氏を除籍処分とした。魑魅魍魎の政界とはいえこのあまりにもあからさまな裏切りによって舛添さんの評判は、かなり落ちたのは事実。しかし彼としては、「機を見るに敏」な動きをしたと、「してやったり」の気分だったのではないだろうか。しかし、世の中そんなに甘くはなかった。陣営からも見向きもされず、結局、舛添さん自身、自滅の道を歩まざるを得なくなった。
その結果、13年の参議院選での再選を狙った舛添さんを支援する組織もなく、事前の世論調査でも（彼は神奈川から立候補することを検討していた）、落選確実という結果が出たこともあって不出馬となりいわゆる「終わった人」状態になっていたのだ。
そんな不遇の舛添さんだったが、世の中何が起こるか分からない。今年1月、徳洲会の5千万円事件で、猪瀬都知事が辞任、急遽行われることになった都知事選には、これといった立候補者がおらず、参議院選不出馬により浪人生活をしていてヒマを持て余していた舛添さんにチャンスが巡ってきたのだ。
一時は自民党が舛添さんを推薦するという話まであったようだが、これはさすがに、小泉信一郎議員などのように「一番苦しい時に『自民党の歴史的使命は終わった』と言って出て行った人を、応援する大義はない」といって反対する議員が多く、結局、彼は、無所属での出馬を余儀なくされたが、対立候補が細川、小泉の暴走老人コンビなど、舛添さん以上に怪しげな連中だったこともあって、幸運にも都知事の椅子を射止めることができたのだ。まさに「人間万事塞翁が馬」である。
都知事というのはこの間の都議会セクハラヤジでよく分かるように、お気楽な商売のようで、ヤジを浴びて演壇でたじろぐ女性都議の横で、笑っている舛添知事の顔が繰り返しニュース画像で流れるなど随分と窮地にも陥ったが、「ヤジは聞こえなかった。会場の笑い声につられて笑っただけ」などとなんだか意味不明の言い訳でどうにか、逃げ切れるのだから、舛添さん、ここで静かに余生を送っておられればよいものを―――。
先週、何を思ったのか韓国を訪問、朴槿恵大統領と会談を行ったという。なんで、今、都知事が韓国に出かけていって外相まがいのことをやる必要があったのだろうか。朴槿恵さんが世界中に日本の悪口、しかも事実ではないことを触れて回っている為にギクシャクしている日韓関係を、ここは自分が一つ出ていって、あのオバサンを説得しようなどと、功名心にでもかられたのだろうか―――。
挙句の果てに、相変わらずの上から目線で日本批判を繰り広げる朴オバサンの前で、頭を下げてそれを聞き入り反論もしない舛添さんの姿に、都民の大半は「なんと余計なことをしたものだ！」と怒っており、都庁にはメールや電話での抗議が殺到しているという。
韓国での講演では「90％以上の東京都民は韓国が好き」といった発言を行ったというが、直近の読売新聞の調査では「韓国を信頼できない」という答えが73％、週刊文春のアンケートでは「韓国が嫌い」は87.3％となっているが、舛添さんは、一体何を根拠にしてこんな発言をしたのだろうか。
相手の暴言に対して反論しないばかりか、あたかも相手に同調するかのような媚を売る発言を繰り返す、という日本人特有の「なあなあ、まあまあ」の姿勢が、韓国をここまで侮日、反日に追い込んでしまった、という反省が舛添さんには全くなかったということだろう。
舛添さん、日本の外交などというあなたの能力以上の事には手を出さず、思いもかけず手に入った都知事の椅子に座って静かにしていてくれませんかねぇ〜。
（07/28/14 10:00PM）
2014年7月23日
強いアメリカが懐かしい
イスラエルによる連日の空爆、地上攻撃をうけているガザ地区の広さは、わずかに東京23区の6割程度だ。更にその狭いガザの約4割は、イスラエル人（ユダヤ人）の為の入植地といわれる地域だから、実際に約150万人のパレスチナ人が住んでいるのは、東京23区の約4割の地域に過ぎない。ガザのパレスチナ住民の居住区は、世界一ともいわれる人口密度の狭い地域に押し込められているのだ。
しかも「パレスチナ人居住区」は、高さ約10メートルの壁にぐるりと取り囲まれていてそこへの出入りはイスラエルによって完全にコントロールされている。自治区というよりは大きなゲットー（ナチスドイツがユダヤ人を住まわせた強制居住地区）と言った方が適格だ。
今から約70年前、それまで世界中に散らばっていたユダヤ人が、「このパレスチナの地は、神がユダヤ民族に与えた地であり、実際2000年前までは、我々の祖先が住んでいたのだ！お前らどけ、どけ！」といってその地に国を作り、それまで住んでいたパレスチナ人（パレスチナに住んでいたアラブ人）をガザ地区や西岸地区といわれる狭い地域に押し込めてしまった、というのがガザのパレスチナ人が辿った歴史だ。
この2000年、パレスチナに住んでいたアラブ人（パレスチナ人）にとっては、随分と迷惑というか酷い話という気もしないではないが、ユダヤ人が強い政治的影響力を持つ世界最強国のアメリカ、ナチによるユダヤ人虐殺に協力した、あるいは協力しないまでも傍観してしまった、といううしろめたさを持つ欧州各国が、（そこにユダヤ教・キリスト教連合対イスラム教の宗教対立と言った問題も絡んで）イスラエル建国にも、さらにその後の幾度かに亘る中東戦争（イスラエルとアラブの間で争われた）においてもイスラエルの後ろ盾に立ったことで、今やパレスチナの人々のゲットー生活は、益々窮地に追い込まれている。
もっともイスラエルの立場に立てば、「イスラエルという国を地上から抹殺する！」という強硬論を主張するイスラム原理主義組織やイランを後ろ盾にするハマスなどの過激組織に対しては妥協するという選択肢はない。「ガザ攻撃は虐殺行為だ！」と世界が束になって非難しても、自分の国の存亡が掛っているとなれば一歩足りとも譲歩する訳にはいかない、という論理になるのだろう。
パレスチナとイスラエルの間の紛争は今までも、数限りなくあったが、これまでは、紛争が泥沼化して両者が疲弊する前に、調停者が出ていたものだった。
調停者は時によって国連であり、エジプトであり、あるいはノルウェーなどであったが、その背後には常に「世界最強の国」アメリカのプレゼンスがあった。
子供同士の殴り合いを止めるのは、他の子供だったかもしれないが、その調停役の子供の後にはアメリカという大人いや相撲取りが構えていたのだが―――。
