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2015年5月
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05/29 運動会で感じた日本人 05/28 ハトの毒 05/27 訴訟社会にはならないかも 05/26 爆訪中 05/25 もういらない！
05/22 死海導水プロジェクト 05/20 坊主丸儲け 05/19 対案はあるのか？ 05/18 泥沼にビルを建てる 05/15 全額国庫負担
05/14 米百俵 05/13 中国が不気味だ 05/12 あなたのためを思って！ 05/11 リベラルの語源
2015年5月29日
運動会で感じた日本人
小学校の運動会といえば昔は秋だったと記憶するが、最近は5月に行うところが多いという。9月とか10月の運動会だと、練習はまだまだ暑い時期にスタートしなければならず、熱中症などで児童の健康が損なわれる可能性が増すからというのが、一つの理由だが、台風シーズンの秋よりも、梅雨入り前の5月、6月初めの方が天候も安定していて中止になる可能性が低いからだとも聞く。
先週末、我が市の全小学校で運動会が催されたが、同じ日に、川ひとつ隔てた東京都でもほとんどの小学校も運動会だったという。そんな日程の重なりもあって、運動会前日には、千葉県と東京のスーパーでは鳥のモモ肉と食用油がどこも品切れ状態になるなど、結構大変な騒ぎだったらしい。（最近の運動会のお弁当には、鳥の唐揚げは必須なのだとか）
そんな訳で、タカさん夫婦も、同じ町に住む小学1年生と4年生の孫たちの運動会に出かけた。タカさんは、毎年、この時期何かと都合がつかず小学校の運動会に行くのは随分久しぶりだったのだが、今から60年前の自分の運動会、そして、今から30年前の、娘の運動会を思いだし、そして今回の孫たちの運動会と比べて、運動会の変遷史の中に、日本の社会の推移をしみじみ感じておもしろかった。
まず、びっくりしたのは、娘の運動会の頃まではしっかりとやっていた開会式への入場行進が至極あっさりとしていることだ。いきなり全校生徒が集合したところから式が始まり、市議会議員だとか教育委員会といった連中のいわゆる「来賓あいさつ」もない。校長先生とPTA会長の極短いあいさつと選手宣誓が終わったら、ラジオ体操をしていきなり1年生の徒競走―――というのだから、なんとテキパキとした運動会なのだろうかと、60年近く前、毎日毎日入場行進の練習をやらされた鹿児島の小学校運動会やら、長々とした来賓挨拶に白けた気分になった30年前の娘の運動会を思いだした―――運動会が本当に子供たちの為の物になっているなぁ〜と感じた。
飾りつけに万国旗があることとか、目玉競技が各学年の徒競走、高中低学年毎の紅白リレー、紅白玉入れや綱引き、騎馬戦であることなどは全く変わっていないことには、なんだかほっとした気分になれたが、逆に、流される曲が、かつては運動会のテーマ曲のように使われていた「天国と地獄」だとか「軍艦マーチ」（守るも攻めるもくろがねの〜♫）は全くなく、Jポップ風の曲ばかりなのには60年の時の流れを感じた。
お弁当は、娘の運動会の頃までは皆で運動場にビニールシートを敷いて一家そろってたべていたが、今の運動会は、親子で開放された教室や体育館で食べるという方式だ。昔は、子供の運動会で親は酒を飲むものだったが、教室ではまさか酒は飲めまい―。
色々と、今昔の違いやら、変わらぬ面をみて面白かった孫の運動会だったが、一番、驚いたのは、今の若いお父さん、お母さんたちの体格の良さだ。男女ともに自分の時代、あるいは娘の時代に比べて、身長は間違いなく10センチは大きくなっているし、皆、脚はスラリと長くなっている。
60年前、タカさんの運動会を見に来た両親が、もしタイムマシーンでそのひ孫達の運動会に来たとしたら―。これが同じ日本の小学校の運動会だとおもえただろうか――。
いろいろ、考えさせられた楽しい運動会だった。
(05/28/15
10:00pm)
2015年5月28日
ハトの毒
今も続く中東紛争だが、長いその紛争の歴史の中で、二度ほど大きな和平への動きがあった。
最初は1978年にアメリカのカーター大統領の仲介により、エジプトのサダト大統領とイスラエルのベギン首相の間で取り交わされたキャンプ・デービッド合意である。この合意によって両国間に平和条約が結ばれたが、この条約は今も継続しており、「冷たい平和」などともいわれてはいるが、この合意以降は、それまで幾度も戦火を交えた両国間に戦闘は起きていない。
もう一度は、オスロ合意に基づき、PL0のアラファト議長と、イスラエルのラビン首相、ペレス外相の間で調印されたパレスチナ和平暫定協定である。この協定締結により、ガザ地区がパレスチナ側に返還されるなどそれまで険悪だったこの地域の平和が（一時的ではあったが）回復したのだった。
