金曜日シリーズ全目次 ←ここをクリック
「日々草々」全バックナンバーリンク表 ←ここをクリック
2016年上期の各月バックナンバー：1月、2月 3月 4月 5月 6月
フロント頁：”日々早々”のバックナンバー
2017年1月
＜＜1月タイトル＞
01/31 携帯は必要か 01/30 トランプ70歳 01/27 検査結果は信用できるか？ 01/26 多様性の国 01/25 比較優位 01/24
自沈を目指して 01/23 横綱稀勢の里 01/20 デパートってなに？ 01/18 ピラニアだらけ 01/17 大空を返せ！ 01/16 面白い見もの
01/13 量子論と仏教哲学 01/12 線から面へ 01/11 札幌オリンピックだって? 01/10 幸せな世界 01/06 おせちは飽きた
01/01 2017年新春の所感
2017年1月31日
携帯は必要か
今や日本における携帯電話端末の総契約数は1億6千万を突破したというから、赤ん坊までいれた日本の全人口が携帯端末を1つ以上もっている計算になる。
もっとも別の調査によればタカさんのように「未だに携帯を持たない人の割合」も15%という数字もあるから、「日本人は全員携帯をもっている！」というのは、単なる統計上の計算に過ぎないといえるのだが―――。（まあ、希少であることに変わりはないが）
先日、高校の同窓会があって同じクラスの男女20数名が集まったが、携帯をもっていないのはタカさんだけだった。自宅を出てから会場の最寄り駅の電車時刻表やら、乗り換え方法、あるいは会場のレストランまでの地図といったもの迄、今や皆、携帯によって調べて来ているらしく、ちょっと（と言っても数分ではあったが）遅刻したタカさんは、幹事役の旧友に「携帯をもっていないからだよ」とちょっとたしなめられた。「ワリイ、ワリイ」ともちろん謝ったものの、タカさんとしては「電車に乗るのも、会場のレストランにたどり着くのも携帯がなければ来られない、お前の方がどうせ早くボケるに決まっている！」と口答えしたい気分だった。
サラリーマンの現役時代、誰だって取引先やプライベートな電話番号の50や100は覚えていたものだが、携帯が普及してからは自宅の電話番号さえ空では言えない、なんていう連中だらけになってしまった。
携帯をいじってチョコチョコっと検索さえすれば立ちどころにどんな事でも調べられる――というのは確かに便利だけれど、そうやって調べた検索結果の答えは、ものの3分経ったら忘れてしまうのは「また、分からなくなれば、携帯で検索すればいいや！」と思うからで、昔のように、自分で本やら辞書を括って苦労して調べた答えは、中々わすれないのとは大違いだ。
タカさんに言わせれば、携帯で調べられるからといって知識を「与えられる」環境にある人の「知識の底力」は、自分で知識を「取りにいった」人に比べて数段劣るはずだと思うのだが―――。
携帯を持たないタカさんとしては、携帯をもっている妻や娘たちから言われる「不便でしょ！」という意味が、全くわからない。今の世の中、確かに携帯があれば多分、便利なことはあるのかもしれないが、決して不便ではない。
誰かに連絡したければ、公衆電話とか家電を架ければよいし、電車の時刻表にしろ、レストランの場所にしろ携帯で検索しなければ皆目分からない、等ということもない。（近くまで来ていれば、誰かに聞けば済むことではないか）
タカさんは常時テレカをもっているけれど、これを使い切るには優に2年近くはかかるが、その意味するところはリタイアした我が身には、電話をかける必要がほとんどない、ということでもあるのだから、それはとりもなおさず「携帯を持たないことの不便」など無いということなのだ。
ということは、仕事以外のことの為に携帯をもっている人たちは、全くもしくはほとんど無駄（失礼！）なことに携帯を使っている――ということなのではないか――とも思うのだが―――。
