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2016年2月
＜＜2月タイトル＞
02/29 痛い目を思い出そう 02/26 ぐらしかぁ〜 02/25 同一労働同一賃金 02/24 自虐ポスター 02/23 マラソンは採点競技か？
02/22 転身するなら 02/19 新奇探索性 02/18 アホなあんちゃんとねえちゃん 02/17 公有と私財 02/16 言い訳後講釈
02/15 出産立ち合いと育休 02/12 恐竜見たか 02/10 聞き流すだけ 02/09 ご都合主義丸出し 02/08 どうにも止まらない
02/05 スキー再び 02/04 英語は必要ない？ 02/03 支持率が上がったわけ 02/02 難民受入れ 02/01 やめたら省庁移転
2016年2月29日
痛い目を思い出そう
燃費のよい車に乗り換えたし、何しろリタイアしてから余り遠出することもなくなったこともあって、最近は1ヵ月に一回もガソリンスタンドに行かない所為もあるからだろうか、今日、墓参りに行くので新青梅街道を走っていて、居並ぶSSのガソリン（レギュラー）の価格表示を見て驚いた。
確か、前回1月末頃に入れた時には１ℓ109円当たりだったので、半年ほど前の137円辺りに比べて随分安くなったなぁ〜と思ったのだが、あれからわずか1ヵ月でレギュラーが101円、102円といった程度にまで下がっているではないか。
101円は一般価格だが、どのスタンドも「会員価格」は１ℓ2円程度の値引き価格で販売しているから会員なら既に100円を割っている訳だ。
国際原油価格の低下については以前この欄でも触れたが（参照：「半値八掛け二割引」1/14/16）、遅行指標である国内ガソリン小売価格に遂にこの安値が反映してきたということなのだろうかとおもったのだが---よく考えてみるとちょっとおかしい。
半年前までバレル100ドルだった国際原油価格が30ドルを割り込むところまで下がったことを考えれば日本のガソリン価格の値下がり率は低すぎるように思ったのだ。
しかし、この理由にはすぐ思い当たった。すなわち、現在、レギュラーガソリン１ℓには約54円の税金がかかっており、この税金分は原油が下がっても下がらないのだから原油価格ほどの比率では国内ガソリン価格は下がらないのだ。
今や100円のガソリン価格の半分以上は税金という訳だから、今後、国際原油価格が30ドルを更に割り込んでも、SSでのレギュラーガソリン価格がそんなに下がることはない！という訳だ。（まあ、原油価格が20ドルを下回るようなことがあればあと10円位の値下がりはあるかもしれないが）酒類と同じように、全体の価格に占める税金の割合が日本のガソリンや軽油などの燃料は高すぎることが、ガソリンが値下がりしたことであらためて焙り出された訳だ。
そういえば、かつて2008年頃には、細野現民主党政調会長などが「ガソリン値下げ隊」なるなんともコッパヅカシイ名前の徒党を組んで「ガソリン税を値下げしろ！」と騒いでいたことを思いだす。その後、民主党はマニフェストにこの「ガソリン税値下げ」をいれて政権を奪取したものの、政権の座に着いたら、いつのまにかこの「ガソリン税値下げ」を削除して批判を浴びたことを思いだす。
そうそう、今日、首都高に乗ったが、その料金は片道930円、往復で1860円だった。民主党は「ガソリン税値下げ！」と一緒に「高速道路無料化！」もマニフェストに載せていたが、あのころの首都高料金は祭日割引などを使えば片道500円もしくはそれさえも切るほどだった――そう考えると、あの民主党政権は、ガソリン税を下げるの、高速料金を無料化するのと甘い言葉というかウソ八百並べて政権をとり、ほとんどの政策を反故にして日本をメチャクチャにしたトンデモ政権だったことを思いだす。
ここにきて、出戻りが大半の維新の党と合流して再び「政権を目指す」のだとか―――。相当に痛い火傷を負った筈なのに、世論調査ではまだ2割の人たちが「民意合流に期待する」と答えている。（68％が期待しない、だが）「野合批判があるが」という記者の質問に岡田代表は「野合で何が悪い！」と開き直ったとか―――。
いやはや、まさかとは思うが又、騙されるようなことになりませんように。
（02/28/16 10:00pm）
2016年2月26日
ぐらしかぁ〜
「はじめに言葉ありき」は新約聖書ヨハネ福音書の冒頭の有名な言葉だが、この世界は神が言葉によって築いたという意味と言われる。
言葉があってはじめてそこに世界や、認識が生まれる、という意味だとすれば、思い当たることはいくつでもある。
以前にも書いたが、北海道でマイナス15度とか20度になった時、方言では「しばれる」という。寒い、なんていう感覚をはるかに通り越して痛いほどの冷たさを感じるとき、「今朝は、しばれるねぇ〜」とあいさつし合うのだが、一度、この「しばれる」を知ってしまうと、北海道（タカさんは旭川だったが）の厳冬期の寒さを表現するには「しばれる」以外は考えられなくなってしまう。
東北でもところによっては「しばれる」を使うところもあるようだが、そんな寒さになることのない関東以西では「しばれる」という言葉はないようだし、その必要もない。「寒い」か「冷たい」で十分なのだ。この場合、「しばれる」という言葉があるから「しばれる」という感覚があるのか、逆に、「寒い」をはるかに通り越した寒さがあるから「しばれる」という言葉が生まれたのかはわからないものの「はじめに言葉ありき」がぴったりのケースのような気がする。
味覚は動物の五感の内の一つであり、当然、人には生まれつき備わっている。人にとっても本能的な感覚である味覚を構成するのは、甘味、酸味、塩味、苦味、の4つであると洋の東西を問わず長く信じられてきたが、1908年に池田菊苗博士が、グルタミン酸ナトリウムの抽出に成功、この味を「うま味」と名付けて以降、味覚は実は「うま味」を加えた五味から構成されているということが世界的にも認知されるようになってきた。そんなこともあって、今や‘UMAMI'は世界的に使われている日本語起源の共通語だが、それでもこの言葉の認知度は世界的にはさほど高くはなく、‘UMAMI'という言葉を知らない人達は世界には多いという。この言葉を知らない人は、なぜか舌先にある味蕾センサーの中のうま味感知センサーが働かない（すなわちうま味がわからない）のだとか。まさに「はじめに言葉ありき」なのだ。
いや、なぜこんな話をするかというと、先日、鹿児島弁紹介の中で、「ぐらしか〜」という鹿児島弁を扱っていたが、この標準語の意味は「かわいそう」だと言っていたのが気になったからだ。
実はタカさんのいたころの半世紀以上前の鹿児島弁の「ぐらしか〜」は、標準語の「かわいそう」とぴったり同じ言葉ではなく、「かわいそう」とか「けなげだ」とか「かなしい」が全部混じったようなニュアンスがあった。では、そのころの「ぐらしか〜」を標準語に正確に訳せといわれると――――結局、タカさんの感覚では「ぐらしかぁ〜」と訳す以外にはどうしても思いつかないのだ。これこそ、「はじめに言葉ありき」であり、言葉がなければ感覚もない、ということなのではないかと思った次第。
（02/26/16
10:00pm）
2016年2月25日
同一労働同一賃金
受験を控えた小学生の息子に家庭教師をつけようと思えば受験期の1年か2年（最近はもっと長いのかっもしれないが）の間、現役大学生に、時給で（東大生の場合だと3000〜5000円位が相場だとか）来てもらうなんていうことがあるようだ。
この場合、もちろん子供の受験が終了すればその契約は終了するし、大学生の側にしても卒論の時期に入る4年生になるとバイトどころではない、といった問題もありバイトを断わらざるを得ないということも出てくるだろう。従って、こういう家庭教師のような契約は、雇用する側にとっても雇用される側にとっても期間を限定せず、比較的短期での契約を結ぶ非正規雇用（パートタイム雇用）が都合よいことになる。