中東に於けるイスラエルとアラブのいがみ合いは、民族問題、宗教問題などが絡み極めて根深いものであり将来に亘って恒久的な和平に至る道筋は一向に見えてきてはいないが、キャンプ・デービッド合意と、オスロ合意という二度に亘る和平の動きは、かすかとは言えこの地域での和平の可能性がゼロではないことを示している。
イスラエルに於いても、もちろんパレスチナ・アラブの側にしてもいわば相手側は、天敵のような存在と意識されている。そういう国内事情を抱えている以上、相手側に対して宥和的な、いわゆるハト派的な主張をする政治家は、(国際世論では拍手を受けるかもしれないが)いずれの側でも、国内的にはもたない。和平を唱えれば、相手側に親や子を殺された人々は、彼等を裏切り者、非国民と呼ぶかもしれない。
実際、いつの時代も、イスラエルでも、アラブ側においても常に民衆の支持を集めるのは強硬派、タカ派的政治家である。(現在のイスラエルのネタニエフ首相などがその典型だろうし、例えばイランでもイスラエルの存続を許さない！と主張する超保守派が政権中枢を担っている)
二度の中東和平の功労者である、イスラエルのベギン、ラビン、ペレスそしてエジプトのサダト、PLOのアラファトはいずれも、この地域における幾度かの戦争における英雄であり超タカ派として民衆の支持を集めていた政治家だった。
強硬派である彼等だからこそ、戦争に疲れた国民を説得し納得させて、長く破られることのない強力な和平合意を実現させることができたのだ。（あれほどの、愛国者でタカ派のあいつがいうのだから、ここら辺りで一旦和平すべきなのかもしれないと、国民の多くが思うからだ）歴史上でも、多くの和平を主導したのは、それまで強硬派であった指導者だ。
このことは、逆に言えば、国家存亡の時期において、ハト派的な言動を取っている指導者の多くが、実際は国民多数の支持を得られないし、そのことで相手国からも信頼されず、和平を実現できないばかりか、両国関係を益々戦争へと駆り立ててしまった第二次大戦前の英国のチェンバレン首相や、シリア内戦で腰砕けしたばかりに今日のISISの台頭を許し中東大乱を招いてしまったオバマの例をみても分かる。
タカ派がいいという訳ではないが、日本に於いても、口先ばかりの平和主義を叫ぶインチキ臭いハト派（？）の大いなる毒、ということも考えておく必要がある。
(05/27/15 10:00pm)
2015年5月27日
訴訟社会にはならないかも
2001年にはじまった司法制度改革もすでに15年目に入った。裁判とか訴訟にはあまり縁がある訳ではないが、なにしろ、明治以来の硬直した日本の司法制度を、近代的なものにしようという当初の意気込みには、期待する気持ちはあった。
改革の目玉の一つとして導入された裁判員制度などは、それまでのちょっと首をかしげたくなるような職業裁判官だけによるトンチンカン判決が、いわゆる「庶民感覚」を入れることで、少しはまともになってきたような気がして評価しているのだが――。
司法制度改革で着手された項目は、（あまり知られていないが）極めて多岐にわたっている。中でも裁判の迅速化、知財高裁や法テラスの設置といった「公共サービスとしての司法」の充実といった問題や民事、刑事司法や弁護士資格の国際化といった点などは、古めかしくて時代遅れともいえた日本の司法にとっては画期的な改革案にも思えるが、その改革の進捗度はどの程度になっているのだろうか。
そんな司法制度改革だが、先日ちょっと気になる新聞記事を見た。政府が、司法試験の合格者数について、「年1500人以上」とする案をまとめたというのだ。
改革前、司法試験の合格者数は年間750人程度だったと記憶するが、当初の改革案では、法科大学院制度を新設し、新司法試験制度を導入、司法試験合格者数を年3000人程度にするという随分大胆な計画だったはずだ。それが話半分の1500人にするというのだから―――。司法試験合格者を大幅に増やすことで、裁判官、検察官、裁判官を増員し、使い勝手のよい、国民に身近な司法を実現しようという当初かかげた目標は、15年目にして潰えてしまったのはなぜなのだろう。
大幅な司法人口増員案の挫折の原因は、05年の制度発足にともない全国で74校もの法科大学院が乱立し、しかも多くの法科大学院が教育の質を保てず司法試験の合格者数が全く上がらなかったことだという。年間3000人は合格させたい！という当局の思惑にもかかわらず合格レベルに達した受験生は、最高の年でも2200人、近年は2000人を割り込む始末だったというし、今年の法科大学院の入学者はついに2200人という低レベルになってしまったということからすると、これは「法科大学院」という制度そのものが、大きな間違いだったのかとも思えてくる。
かつては、日本で一番難しい試験ともいわれた司法試験だが、「3000人も合格する」となっては、その希少価値が失われてしまったということなのだろうか。最近は受験者数も減っているとか。更には、近年の訴訟件数の減少などによって弁護士などの需要が少なく、司法試験に合格しても就職先がない、と言った問題があるとも聞く。
アメリカの弁護士数127万人に比べて日本の弁護士数は、増えたとはいえ3万人に過ぎないが、日本では、その3万人すら十分な仕事がないというのだから―――。