（1/30/17
10:00pm）
2017年1月29日
トランプ70歳
トランプ新大統領の就任式で、宣誓をするトランプの横に立っていたのは、彼の三人目の奥さんであるメラニア夫人と、10才になる息子のバロン君だったが、元モデルのメラニア夫人の美人振りにもびっくりだが、三男であるバロン君の身長に驚いた。
トランプは1946年生まれというから今年70歳、ということは、バロン君はトランプ60歳の時の子どもであるだということになる。
トランプより1歳年下、11歳の（息子ではなく）男の子の孫を持つ身のタカさんからみると、トランプのタフさ（3回結婚して、子どもが5人！）は何とも驚異的だ。
トランプ自身が、身長は191cmと歴代大統領の中では193cmだったリンカーンに次いで2番目に高いし、体重は107キロとこれまた歴代大統領中では5指に入る偉丈夫だからという遺伝的なものもあるのかもしれないが、彼の息子のイケメン、バロン君は、10歳だというのに既に身長は170cmだという。
180㎝まではないけれど、日本人のこの年代にしては身長は、高い方のタカさんも、学年平均よりは上だという142㎝の孫の身長、体重も、アメリカ人の前では「恐れ入りました」というしかないのか――と思う。
子作りの体力（？）だけの問題ではない。70歳を手前にして、めっきりと目がかすみがちになり、車の運転ももう後何年できることやら〜等と弱気なことを考え、あるいは、普通の速度で歩いているつもりなのに、スマホをいじりながら歩く若い女性にさっと追い抜かれることが多くなってきてとみに老いを感じるようになった最近のタカさんにしてみれば、あの殺人的ともいえる大統領選挙戦を一年以上に亘って戦い抜き、大統領になるやいなや大統領令を連発、休みはいつ取っているのかと思えるほど、忙しく活発に動きまわり、各国に毒のある発言をしまくり、あらゆる批判には疲れも知らぬかのように、罵詈雑言ともいえる反論を叫びまわるというあのタフさは、とても「高齢者」のそれとは思えないのだ。
総じてアメリカ人っていう奴は、皆あんなにタフなのだろうかアメリカ人は肉を食べているからタフなのだ！という俗説もあるけれど、あのトランプ並のタフさを持った日本人の70歳がどれほどいるだろうか―――とも思う。
高齢者ばかりではない、反トランプデモで騒いでいる若者や女性たちの映像をみていると、今の日本であれほどパトスの入った運動やデモをやる若者や女性がどれほどいるだろうかとも思う。（昔の日本人は、よくあのアメリカ人と戦争をする気になったものだ！ともその蛮勇に呆れる）
少なくともあと4年は彼が世界一の強国アメリカの大統領として良くも悪くも、世界に影響を与え続ける訳だが、あんな調子で後4年、場合によっては後8年、「毒」を吐き続けられるものだろうか。
歳とともに若い頃に比べれば色気も山っ気も毒も抜けつつあるタカさんからみると、70歳を超えたアメリカの大統領の気力と体力が過剰すぎるような気がして、ちょっと心配になってくる。
（1/29/17 10:00pm）
2017年1月27日
検査結果は信用できるか？
国際オリンピック委員会（IOC）は2008年の北京オリンピックの陸上男子400メートルリレーで金メダルだったジャマイカチームの失格処分を発表した。これは、ジャマイカの走者一人の尿検体を再検査したところ禁止薬物が発見されたためであり、この失格処分によりウサイン・ボルト選手ら他のリレーメンバーの金メダルも剥奪となり、この競技で銅メダルだった日本チームの順位は一つ繰り上がり「銀メダル」が贈られることになるという。陸上男子で「銀」というのだから大いに喜んでよいのかもしれないが、なにせ8年も前のオリンピックである、今更「銅じゃなくて銀でした」といわれても、選手でさえ戸惑う始末で一般の我々にしてみれば「今更、銀でした！喜びましょう！といわれてもねぇ〜」といったところではないだろうか。