しかし、例えば大手学習塾の講師となりこれが本業ということになれば、雇われる側にとっては雇用が長期に保証されている正社員としてこの塾に就職することが望ましいと思うのは当然だ。非正規雇用で塾に雇われ、夜遅くまでの塾に於ける個別指導を課せられ、入試の付き添いやら模範解答作りなんていう仕事まで正社員並にやらされ、自分の大学の受講にも差し支えるし、しかも時給は正社員講師の半分（ブラック塾の場合、残業代も交通費も払われない――ケースもあるらしい）などというのではまさに差別以外のなにものでもない。(実際、そんなブラックバイトで成り立っている学習塾があるというから恐ろしい) そこには自ら正規と非正規の条件の違いがあるべきだし、これをあいまいにしたのでは働く者の権利は守れない。
正規労働（いってみれば正社員）と、非正規労働（パートや期間限定契約労働）に対して安倍首相が俄かに叫びはじめているのが「同一労働、同一賃金」なるスローガンだ。しかし、上の例でも挙げたように、何をもって「同一労働」とするかとなるとそうそう簡単な話ではない。
例えば「一人の子供に週2時間、算数を教える」という仕事は、誰がやっても同一労働といえるだろうか。教え方の上手い、下手もあるだろうし、一流大学生なら多少は高くてもよいかもしれないが、三流大学となると果たして頼む人がいるかどうか。
塾にバイトで教えにきて時間給をとっている学生と、塾経営やら生徒募集活動までもやらされている正社員講師の時給がバイトと「同一労働同一賃金」であってもよいものだろうか。（この場合、正社員とバイトは果たして同一労働といえるのだろうか）
塾経営者にとって、正社員の給料をバイト学生レベルに迄下げて「同一労働同一賃金を実現した！」と言いたいだろうが、それでは正社員がこの塾に勤め続けてくれるものだろうか。逆に、時間分だけ講義を受け持ち、生徒指導などには一切タッチしないバイト学生にまで、正社員並の給料を払っていたのでは、塾経営が破たんするのは目に見えている。
そんなこんなを考えてみると、終身雇用的な雇用関係が長く支配的であり、年功序列賃金制度が今もある程度は色濃い日本の雇用関係の中に、「欧米ではそうだから！」という何だかあんまり説得力のない理由で、「同一労働同一賃金」を持ちこんでみても、中々上手い具合にいかないのではないかという気がする。
日本人の働き方そのものに大きな変革を加えないでおいて、突然のごとく「欧米お手本」を持ち出しての「育休」だとか「同一労働同一賃金」を叫び出すとは―――どうも政治家先生には日本の労働現場の感覚が乏しすぎるように思う。
(02/24/16 10:00pm)
2016年2月24日
自虐ポスター
2005年の郵政解散の時の選挙戦での民主党の選挙ポスターのスローガンは「日本をあきらめない」だった。
小泉劇場などともいわれる勢いに乗った自民党は、自民党自身も驚いくほどの圧勝をおさめたが（関東ブロックの比例選名簿は全員当選してもまだ票が余り、確か社民党かどこかの候補に回された―――なんていうこともあったと記憶する）、そのあおりを喰った野党第一党の民主党は散々な結果に終わった。
選挙戦を総括するなかで民主党の惨敗の原因の一つにあげられたのが、民主党が、この「日本をあきらめない」などというあいまいな表現で、結局、郵政民営化に賛成なのか反対なのかの口を濁していたことにあったのではないかといわれた。（小泉劇場の演出により当時、郵政民営化反対派は、利権にしがみつく守旧派だ！というムードが漂っていたが、郵政労組を支持団体にもつ民主党も、結局は既得権擁護側に違いない」と判断されたようだ。)
結局その後、民主党は郵政民営化に賛成するなどして労働組合との間合いを置くようになったことを考えれば、05年の選挙の時にはっきりと自分達の立場（主張）を示すべきだったような気がする。（政党として、一体何をやりたいのがはっきりしないということは致命的でもある）
そう、あの時の民主党代表が岡田克也氏でありまさに「日本をあきらめない」というダメスローガンを選んだ張本人として、この選挙の惨敗後、党代表の座を去っている。
この夏の参議院選挙用の民主党のポスタースローガンが「民主党は嫌いだが、民主主義は守りたい」というものだ。再び代表に返り咲いた岡田氏がこのスローガン選びの責任者ということになるが---。このポスターの評判が、民主党内でも散々だという。ある民主党議員は「こんなポスター誰が貼る？」と怒りを隠さなかったとも―――。
岡田さんという人、よっぽどキャッチコピーセンスがないのか、それとも本当に「民主党が嫌い」なのか判断に迷うところだが、あと数カ月後にひょっとしたら衆参同時選挙になるかもしれないという勝負所にきて「民主党は嫌いだけれど〜」なんていう自虐ネタを出して選挙民の同情でも買えると思っておられるのだろうか―――。
次の選挙では壊滅的な敗戦になりそうで、自身も次は比例復活すら危ういとまでいわれている維新の松野代表のブラフに負けて、民主党の党名変更と、泥船維新との合流に合意したという。
党名変更も結構だし、民主を飛び出した連中の出戻りを受け入れるのも党代表としての権限なのだろうから結構だけれども、公党である以上、選挙民が一番知りたいのは、「党として何をやるのか」「党として何を目指すのか」という一丁目一番地だ。
党名を変えて出戻りを受け入れる、ということだけ決めて、「新しい党の綱領も、憲法にたいする姿勢も、これから考える---」では―――とても次期選挙で勝てるとはおもえないのだが---。
いや本当に、岡田さんは昔から「民主党をあきらめている」し、「民主党が嫌いなのかなぁ〜」と思ってしまう。
（02/23/16 10:00pm）
2016年2月23日
マラソンは採点競技か？
翌1988年のソウルオリンピック男子マラソンの代表選手3名は前年12月に開催される福岡国際マラソンで選ばれると、当時、選手はもちろん一般のファンも信じていたが、日本でもっとも期待されるランナーであり人気もあった瀬古利彦選手が、レース直前に左足首を剥離骨折し欠場してしまった。
福岡国際マラソンで瀬古が堂々優勝し日本代表になればマラソン人気は盛り上がる―――というシナリオを描いていた日本陸連は大慌て、この大会を2時間08分18秒という当時としては超好タイムで優勝した中山竹通と2位の新宅雅也（2時間10分34秒）の二人を代表「内定」としたものの、「翌年のびわ湖毎日マラソンの成績を見て3名の代表を決定する」というオリンピック代表選出基準変更を急遽決定してしまった。
翌年のびわ湖マラソンで瀬古は、優勝したもののそのタイムは、2時間12分41秒と平凡なタイムであり、このタイムは福岡国際マラソンの4位工藤一良（2時間11分31秒）6位の谷口浩美（2時間12分⒕秒）にも劣るものであった。（ソウルで瀬古は9位だったが、中山は惜しくもメダルを逸したものの4位という好成績を残している）
オリンピック代表という栄光の座を目指して日本人ランナーが目の色を変えて挑もうとしていた大会直前に、選考基準変更のきっかけを作ってしまった形になった瀬古を念頭にレース直前、中山が「僕なら這ってでも出るのに」と発言し、物議をかもしたものだった。
近年、日本男子マラソンは、世界のレベルから大きく離されており、代表選手がどう選ばれようが余り話題にはならないが、世界トップレベルにある女子マラソンの選考では、あの88年と同じような日本陸連の不明朗な代表選考が続いており毎回問題になっている。マラソンの場合、コースの起伏、大会開催時の天候や気温等、一概にタイムだけでは割り切れない面もあるだけに一発選考（アメリカのように一つの大会で強いものから3名を代表に選ぶ方式）がよい、とも言いきれない面はあるが、日本の相変わらず、ごたごたは異常だ。
全ての原因は、陸連の選考基準があいまいな解釈を許すものになっているところにある。陸連が昨年公表した選考基準は、まず、「2015年の世界陸上での入賞」であり、これは伊藤舞選手が2時間29分47秒という随分と遅いタイムながら7位入賞を果たしたことで、1枠を早々と確保することになった。残る3レース（さいたま国際、大阪国際、名古屋ウィメンズ）の3大会で、2時間22分30秒という陸連の定めた設定記録以内で走る2名が選ばれることになる訳だが、この3大会で2名というややこしい基準が問題になっている。