司法制度改革を考えた当初、日本もいつかはアメリカのような訴訟社会になるのではと考えて、あれこれ改革案を考えたようだが―――。やはり、日本は訴訟社会にはなりそうもないということなのかもしれない－－－ある意味喜ぶべきことではあるが。
(05/26/15 10:00pm)
2015年5月26日
爆訪中
6000人の社員を連れてのフランス旅行で世界をびっくりさせた健康食品会社の「爆社員旅行」やら、爆買い、爆花見の観光客で有名な中国へ、自民党の二階総務会長が3000人のお供をつれて訪中したのだというからまさに「爆訪中」である。
人民大会堂で行われた歓迎式典には、習近平主席も出席し歓迎演説をしたと人民日報も報じたというし、日本の新聞各紙に至っては、「習氏も、日本側の想定を超える歓迎ぶりを見せた」等と、いつもは冷たい中国側の態度の豹変ぶりにはしゃいでいる。
「歓迎」とはいえ、習近平はその演説で日本側の、8月に発表される戦後70年の首相談話や憲法改正の動きを牽制し「歴史を歪曲する動きに一緒に反対しよう」と呼びかけるなど、従来の日本批判の姿勢を崩さなかったというから相変わらずの「上から目線」はなにも変わっていない。
まあ、AIIBに日米が参加しないことで、この中国主導のインフラ銀行の運営に暗雲が漂っていることから、かつて地元和歌山に反日運動の元凶である江沢民の銅像を建てようとしていたほどの媚中派の親玉二階氏を使って、安倍首相へのあてつけをして、更には、あわよくば日本のAIIBへの追加参加の世論を起こそうという魂胆があったのだとは思うが---。
それにしても、一体この爆訪中団、この時期に何しに中国へいったのだろうか。3000人といわれるお供の中には20人の国会議員がいるというが、何故かどの新聞もその名前はあきらかにしていない。尖閣や南沙諸島などでの中国の露骨な領土拡張に反発する国内世論を考えれば、親分（二階）の命で訪中団に加わったものの、地元選挙民から「なんでこんな時に、中国におべっかを使いに出かけたのか！」と非難を受けることは明らかなだけに、議員先生たちもきっと匿名を条件に参加したのだろう。
経団連会長もお付き合いで仕方なく行ったようだが、残りの3000人はほとんどが、観光関係者だとか。日本からの訪中旅行者は激減しているだけに、中国からの日本への爆ツアーに期待をかける旅行業者や土産物屋業界が、二階氏に顔を立てたのは仕方ないと言えば仕方ないけれど―――何も、この時期に、中国に言って、日本の言いたい事も言わないで、習近平に説教されて帰ってくるとは―――何とも情けない業界だ。
そもそも、二階さん、習近平に言いたい事を言われただけで、「日本も真摯に応えていくことが大事だ」なんてコメントするとは、一体、この人には日本人としての矜持というものがあるのだろうか。すくなくとも、いま一番、日中間で問題になっている尖閣の領空侵犯や小笠原でのサンゴ乱獲などへの抗議や、歴史問題と称して勝手な捏造歴史の押しつけに対する抗議の一言位、日本の政治家として言うべきだと思うが---言いたい事も言わないで、相手に御託を並べられただけというのでは、子供の使いにも劣るではないか。
そうそう、日本は1979年以来、中国に対し総額3兆5千億円以上のODA（政府開発援助）を行ってきている。そんな日本側の貢献に対して、中国が一度でも「ありがとう」と言ったことがあるだろうか。
金を出してきたから偉いとはいわないけれど、少なくとも、二階氏のあの卑屈な姿勢と、習近平の上から目線の偉そうな態度に対して、日本のマスコミもちょっとは憤ってみた方がよいと思うのだが。
(05/25/15 10:00pm)
2015年5月25日
もういらない！
発祥の地というのも変な話だが、維新の党は大阪発祥の政党である。いやいや、橋下徹が中心になって設立した日本維新の会とみんなの党をケンカ別れして飛び出した江田憲司たちが作った結の党なる政党（もうこんな政党があったことを忘れてしまった人も多いことだろう）が合併してできたのが維新の党であるという経緯を思い出せば、大阪本家の党とは言えない、という人もいるかもしれないが－－－。
維新の会という橋下人気頼みの大阪地域政党に、みんなの党の残党などが、橋下徹の維新の会に救済を求めてもぐりこんでできたのが維新の党である―――、というのが本当のところであり、その意味で維新の党は大阪発祥の党、と言うべきなのだ。
結の党の連中ばかりではない、民主党やら、小沢一郎のなんやら党といったところに見切りをつけたものの、さりとて行き場のない連中が身分確保のために、すり寄り、あるいは箸にも棒にもかからないが連中（国会をサボって秘書と旅行していた上西議員やら、ブログで女子高生を強迫したブログ市議やら）とかが寄り集まったのが維新の党なのだが、勢いで野党第三党にまでなったものの、この政党が国政において一体何をやりたがっているのかも、あるいはその外交政策がどこを向いているのかさえも、さっぱりわからないままだった。（そもそも維新の会に外交政策なんていうものがあるのだろうか）