ここのところ、ガザはもちろん、イラクにしてもアフガン、ウクライナにしても調停者アメリカの威信の低下が調停者不在の殴り合いに発展してしまっている。アジアでも、中国による南沙諸島の石油掘削や、尖閣へのプレッシャーは、「アメリカを気にする必要はない」という中国によるアメリカ軽視が招いていることは間違いない。
ガザではイスラエルの攻撃によって既に150人もの子供が死亡しているという。 「強いアメリカ」は世界の平和にとってやっぱり必要なのではないかと思わないではない。
（07/22/14 10:00pm）
2014年7月22日
はっきりしろ！
集団的自衛権行使を可能にする憲法解釈の変更が閣議決定された。
衆参両院で多数を占めている自民党が提起し、みんなの党や日本維新の会なども、比較的早い段階から、賛成の意向を示していたことで、解釈変更への舵は大きくきられ、ある意味ではこういう結論に到る大筋は、既定路線だったともいえるが、安倍内閣は、決して事を強引に進めるようなことをせず、憲法解釈変更には比較的消極的であった連立パートナーの公明党を、説き伏せたることに時間をかけた。問題が「憲法解釈」「国の安全保障」という大きな問題であっただけに、よかったというべきだろう。
この一連の動きの中で、もっとも不可解だったし失望したのは、民主党である。というのも、上記通り、「集団的自衛権行使を可能にする憲法解釈の変更は是か非か」という課題に、社民党、共産党の二党は「反対」、自民、みんな、維新などの野党は「賛成」と旗色を鮮明に打ち出し、それぞれがこの政治課題の論議に加わってきたが、「それでは民主党は？」というと、最初から、最後までさっぱり分からなかったからだ。
事は、国の安全保障の問題である。既に何十年に亘って提起され、安倍内閣発足以来でも既に2年近くに亘って喧々諤々と議論を積み重ねてきた問題だ。日本の最大野党である民主党が、そんな重要な問題について「賛成なのか反対なのか」を今に至るもはっきりと示していない、というのは一体どういうことなのだろう。
民主党は、以前から政党理念を明らかにしてその旗の下に結集する、という政党本来の機能を持たない、単なる選挙互助会としての寄せ集め集団だと言われてきた。その「民主党らしさ」が今回も如実に出たといってよいだろう。
民主党内には、明らかに集団的自衛権の行使容認に反対する労組出身議員がいる一方、行使容認に賛成を公言する前原元代表などを中心とするグループがいる。そんな水と油のように違う両極端の意見の上に立つ、海江田代表自身、優柔不断が背広をきているような人物で、一体政界で何をしたいのかさっぱり分からないのだから―――。（国会論戦においても安倍首相から「一体、民主党の意見はどうなのか？」と問われ、しどろもどろになったのだから、なんとも情けない代表だ）
閣議決定に至る段階では、それで済んだかもしれないが、いよいよ秋の国会では、今度は閣議決定に基づいて集団的自衛権行使に伴う数々の法案が提出されてくる。法案審議に当たって、党の方針が「集団的自衛権行使に賛成なのか反対なのか」がはっきりしないままだったとしたら―――民主党の議員は一体どのように論議に加わることができるだろうか。
またぞろ、自らの賛否を明らかにしないままで「論議が尽くされていない」などと訳のわからないケチをつけて審議を長引かせれば、その内、与党が何かチョンボをするだろうから、そこを突いて攻めれば―――などという敵失待ちに徹しようとでもいうのだろうか。なんとも迷惑な話だ。
はっきりしない第一野党を持つ国会で、真剣な論議などできる訳もない。
民主党はこの際、解党して旗色を鮮明に掲げる2つもしくは3つの新しいグループとして出直すべきだ。もうこれ以上、国民に迷惑をかける訳にもいくまい。
（07/21/14 10:00pm）
2014年7月18日
血統か環境か
日本の陸上競技界で一番有名な競技者ファミリーは？といえば、まず間違いなく、「ハンマー投げの室伏ファミリー」の名が上がるだろう。
72年のミュンヘンオリンピック以来4回のオリンピック日本代表、日本選手権10連破、アジアオリンピック5連覇を果たし「アジアの鉄人」といわれた室伏重信氏が、その現役生活の末期になると、今度はその息子の室伏広治選手が彗星のごとく日本ハンマー界に現れた。
室伏重信の名を聞き始めて以来、今に至るまで、ということはこの半世紀余り、タカさんにとってはハンマー投げ、といえば「室伏」以外の連想は湧いてこないといってよいほどの存在だ。
広治選手の母は、元ルーマニアのオリンピック槍投げ代表、妹もアテネオリンピックの女子ハンマー投げ日本代表だ。まさに、ハンマー投げのサラブレットなのだ。
さて、あらためてタカさんが疑問に思うのは、室伏選手が、これだけ有名なハンマー投げの名選手になったのは、彼の「血」なのだろうか、それとも「環境」なのだろうかということである。
ハンマー投げという競技が、音楽や絵の才能と同じように、幼い時からの教育によってある程度育まれるとしたら、父も母も投擲選手で、「ハンマー投げ環境」が子供の頃から身の廻りにあった広治選手の活躍には「環境」が大きく影響したという風にも考えられる。
生まれつき投擲の能力があったのに、本人も回りも気付かなかった人（ひょっとしたら、タカさんにもハンマー投げの凄い潜在能力があったかもしれない）にくらべたら、父親の練習する姿を見て育った広治選手は、めちゃくちゃ有利だった――とかんがえられなくもない。
いやいや、広治選手は父母ともに世界レベルの投擲選手だったのだから、「血」（いまでいうならDNA）的に、ハンマー投げ能力が備わっていた―――環境が備わっていなくても、自然とその能力は開花したに違いない！とも、考えられなくもない。
若貴兄弟が、横綱になったのは、彼等が子供の頃から父の相撲部屋の環境になじんでいたからなのか、それとも叔父が初代若乃花、父があの大関貴ノ花という相撲能力に優れたDNAが大きな役割を果たしたからなのだろうか―――という疑問と、同じだ。
政治家、芸能人、芸術家の多くでも、2世、3世が活躍するケースは多いが、かといって2世、3世だからといって、皆が皆、活躍する訳ではない。いやむしろ、ダメな2代目、3代目の方が多いぐらいだ。そうなると、血統も環境もあまり関係ないようにも思えるし－－－。