こうなると、マラソンという競技があたかもフィギアスケートで転倒しまくったにも拘わらずメダルをとる選手が出るケースがあるように、なんだか陸連という審査員が訳の分からない基準で採点する採点競技になってしまったようなものだ。
埼玉国際では吉田香織選手が2時間28分43秒で2位だったから選考基準外となったものの、大阪国際では福士加代子選手が2時間22分17秒と陸連の課題タイムをクリアして優勝しているが、残る名古屋で上位1，2位が福士以上のタイムで走ったら―――という問題がのこるだけに、陸連は福士を当確ではなく「内定」に留めた。
ひょっとしたら、リオに行けないかもしれないと焦った福士は、名古屋ウィメンズに出走すると宣言、4か月後にリオ本番を迎える時期に、2回も立て続けにフルマラソンを激走したのではリオでの好成績は期待できないかもと考えた陸連は、あわてて福士に「名古屋には出ないで欲しい」という異例の要望を出したという。
なんでこんなドタバタになるのかといえば、各マラソン大会にはそれぞれ異なった新聞社が主催者として名をつらねており、その大会前に代表が決まってしまうとマズイという陸連のスポンサーに対する配慮が働いているからとも言われている。
女史マラソンが、ビジネスとズブズブの関係に陥り、陸連という利権組織の餌食になっているように思えて何だかすっきりしない気分だ。
（02/22/16 10:00pm）
2016年2月22日
転身するなら
遂に台湾の鴻海（ホンハイ）の軍門に下ることになるというシャープだが、この会社が液晶技術で他社を凌駕し怖いもの知らずの全盛期にあったのはわずか10年ちょっと前の2002年頃のことである。あの頃、シャープの亀山工場の製品は、世界のカメヤマブランド、等と囃され、他社の液晶に比べて格段の品質を誇っていたものだった。タカさんの家庭でも先代？（もしくは先々代）の液晶テレビはシャープのカメヤマ工場製だったし、シャープの株でも少し儲けさせてもらった記憶もある。
それが、どこでどう間違ったら、10年ちょっとで社の存続も危なくなり、遂に外国に身売り―――なんていうことになってしまったのか―――経営というものの難しさ云々よりも、なんだか平家物語の「おごれるもの久しからず、ただ春の世の夢のごとし」のような「もののあわれ」を感じてしまう。
アメリカのビジネスウィークが毎年選ぶ全米トップ100企業の中で10年後にもそのままの形で存続している会社はわずかだという。（5年でも15%でしかない）
日本においても、10年、20年前のトップ20企業の中でいまもその座をキープしている企業は、トヨタなど数えるほどでしかない。鉄鋼会社や銀行、証券、商社等々のほとんどが、10年前の名前すら残っていないのだから、シャープや、東芝、あるいはソニーの凋落も何も特殊なケースではないのかもしれない。
そうそう、日本の飲食業もその生存率の低さは驚くべきものだとか。飲食業の場合、単純に潰れて無くなるものが10年のスパンでみればなんと95%だという。まあ、潰れた店の数ほど新しい店ができるから、客の側にしてみればあまり気付かない数字だが、店のオーナーの側からみればなんと過酷な世界！ということになるだろう。（確かに、タカさんの家の近くにある大型ショッピングモール内のレストランも、15年程前のモール開設時の店で今も残っているところは、確かに1割もないような気がする）
そう言えば野球の清原和博選手の覚せい剤でにわかにその行方が話題になっている同じく元巨人のＭ氏も昨年、開いて間もないラーメン店３店を潰したという話があったし、多くの芸能人、野球選手が開いたラーメン店やら、焼き肉店もほとんどが、３年持たないといわれている。
経営のプロのはずの経営者が経営していても、シャープや東芝のようなことになるこの世界、野球に幾ら優れていても、あるいは芸能界でどれだけ活躍していても、転身して間違いなく成功するような甘い世界ではない！ということだろう。
まあ、折角、野球選手やタレントという知名度があるのであれば、そんなにリスクの高い仕事には手を出さず、元手いらず、収入が安定しているし、素人でもなれる地方議員とか国会議員に転身するのが一番無難だと思うがどうだろう。
（02/21/16 10:00pm）
2016年2月19日
新奇探索性
コロンブスが大西洋をひたすら西へという未知の航海に乗りだした時、あるいはガガーリン少佐が人類初の宇宙飛行に飛び立った時、その瞬間から世界は大きく変わった訳だが、コロンブスやガガーリンのように、未知の領域に「えぃ、やっ！」と踏み出す人（踏み出してしまう人）のことを「新奇探索性の強い人」というが、世の中にこういった新奇探索性に優れた人がいなければいままでの人類の進歩はなかったとさえ言えるのではないだろうか。
この海の向うにはどこまで行っても海が続いているかもしれない―そうだとすれば、結局自分は死ぬかもしれない！とか、この人工衛星に乗りこんだが最後、もう二度と地球に生きて帰れる可能性はないかもしれない！というリスクを考えながらも、それでも新しい冒険に我が身を投じて悔いない―――という精神こそが「新奇探索性」である。
かなりリスクがある（場合によっては命の保証もない）状況に敢えて突っ込んでいく性格は、脳内の快楽や報酬に関連する神経伝達物質であるドーパミンが強く関わっていると言われているが、このような脳の働きは多分に遺伝的なものであることが分かっている。
ドーパミン受容体の強さ、すなわち新奇探索性は、遺伝的性質であるだけに、「新奇探索性が強い人」は子供の頃から冒険を好む傾向が強いし（言い方によっては無鉄砲）、年取ってからも結構リスクのあることに挑戦する傾向（96才で216mのバンジージャンプを行ったという南アフリカの男性のように）があるのだとか。
新天地開拓、科学的な新発見、不可能と思われていた様々な記録への挑戦等々、人類の進歩は、こういった新奇探索性に優れた人が切り拓いてきたというプラスの面は実に多いが、逆に、なけなしの大金を、一勝負に全て注ぎ込んでしまう破滅的なギャンブラー、バレたら国会議員の辞職位では済まないと分かっている不倫に何度でも突っ込んでしまうチャラ男議員等々も、ある意味では新奇性探索性の強さ故とも考えられ（チャラ男の場合は、単なるアホに過ぎないかもしれないが）、こういったケースは新奇探索性がマイナスの方に働いてしまった、ということになる。
未知の世界あるいは無謀とも言われる事（風船に乗って太平洋横断するといって出かけて行方不明になったおじさんとか、那智の滝の岩登りに挑み大顰蹙をかったクライマーのように）に、チャレンジしケガをしたとか、亡くなった人の数は、それに成功した人の何十倍にも上るというし、新奇探索性が強いタイプの人物の平均寿命は一般の人々に比べて短いとも言われているから、新奇探索性があることが良いのか悪いのかは一概に言えない。
未だにケイタイを持たないし、なじみのレストランでは、いつも決まったメニューしか頼まないタカさんは間違いなく新奇探索性は弱いと思うが、「新メニュー」なんて書いてあると必ずそちらを注文するし、おばさん仲間では一番早くガラケーからスマホに買い換えて使いこなしているし、高い吊り橋に乗って揺らしてみるのが結構好き！などといっている我が妻は、間違いなく新奇探索性は強い方だと思う。
（02/19/16
10:00pm）
2016年2月18日
アホなあんちゃんとねえちゃん
育休の話題とも、政治の話題とも言いたくないチャラ男議員の不倫騒動だけに、品格を重んじる（？）当欄としてもあまり取り上げたくない話だが、ある意味、あまりに面白い話題だけにこの際、一言述べておこうかと思う。
公募議員の質の悪さだとか、「先生、先生」といわれる身分になって自分が偉くなったような気になるあんちゃんのアホさ加減など、なにもテレビのワイドショーばかりではなく、全国紙の一面でも取り上げているだけに今更タカさんが取り上げる必要もないけれど、ここで、やはり一言言いたいのはこんなあんちゃんが、選ばれてしまい国会議員を名乗って曲がりなりにも国政に参画してしまうという日本の民主主義そのものの質の悪さだ。