そんな維新の党が、設立当初から言っていたのが「大阪都構想」である。橋下や、大阪本家の連中は「党の一丁目一番地」は大阪都構想と言い続けてきた。
さて、そんな大阪政党の一丁目一番地である都構想が住民投票によって否決された。党の一枚看板である橋下徹は、敗北を認め維新の党代表を辞め、12月には大阪市長も辞めて政界からの引退を発表した。発祥の地の本家が「政界から引退」と言っているとなると、維新の党という党に存続の意義はあるのだろうか。
松野頼久というあの宇宙人総理の副官房長官やら、小沢一郎の腰巾着など、無節に政界を飛び回ったご仁が、新党代表に着き「政界再編」を目指すと言っているが―――。
そもそも、松野頼久という人、小選挙区で落選し比例復活したご仁で、維新の党の本家、橋下の意思に反してまでも、党を民主党と提携させる―――等という方針を打ち出す権利があるのだろうか―――。
要は、橋下という本家のご本尊がいなくなると聞いて、それまで彼の看板でどうにか息をしていた連中が、ここぞとばかりに、その本家の乗っ取りを図っている―――というのが、今の維新ではないかと思う。
そもそも、大阪都構想そのものが大阪以外の人間にはなんの関係もない話だったわけで、しかもその看板を掲げた党代表が辞めるというのだから、もうこれ以上、維新の党という「大阪地域政党」に、国政にかかわって欲しくない！
維新の党は、解党の上、議員全員、辞任するか、個人ごとに、新たに拾ってくれそうな党に我が身を売っていくしかないのではないか―――あるいはそうするのが筋だと思うのだが－－－。
(05/24/15 10:00pm)
2015年5月20日
坊主丸儲け
今やいたるところにあるコンビニエンスストアーだが、全国のコンビニの数は5万2千店程度だという。ところが日本全国の寺院の数はコンビニより2万5000軒多い7万7千寺にも及ぶというからちょっと驚きだ。
先日、四谷の町歩きに参加したが、江戸時代からの古い町という所為もあるのだろうが、ちょっと裏通りに入ると大げさに言うとお寺だらけ、というほど寺が並んでいるのを見て改めて日本のお寺の数≥コンビニの数という不等式を実感した。(そういえば、日本中の古くからの町には、寺が軒を連ねているようなところも多いことを思いだした)
四谷の町にあるお寺はどれもかなり立派な建物であることにも感心したが、それよりもっと驚いたのは、ほとんどのお寺の住職用と思われる駐車スペースに停まっているのがベンツだということだ。中には2台、３台とベンツが並んでいるお寺もある。
どのお寺も、時間帯もあったかもしれないが参拝者はほとんどいないところをみると、お賽銭収入はたいしたことはなさそうだ。そうなると、これらのお寺は、一体どうやって儲けているのだろうかと素朴な疑問を持ったのだが―――。
京都の花街の上客は、観光客の拝観料で潤っている名刹の僧侶が多いという話を聞いたことがあるが、拝観料を取るでもない東京の普通の町のお寺の僧侶が―――繰り返しにはなるが―――愛車がベンツというのだから―――坊さんの「儲ける力」は一体、どこにあるのだろうか―――。
もちろん、全国の７万７千のお寺の住職全部がベンツに乗っている訳ではないだろうし、ネットなどを見ると「各地の寺はどこも、後継者不足だ」といった記事もあるから、言われる程には儲からないのだろうか―――？
お葬式や墓石、永代供養料といった収入があり、これが大きな収入になっているという可能性はあるけれど――――葬式が月に何十件もある訳ではなかろうし。
新興宗教の中には、国宝級の美術品をいくつも持ち、大きな美術館を建てているところや、政党を持ち、国政選挙毎に大量に議員を立候補させるなど随分と金を使っているところもある。
宗教というものは、すべからく「丸儲け」なのだろうか。いや、考えれば考えるほど宗教がどうやってもうけているのか、謎は深まるばかりだ。
(05/19/15 10:00pm)
2015年5月19日
対案はあるのか？
接戦ではあったが、橋下徹市長が提唱した「大阪都構想」の住民投票は、「反対」が「賛成」を上回り否決された。
大阪都構想は、大阪だけの問題であり、大阪以外の地域に住んでいる人は、あまり関心がなく、選挙期間中でさえも、全国紙の報道は随分低調だったが、投票後、橋下市長が政界引退を発表するに至って、にわかに各紙の報道が賑やかになってきている。
確かに、橋下会長というカリスマ的指導者を失った「維新」が、果たしていつまでもつのかとか、維新が空中分解した場合、その落穂拾いは、民主党などの野党、自公などの与党のいずれに有利なのだろうかという問題は、世の野次馬にとっては面白いとはいえるが―――。
タカさんとしは、住民投票で反対に回った側の今後の出方におおいに興味がある。と、いうのは、橋本氏の提唱した「大阪都構想」とは、要するに、政令指定都市である大阪市と、大阪府の間では重複している様々な行政事務を、大阪都に一元化することで、二重にかかっている行政費用などの削減、行政コストの増大や無駄を省こう、というものだった訳だが、「都構想」という二重行政解消策を否定した以上は、反対派は都構想に代わるどんな二重行政解消策をもっているのかを示す必要があると思うからだ。