94年にデビュー戦で勝利した後、翌年の英ダービー、キングジョー６世＆クイーンエリザベスＳ、凱旋門賞に勝ち、史上２頭目の欧州３冠を達成し、４戦無敗のまま引退し、「奇跡の馬」と呼ばれた競走馬ラムラタは、96年に日本に当時40億円ともいわれる金額で輸入され種牡馬となったが、その産駒は全く活躍せず、06年には、買収額の約200分の1、2000万円で売却されたが、そのラムラタが先月、22歳で死んだという。
血統なのか、環境なのか、人にしても馬にしても、タカさんの疑問は益々深い。
（07／17／14 10:00pm）
2014年7月15日
規制に取り囲まれて
英国ヨークシャーを訪れて名作「嵐が丘」の主人公ヒースクリフが一人、風に向かって懊悩するあの名場面の舞台、ペニストンヒルに佇んでみたい、と思った場合、その実現はそんなに簡単ではない。
エジンバラなどのイギリス本島北部の大都市（といっても日本のそれに比べれば小都市だが）からでも、ヨークシャーまでの交通の便は、そんなに便利な訳ではないし、時間はかかる。そうなると、この周辺で1泊するのがよいのだが、ロンドンやエジンバラのように大きなホテルなどの設備がそんなに多くある訳でもない。
そんな、イギリスでの一人旅に便利なのが、B&B（ベッド＆ブレックファスト）といわれる小規模の宿泊施設だ。B&Bは、日本語では「民宿」などと訳されているが、スコットランドなどに多いのは、個人宅が、その家の空いている部屋を宿泊用に提供するというもので、ベッド（寝る場所）とブレックファスト（朝食）は用意されているものの、通常、夕食はついておらず、シャワーやトイレは、その家の住人と共用する、というスタイルが普通で、日本の民宿やペンションよりも規模の小さい物が多い。
英国圏の国々への個人旅行をしたいという人で、宿泊コストを抑えたいという人、ペニストンヒルのような辺鄙なところに行きたいという人にはお勧めの宿泊施設だ。英語に多少自信がある日本の若者などにも多くの愛用者が多い－－－ここまでは、英国駐在経験からタカさんが得た知識だが－－－。
先日、某新聞を読んでいたら米国で今年最大のIPO案件になると噂されている企業、「Airbnb（エアビーアンドビー）」が紹介されていて、これこそまさに、あのB&Bシステムの近代版なのかぁ〜と感心した。
Airbnbは、自分の家の空いている部屋に、有料で誰かを泊めたい人と、泊まりたい人を結びつける宿泊マッチングサイトだそうで、現在既に世界192カ国、3万4000都市に広がっていて、IPOを実施すれば恐らくその規模は100億ドル（1兆円）と今年のIPOでは最大規模になるだろうと言われているのだとか。
かつては、電話やネットで宿泊予約を行っていた個人旅行者や短期訪問者が、SNSをつかって自身で「部屋を貸したい人」と直接交渉できるシステムをそなえているのがこのAirbnbだ。ちなみに、このサイトで、SFやLAの自分が住んでいた地区の空き部屋を調べてみたら、あるはあるは、多くの物件がリストアップされてしかも写真で部屋や、その地区の環境なども手に取るように分かるのだから実に便利そうだ。しかも料金もピンからキリまであるが、ホテルなどに比べればかなりリーズナブルだ。今度、海外に行くとしたら一度、このAirbnbを利用してみようかなぁ〜と思った。
ところで、このB&B、これだけ世界に広がっているなら、日本でも東京オリンピックなどで押し寄せるはずの外国人観光客用に、いや今現在も日本を訪れる若者達に広く開放できるようにしたらいいのに〜と思ったのだが－－－。
日本には「旅館業法」というのがあり、許可なく人を泊めて料金をとってはいけない！という法律があって、世界192カ国にネットワークを持つAirbnbでも日本だけは世界唯一の例外国になっているのだとか―――。
我々日本人は、知らず知らずの内に、世界にも例のない、規則や規制にしばられているのだなぁ〜とあらためて驚いた次第。
（07／15／14 10:00pm）
2014年7月15日
悪魔の証明再び
今年1月に科学誌「ネイチャー」に発表されセンセーショナルな話題となったSTAP細胞の論文2本は、先週、正式に撤回された。
撤回の理由として「ネイチャー」が挙げたのは、「数多くの過ちがあったこと」であるが、この「過ち」が、単なる「ミステーク」なのか、それとも悪意に基づく「捏造」であったのかを明らかにする責任は、「ネイチャー」にある訳ではない。
それでは、その役割を誰に果たさせるべきなのだろうか。
現在、小保方さんが参加する形で理研においてSTAP細胞の再現実験が行われている。「STAP細胞はあります！」「200回は作りました！」といっている小保方さんの言葉通り、この再現実験でSTAP細胞ができれば、話は割りと簡単で、「ネイチャーに投稿した論文には、未熟な科学者によるミスに基づいて書かれた部分が多く、共著者たちのチェックもいい加減であったことは事実だが、間違いなくSTAP細胞はあるのだから、正しく書き直した論文を発表します！」といえば一応関係者の名誉は一部とはいえ回復されるだろう。
ただ、問題なのは再現実験では、どうやってみてもSTAP細胞ができない場合だ。
この場合、当初は小保方さん一人に責任を擦り付けて、自分たちはさっさと逃げようとした共著者、理研における小保方さんの上司たち（笹井さんや、竹市さん、あるいは野依所長など）は、「だから最初から小保方を懲戒免職にしろと言ったじゃないか」と再び責任逃れをするだろうし、小保方さん自身も、「いや前には出来たことはウソではありません」と、捏造や不正があったことを否定するだろう。こうなると、実証実験に入る前に理研幹部がいっていたように「論文にはあやまりがあったが、STAP細胞がないとは言えない」という振り出しに戻ってしまう。
「ない」ことの証明は「悪魔の証明」ともいわれ、これを証明することは事実上不可能だ。（参照：「悪魔の証明の罠」4/15/14）ないことを証明できない以上、小保方さんも、笹井さんも、竹市さんも、（野依さんも）全員、無罪放免、といったところで本件は一件落着、ということにでもなるのだろうか。