なんでこんなことになったのかというと、現在の規定では競技直後の尿検体は10年間保存と定められており、この間のドーピング検査技術の目覚ましい進歩によって8年前には検出されなかった薬物が、今や検出できるようになった為だとはいうが―――。今回、北京オリンピックから７年目も経っているのに、まだ順位の変更があったということは、検体の保存期間である、2020年までの後3年程は、北京五輪の全競技のメダルは最終確定ではない（まだまだ変更ありうべし）ということなのだろうか。
ソチのオリンピックでのドーピング検査が検査組織ぐるみ、国ぐるみで行われていたことが明らかになり、ロシアのリオ五輪参加ができなくなったという事件がつい最近あったばかりだが、ことほど左様にドーピング検査というものはいい加減で、インチキ臭いもののようだ。
そういえば、2014年から9回にわたって行われてきた東京都の八重洲新市場の地下水検査も、小池新都知事が就任するまでの第1回から第7回までは「異常なし」だったのに、就任後の第8回モニタリングではそれまで一度も出た事がない「基準値を超える値」が出て大騒ぎとなり、先日出た第9回では遂に基準値の79倍！などというとんでもない値が出たという。地下水に含まれるベンゼンが、たった数カ月の間に79倍にもなるなんて――――あり得ない話で、原因は誰が考えても二つしかないのではなかろうか。一つは、誰かが第9回検査の際に、ベンゼンを意図的に地下水に入れたか、もう一つは、今までの8回の検査数値が「インチキ」であり、東京都と検査会社が数字を捏造していたか――のどちらかだ。
いずれの場合でも、「犯人」がいる――ということになる―――。これは、もう早速、検察にて犯人を調べてもらう以外ない。（内部調査などといっていると、調査会社と都の役人、利害関係者がうやむやにしてしまうだろうから）
オリンピックのドーピング検査でさえ検体の保存は10年だというのだから、1回から9回までのモニタリングの際に採取した検体は、当然保存されているはずだ。これを再検査すれば、前（1回から7回）の検査がインチキだったのか、今回の検査時に誰かがベンゼンを投入したのかの判定はできるはずだが。
それにしてもオリンピックのドーピングにせよ豊洲の地下水検査にせよ「検査結果」なるものがこれほどいい加減なものだとは―――タカさんも2ケ月に血液検査を受けているが、「血糖値とコレステロールが高い」という結果も、信用できないのかもしれないから、これからは余り気にしないようにしよう。
（1/26/17
10:00pm)
2017年1月26日
多様性の国
トランプが大統領に就任して以来、大統領選に勝つために吹いていただけのラッパだと思っていた「メキシコ国境に壁を作る、費用はメキシコに払わせる」だとか「不法入国者は全員強制送還されるまで収容施設に入れる」「罪を犯した外国人は、全員国外に追放する」等々の「移民に関する10の公約」は、どうせ「言うだけ番長」に決まっている！とタカをくくっていた連中も、就任早々に彼が、「メキシコ国境での壁建設」「シリアなど中東・アフリカ７カ国からの米国への入国を制限する」といった大統領令に署名を始める方針を明らかにしたことで「これは、結構マジな話になるかも？」と思いはじめているのではないだろうか。
アメリカが勝手に作る膨大な額に上る壁の費用をメキシコが払う訳もないだろうし、既に1100万人いる不法移民や、そんな不法移民の子どもや孫（生まれながらに米国籍を与えられている）までも強制送還することなどできるのか――等々、到底無理とも思えるが、まあ、何しろ、（我々日本人には直接関係がないだけに）‘Let’s see, what will happen.’(どうなるか、様子を見てみよう！) といったところだろうか。