大阪都構想賛成に回ったのは維新のみで、自民党大阪府連、民主党、公明党のみならず、自民とは犬猿の仲であり、主義主張が180度違うはずの共産党とまで手を組んで「反対連合」を作ったというというなりふり構わぬ反対ぶりを見ていると、大阪市に於いては二重行政による無駄な経費の利得に預かっている勢力がいかに多いか、ということを表しているように思う。確かに、大阪市と大阪府が一つになることで、数が減るであろう市職員たちが「反対」に回ることもよくわかるし、公共事業にしても市と府が二重にやっていることで、喜んでいる業者も多いだろうから反対に回るのもこれまたよくわかる。又、市民にしても、財政状況が比較的よい大阪市の住民が、府と合併することによって、自分達の取り分が減るのではないかと、反対するのも分からないではないが――。自分たちさえよければ、二重行政のままで無駄遣いしてよい！という結論にはならないと思う。
同じ政令指定都市でも、例えば神奈川県と横浜市や相模原市、愛知県と名古屋市の場合などでは、棲み分けができており、二重行政の弊害は少ないといわれているが、大阪の場合、歴史的にも府と市の仲が悪く、例えば教育分野や、産業育成分野などでの二重行政の弊害が目立つことは、以前から言われていた。
橋本氏の大阪都構想が二重行政解消の為のベストのアイデアであったかどうかは知らないが、少なくともこの構想に‘NO' を突きつけ否決した側は、これに代わる二重行政解消案を提示する義務はあると思う。
さあ、自民党大阪府連と民主党と、共産党は、今日から大阪維新の空中分解後の「腑分け策」ではなく、大阪都構想に代わる「二重行政解消策」の策定に取り組む必要がある。
もっとも、既得権益保全という一点だけで、野合した自民、民主、共産が、同じテーブルについて良いアイデアを出せるとはとても思えないが―――。
(05/18/15 10:00pm)
2015年5月18日
泥沼にビルを建てる
ウィンストン・チャーチルは「資本主義の欠点は、幸運を不平等に分配してしまうことだ、社会主義の長所は、不幸を平等に分配することだ」と言っている。
世界的には、90年代初頭の、ソ連邦の崩壊、東西冷戦の終結によって、幸運の不平等分配の方が、不幸の平等分配よりマシだということで決着がついたかのように思われているが、日本では、いまだもって「いやいや、みんなが不幸である社会の方が、一部が幸福である社会よりも、マシだ！」と思う人がいるようだ。
資本主義経済というのは、市場を通じて財やサービスの取引が自由に行われる経済のことである。その対義語は共産主義や社会主義が実践して失敗した「計画経済」であるが、確かに、市場経済における過度の競争によって、富が一方に偏るという問題、すなわち「幸運の不平等な分配」に不満の余りに、競争を極力排除して皆が同じように、富を分けあうべきだという主張もわからないではないが---。
ただ、競争のない社会では生産性は上がらないことは既に証明済みだ。競争に勝っても負けても分け前が同じならば、なにも一生懸命努力する必要などない、と考える人が多くなるのは当たり前だ。
一方、競争に勝てばより多くの物が得られるというモチベーションがあれば、多くの人々の、努力の度合いが高まるから、社会全体の生産性は上がる。
計画経済を採用していたソ連などの社会主義国の経済が破たんしたように、競争を排除した社会は、決して持続しないが、競争を取り入れた社会は、自然界の生物が、弱肉強食だとか、適者生存といった競争の原理によって、何十億年もの間、進化を遂げ繁栄してきたことで証明済みといってもよいだろう。
同じく、チャーチルの有名な言葉に、「民主主義は最悪の政治といえる。これまで試みられてきた、民主主義以外の全ての政治体制を除けばだが」というのがある。
民主主義の対義語としてチャーチルの頭の中にあったのは、当時の世界情勢における共産主義や、社会主義などの全体主義であったという。
「民主主義にも色々欠点はあるが、社会主義に比べれば随分マシな制度ではないか！」という意味だといわれている。
すなわち、チャーチルは「民主主義的な資本主義社会は、色々と欠点もあるけれど、社会主義や共産主義よりは余程マシだ！」といいたかったのだ。
さて、中国は今、「社会主義的市場経済」を標榜している。しかしその実態は、資本主義の基本であると長く我々が考えてきた、「自由競争に基づく経済」のメカニズムを排し、自由競争の為の必須条件でもある民主主義を排した共産党一党独裁による全体主義国家である。
AIIBは、まさに自由競争を排し、民主主義を認めない中国が、沼の土台に建てようとしているビルである。こんなものに日本は絶対に手を出してはいけないことはまさに自明ではないだろうか。
(05/17/15 10:00pm)
2015年5月15日
全額国庫負担