6月に外部識者による理研改革委員会が出した提言には「理研には、研究不正を誘発する、組織としての構造的欠陥があった」として、発生・再生科学総合研究センターの解体、竹市、笹井氏らの更迭を求めていたが、この提言から既に一ヶ月、理研にはこの提言具体化の動きはみられない。
やはり、理研は、悪魔の証明に持ち込んで、自分たちの責任を逃れようという姑息な作戦を着々と進めており、その作戦が功を奏しそうな雲行き、ということなのだろうか。
（07/14/14 10:00pm）
2014年7月14日
盗品故買だ！
不良っぽい若者達が新古書店の買取に、高価な写真集を20冊持ち込んできたとしたら常識的に考えてこれはこれらの写真集は彼等が万引きしたのではないかと疑ってかかるのが当然だろう。その疑いがあるにもかかわらず、この写真集を買い取った場合、この店は後々、「盗品故買」の罪で刑事罰を受けることになる。
たまたま、立ち寄ったリサイクルショップで買ったものが、後に盗品であることが分かった、といった善意の第三者であったとしても、盗品であることが証明されれば、その品物を無償で元の持ち主に返さなければならない、というほどに「盗品故買」に関する規定は厳しいものだが、「窃盗を許さない！」という社会規範を守るためには、当然といってよい規定だともいえる。
しかし、ベネッセから顧客情報740万件が盗まれ、その名簿が名簿業者を通じてジャストシステムをはじめとする企業に買い取られていた問題では、ジャストシステムにこの盗まれた顧客情報を売った何社かの「名簿業者」も、ジャストシステムをはじめとするこの顧客情報を買ったファイナルユーザーも、「顧客情報が盗まれたものとは知らなかった」と、言い逃れ、この言い逃れが堂々と通ってしまっている。写真集と違って、顧客情報などでは、多くのケースで「盗品故買」が成立しないからだという。
企業が集めた個人情報が漏えいしないように細心の注意を払うべきであることは、「個人情報保護法」などで厳しく規定されており、もし、企業が、こういった情報を盗まれた場合、盗まれた側の企業がその社会的責任を問われ幹部が頭を下げている映像をよく見るけれど、一方、盗んだ情報を取り扱う「名簿業者」や、その盗まれた情報を買って、自社の販売戦略などに利用している企業の多くは、「盗まれた情報だと知らなかった」という言い訳によって無罪放免になっている。
今回のベネッセのケースも、情報処理を子会社に任せ、その子会社も下請けに出して―――というあまりにも杜撰な情報管理をしていたことで、多くの子供たち、その親たちに多大な精神的苦痛を与えたことでベメッセはその責任を問われるべきであることはいうまでもないし、「私は加害者」といえるような立場にはないが、それ以上に名簿業者やジャストシステムのような最終買受企業のモラルは徹底的に糾弾されるべきではないだろうか。
「子供たち740万件分の名簿ありますよ！」と名簿屋同士で声を掛け合った時点で、彼等は当然「そんな貴重な名簿は、盗品以外では考えられない！」と考えたはずだし、ジャストシステムでも「そんな美味しい名簿は、盗品に決まっている」と考えたはずだ。（「知らなかった」と言い張るだろうが）
「盗品とは知らなかった」などという名簿業者や買取企業の言い逃れは、大量に持ち込まれた写真集やゲームソフト、DVDを「盗品とは知らなかった」と言い逃れる盗品故買犯と同じだ。情報の場合だけ、彼等が盗品故買罪に問われないというのは、どう考えてもおかしくはないだろうか。
このまま、名簿の売買を野放し状態にしておくと、今後ますます、一攫千金を狙って情報を抜き取ろうとする犯罪者が増える可能性がある。
今回の事件をきっかけにして、情報漏えい罪のみならず、その売買にも厳しい法規制をかけるべきだ。
（07/13/14 10:00pm）
2014年7月11日
すすきの復活
大正から昭和にかけて唄われたという「船頭小唄」に「俺は河原の枯れすすき〜」とあるけれど、その頃は、「河原といえばすすき」の情景が定番だったようだ。しかし、昭和50年頃から、随分と長い間、「河原ですすき」を見る機会が少なくなっていた記憶がある。すすきの変わりに河原を圧倒的に支配していたのが、セイタカアワダチソウだった。
セイタカアワダチソウはいわゆる外来植物だが、日本の在来植物にはない強い繁殖力に加え、他の植物に有害な物質を分泌して自分の生育域を広げる能力（アレロパシーという）を兼ね備えていることで、昭和40年代以降、日本各地の河原や空地で、すすきなどの日本在来の雑草を駆逐し、大繁栄を遂げ、一時は、お月見の季節などに「この頃は、すすきが中々手に入らない！」などと言われていたことを思い出す。
ところが、ここ数年、タカさんのウォーキングコースである江戸川河口の土手道で、セイタカアワダチソウを見かけることはほとんどなくなってきた。代わりにすすきが完全復活を遂げているのだ。
セイタカアワダチソウは、「侵略的外来生物」にも指定されて、空地などに生えている物は、家の高さほどにまで茂りなんとも威圧的な怪物的な植物で、明治時代に海外から萩の代用として「観賞用」に持ち込まれたというが、「どこが観賞用じゃい！」と言いたくなるほど、親しみのもてない植物だっただけに、これが消えて、すすきという「わび、さび」文化代表のような植物が戻ってきたことは、なんとなく喜ばしい気がする。
あれほどの繁殖力を誇って我が世の春をうたっていたセイタカアワダチソウがなぜ急激に減ったのかと思って調べてみたら、中々面白い説にたどり着いた。
セイタカアワダチソウは、地下50cmという日本の在来植物が中々届かない深さの栄養分を吸収する能力をもっているが、この地下50cmには、古来日本に多い野ネズミやモグラの生育域であり、彼等の糞尿や死骸が大量に肥料として蓄積していたという。セイタカアワダチソウの原生地では、比較的養分の少ないこの地下50cm層が、日本では、手付かずの宝の山のまま残っていたという訳だ。
新天地に来たセイタカアワダチソウは、豊富な肥料に恵まれ、アレロパシーの効果もあって、一気に巨大化して人の背丈や、家屋の屋根の高さを超えるほどに育つようになったという。