いやなにも、この議員に５万数千票を与えて当選させてしまった京都三区の選挙民が悪いといっているのではない、こんなあんちゃんしか候補として立てられなかった自民党の問題ともいいきれないし、そんな男にすら勝てる候補を立てられなかった野党の責任でもない。要は日本の民主主義制度そのものにこんなダメ男が選ばれてしまうという致命的な欠陥があるということが問題なのだ。
警官不祥事や、教師による痴漢事件などが起きる度に、「こういう事件を起こすのは極めて例外であり、大半の警官や教師はいたってまじめに仕事をしている」などといわれるし事実その通りなのだろうが、あまりに不祥事が度重なると「このごろの警察は！」とか「この頃の教師は！」といわれてしまうようになるのと同じで、最近の国会議員はあまりにもこういったくだらない事件を起こし過ぎだ。
国会議員全体が碌でもない奴の集まりであるかのようなイメージが若い人達を中心に広がっている。（ネットをみれば、後援会のサイトを除けば、国会議員を褒める書き込みなんて皆無だ）
そうそう、それにこの不倫騒動についてもう一言言いたいのは、このチャラ男のいい加減さばかりが強調されるが（もちろん、強調してよいが）、彼一人では不倫はできない、必ず相方の女性がいるということである。
不倫の倫は「ひととしての道」という意味でだから、不倫すなわち「ひとの道にあらず」である。奥さんがいて彼女が妊娠中であると分かっていながら、このチャラ男のお相手をした女性のアホさ加減も同罪というべきである。
不倫騒動ではよく女性側が、「奥さんとは別れると言われたから――」などといういい訳をする場合もあるが、例えそうだとしてもまだ妻と別れていない男とベッドをともにすれば、それはどういい逃れても「不倫」である。そうであれば、堂々と「私は自分の欲望に従っただけ！」と居直った方がよほど清々しい。もちろん、今の日本、不倫は犯罪ではないし、自由といえば自由なのだが、世間一般の道徳観からの判断なんて私には関係ない！と居直るならともかく、コソコソやるから叩かれるのだ。
この宮崎議員、今回の女性以外にも他の女性との関係は「否定できない」と言っていたが、ということは、宮崎さんの回りには常に数人の「アホな女」がいたということになる。
以上、別にタカさんは宮崎さんの肩を持って言っている訳では全くありませんので念の為。
（02/18/16 10:00pm）
2016年2月17日
公有と私財
漱石の小説「坊ちゃん」は、作家漱石の死後50年が経っていることで著作権は成立しない。極端な話,明日「漱石全集」を発行しても、出版社が漱石の遺族に印税を支払う必要はなく、「発行自由」ということになる。（極端な改編や、悪質なパロディー等の場合は、個人の人格権の侵害になる場合もある）
これは、確かに「坊ちゃん」は、漱石という人格による創作物であり、漱石個人の財産としての著作権は尊重されるべきだが、本人の死後50年もたてばそのことによる「私的権利」を主張すべき、あるいは権利を犯されることで損害を被る人格が存在しない、ということで、もうそれ以上、「著作権という権利を保護する必要はない」という判断が行われるということでもあるが、もっと積極的な意味で考えれば「坊ちゃん」という名作は、もはや漱石個人、あるいはその遺族といったプライベートな所有物ではなく、日本人、そして日本文化全体の財産である！という考え方に基づくもので、英語ではこれらの公共財とみなされる権利のことを「パブリックドメイン」と呼んでいる。
パブリックドメインは辞書を引くと日本語では「公有」と訳されるようだが、たとえば、童謡作家として親しまれているサトウハチローは、彼の死（1973年）からまだ50年が経っていないこともあって新しくレコードを出そうとおもえば、当然著作権料の支払い義務が生じる。あるいは、自分たちでプライベートな童謡集のCDをつくり、これを幼児教育施設などで流せばこれまた著作権料が発生する決まりだ。
もうすぐひな祭りだが、ハチローの代表作「うれしいひなまつり」（あかりを点けましょ ぼんぼりに〜）をひな祭りのイベント会場で流せば当然、著作権支払い義務が生じる。いまや、「うれしいひなまつり」の歌は、日本人が慣れ親しんだ日本の宝のようなものであり、「著作権の請求書」にはなじまないような気もするが、そうはいかない！というのが現実だ。（ハチローは、死ぬまで日本著作権協会の会長を務めていた）
一時は不治の病ともいわれたHIV感染症（エイズ）だが、最近では治療薬が開発されその治癒率はかなり上がってはいるものの、患者が一番多いといわれるアフリカでは、その治療薬の価格にとても手が届かないという最貧層の患者が多く今もその致死率は先進諸国で高価な治療費（薬価）を支払える患者の数倍にも上っている。
これも、人類をエイズから救う特効薬ならば、「公用財」として安価に配れるようにしたらよいとは思うものの、治療薬の発見者、あるいは製薬会社といったところが、知的財産権を保持していて薬価は極めて高い物になってしまっている。
私的財産権の保護か、公共の利益か、といった単純な問題ともいえない数々の問題を含んではいるものの、「たのしいひなまつり」を気楽に歌えないとか、貧しいアフリカのエイズ患者（幼い子供の患者も多い）が、助かる薬があるのに次々に死んでいく―――という現実を考えると、現状のように、余りに「個人の権利」ばかりを重んじる知的財産権の過剰ともいえる保護の風潮に疑問を感じない訳にはいかない。
(参照：「パブリックドメイン」6/14/04、「パブリック ドメイン」4/26/12)
（02/16/16 10:00pm）
2016年2月16日
言い訳後講釈
2月第1週で699円、第2週ではなんと2052円という急激な下げを見せた日経平均だが、第3週明けの今日（15日）は、前週比1069円(7%)と今年最大の上げに転じた。
21%にも及ぶ年初来の急落時には、その原因として「中国の景気減速の世界経済への影響」、「原油価格の急落」、「円高による輸出企業の採算低下」等々のそれらしい理由を「後講釈」していた経済評論家、エコノミストだが、朝方、15年10～12月期の国内総生産（GDP）が２四半期ぶりにマイナス成長だったとか、10日ぶりに再開された上海市場が寄り付きから2%近い下げで始まった―――という悪材料発表にもかかわらず、日経平均が朝方から急騰した理由として、シレーっとした顔で、「GDPの数字は既に織り込み済みだった事」とか「上海の下げ幅は想定内だった事」などを挙げていた。
一週前の下げた場面の理由（中国景気や原油、円ドル為替といった）が何も変わっていないのに相場が上がったとなれば、素人は「評論家が株が下がった時に挙げた理由が間違いだったのでは？」と考えてしまうけれど、経済評論家やらエコノミストと言われる人たちは、全くそうは考えないようだ。
これって、競馬の予想が外れた時の、競馬評論家（昔は予想屋といった）や、天気予報が外れた時の天気予報士（お天気おじさんやら、お天気お姉さん）がいう言い訳後講釈と同じではないかと思うのだが－－－。
つい最近、新聞に載っていた週刊誌広告に、ある週刊誌は「日経平均24000円を狙う！」というアオリ文句があったかと思うと、他誌には「日経13000円割れも！」というショックタイトルを載せていた。
週刊誌の「売らんかな」の惹句とはいえ、「経済予測」なり「市場予測」といった、いかにも権威のありそうな物の中身が実は当てずっぽうの「大言壮言、言いたい放題！」でしかないように見えてしまうことは、かつて大学時代にはまがりなりにも「経済学」を専攻した身としては、ちょっと辛い物がある。
株価予測だとか、景気の先行き、なんていうものの予測は、本筋の経済学とは関係ない！という見方もあるが、経済原論的な部分でさえ、例えばマルクスやケインズにしても、今や「壮大な過ちであったのでは？」とまで言われることがあることを思うと―――経済学に対する信頼はやっぱり揺らいでしまう。
そうそう、世の中には経済学ジョークといわれるものがあり、これが結構もてはやされている。タカさんが気に入っている経済学ジョークを二つ。
「コロンブスは最初の経済学者だといわれている。彼は自分のやろうとしている事が何であるのかを知らなかったし、到達したところがどこであるのかも知らなかった。」