東日本大震災後5年間に設定された復興集中期間中に投入された復興予算は26.3兆円に上る。多くの犠牲者を出したあの震災は、まさに「国難」というべきものでありその復興は、震災の被害を受けた東北だけの問題ではなく、日本国民全体の問題として取り組むべきであるだけに、この26.3兆円という巨額の費用を、我々国民全員が、その住んでいる地域に関係なく等しく、所得税増税などを受け入れることによって、負担したのは当然のことである。
すなわち、「日本人同士、苦しい時はその苦しみを分かち合おう」という趣旨から、この5年間の復興予算が、被災地の住民負担はゼロで、「全額国庫負担」になったのは当然なのだ。
阪神大震災では、10年間の復興事業費は約16兆円だったが、その内、５兆円は兵庫県と神戸市などが負担したのに―――という声もあるが、東日本大震災の被害地域である東北の自治体の財政基盤が、兵庫や神戸ほど豊かではない、ということからかんがえても東北の場合は、「地元負担なし、全額国庫負担による震災復興」という措置は、（重ねていうが）、「至極当然」の措置であったといえよう。
しかし、この「地元負担なし、全額国庫負担による震災復興」という措置を集中復興期間が終了する来年度以降も続けるべきかとなると、色々と考えないといけない問題が出てくる。
集中期間中にも終わらなかった事業のうち、例えば、高台移転などの基幹事業や、いまだに終息の目途が立たず、今後完全な復旧・復興にどれだけの時間と費用がかかるかも分からない原発事故からの復旧・復興事業などについては、5年が過ぎたからと言って「これからは、地元でやって下さい」あるいは「地元も負担すべきだ」といった考え方は、「苦しい時は、同じ日本国民同士全員で助け合う」という趣旨から考えても全く不当であり、これらの費用については、集中復興期間を過ぎても、全額国費負担を継続すべきだ。
しかし、例えば、東北以外の県などでは一部地方自治体も負担している地方創生のための地域振興大作費用や、防災設備の拡充といった震災被災地特有とばかりは言えない費用までも、5年の集中復興期間を過ぎていつまでも「地元負担なし、全額国庫負担による震災復興」の名目で続けるべきかどうかは、議論の余地があると思う。
政府が、集中復興期間である5年をすぎてからは、「震災復興」とばかりはいえない政府が、「事業内容を十分精査した上で一部事業については、その費用の一部を地元負担とすべきではないか」という方針を立てたと聞いた、被災県の知事さん達が猛反発しているという。
「今まで全額払ってくれていたのに、なんで一部でも県がはらわなければならないのだ！」ということのようだが----
ところが、一部の県ではこの5年間の震災復興事業での県の負担がなかったことで、県の財政調整基金残高、すなわち民間でいうところの「貯金」が震災前より増えたところもあると聞く。
「国庫」から支出される金は、すべて全国民が支払った税金である、という事実を考慮し、被災県の知事さんたちには、震災復興の為の費用とばかりはいえないような費用について、その一部位は、地元負担とする案の受入れを検討して欲しいと思う。
(05/14/15
10:00pm)
2015年5月14日
米百俵
財務省が財政制度等審議会に提示した文教分野での歳出見直し案によると、今後10年で小中学校の教職員を約42000人削減するのだとか。
現在、小中学校の教職員数は約69万人だが、ますます拍車のかかる少子化による学級数の減少などもあって今後10年で約6％、42000人削減できるというのだ。
「子供が減るのだから、その分、教職員を減らすのは当然だ」というのが財務省の言い分だが、削減対象になっているのが、日本の将来にとって最も大切な「子供たちの教育費用」であるとなると、大いに異議がある。
そもそも、42000人の教職員削減によって削減できる予算額は地方自治体分1520億円、国の負担分780億円の合計2300億円でしかない。
財務省が目的とする財政健全化だとか、プライマリーバランスの黒字化などという大目標も、こうしたコツコツとした積み上げがあってこそ実現できるということはたしかだが、例えば年6兆円規模で増え続ける社会保障費だとか、年間100超円に及ぶ予算規模の桁数を考えれば、国庫への寄与度としてはわずか780億円の削減をしたからといって、一体、どれほどのものか？と思わざるを得ないのだ。
まして削減しようというのが、ある意味、聖域とさえ言ってよい教育費となると――。
幕末に藩財政がひっ迫していた長岡藩が、他藩から贈られた「米百俵」を藩士で分け合ってしまうのではなく、「百俵の米も、食えばたちまちなくなるが、教育にあてれば明日の一万、百万俵となる」といってその売却代金で藩校を開校したという例もあるように、国の将来を思えば、一番投資しなければいけない（一番削っていけない）のが教育費だ。
少子化によって子供の数が減るというなら、今まで以上に一人当たりにかける教育費は増やすべきだ。例え、教室数が減って教員がそんなにたくさんいらないという場合でも、総額は減らさず、教員の質を向上させるために教員の給与水準を上げる、といった使い方を考えるべきではないだろうか。そうしてこそ、日本が少子化に伴って、縮小均衡してしまうことを避けることができるのではないだろうか。