ところが、平成に入るころから、全国的にネズミやモグラの駆除が進み（たしかに、この20年ほどモグラの掘った穴など見ることがなくなった）肥料が枯渇してしまったことで、セイタカアワダチソウは絶滅への道を歩み、古くから日本の土地になじんできたすすきが復活した―――というのだ。
そういえば、タカさんが子供の頃、池や川にいやというほどいた同じく外来生物の「アメリカザリガニ」も田んぼが減ったこと、水路が整備されて濁った流れや、泥が少なくなっていることなどで激減しているという。
外来種によって日本の在来種の生態系が壊される！ということが言われるが、外来種がその生育域を広げようとするのは、3億5千万年続いている植物の生存本能の表れであり、在来種といわれる種のみならず、一時は繁栄を遂げた外来種も又、絶滅の運命を辿ることもある---というのも、これまた、生物界が数億年繰り返してきた自然淘汰の一環に過ぎない、ということなのかもしれない。
（07/10/14 10:00pm）
2014年7月10日
Ambulance Chaser
今もテレビやラジオのCMで非常に目立つのが「過払金請求」を掲げる弁護士、司法書士事務所のそれだ。2007年に改正貸金法が施行される以前に、法定利率を超えるいわゆるグレーゾーン金利で消費者金融などに返済した借金の、払い過ぎ分を取り戻してあげますよ！というものである。
消費者金融（要するに高利貸し）が法定を超える高い利率で金を貸していたことが「けしからん」ということになり、「今まで、取り過ぎてきた超過金利分と、超過徴収という不当利益にかかる累積金利分を返しなさい！」という法律ができたのだから、まあ、現代の徳政令見たいな法改正があったという訳だ。（高利貸しも悪いかもしれないが、高利を承知で借りた方だって問題はあった―――等という議論もあったことを思い出す）
改正貸金法施行以前の10年間に消費者金融などのいわゆる高利貸し業界が取り過ぎていた超過金利総額は推定では10兆円と言われているし、日本貸金業界の発表によれば実際、08年には過払金として約1兆円の請求があり返金し、最近でも2012年には5000億円を返金しているという。
但し、この過払金請求という奴、債務者の方から「過払金があるはずだから、返せ」と請求しない限り、貸主の側は払う必要がない、というところに問題がある。「すいません！あなたから400万円多く金利をもらっていました！」と正直に告白するサラ金がある訳はないのだから、過去にサラ金に金を借りたことがある人、今も返済を続けている人は、当事務所に相談してもらえれば、あなたに変わって過払金を計算し、もし過払金があれば当事務所がサラ金から過払金をとりもどしてあげますよ！」という訳だから、まあ、なんともご親切な弁護士さん！（司法書士さん）という訳だ。
先日、東京都内の男性弁護士3人が、弁護士資格のないNPO法人の元代表者から多数の債務者の紹介を受けたとして、東京地検特捜部から弁護士法違反の疑いで事情聴取を受けたという記事を見た。この3人の弁護士さん、脱税やら何やらで懲戒処分を受けるなどしていたいわゆる札付き弁護士であり、そんな訳で仕事に恵まれずうだっていたらしい。そんな彼等に、この元NPO法人は、自分のもっている過払金請求訴訟に持ち込めそうな客（？）、すなわち多重債務者を紹介していたという訳だ。
過払金請求訴訟は、依頼者を見つけさえすれば、一応は名の通った消費者金融相手に訴訟を起こせばほとんど自動的に返還金を勝ち取れる。弁護士報酬は取り戻した過払金の2割から3割といわれているから、400万円の過払金を取り戻せば弁護士報酬は100万円は、下らないだろう。そんな割のいい仕事を月に数件こなせば、生活困窮者だったこの弁護士先生も、たちまち左団扇という訳だ。（客を紹介するだけで、この元代表が紹介料として3人から受け取った報酬が、3年間で3億円あったというから、過払金返還訴訟が弁護士にとって濡れ手で粟のいかに美味しい商売かということが分かる）
08年以降、冒頭に触れたように「過払金請求やりま〜す」という類の弁護士や司法書士といった法曹関係者のCMがやたらと目立つようになった。ひまわりのバッジを胸に「正義の味方」というイメージを持っていた弁護士の品が少し落ちたような違和感をもったものだったが---。
アメリカには‘Ambulance Chaser’(救急車を追いかける人）と蔑まれる弁護士達がいる。救急車を追いかけて瀕死の事件、事故の被害者に「俺に任せてくれれば、相手を訴えて賠償金をとってやる」と御用聞きする弁護士のことだ。
日本の弁護士も過払金請求バブルといわれる濡れ手に粟の商売が盛んになったことでアメリカの‘Ambulance Chaser’に似てきたような気がしてならないのだが。（参照：「弁護士のモラル？」5/22/14）
（07/02/14 10:00pm）
2014年7月9日
甘くない移民受入れ
英国はEUに加盟してはいるものの未だその統一通貨であるユーロを採用していない。
「欧州は一つ」という理想の下に始まったEUだが、そもそも「それでは欧州とはどこを指しているのか」という基本的な問題からして、歴史、民族、文化や宗教、といった問題も絡んで線引きがかなり難しい。「イスラム教のトルコがなぜ欧州に入るのか」「04年に加盟した東欧８か国は、独仏などと同じ欧州と言ってよいのか？」と言った問題は、EU発足当初から問題になっていたが、英国では歴史的にも「大陸国である英仏は欧州かもしれないが、島国である自分たちは欧州の一国というよりは大英帝国という別の範疇にある」といった意識が元々強かったし、今も英国人には「他に和すよりは、独自の道を」という自立意識が高いといわれている。そんな英国人気質が、EUに加盟していながらユーロを採用せずポンドを維持している事にも表れている。
そんな最中、先月の欧州委員長選挙で、「EU統合積極推進論者」であるルクセンブルグ出身のユンケル氏が勝ったことで、英国内では今以上にEUの締め付けが強くなり、英国独自の政策実行が難しくなるのではないかという懸念が広がっていて、直近の世論調査では「この際、EU離脱した方が良い」という世論が、49％とほぼ過半数に達し、EU残留支持の32％を大きく上回っているという。このままで行くと、来年にも予定される国民投票で、英国がEUを離脱する可能性が高まっているともいわれている。