「正反対のことを言う2人がノーベル賞をとれる分野は経済学しかない」
いかがでしょうか。
（02/15/16 10:00pm）
2016年2月15日
出産立ち合いと育休
聞くところによると今や普通分娩による出産の場合、「夫の出産立ち合い」が全体の約6割にも上るという。日本では古くから出産（分娩）そのものは秘事とされてきたし（世界的にもそうだと聞く）、特に身内の男性（夫などの男性親族）が産屋（いまでいうなら分娩室）に入ることは禁じられてすらいた。
それがアメリカ等ではラマーズ法などの出産方法が普及するにつれて徐々に変わり、70年代には日本でも極一部ながら「夫の出産立ち合いが始まり、今や6－7割の夫たちが「出産に立ち会い」するようになっているという。「男は出産の場にいてはいけない！」という日本の伝統、習慣は今や180度変わってしまったとさえいえるようだ。
タカさんの世代では「出産に立ち会った」という者はいないが、娘の世代になると「出産に立ち会わない夫」などというものが非難の的になる―――という風潮だというから、余りにも短期間に変わってしまった「常識」の違いに、とまどうばかり。
例の、ゲス不倫の国会議員で話題になった「育休」についても、「立ち合い出産」同様に、「かつての常識は今や非常識」といわんばかりになってきている―――。
男女共同参画が叫ばれる（とはいえまだまだではあるが）今の社会と、「男は外で働き、女は家を守る」のが当然だといわれていた遂3,40年前頃までの社会常識が180度変わってしまうのは当然だが、例えば「夫の育児参加」についてあたかも昔の夫たちはとんでもなかったし、今、国会議員だろうが知事さんだろうが、「積極的に育休をとって子育て参画」をする夫こそが、理想の夫である！といったレッテル貼り（逆に言えば、仕事にかまけて育児に手を貸さない夫は、極悪人だ！といった）の風潮はいささか行き過ぎではないかと思う。
いや、それは居直りだ！と非難を受けるかもしれないが、タカさんは二人の娘の出産には立ち会っていない。（多分そのころは夫の立ち合いなんて許されていなかったと思う）やきもきしながら待っていると、病院に付き添った義母からの電話で出産を知らされ、その日の通勤からの帰宅途中に病院によって、妻をいたわり、わが子と初対面を果たしたと記憶する。当時は、そんな夫が普通であったし、そのことによって夫として父としてタカさんが、義務を果たしていなかった――等とは思わない。
出産や育児において、もちろん手伝えることがあればやったつもりだし（買物に行くとか、赤ん坊の風呂の準備をする、夜中に哺乳瓶を温める---程度にしろ、最低限の出来ることはやっていたと思う。
しかし、当時のタカさんは、新しく生まれてきた赤ん坊の為に自分ができる「育児参加」の最大のものは、妻や幼い娘たちを路頭に迷わせないように、「一生懸命外で仕事に励む」ことだと考え、「広い意味での育児参加」はやっていた積りだった。
タカさんはなにも、「出産立ち合い」やら「育休」を批判している訳ではない。それが、現代の常識ならば、夫婦で話し合った上でそれを選択すればよいし、社会制度もそういった選択を行う夫婦がいれば、それを極力サポートできるような制度を作るべきだろう。
しかし、「出産立ち合い」や「育休」をもろもろの事情で敢えて選択しない夫婦だっているはずで、そういった選択をするものまでも「非常識」扱いすることにはおおいに抵抗を感じる。
（02/14/16
10:00pm）
2016年2月12日
恐竜見たか？
昨年の敬老の日に発表された「シルバー川柳」の入選作に「その昔、恐竜見たかと問う曾孫」という秀逸な句があった――――。
日本の漁獲高はピークだった70年代には年間1000万トンと世界第一位だったが、現在のそれは400万トンと往時の半分以下、順位も中国、ペルー、インドネシア、米国に次ぐ第5位になっている―――と小学校4年生で習う「日本の水産業」の単元に書いてあり、偶々それを目にして、「えっ、そんなに減っているの？」と驚いた。
教科書の説明によると、漁業には大きく分けて遠洋漁業（数カ月かけて漁に出る）、沖合漁業（数日間かけて漁に出る）、沿岸漁業（小型船で海岸近くで日帰りの漁をする）と養殖漁業（人の力で育てる）があるが、70年代に急激に総漁獲量が減った原因は、燃料を大量に使う遠洋漁業が「石油危機」によって採算が合わくなった事、そしてその後「200海里」の排他的経済水域の国際協定が成立し、沖合漁業で魚を獲り過ぎたことで資源が大きく減少した事という二つの理由だとあった。
小学生の教科書というのも結構勉強になるなぁ〜と新しい発見をした気分になったものだが、ふっと気になって小4の孫に「石油危機って何だ？」と聞いてみたら、「その頃、石油が出なくなったんじゃないの？」という。「今だって石油はあるじゃないか？」といったら「石油タンクの爆発事故（危機？）でもあったの？」という。
教科書の「石油危機」の説明文には「1973年、中東の国々が石油の輸出を制限し、石油の価格を大幅に上げたために起きた」と書いてあるのだが---、確かに石油の価格がどれほどの物なのかについて全く知識もなければ実感もない小4にとってはそんな説明を聞いても実感を得るのは難しいのではと多少、孫に同情した。
というのも、今から40年数年前の第一次オイルショックの時に、OPECが、それまで＄3.01だった原油公示価格を突然70%値上げして＄5.12とし、その数カ月後には更に公示価格を$11.65に上げた為、わずか数カ月で一挙に4倍になった石油価格に世界中がパニック状態になった---なんていう話、小4の子供どころか今の30代、40代の大人にしてみたって中々、実感を得ることは難しいのではないだろうかと思ったのだ。
それはそうだろう、08年には140ドルに迫った国際石油価格の指標WTIだが、14年末位までは多少の上下はあるものの概ね＄100近辺で安定して推移していたし、下がってきたと言っても昨年半ばでもまだ＄60だった。
ここにきて再び＄30を大きく下回っていて、この原油価格の急激な低迷が世界同時株安の大きな要因になっているといわれているけれど、これは「石油価格が下がり過ぎて世界経済が危機的になっている！」と言っているのであって、「40年前にはねぇ〜、石油が$11.65に上がったので世界中が大騒ぎになったし、日本の遠洋漁業も壊滅的打撃を受けたんだよ！」と言ったところで、まるでピンとこないに決まっている。
そう思うと、あの第1次オイルショック（石油危機）の時、日本中で「省エネ」が叫ばれ、街中の照明も大幅に間引きされたから、「おじいちゃんは、薄暗い地下鉄のコンコースを歩いて通勤していたんだよ」なんて、小4の孫にしてみても、恐竜時代の思い出話のようなものに聞こえているのではないかなぁ〜という気がするのだ。
（02/11/16
10:00pm）
2016年2月10日
聞き流すだけ
ロスアンゼルス領事館の調査によれば、カリフォルニア州には約10万人の在留日本人がいるらしい。その中でも約7万人はロスアンゼルスに在留だ。この人数はあくまでも領事館に在留届を出している人数だから、領事館が把握していない在留者、あるいは不法滞在の邦人を含めるとその数はもっと多くなるし、二世、三世を含めた日系アメリカ人、あるいは日系と多人種との混血の方々の子孫で多少の日本語をしゃべる人の数となるとおそらく在留日本人数の何倍かになるのではないだろうか。
これだけの日系コミュニティーがあるとロスに住んでいれば日常生活で英語をしゃべらないで済んでしまうという部分はあった。それはそれで便利ではあるものの、折角、アメリカにいながら英語が上手くならないのではとちょっと不満を感じるという面もないではなかった。
特に仕事で英語をしゃべることもない駐在員の奥さん辺りになれば、買物は日系スーパー、不動産屋も車屋も、レストランでさえも日本人経営の店があるし、子供の学校も日本人学校、テレビもラジオも日本語放送が充実しているとなれば、正直言って夫の駐在期間中に英語が上手になるチャンスもないし、その必要もなかった、という人は多い。（運転免許を取るにしても筆記試験問題は日本語が用意されている）