そもそも、国会議員の定数削減といったこともせず、とんだ無駄遣いばかりしている連中が、教育費の削減に血眼になっていることをおかしいと思わないことに、今回の歳出削減案のいい加減さがあらわれていると思う。
(05/13/15 10:00pm)
2015年5月13日
中国が不気味だ
日本から一番遠い大陸と言えば南アメリカということになるだろうが（5年程前、ブエノスアイレスに行ったが、成田を出てLA、LIMAで乗り換えて確か30時間ほどかかった記憶がある）、日本人にとって一番なじみが薄い大陸となるとアフリカ大陸、それも特に西アフリカではないだろうか。
西アフリカを、訪れたことのある日本人はそんなに多くはないと思う。（アルゼンチンやブラジルは、日系人も多く、最近は観光で訪れる人も結構多いが）
もうかれこれ15年近く前になるが、ナイジェリアやコートジボアール、セネガルなどの西アフリカの国（最近はエボラ出血熱で知られるようになってしまったが）を訪れたことがあるが、当時これらの国々には、大使館の関係者とか商社の駐在員などを除けば日本人は数えるほどしかいなかった。ところが、驚いたのは町の中には、ところどころ漢字の看板があるし東洋人っぽい人が歩いているではないか。
現地の駐在員に聞いてみると中国人が、こんな（といっては悪いが）辺鄙なアフリカ西岸にもかなり進出してきているとの話であった。（おかげで日本食レストランはないが、中華料理のレストランはありコメのメシが食べられたので大分助かったが）
西アフリカの国の多くは現在も、政情が必ずしも安定しておらず、エボラ出血熱やボコハラムのテロといった問題も多いだけに日本人はあまり行きたがらないようだが、今も中国の進出が目覚ましいと聞いて、なるほど、そういえばあの頃も、先進国が余り注目していないどんなところへでも進出していく中国人のバイタリティーには「さすが華僑の国！」と感心したことを思い出した。
先日、NHKスペシャルをみていたらアジア・中東と欧州を結ぶ最大の中継地であるギリシャのピレウス港を中国が全面買収する話をやっていた。（財政難のギリシャ政府は中国への売却に大乗り気なのだとか）。西アフリカでも中国の国営企業は、この地域の要の港でもあるコートジボアールのアビジャン港を既に手中にしているというし、エコワス（西アフリカ共同体）との経済協力協定を結んでおり、さらに港湾などのインフラ整備を進めるというから、スリランカで中国が進める港湾買収などを合わせて考えると、インド洋から中東、そしてアフリカ西海岸を経由して地中海までの海上交通の要衝はすべて中国が支配する－――などというまさに習近平がいうところの「一帯一路」が、実現に向かっているようにも思える。(参照：「一帯一路」04/24/15）
海上運送という面だけで留まればまだしも、中国は最近、ナミビア政府とこの国に中国海軍の軍港を開く協定を結んでいる。ナミビアに軍港が開かれれば、ここから南アメリカまでの大西南大西洋は、中国の監視下に置かれたも同然だ。
ナミビアの中国軍港からアルゼンチン沖にある英国領フォークランドは、目と鼻の先である。万一、アルゼンチンが「サッチャーにとられた！」と思っているこの島奪還のための紛争をしかけた場合、アルゼンチンとの関係を深めている中国が、ナミビアからの支援物資の供給などで、アルゼンチン支援にまわらないとも限らない。
その時英国は、かつてのように遠い本国からフォークランドに海軍を送るだけの力があるだろうか―――まして、アメリカが英国救援の為に動くとはとても思えない――。
世界の地政学における、不気味な存在としての中国の異様なほどの台頭が気にかかる。
(05/12/15 10:00pm)
2015年5月12日
あなたのためを思って！
現在ビール１缶(350ml)にかかる酒税は、77円と発泡酒(46.98円)や第三のビール（28円）に比べると30円から50円高い。当然その分、販売価格は、発泡酒や第三のビールの方がビールより安い。
ビールと第三のビールでは味が違うはずで、味が落ちるからこそ第三のビールが安くなっている―――はずなのだが―――。
元々、ビールと第三のビールの微妙な（？）味の違いなんかわからないし、アルコールに関しては「質よりも量」派のタカさんは、家で飲む時にはもっぱら発泡酒や第三のビールを愛飲しているだけに、政府・与党が2016年度の税制改正で、ビールや発泡酒などビール系飲料の税額を一本化する―――すなわちビールも発泡酒も、第三のビールも酒税を55円程度への一本化を検討している―――と聞いてちょっと心穏やかならぬものがある。
この酒税法改正が実施されると、ビールの販売価格は、現在より酒税値下げ分の20円ほど安くなり、その一方、発泡酒は少なくとも10円、第三のビールに至っては30円近く高くなることになるはずだ。すなわち現在、230円程度で市販されているビールは、210円以下に値下げとなり、現在170円の発泡酒も、150円で売られている第三のビールも改正後には180－190円程度に値上がりすることになる。