英国で、なぜ近年、ここまで急激にEU嫌いが増えたのかを考える時、今、日本が積極的に進めようとしている外国人労働者の受け入れ、あるいは移民政策にとって大いに参考になる部分があるように思う。
英国でEU残留支持層は主にEU拡大による経済のグローバル化によって低賃金労働や市場拡大によってメリットを得るであろう資本家などの富裕層が多く、逆に離脱支持派は、工場の国外移転や、移民の低賃金労働者によって仕事を奪われるおそれのある労働者などの一般階級や低所得者層だと言われている。
英国では、これ以上EUによる労働力の域内移動の自由化が進むと、04年に正式にEUに加盟した東欧8か国からの大量の移民殺到によって、自分たちの仕事が失われるのではないかと恐れる国民が多く、只でさえ旧植民地のアフリカ諸国、インド・パキスタンなどからの移民労働者との競争によって職を奪われてきた労働者層は、「もう、これ以上の移民受入れは嫌だ！」という強く反発している。
日本でも人口減少による経済の縮小対策の一つとして海外労働力受入れ拡大や、移民受入れが検討されているが、ここには今英国が抱えているのと全く同じような問題があることを我々は知っておく必要があるだろう。
例えば1000万人の移民を受け入れの場合を考えてみよう。まずなによりも大切なのは、外国人労働者で基本的人権をもった「人間」であるという点だ。彼等を我々と同等の権利を持つ人間だと考えれば、確かに彼等が払ってくれる消費税分8％プラスαの「税収は確実に増える」ということだけを考える訳にはいかない。当然、彼等には我々と同じ条件での社会保障を行う義務がある。移民の多くは貧しい国から押し寄せるだろう（1000万人受入れとなれば、その内少なくとも800万人は中国からだろう）
そうなれば、彼等に対して税金は取るけれど、社会福祉費（医療費や教育補助、子育て支援や、介護費、生活保護etc.）は払いません！という訳にはいかないし、彼等によって仕事を奪われた日本人への社会保障費も増大する。800万人の中国からの移民には将来、選挙権も当然与えなければなるまい。（尖閣諸島の領有権の国民投票でもあれば、尖閣はどうなるだろう――）日本人にそういうことに対する覚悟があるだろうか。とてもそうは思えないのだが---。
英国で今、起きている問題を考える時、人口の2％にも満たない外国人しか持たない日本が、余りにイージーに外国人受入れだの、移民受入れを口にしていることの危うさを感じない訳にはいかない。（参照：「労働力不足にどう対処する？」5/19/14）
（07/08/14 10:00pm）
2014年7月8日
再調査に期待できるか
それまで日本人拉致などしていない、とウソを言い続けていた北朝鮮が一転して拉致を認めて謝罪したのは2002年に当時の小泉首相が訪朝した時であった。
拉致という犯罪を国家ぐるみで行っていたことを北朝鮮の最高権力者、金正日自身が認めた理由は、それを認めることによって日本から多くの援助資金が得られるだろうという打算からであって、決して「悪いことをした、申し訳ない」という謝罪の気持ちからのものではなかったことは、それ以降、日本からの援助などの見返りが思ったほど得られないと分かってからは、再び、残りの拉致被害者は全員死亡した！拉致問題は全て解決済みだ！と居直りを続けてきたことで明らかだ。
拉致を一般の誘拐事件に置き換えてみれば北朝鮮のやってきたことがいかに卑劣か分かるだろう。すなわち、それまで「誘拐などしていない！」とウソを言い続けてきた誘拐犯が、被害者の家族から身代金が取れそうだと分かって、「誘拐したのは自分だ！」と一旦は薄情し、一部の誘拐被害者を返したものの、期待したほどの身代金が手に入らなかったこと、さらなる被害者の返還を求められたことで、逆切れし「いつまでも、しつこい要求をするな」と居直っているのと同じなのだから。
しかし、こんな理不尽な犯罪者に対してでも、家族を人質に取られている日本は、下手に出ざるを得ない、というのだから何とも腹立たしい話ではないか。
一例をあげれば「拉致被害者」を、「日本人行方不明者」等と言い換えなければならないという点からして（いかに仕方ないとは言え）腸が煮えくり返る思いがする。
北朝鮮が10年ぶりに「日本人行方不明者の再調査に合意」したからというので、日本独自で課してきた対北経済制裁の一部を解除することになったという。
誘拐犯が、自分のところに捕えている誘拐被害者を「いるかいないか、家の中を調べてみる」といったからといって「ありがとう、それではお礼を差し上げましょう」といわざるを得ないというのだから---。
北朝鮮が「再調査してみよう」といったのは今回で６回目だ。しかし、過去5回すべて、北朝鮮は日本からの「調査開始に対するお礼」だけはしっかりと懐にいれながら、虚偽説明や偽遺骨を渡すなどのウソと騙しを駆使してきた。過去5回、いつも彼等の回答は「日本の求める行方不明者は1人も見つからなかった」という木で鼻をくくったものだった。泥棒本人に、盗まれた品物の探索をお願いしたところで、品物が返ってくる訳もないとは思いつつも、今のところ、それしか手がないというのが、日本の実情だ。あらゆる国際政治の場面においてぬけぬけとウソとごまかしばかりやってきた北朝鮮に対して我々は甘い期待を抱いてはいけないと思う。
もし北朝鮮が今回も「再調査したが、見つからなかった」と回答してきた場合、「そんな訳はないだろう！」と、再び独自の経済制裁などによって圧力をかける訳にはいかないし、「ちゃんと調べて、まじめに回答したのだから、もっと金をよこせ！ 援助を再開せよ！」と迫られたら、一体どうするつもりだろう。
そんなことになったとしたら、かつて、北朝鮮に同調して「拉致疑惑は、日本政府のでっち上げだ！」などといっていたA新聞や、S党などの勢力が、「もうこれ以上、拉致問題にこだわらず、北朝鮮に対する何兆円かの賠償に応じるべきだ」といったキャンペーンを始める可能性は大だし、そうなると、なにかといえば又、進歩的文化人やら、反戦勢力（？）が、大騒ぎをはじめるかもしれない。
北朝鮮の「再調査に合意」に、世の中では、なんだか過剰な期待が盛り上がっているが、あの嘘つき犯罪国家は、そんな生易しい相手ではない、ということを今一度、冷静に考えておくべきではないだろうか。
（07/02/14 10:00pm）