テレビ・ラジオを点ければ、日本語放送以外はもちろん英語（なかにはスペイン語）が流れてくるし、外出すれば全く英語を聞かないで済むということはないから、たしかにロスに住んでいればほぼ丸一日「英語を聞き流す環境」にいることは間違いないのだが－－。
在留日本人の中には1万人ほどの留学生がいるが、その中には日本人だけを集めて「英語教育」をやっているといった日本人だらけの学校に通っている学生もいて、彼等も又、駐在員の奥さん連中と同じように、英語を話さないで済む環境に安住していた。（連中が皆で飲みに行くのは、日本人経営の居酒屋や、カラオケ、というのだから日本での生活と変わらない。結局、留学中に英語も上達せぬまま帰国する、あるいはロスの日本人コミュニティーに居付く、という生徒も多かった。）
彼等の英語がさほど上達しなかった理由はただ一つ、英語を使う環境に自らを置かず英語を学ぼうとしなかったからに過ぎない。
某有名ゴルファーを広告塔に使い「英語を聞き流すだけで、いつの間にか英語が話せるようになる」という英語教材が宣伝されているが、この「ナントカラーニング」とかいう教材、「全然役に立たない！」といったネットの書き込みが多いが、タカさんにいわせれば当然の話だと思う。
英語を聞き流すだけでペラペラと英語が喋れるようになるというなら、一向に成果の上がらない日本の学校英語教育に、この種の「聞き流すだけ」の英語教材がとっくの昔に取り入れられているはずだし、ロスの日系スーパーで買物をしていた主婦や、日本人相手の英語学校に通って「英語を聞き流していた」留学生が全員ペラペラになって帰ってきているはずなのに―――。
日本人だって、アメリカ女性の恋人ができれば、あっという間に英語がペラペラになるというが、彼等が懸命にしゃべろうと努力をするからだ。「聞き流すだけ」で英語が上達する、というのは幻想に過ぎない。
（参照：「英語は必要ない？」2/04/16）
（02/09/16
10:00pm）
2016年2月9日
ご都合主義丸出し
北朝鮮のミサイル発射に対して各党が一斉に非難談話を発表した。（生活の党は一日遅れだったが）
各党ともに「非難談話」ではあるもののその内容は、その党なり人物なりのそれまでの主張によってかなりニュアンスの違うものになっている。
安保法制推進の側の与党サイドは、なんとなく「ほら、だから安保法制が必要じゃないか！」といったニュアンスが滲み出ているし、逆に「安保法案は戦争法案だ！」と言っている野党側には、北朝鮮の核実験とミサイル発射、という現実と安保法制反対、憲法改正反対との整合性をつけるのに随分苦労している節がふんぷんと臭う。
たしかに、長い間「平和ボケ」だった日本人にとって、ここにきての「破壊措置命令発令」だとか、「イージス艦の迎撃態勢」だとか、「パトリオット地対空ミサイル配備」といったものものしい響きは、結構ドキッとさせるものがあるから、野党としては、その辺の人々の不安心理に付け込んで、「戦争法案反対！」を叫びたいことは山々ながら、それでは北朝鮮のミサイル発射容認にもなってしまうだけに、談話発内容は、本当は「どうしてよいかわからない」と言うのが本音だったのではないだろうか。
まあ、その中では社民党の又吉幹事長が、他の与党が本音を隠したのにくらべれば、一応は北朝鮮のミサイル発射を非難したものの、その本文に付け足して「この機会に乗じて、いたずらに『北朝鮮の脅威』をあおるのは、北東アジアの緊張関係をかえって増幅しかねない」と政府の処置に対する非難の談話を出しているところに正直な本音が出ていて、結構このご仁、「正直じゃないか！」と思える。いかに北朝鮮寄りとはいえ、まさか「ミサイル発射熱烈歓迎」などと言える雰囲気ではないことだけは知っておられるようで、困った挙句に「北朝鮮も悪いが、政府も悪い」という喧嘩両成敗に持って行こうというのだから―――。
毎日毎日陰湿ないじめに合っていた子が、いじめに耐えかねてそのいじめっ子に抵抗したのを担任が「喧嘩両成敗」論で二人を叱ったようなもので、こんな担任に叱られたいじめっ子もいじめられっ子も不幸というしかない。
そうそう、自衛隊・米軍嫌いの沖縄の翁長知事は、北朝鮮のミサイルが上空を通過した後、県庁で記者団に「大変遺憾だ。県民の生命財産を預かる知事として、心臓が凍る思いだった」と語りミサイル発射を批判したというから又吉さんよりは少しは世論を気にしてはいるのだろう。もっとも、翁長さん沖縄住民の安全を守るための措置であるパトリオット配備などについては、賛成したら自衛隊の必要性を認めることになってマズイ！とでも思っているのだろう敢えて言及せず、日本政府に対しては「国際社会と連携して強く抗議してほしい」と求めたという。
沖縄基地反対論をぶち上げに、わざわざジュネーブの国連人権委員会に出かけっていってご本人自らが「国際社会に強く訴えた」のに、今回、上空をミサイルが飛行したという直接的脅威にさらされた時には「政府が国際社会に訴えるべきだ」と当事者意識を放棄してしまわれたというのはいかがなものなのだろうか。
どの党も翁長知事も、ご都合主義丸出しというのだから、随分と醜い話ではないか。
（02/08/16 10:00pm）
2016年2月8日
どうにも止まらない
深夜爆音をとどろかせて集団暴走を繰り返す暴走族に対して「人の迷惑になるのだから止めなさい！」と説教したところで何の効果もない。彼等は、人の迷惑になる、と思うから暴走をやるのであって、人っ子一人いない砂漠の中のサーキット場で暴走し放題にしてもいいといわれても「こちらからお断り！」と言いだすのが関の山だ。
核実験を強行し、今度は長距離弾道ミサイル（彼等は人工衛星の打ち上げという名目にしているが）の発射を予告していた北朝鮮に対して日米韓などの陣営のみならず、北朝鮮寄りといわれてきた中国やロシアまでもが「いたずらに緊張を高めるべきではないから止めなさい！」と警告していたにも関わらず7日朝に発射を強行したのは、まさに暴走族と同じように忠告がいうところの「いたずらに緊張を高めたいから」であり、発射を強行したとしても、国際的に何のリアクションもない！というのであれば、無理に発射したりすることもなかっただろう。（砂漠のど真ん中で誰にも注目されずの暴走ならば、暴走族はやらないのと同じ）
今までにも北朝鮮のこういったミサイル発射や核実験に対して国際社会は様々な警告を出してきたし、また強行された後は国連やそれぞれの国独自の「制裁」を加えてきたが、結局、ザルで水を掬うような、ユルユルの結果に終わってしまっており、北朝鮮にしてみれば、「制裁なんてへっちゃらだ！」という気持ちに違いない。真のダメージを与えることができない制裁、まして「やるぞ！やるぞ！」と言いながら毎回口だけで終わってしまう「制裁」なんて北朝鮮にとっては全く怖くはなかろう。
米韓や国連などは、北朝鮮の暴走を唯一止める方法は、その友好国である中国が強い制裁措置を取ることしかない、と考えている節があるが、今回も発射直前に中国は武大偉外務副長官を北朝鮮に派遣したことで中国の抑止力に期待したようだが、武が北朝鮮入りした当日に発射予告日の前倒しを発表し、さらに翌日以降の、武の発射中止を求める要求にも、全くのゼロ回答だったのだから、国際世論が期待した、「中国の北朝鮮に対する統制力」などというものは実はゼロだった！ということを理解すべきだし、もうこれ以上、中国の過大評価をすべきではないのではないだろうか。
なぜかいつの間に、国際社会で「北朝鮮に意見できるのは中国だけ」という神話が作られ、中国自身もそんな神話があることを自分達の国際的立場を優位にさせる材料として利用してきたが、最初から中国にはそんな神通力は無かったことが今回バレてしまい、中国のメンツは丸つぶれということだ。
そう考えると、あの30歳そこそこの金王朝三代目は、その爺さんや親父以上の暴走ぶりであり、アメリカを怖れないばかりか、中国も怖れないという、正気さを疑うほどの狂乱ぶりだ―――そう思うとなんとも不気味さは増す。
アメリカや中国ですら止められないこのボンボンが核ミサイルのボタンを握っているという現状は、やはり胸騒ぎを覚える。