ともあれ、トランプの掲げる「米国第一主義」がこれまでアメリカという国の代名詞でもあった「移民の国」だとか「多様性に満ちた自由の国」というイメージを真っ向から否定するものであることだけは確かだ。
そういう意味では、今、世界の各地から多様性を受け入れてくれる新天地をもとめる多くの移民候補生たちが注目しているのが、アメリカの隣国カナダだといわれる。
カナダは1971 年には「民族や人種の多様性を尊重し、すべての人が平等に社会参加できる国家を目指す」という方針を国是として取り入れ、多種多様な人種や民族を受け入れてきたし、紆余曲折はあるものの、多くの難民の受け入れも行ってきている。
カナダの年間人口増加率の約半分は移民によるものであり、経済面、技術面でのカナダの優位性の多くもこれら移民の受け入れによるものだといわれている。
香港の中国返還当時、中国からの移民が多くをしめたが、彼等はカナダでは税金をほとんど払わずカナダ経済に貢献しない汚職役人一族（裸官一族）であったことから近年は、中国からの移民はほとんど受け入れておらず、移民の多くは、フィリピンやインドなどアジアからの高度技術者や台湾などからの経営者、学生などが中心でありカナダ経済への貢献度も高いという。
確かに、経済難民などの大量の受入れは、社会保障負担や、自国民の賃金を圧迫するなどのデメリットが多いが、カナダに多いこういった移民であれば、税金を払ってくれ国家財政に寄与してくれるし経済成長の原動力にもなってくれる。
それよりもなによりも、「カナダは多文化許容力に優れた自由の国」という世界に訴えられるアピールができることの意味は大きい。
いままでは、世界で一番、包容力のある国として尊敬を集めていたアメリカが、トランプの出現によって「狭量でセルフィッシュな差別国家」という取り返しのつかない汚名を浴びつつある中、カナダが相対的にそのプレステッジをあげてきていることには日本も注目しておく必要があるだろう。
（1/25/17 10:00pm）
2017年1月25日
比較優位
「比較優位」とは経済学者リカードが唱えたのが貿易関係に於けるもっとも基本的な概念だ。
A国は甲という商品が得意でありA国の甲はB国の生産する甲に比較して品質や性能がよく価格も安いが、B国は乙という商品が得意でありB国で作る乙の方がA国のそれよりずっと優れているとしたら―――両国にとってそれぞれの得意分野の生産に集中して、不得意な商品は相手国から輸入するのがはるかに効率的だ―――という理想倒れしそうな理論だが、実際問題として現代の国際貿易にはこの「比較優位理論」が働いているのも事実だ。（国産木材よりカナダ産の方がずっと安い――といった具合に）
「比較優位」だけに基づき、食糧安全保障だとか食の安全、環境問題といった要因を一切考えなければ（そんなことは無理だが）、国土も狭く生産効率も悪い日本で農産物を作るよりも、広大な農地で高効率の農業生産が可能なアメリカやその他の農業を得意とする国から食料を輸入する方が両国にとっては極めて好都合だ。（アメリカの生産者、日本の消費者にとってウィン、ウィンの関係になる）
一方、技術的にも優れ生産効率がよいから比較的価格も安い日本製の車の方が、デカイばかりで（まあ、それが好きな人も多いが）性能も今一だし、価格も高いアメ車よりも効率的なのだから、日本が農産物をもっとアメリカから輸入して、その分余裕の出来た分で車の生産に集中すれば両者がウィン、ウィンになるではないか―――というのがリカードのいう「比較優位」の精神だ。
まあ、そんなに上手く行く訳ない！というのが、すべての「経済理論」が役に立たないといわれる由縁であることは、日本は農業製品の自由化を様々な手段で拒み続けるし、トランプ新大統領が「日本はアメリカに大量に車を売っておきながら、アメリカの車を全然買おうとしないじゃないか―――日本は不公平だ―――」と吠える現状を見るまでもない。