2014年7月7日
便利な公約
都議会でセクハラヤジをとばしながら当初は自分ではないとウソをいっていた鈴木彰浩議員、そして同じくヤジをとばしながらいまだにしらばっくれているがネットでは名指しされているK.K都議他、そして鈴木議員以外の犯人特定を拒んだセクハラヤジ同罪の、自民党都連幹事長に都議会議長や、セクハラヤジを受けた塩村議員をかばおうとしなかったみんなの党の都議達、等々、このセクハラヤジ問題に関して思いつく限りの関係者が選挙の時にどのような政策を掲げていたか、を彼等のホームページなどで調べてみたら、なんと全関係者が「少子化対策」「子育て支援」「女性の社会進出」というスローガンを掲げていた。都議ばかりではない、号泣会見で世界中に「日本の恥」をさらしてしまった兵庫県議の野々村さんまで「少子化対策ぅぅ〜、大切じゃあないですかぁぁ〜」と叫んでおられた。
このことで改めて気づいたのは、議員と名が付く方々は、国会議員から市町村レベルまで全員が、「少子化対策」「子育て支援」「女性の社会進出」を掲げていることだ。
確かに、これらの政策、「原発反対」だとか、「集団的自衛権行使容認」といったスローガンに比べて実に使い勝手がよい便利な公約である。
「原発反対」や「集団的自衛権行使容認」は、一般受けすることは確かだが、逆に、原発推進派、集団的自衛権行使反対という人達の反発を食う可能性もいくらかはない訳ではない。
「テレビでよく見る人だから」「美人だから」「面白い芸人だから」といった理由で投票先をきめてしまう大半の衆愚な選挙民相手にまじめに政策を訴えるよりは、だれもが反対しない、どうでもいいようなスローガンを掲げた方が票が伸びるのはまちがいない。「いい加減な」選挙民に、「原発反対」をさけぶより、だれも正面切って反対しないであろう「少子化対策」を掲げて投票依頼した方がはるかに得策であることは明らかだ。（そもそも選挙民は、最初から、地方議会に何の期待もしていないのだから〜）
地方議会の議員になりたければ、「少子化対策」「子育て支援」「女性の社会進出」といった誰からも突っ込まれない公約をかかげてニコニコしていれば、まじめに政策を掲げる候補者よりははるかに有利だということを、「地方議員になりたい！」と思っているだけのインチキ政治家はよく知っているのだ。
10年程前まで、議員になることだけが目的の候補者が、皆、異口同音にとなえていたのが「福祉の充実！」だったことを思い出す。
「福祉！」というスローガンには大っぴらに反対する人はいないから、議員になって「これがやりたい！」ということがある訳ではないタレント出身候補や、プロレス出身候補、元キャバクラ嬢候補は皆「福祉！」を叫んでいた。
昨今は、あまりにも福祉スローガンがあふれかえったために、これがマンネリ化してしまい、そこで新たな「便利な公約」として出てきたのが、「少子化対策」「子育て支援」「女性の社会進出」ということなのだ。別に、議員先生達が、本気でそういった政策を実現させようと思っている訳ではないことは、まあ誰でもしってはいるが。
これからは、「少子化対策」「子育て支援」「女性の社会進出」を掲げる候補者がいたら、一度眉に唾をつけてみた方がよいかもしれない。
（07/06/14 11:40pm）
2014年7月4日
この世はパラパラ漫画なのか
我々が見ているテレビや映画の画像は、パラパラ漫画の原理に基づいている。すなわち瞬間、瞬間を捉えた静止画あるいは原画を、連続的に見せることによって人の目にはあたかも動いている映像が見えているような錯覚を起こさせているのだ。
それでは、現実の世界ではどうなのだろうか。ひょっとしたら、我々には動いているように見えているこの世の中の映像は、実はそれぞれの瞬間では静止しているのだが、その静止した世界を連続的に見せられている我々が勝手に動いている―――と錯覚を起こしているのかもしれない。ということは、時間が連続しているものなのか、それとも単に静止した瞬間の連続に過ぎないのか、ということを知る必要がある。
ところが、この世界を構成している四次元の内、時間という次元が連続的なもの（続いている）なのか、いや実はパラパラ漫画同様に連続していない（離散的）なものなのかは確定した理論が未だある訳ではない。
ただ、物質には最小単位がある（あるいはその最小単位よりさらに小さい単位については、一般相対性理論や量子力学も意味をなさなくなってしまう）という理論によれば、時間にも最小単位があると言われている。その時間の最小単位がプランク時間である。
プランク時間（tp）というのがどれほど短い時間かというと、1.855x10の－43乗 t P がようやく1秒（１s）になるというほどの短さである。すなわち、プランク時間というのは、1秒の約1兆分の1の1兆分の1の1兆分の1の更に1千万分の1秒という限りなく0に近い時間だ。
137億年前に起きたといわれるインフレーションからビッグバンに至るという宇宙創成の過程も、最初の一歩はこのプランク時間の一瞬に起きたという。すなわち、時間の始まりの単位がこの1tpだったという訳だ。
宇宙にせよ時間にせよ、「無から生まれた」という理論は、「無から有が生まれる訳がない」という我々の常識からもエネルギー保存則からも、あり得ないしトンデモ理論ということになってしまいそうだが、そこはそれ現代物理学ではちゃんとした理論が用意されている。
すなわち「空間と時間とエネルギーは同じもの」という理論だ。ビッグバンで宇宙が創生される前には真空のエネルギーだけがあった。真空のエネルギーから光が生まれ、光とともに時間と空間が生まれ、時間と空間が生まれたことで今我々が存在する世界が生まれたというのだ。
う〜ん、わかったような、わからないような〜。それにしても、時間というものは実に不思議なものだ。
少なくとも、我々が見ているこの世界はパラパラ漫画の幻想なのか、本当に連続的に動いている世界なのか、どうにかして知りたいものだが－－－。
（07/03/14 10:00pm）
2014年7月3日
河野談話の罪
韓国の朴槿恵大統領は従軍慰安婦問題をめぐる河野洋平官房長官談話の検証について「談話の精神を破壊することを意図したもの」であり「日本と韓国との信頼関係を壊した」と非難したという。