イスラム国の暴走だってもう手が付けられないぐらいに拡大してからどうにか実力行使を中途半端に始めたものの未だに目覚ましい成果は出ていないことをかんがえると、イスラム国以上の狂信に陥っているかの国を止める手立てなんて―――残念ながら世界の誰も持ちえないというのが現状ということなのだろうか？
（02/07/16 10:00pm）
2016年2月5日
スキー再び
スキーは得意といってよい方だったが、なんのことはない会社勤めを初めて以来、その機会はめっきり減った。（シカゴやロス駐在時代が一番やったと言えるかもしれない）
日本のスキー人口は、映画「私をスキーに連れてって！」が流行った80年代後半から大変なブームとなり93年には年間スキー人口1860万人というピークを迎えたが、余りにスキー場が乱立しすぎたことや、若者数の減少、レジャーの多様化といったことが重なり2007年にはピークの約1/3以下にまで落ち込んでしまった。もちろん、かつては無かったスノーボードなどが加わってスキー＋スノボ人口は、辛うじて1000万台ギリギリを確保しているもののピーク時の約半分に過ぎない。
そんなことを聞いていただけに先月15日の軽井沢バス転落事故で、格安のスキーバスの乗客のほとんどが大学生などの若者たちだったと聞いてちょっと意外な気がしたが、調べてみると、ここにきて若者の間では、スキーがちょっとした人気になりつつあり、全体的なスキー人口も若干ながら復活の兆候を見せているのだとか。
それに、（日本人が意外と気付いていないが）日本のスキー環境は世界的にもトップクラスで、空港などからのアクセスの良さ（2，3時間もかければスキー場に到着）、雪質の良さ（北海道や蔵王、志賀高原などのパウダースノーのスキー場が揃っていること）といった条件から、今が夏の南半球のオーストラリア、ニュージーランド、あるいは年中雪のない東南アジアといったところばかりではなく、ヨーロッパからだとイギリスからやフィンランドといったスキー本場のはずの北国からも押しかけてきているという。
先日、テレビを見ていたら北海道のニセコのコテッジなどは避暑がてらスキーができるというので南半球の外国人富裕層が所有しているものも多いとか。
日本人の若者が行きはじめ、外国人観光客にも好まれるとなれば、ふたたび「スキーって恰好いい！」といったイメージも育つだろうから、斜陽と言われていた日本のスキー関連産業も息を吹き返すかもしれない。
昨年12月には「暖冬」騒ぎで中々スキー場開きもできなかったところも多かったが、自然とは上手くしたもので、1月に入ってからは帳尻を合わせたように、あちこちで大雪が降り、今やほぼ全部の全国のスキー場が「全面滑降可」になっている。
そう聞くと、一度雪山の景色を見にでかけてみたいような気もするが、さすがに歳を考えると、いかに若い時代にスキーを滑りまくっていたとは言え、スキーそのものをやってみる元気も勇気もでない。
せいぜい、スキー場そばの温泉にでも行ってこたつに入りながら雪見酒でも飲むぐらいが関の山だろうが---それも結構楽しそうだ。
（02/04/16
10:00pm）
2016年2月4日
英語は必要ない？
プロ野球にせよサッカーにせよ外国人監督、コーチ、選手の中で日本語を、そこそこ、しゃべれる！人はまれだ。（横浜を自由契約になって入団テストを受けて15年にロッテに加わった台湾出身のチェン・グァンユウ投手がヒーローインタビューで通訳を介さずに「チェンチェン、大丈夫です！」とか「良かったボールは？」と聞かれて「チェン・ジアップです！」なんてダジャレを込めて答えた例は実に珍しい口だ）
その一方ではモンゴル、グルジア、ロシア、ブルガリア、エジプトといった各国から来ている外国出身力士たちの日本語の上手いこと！
相撲とサッカー、野球などの外国人の日本語習熟度の違いは一体どこからくるのだろうか。一言でいえば、「日本語をしゃべることの必要性」以外には考えられない。
かつて、サッカーのオシム監督が脳梗塞で倒れた時、家族の誰も日本語が喋れず救急車を呼ぶこともできず、家族が、海外にいる日本人の知人経由で救急車を呼んで貰って漸く病院に運ばれた！なんていうことがあったが、オシム監督自身、そして家族も日本にいてさえも日本語をしゃべる必要がなく、日本人とのコミュニケーションは通訳を通じていたため、偶々通訳がいない夜中ではどうすることもできなかったのが真相だったという。
キャンプ入りしたばかりの横浜ベースターズのラミレス新監督だって日本滞在は長いし、「ラミちゃん、ペッ！」なんていう加藤茶のマネまでしている割には、チームとのミーティングは通訳を使っていた。高給で招かれ、日本に「教えに来た」サッカーや、野球と違い相撲の場合は、日本語に慣れなければ食事もできない―――訳で「日本語を喋れなければ―――！」と言う必要度は段違いだろう。（ロッテのチェン投手の場合も20歳の時に、大学に籍を置いたまま単身訪日し、通訳なんかない状態からプロの育成選手として横浜に入団、二度も自由契約になり、肩の手術を乗り越えるなど苦労の連続だったから、日本語習得には必死だったのだろう）
文科省が2日、国公立の中学3年生と高校3年生を対象に英語の「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能を測る英語力調査の結果を公表したがこれによると、文科省が目標として掲げた「中3で英検3級程度以上の生徒の割合が50%」には遠く届かず（20%しか達していなかった）、高３でも目標の「準２級～２級程度以上が50％」を大きく下回ったという。
毎年、繰り返されていわれる「日本人は英語が下手！」が未だに続いているということのようだ。
そこで思い当たるのが、サッカー、野球と相撲の違いから「日本人が英語下手なのは、そもそも英語を必要としていないからではないか？」ということだ。
日本人が日本で生活している限り日常生活で英語を必要とするケースはほぼないと言ってよい。外国の小説だって、映画だって全て翻訳物がある。街を歩いていて外国人に英語で話しかけられた！等という経験をすることも皆無だ。
海外に行っても日本人ガイド付きツアーがほとんどとなれば、これまた英語は必要ない。要するに、日本人は外国人監督と同じように無理して外国語を学ぶ必要がないということなのではないだろうか。そうであれば「英語教育、英語教育！」と叫ぶことを止めてもいいような気もするが---。
（02/03/16
10:00pm）
2016年2月3日
支持率が上がったわけ
先週末に行われた各通信社などの世論調査では、安倍内閣の「主要」閣僚と言われてきた甘利前経産省の辞任というスキャンダルがあった直後にも拘わらず、安倍内閣の支持率は横ばいもしく上昇だったというのだから何とも不思議だ。
例えば読売の調査では甘利氏の辞任を「当然だ」とする人が全体の70%に上り「その必要はなかった」の23%のトリプルスコアであったにも関わらず内閣支持率アップ、更には自民党の政党支持率アップ、というのだから、昨年の小渕さんの明治座事件やら松島みどりさんのうちわ事件での辞任の時の支持率大幅ダウンに比べれば、タカさんならずとも「不思議だ」と思うのではないだろうか。
この「不思議さ」を敢えて分析してみたが、一つには甘利さんが意外とあっさりと辞任してしまったこととか、辞意をほのめかしていた甘利さんに「内閣の支持率が10%下がってもよいから、辞めないで頑張って欲しい」と安倍首相がかばっていた、などといった裏話が報じられ、なんだか日本人が好きなオトモダチに対する「男同士の友誼」だとか甘利さんの地位に拘泥しない「潔さ」、なんていう浪花節的な部分が受けたということも考えられる―――（これだって、甘利氏に辞められたら、それに代わる碌な人材がいないことを首相が危惧した為とか、いくら図太くても、これは到底逃げ切れないと甘利氏自身がサジを投げた―――というのが真相かもしれないが）