タカさんもアメリカに旅行する際には、かならずあのバカデカイ、アメ車をレントしてガソリンをブン撒いて、一時の爽快感を味わうが、あんな効率が悪くデカイ、しかも左ハンドルの車を日本で運転しようとは思わないが、それもトランプに言わせれば「不公平」なのだろうし、アメリカのスーパーで売っているカリフォルニア産コシヒカリ（一キロ当たり130円位）を日本政府は市場には出さないようにしており、日本のスーパーではカリフォルニアの3倍から5倍の価格で国産米をうっているのも、アメリカからみれば「不公平極まりない！」ということになるだろう。
まあ、トランプからそう言われれば日本側は正面切って反論しないまでも（トランプに反論したら後が怖いと、皆がビビッている）、ひそひそ声では「じゃあ、GMもフォードも日本向けにもっと小型で燃費の良い、右ハンドル車を作れよ！」とか「カリフォルニア米はパサパサして不味いじゃないか―――」で不満を述べ立てるだろう。
二国間、あるいは多国間で「比較優位」に基づく良好な貿易関係が成り立つには相互の「信頼関係」が大前提であるが、今や各国が「国益」という名の下に「自国ファースト」という利己主義を全面に押し立てるのだから―――リカード理論はやっぱり理想論に過ぎないのだろうか。
（1/24/17 10:00pm）
2017年1月24日
自沈を目指して
ボケ役の発言の意味がわからず相方が「ちょっと待って！混乱してしまって――」といったらボケ役が「韓国ですか？」と答える―――沖縄出身の漫才コンビ、スリムクラブのネタだが、まさに「混乱」の一言がぴったりの今の韓国情勢だ。
このネタが結構笑えるのは、北朝鮮の弾道ミサイルの発射準備が整っていていつソウルが火の海になるか分からない――といったまさに危急存亡下の「混乱下」の事態を皮肉っているのではなく、女性大統領を何の理由だかよくわからない理由で連日のデモで職務停止に追い込み、国政が麻痺状態に陥っているというのに、これに追い打ちをかけるように、大統領の悪事（？）に関与したというか、大統領に悪事を働かせた―――といわれる有力財閥の親玉やら、閣僚、そして高官といった連中がぞろぞろと検察に引っ張られて政治のみならず経済も行政も泥沼状態になってきているという、まさに国民総出で国を沈没させようかという自傷行為に血道をあげているようにみえる―――滑稽な混乱―――をさしているからだろう。
韓国人以外の人間がいまの韓国で行われていることを外から見れば、国民がよってたかって韓国丸という大船の底に穴をあけ、その結果大量浸水して国（船）が危なくなりつつあるというのにそれでも飽き足らず、更に新しい穴をあけようとしていて、検察という本来は水のかきだしをやらなければいけない立場の連中までもが、つるはしを持ち出してさらに舟の側壁を壊し始めているように見えるからだ。
なんだかよくわからないけれど、大統領のお友達の占い師が、大統領の演説原稿に手をいれたことやら、大統領に反対する意見を持つ連中のリストを大統領側近が作っていたことが「国政介入」だとして大問題になり、連中の逮捕理由になっているというのだが―――この意味がよくわからない。
アメリカの大統領だって「スピーチライター」といわれる連中が演説原稿を書き、あるいは大統領の意向をうけて名文にしたてあげるのが一般的だ―――日本でも同様のことをやっている役人がいたし（そんな役をやっていた舞台演出家もいた）、今もおそらく首相の演説原稿なんて首相自身は書いてはいないだろう。（そうそう、事務方が用意した原稿に書かれた漢字が読めなくて大恥を書いた元首相もいた）
反対派の党幹部のスキャンダルを調べ上げ、そのネタをわざとリークして反対派の追い落としをはかる―――まさにブラックリスト作り―――なんていうことは今も与野党ともにやっているし、アメリカでも同様だ。