愛飲している発泡酒や第三のビールが値上がりすると聞いて怒っているのではない。政府・与党が掲げている値上げ理由があまりにウソ臭いのに腹がたつのだ。
彼等のいう理由の一つは、「税額の低さを狙ってメーカーが割安な商品開発を繰り広げ、健全な競争を阻害することを抑えるため」だというが、実は、酒造メーカーにとっては、発泡酒や第三のビールに比べ、ビールは利益率がはるかに高い商品であり、「儲かるビール」の税率が下がり、儲けの少ない発泡酒や第三のビールが値上げとなれば、消費者の多くがビールに乗り換えてくれるかもしれない。そうなれば、ビール業界は万々歳ではないか。すなわち、この酒税率一本化には、どうもビール業界と政府・与党との癒着の臭いがプンプンするではないか。
もう一つの理由というのがもっと腹立たしい。「国民の酒の飲み過ぎや未成年の飲酒といった問題を防ぐため」だというのだから―――。
国が税制をいじくる真の目的は、「税収を増やすため」というのが99％であって「国民の健康を思って」などということがあった試しはない。（本当に国民の健康を思っているならたばこ税を一箱1000円にでも値上げすればよいが、たばこ税収が欲しい政府が、そんなことをする訳がないことは国民誰もが知っている）
なるべく多く税金を取りたいという本音を、「業界の健全な競争を守るため」だの「国民が酒を飲み過ぎて健康を損ねないようにするため」だのと、インチキなおためごかしを言うのは止めて欲しいものだ。
「発泡酒や第三のビールが値上げになるなら、この際、税率が安く一缶150円程度のチューハイに切り替えようか」などと考えている吞兵衛もいると思うが、税金を取ることに関しては消費者より一枚も二枚も上手の政府のことだから、どっこい、そんな抜け道はしっかりと塞ぐ予定だ。
すなわち現在一缶25円のチューハイの酒税も、ビールなどと同じ55円に値上げされる予定だというし、スーパーや酒類量販店のチューハイ安売り合戦についても、「中小酒店の保護のため」に規制する予定という。
そもそも、アベノミクスとやらの成長戦略では「規制緩和」をうたいながら、実際は、「国民の健康のため」などというウソっぽい理由をあげて、規制緩和と逆行することを堂々と行おうというのだから―――役人や政府の考えることは、どうにも度し難い。
何にせよ「あなたのためを思って―――」という言葉には、気をつけよう！
(05/11/15 10:00pm)
2015年5月11日
リベラルの語源
先週行われた英国の総選挙で事前の予想に反して、単独過半数を獲得したのは保守党（The conservative Party）であった。
日本で保守政党の代表と言えば自由民主党だが、この政党の英語名はLiberal Democratic Party of Japanであって conservativeという文字は全く入っていない。
一方、日本では自公政権のような保守派政権に対抗する勢力を、一般的に「革新政党」とか「リベラル政党」などというのが一般的だ。
すなわち、日本では保守も革新も、政治的な価値観としては「リベラル」を重んじており、「われこそが、リベラルの正統派である！」と主張しあっているという訳だ。
英語でいえばConservative Partyの対義語は、Reformist(改革) Partyであって決してLiberal Partyではない。要するに、日本では「リベラル」の意味が全く誤用されているのだ。
リベラル（Liberal）の本来の意味は、「気前のよい」とか「大まかな」であって、英米で政治的な意味で使われる場合には、敢えて日本語にすれば「自由主義」であって、日本で使われているような「革新」という意味合いは全くないのだ。
自由主義は、啓蒙思想から生まれた近代思想の一つであり、人間の理性を重んじ、あらゆる権威や束縛から個人の自由をもっとも重んじようという思想であるから、社会主義や共産主義の計画経済などの思想や経済体制とは真っ向対立する思想なのだ。
日本では例えば憲法改正というような政治課題においても、「憲法を守れ」と「古いものをそのまま維持して守る、維持すること」を主張するいわゆる護憲派といわれる人達が「リベラル」と呼ばれることが多いが、本来的なリベラルの意味とはまったく正反対の使われ方をしていることに、マスコミを含め政党自身も誰も違和感をもっていない。
民主党も、維新の党も未だに憲法改正についてはもちろん、安保法制に対する姿勢を決めていないし、決めることができないでいる。すなわち、保守でもなければ、革新でもないし、ましてリベラルでもない。他の政党も結局同じようなものだ。
なぜなのだろうと考えてみたが、やはり、日本の政治においては確たる思想、主義といったものが必要とされておらず、その時々の行きあたりばったりの方が、居心地がよいということのようだ。
(05/10/15 10:00pm)
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