更には、告発者といわれる千葉県の建設会社の総務担当者という人物が右翼団体の一員であるとか、その具体的な証言が「虎屋の羊羹の桐の箱と一緒にのし袋にいれた50万円を手渡した」というまるで時代劇で、饅頭の下に小判を敷いてお代官様に賄賂を渡したという越後屋の「越後屋、お主も悪よのぉ〜」の再現のような話に、世論がなんだか、余りにバカバカしくてそこにうさん臭さ（何だか仕組まれた芝居のような）を感じてしまったということもあるのかもしれない。
もちろん、これが仕組まれた罠であったとしても、そんな罠にみすみすはまって1200万円もの現金を受け取ったという甘利氏側の責任が重いのは、上手く仕組まれた美人局（つつもたせ）に、スケベ心からまんまと引っかかった男も悪い！と指弾されるのと同じだから甘利さん側の言い逃れ材料にはならないけれど―――。
そういえば、政界で繰り返されるこの種の政治とカネの問題、かつては「秘書が――」とか「妻が---」という言い逃れが結構有効だった時代もあるが、最近はこの手の責任逃れはダメになったはずなのに―――甘利さんがこの古い手を再び使って「秘書が政治資金として処理したと思っていた」とか「秘書が私的に流用したようだ」と言ったら、世間もなんとなく「甘利さんも、悪い秘書に騙されたようなものだ」といった同情論が上がっているというから、日本の政治風土は政治家の側ばかりではなく我々の側にも随分と問題がありそうだ。
今回、安倍内閣、自民党の支持率は上がったものの民主党の支持率は逆に下がったというのは、なんとなく分かるような気がする。「けしからん！」と国会で追及に回った民主党側の攻め手の全てが「文春」（ベッキーのいうセンテンス・スプリング）の記事以外なにもないという政党としての調査能力欠如が露わになり、人のフンドシで相撲を取ろうという民主党に対する失望から、彼等が追及すればするほど支持率が落ちる――と革マルからの献金問題を抱えた枝野幹事長が判断したのもしれない。
（02/02/16 10:00pm）
2016年2月2日
難民受入れ
難民受け入れに寛容といわれてきた欧州の中でも特に寛容といわれてきたドイツのメルケル首相がだが、増える一方の難民の負担に耐えられない地方を中心としての受入れ抑制の声に最近は推され気味だという。
先週のドイツの世論調査ではドイツ国民の約4割が、メルケル首相は難民政策の行き詰まりの責任をとって辞任すべきだと考えていることが判明した。辞任する必要はないと回答したのは45.2％だったことを考えれば、今すぐに辞任という圧力が強いとまではいえないのかもしれないが、昨年中頃には「難民受け入れ反対は、ドイツ国民の恥だ！」とまで強気だったメルケルさんもわずか半年で随分と追い込まれてきたなぁ〜という印象だ。
人口8500万人のドイツで移民の出自をもつ人が既に1600万人（全人口の1/5）を占めているのに、昨年一年間だけで100万人を超える中東、北アフリカ難民を更に受け入れてきて、年明け後も、その勢いは止まらないとなれば、難民受入れ経費は嵩むし、比較的低賃金の仕事を難民に奪われた低所得者層や若者たちの不満が日に日に増してくるのは、ある意味必然といえるのかもしれない。
更には、昨年大晦日にドイツ各地でおきた中東、北アフリカなどから来た難民保護申請者や不法滞在者によるドイツ人女性に対する集団性犯罪や金品強奪事件で、さすが寛容といわれていたドイツの難民、移民感情は一気に冷めてしまったこともある。
そんな訳で3月の州議会選挙対策もあってメルケルさんも漸く、難民の家族呼び寄せの制限（家族の一人が難民としてドイツに入国すれば、家族を何人でも呼び寄せることができた）や、モロッコ、アルジェリア、チュニジアなど、「政治的迫害が深刻ではない安全な地域」からの難民申請者には速やかな国外退去を求める―――といった移民受入れ制限策を打ち出さざるを得なくなっている。
「イスラム系の移民を認めないし、全員帰国させる！」などといった過激な人種差別的な公約をかかげているドナルド・トランプ氏が共和党の大統領選候補者としてトップを走っていることなども合わせて考えれば、この一年余りで欧米での移民に対する見方は随分と厳しくなっているようだ。
朝鮮戦争当時、戦乱を逃れて韓国から200万人の人々が日本に渡ってきている。もし、いま朝鮮有事といった事態がおきれば、朝鮮戦争当時の人口に比べれば比較にならないほど増えた朝鮮半島の人口（韓国5千万、北朝鮮2.5千万）の何割かが日本に押し寄せてくる可能性だってある。（人口の1%がボートピープルとなって日本にくるならば、それだけでも75万人だ）
70年代から80年代にかけてインドシナ半島からボートピープルが1万人ほど押しかけてきたが、難民受入れ体制のなかった当時の日本は、そのほとんどをアメリカなどに送るなどして実質的な受入れをしなかった。それでも、当時の日本は大混乱したことを思いだす。
昨年末、朝日新聞が行った世論調査では難民の受入れについて「受け入れるべきではない」が58％、「受け入れるべき」が24%だったが－－－メルケルさんが日本の首相だったら―――もうとっくの昔に辞任している―――ということなのだろうか。
（02/01/16 10:00pm）
2016年2月1日
やめたら省庁移転
政府が先日発表した34の中央省庁や独立行政法人などの研究機関の地方移転候補だが、名指しされた機関の職員、研究員はもちろんのことそれ等の組織の監督官庁の抵抗が強まっているという。
安倍内閣の掲げた「地方創生」の一環としての省庁地方移転ということのようだが、やり玉に上がった機関にしてみれば、言い方は悪いが「なんで、俺たちだけが都落ちなのだ！」と被害者意識ばかりが先に立つようだ。
なにも中央省庁ばかりではない一般企業にしても東京本社から京都支店勤務に左遷させられた商社マンを描いた城山三郎の小説「毎日が日曜日」にもあるように、いや大宰府という当時なら超田舎（いまでいうなら地方）に左遷された菅原道真の時代から、なんだかんだの美辞麗句の下に地方に「飛ばされる」サラリーマンの恨み節は尽きることはない。
人口減少社会に向かう日本ではコストのかかる過疎の町や村を整理統合し、それらをとりまとめて都市部に集約化するといういわゆるコンパクトシティー構想が真剣に考えられているとも聞く。確かに、小川の先にある山奥の一軒家の為に一億円もかかる橋を作り、電気を通すコストなどには耐えられない地方都市が出てくる時代がもうすぐ来る。
そういった過疎地の一軒家を例えば50軒、都市部に移住してもらい集約された地区で生活してもらえれば、インフラも医療などの社会福祉も、大幅にコストダウンできるし、住民サイドも十分なサービスをうけられる。
そんなコンパクトシティー構想が語られている現実の一方で、嫌がる（？）連中を無理やり地方にひっぱりだしても、一時期はいかにも「地方創生」の動きのように見えても、この内閣が終われば又、元の木阿弥になることは目に見えている。
かつて、大学が郊外に大量に移転し、一部企業が地方に本社を移転させるといったブームがあったけれど、今や、あんまり田舎だと生徒や従業員が集まらないからと、大学や企業の都心回帰がブームになっている。（理科大、明治、大妻、拓大、あるいは関西でも立命館や同志社など）
中央省庁の多くは名指しされた機関の全部ではなく最小限の部局の地方移転に留めようと抵抗しているというから、それでも移転を逃れられなかった部局の職員にしてみれば、益々「我が身の都落ち感」は強くなるだろう。
タカさんも商社勤務だったので、海外転勤は多かった。通算15年に及ぶ海外転勤機関で一番の悩みは子供の教育問題だったが、通算15年の内、3年は単身赴任だった。タカさん自身にとっては海外経験はトータルではよかったといえるが、それが家族にとって特に、娘たちにはどうだったのかは何とも言えない。特に単身赴任が果たしてよかったかとなるとタカさん個人、そして家族にとっては疑問の残るところではある。
今の日本国内ならば、「都落ち」になったお父さんは、子供たちの教育のことを考えて「教育単身赴任」を選ぶだろう―――。そんなお父さんや家族の悲哀の声が聞こえてくるとしたら---安倍さんの掲げる「地方創生」だの「一億層活躍」もその実が上がるとは思えないのだが－－。
（01/31/16 10:00pm）
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