ちょっとでもおかしいところがあれば目くじら立てて追及する-――というのはどこの国でも与野党攻防ではあることだし、「どんなささいなことでも不正は正す」という姿勢を悪い事だとはいわないが、国が沈みそうになるまでやるし、沈みかけているというのに更に徹底的にやって―――万一船が沈んだ後で自分たちがどうなるかすら気にかけない国が本当にお隣にある―――ということが信じられない。
まあ、そういえばアメリカにも行く先のあてもない暴走大統領が誕生し、国民の半数以上がそれを支持しているという時代だから、韓国の自沈目指しての混乱も、今や珍しくはないのかもしれないが―――。
そういえば、日本でも蓮舫さん率いる民進党の混乱ぶりが韓国同様の自沈に向かっている感じがしないではない。
（1/23/17 10:00pm）
2017年1月23日
横綱稀勢の里
待ちに待ったといえば今場所の稀勢の里の優勝だ。
14日目優勝を決め、千秋楽には横綱白鵬を破って日本人としては19年振りの横綱昇進を決めた。
稀勢の里の後援会ができた当初から会員となりかれこれ10年近く応援を続けてきたが、栃東以来日本出身力士の優勝がないという中で、その「久しぶりの日本出身力士の優勝」という期待を一身に背負いながら、後一歩のところで目前の優勝賜杯を何度つかみ損ねてきたことだろう。その度ごとに、稀勢の里自身と同じほどに悔しい思いをしてきたが、今場所の優勝でそんな十年余りの口惜しさも吹き飛んだ。
千秋楽に撃破した今まで稀勢の里にとっての大きな壁であった横綱白鵬でさえ三十一歳の今場所は、若干衰えがみえるようなところもあったことを思うと、若手のホープといわれたあの稀勢の里も今年でもう三十歳―--となると横綱として相撲をとれる年数は、もうあと10年もないかもしれない―――。
そう思うと、タカさんとしては稀勢の里の横綱昇進には、大きな期待と同時に、又これから先も、やきもきさせられるのではないかという若干の不安の気持ちも起きる。御嶽海、正代といった若手もグングンと伸びてきているし、今場所は途中休場となった日馬富士や鶴竜といった横綱もそろい、久々の4横綱時代となる3月の大阪場所が初場所千秋楽のおわったばかりだと言うのに今から何とも楽しみになってきた。
願わくは、大阪場所も優勝して大横綱としての第一歩を踏み出してタカさんの不安感を吹き飛ばして欲しい。
おめでとう稀勢の里。そしてガンバレ稀勢の里。
（1/22/17
10:00pm）
2017年1月20日
デパートってなに？
最近やたらとデパートの閉店のニュースを聞く。
さすがに閉鎖、閉店となると、地方都市というか郊外都市の店が多いけれど、都心のデパートでも入ってみるとビルの大部分をユニクロだとか、ニトリなどが占めていて残った階も専門店が入っている―――といった具合だから、かつての「老舗デパート」はどこへやら、今や雑居ビルオーナーに変身してしまったのかと思えるほで、「あの昔懐かしいxxデパートが乗っ取られてしまったのか！」といった感じさえ受けるところもある。
近年、デパート業界の売上は毎年前年割れがつづいており（神風ともいえた「爆買い」もすっかり影をひそめたらしい）、昨年は、遂にピークだった90年代半ばの6割にまで落ち込んでいるというから、自前の土地に建っている都心の店舗はどうにか耐えられても、貸しビルに店を開いていた地方店では、賃貸料の負担を持ちこたえることができず次々に閉店に追い込まれるのも致し方ないようだ。
半世紀以上も前、タカさんの子ども時代はデパートといえばハレの日に家族で「一張羅」を着て出かけるところだった。母が何の買物をしていたのかは、とんと記憶にないが、買物が一段落したら最上階の食堂につれていってもらい「お子様ランチ」を食べ、銀のカップに乗せられたアイスクリームを食べさせてもらえるのが無上の喜びだった―――という記憶があるのだが――――先日、5年生になる孫に「デパートって知っている？」と訊いたら「知っているよ、イオンモールでしょ、ららぽーとでしょ―――」というではないか。「いや、いや、そういうのじゃなくて―――三越とか、伊勢丹とか西武と言った―――」といってみたが「そんなところには行ったことがない」というではないか。