日本軍が朝鮮で女性たちを強制的に集め、慰安婦として働かせた！日本人は、韓国女性を性奴隷として働かせたとんでもない犯罪民族だ！という、韓国が、世界中で吹聴している話の根拠とされているのが、この河野談話だが、この談話が実は、女性の強制連行や、日本軍の直接関与などの事実はないけれど、一応、あったということにしてくれれば、韓国側は以後一切この問題をむしかえさないから---という韓国側の甘言におめおめと乗せられて、やってもいない奴隷狩りをいかにもあったかのような談話を発表してしまった当時の河野官房長官の売国的行為に発していることを、明らかにしたのが朴槿恵大統領の非難する「河野洋平官房長官談話の検証」である。
やってもいないことをやったと認めてしまうというとんでもない大罪を犯した河野洋平氏自身、「この検証に付け加えることはなにもない」と、検証であきらかにされた、「談話前の日韓当局による事前のすり合わせ」を認めていることを朴槿恵大統領はどう受け止めているのだろうか。
「軍の関与を認めてくれさえすれば、もうこの問題は蒸し返さない」と韓国側が言ったから、それでは、と事実も確認せずに認めてしまったのだ！と外交上の裏舞台を発表してしまったことが「日本と韓国との信頼関係を壊した」と非難するなら、「以後、この問題は口にしないから」と言いながら、そんな約束はなかったかのように、世界中に「日本はこんな酷いことをした、その事は河野談話の形で日本政府自身が認めている」と言って回った韓国の方がよほど「日本と韓国との信頼関係を壊した」と非難されるべきだと思うのだが。
アメリカでは車同士がぶつかった時、明らかに自分の側に非がないのに、まず相手に対して「すいません」と言ってしまったとしたら―――。その「すいません」の一言が後々、「あいつが、すいません、といって謝った」と不利な証拠となって裁判で大変な賠償を強いられることになる。これと同じで、やってもいないことをやったと言って謝る等ということが、いかに国際的にみて非常識なことなのかを、河野氏は知らなかったのだろうか。やってもいない「性奴隷狩り」を、いかに相手が甘言をもって頼んできても、絶対に認めるべきではなかったのに―――。
民主党の鳩山、菅の両首相と「戦後最低の首相」の地位を争う村山トンちゃん首相と、河野洋平という売国官房長官の時代に、韓国に騙されて出してしまった「河野談話」が、それ以降、どれだけ日本人と日本という国家を貶めることになったか―――。
今、戦々恐々として雲隠れしているという河野洋平氏、今こそ談話発表前にいかに自分が韓国当局に騙されたかのかを語ることこそ、自らの罪の何百分の一かの贖罪になるという自覚を持って欲しいものだ。
（07/02/14 10:00pm）
2014年7月2日
地方に任せて大丈夫か
女性都議に対するセクハラヤジの低劣さにほとほと呆れ、更には、そのセクハラヤジの犯人として名指しされながらも「自分ではない」などと4日間もウソをついていた都議が一人、そして更に悪いことには他にもセクハラヤジを飛ばしながら、今日にいたるも知らんぷりして名乗り出ない都議が数名、更に更に悪いことには、そんな卑劣な都議たちのあぶり出しを一丸になって拒否した都議会全体―――乗客を置いて逃げた韓国セオゥル号の船長や乗組員同様の卑怯未練でモラルを欠いた「都議会」に対する失望と怒りは、一向におさまりそうもない。
セクハラヤジとその後の醜い隠蔽体質が、広く世界中に知れ渡ったことで、この問題は都議会に留まらず、日本人全体の品性を疑われる問題になっている。国際的に傷ついた日本人の信用をとりもどすためにも、我々自身がこの問題を一刻も早く正す必要がある。そういった危機感は自民党本部にもあるようで、石破幹事長や閣僚などからも、ヤジをとばした議員はいまからでも名乗り出よ！という発言もあるが、「地方議会の独立性」という問題があるだけに、都議会が議長以下一丸でもみ消そうとしている今、だれにもどうすることもできないという実に不愉快な状況になっている。
いままで、さほど都議会について興味も関心もなかった人が多いけれど、このセクハラヤジ問題で、突然、明らかになった都議会の実体は、実に酷いものだ。
恒常化していたという野蛮なヤジだけではなく、そもそも、都の役人たちがおぜん立てした議題の承認をするだけで実質的な議論が行われない議会なのに、130人余りの都議がいて、彼等の報酬は年間2500万円近くという日本一の高給。しかも、議会開催日にはその高給に加えて議員一人当たり2万数千円の日当が払われているというし、こんな日当が支払われているのは地方議会の中でも東京都議会だけだというのだから。何もしないどころか、モラルを欠いたヤジにうつつをぬかし、ウソはつき放題、都合の悪いことは、ほおっかむりして、皆で幕引きをはかる---こんな議会、必要あるのだろうか---。都議会がこのていたらくなら、市議会や町議会はどうだろう。
ここ十年以上になるだろうか、「地方分権」が叫ばれるというか、地方分権をさけびさえすれば、「改革派」とみなされるといった風潮があるけれど、日本一の規模であるという地方議会の雄、東京都議会がこのていたらくであることを考えると、規模の小さい議会はどうなのかと心配になる。地方分権を進めて、質の低い議会や地方首長に、権限を預けてしまって日本という国は本当に大丈夫なのだろうか。
間接選挙で選ばれる首相と違って、地方の首長は、直接選挙で選ばれるから「民意が反映される」といわれるけれど、漢字も読めないでセクハラで辞めた横山ノックをはじめ、未成年買春で有罪になった過去を持つ宮崎の元知事をはじめ、地方首長に碌なのが出たためしがない上に、都議会のように利権にあぐらをかいたボス議員が牛耳る質の悪い議会―――というこんな最悪の組み合わせの地方に、権限をどんどん与えてよいのだろうか。
もちろん、中央集権の弊害も多いことは事実であり、理想に描いたような地方分権が本当に実現するならそれにこしたことはないが---現状では、日本においては、地方にまかせるより、中央コントロールの方がまだマシということがいえそうな気がしてならない。
（07/01/14 10:00pm）
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