横にいた妻（要するに孫にとってのおばあちゃん）が「ほら、入学する時、高島屋にランドセルを買いにいったじゃない―――」と取り繕ったが、勿論、彼に入学前の記憶なんて残っている訳もない。
ことほど左様に今の子供たちにとってデパートというものが遠い存在であることには衝撃をうけたが、これからもショッピングモールやらネットショッピングが益々盛んになっていくだろうから、若い世代にとってはデパートという存在が益々、疎遠なものになっていくのではないだろうか。ある意味、寂しい気持ちもあるが世の中の移り変わりはもう押しとどめようもないようだ。
そういえば、そういうタカさんも2ケ月に一回の病院通いの帰りに、池袋の東武の地下食料品売り場にある「みはし」で餡蜜を買う以外、デパートと名のつく店に入った記憶はないなぁ〜。
（1/19/17
10:00pm）
2017年1月18日
ピラニアだらけ
都市伝説の類かもしれないが、熱帯魚を大量に外国から輸入する際の輸送船のタンクには、沢山の観賞魚と一緒にピラニアを少し混ぜて入れるのだという。
ピラニアと言えば牛一頭をも群れで襲い、あっという間に骨だけにしてしまうというほどに、小さいながらも凶暴な肉食魚だから、そんな獰猛な魚をタンクに入れておいたら日本到着までに、高級な熱帯魚が食べつくされてしまい大損害ではないか？などと思うが、タンクに入れる前に十分にエサを与えて満腹にさせておいたピラニア数匹ならば、例え熱帯魚が食べられたとしても全体数から見たら微々たるものだが、ピラニアという物すごく恐ろしい魚がいる！という緊張感から、熱帯魚たちは、旅行中タンクの中を活発に泳ぎ回りそのおかげで日本到着時の全体の生存率は、ピラニアのいないタンクで、だらだらと緊張感なく過ごし運動不足に陥った熱帯魚たちにくらべて、格段に高いのだとか。
これに似たような話は結構思い当たる節もある。
飽食でだらだらと暮らしてしまっている現代の若者にくらべ、明日の命も分からない、といって極限状態に置かれた戦争中の若者の体の方がはるかに強靭だった-―とか、この試合に負けたら国に帰ったら独裁者に国家反逆罪で処刑されてしまうかもしれない―――と必死に戦う独裁国のアスリートや、ハングリー精神に溢れているからこその大活躍を見せる外国人アスリートに比べ、「楽しんできたい！」とはしゃいで試合に臨む日本人選手とでは、大きな違いがでる例なども当てはまるような気がする。
戦後の日本がなんだかんだ言いながらその安全保障の後ろ盾として頼り切ってきたアメリカではトランプという訳の分からない人物が大統領に就任し、その一貫性のない発言一つ一つに日本全体が「大丈夫か？」と疑心暗鬼にかられている。
その一方ではこれまた中国、ロシアという傍若無人な隣国が、アメリカ不在となった場合の安全保障の隙を狙って虎視眈々とその爪を磨いているし、隣国韓国も北朝鮮の脅威が危機的といえるほど高まっているというのに、訳の分からないことでまさに自壊的な道を突き進んでいる。
もっとも、不安なのは日本人自身が、タンクの中には、既に腹を空かせたピラニアが大量に紛れ込んでいるというのにその自覚もなく、のんびりと泳いている―――という事実だ。
楽観論はよそう、今年はなにかと大変な年になるという覚悟を決めて、緊張感をもって自力でできる危機に対する準備に精を出す必要があるだろう。
（1/17/17 10:00pm）
2017年1月17日
大空を返せ！
今までのゴジラ物とは桁違いの超巨大ゴジラが首都圏を襲う――という昨年評判になった映画（参照：「シン・ゴジラ」08/23/16）の舞台が一目で「日本だなぁ〜」と思えたのは、逃げ惑う人々の背景に写る見慣れた街並み、例えば品川当たりの街並みに林立する電柱と、蜘蛛の巣のように張り巡らされた無数の電線だった。
清潔で、近代化した未来都市とも言われる面をもつ東京だが、あの映画が（多分皮肉を込めて）描く乱雑、無秩序な電線に覆いかぶされた都市の姿は、東南アジアのスラム都市を思い出させるようなところもあって何だか恥ずかしくも思えた。
95年の阪神大震災でも、多量の電柱が倒壊し消防車や救急車などの緊急車両の進入が拒まれたことで被害が拡大したとも言われ、東日本大震災でも6万本近い電柱の倒壊によって人命救助に大きな支障をきたしたこともあって、無電柱化（電線の地下化）推進の機運も幾分高まってはいるが、いまだもって日本の無電柱化率はわずか1%に過ぎず、あのシン・ゴジラの舞台でもあった日本最大の都市東京でもその率は7%に過ぎないという。
ロンドンやパリでは既に100％、ニューヨークでも80%の無電柱化が達成されていると聞けば、タカさんのみならず「恥ずかしい思い」も無理からぬところではないだろうか。
世界から多くの人が訪れてくるであろうとおもわれる2020年の東京オリンピックまでには、東京の主だったところの無電柱化は達成して欲しい物だと思う。
無電柱化には何しろコストがかかるということだが、本当に必要なのかどうかも疑わしい新幹線網やら、オリンピック後には「ムダな箱物」になりかねない競技場などに多額の予算を注ぎ込む位ならば、50年後、100年後まで日本の美しい景観を守ることになる電線の地下化に予算を注ぎ込むべきだ。
タカさんの住む街にも無電柱化された地区があるが、ここに行くといつも感じるのは空の大きさだ―――ということは、電柱と電線に覆いかぶされている街に住むタカさんは、自然が与えてくれた「大空」を感じることができないで数十年を暮らしていることになる。
大空を返せ！である。
（1/17/17 10:00pm）
2017年1月16日
面白い見もの
都知事選立候補の際からの対自民党東京都連との対決姿勢維持こそが、支持層の第一の繋ぎ止め策になっているといった感じのする小池東京都知事だが、確かに都連のドンといわれる内田都議のいかにも悪役っぽい風貌やら、言動、態度に加え、そんなドンに尾っぽをふって媚びている態度が見え見えの川井都議会議長（新任あいさつに訪れた小池知事に「あなたの要望に応える必要はない！」と記念撮影を拒否した人物）やら、ドンの腰巾着ともいわれる高島茂都議あたりは、余りにドンにへつらい過ぎて、次期都議選での女性票はほぼゼロに近そうだし、小池さんの「常に敵を作って自分への注目を集める作戦」は、上手くいっている感じだ。
機をみるに敏な公明党は、「都議会自民党との信頼関係は崩れた！」とのたまって、早々と沈みゆく都議会自民党(ドン一派)と手を切ったのは、賢かったし、今まではドンにくっついていい目をみてきたであろう都連の三人は「新風自民党」などという分派を作って小池知事になびく姿勢を見せているのも、権謀術策渦巻く都議会勢力地図ならではの、おもしろいというか滑稽な動きだ。
本来は都政にかかわる政策論争を戦わせるべき場である都議会だが、以前から都議会で争われているのは政策ではなく、利権であったことからすれば、今回の小池対ドンだって、一体何のための争いなのか理解できている人は少ない。（要するに、ドンと小池さんが、「あいつは生意気だ」「いや、あんたこそ」とサル山のボスの座を巡って言い争いをしているに過ぎないように思う。
さて、ここに来て共産党まで知事有利とみて小池氏に宥和的姿勢を見せているし、石原伸晃氏が「都知事選の責任をとる」という理由で早々と投げ出した都連会長職を投げ打った(というより逃げた）ために会長職を押し付けられた下村衆議院議員でさえ、次期衆議院選挙は強力な刺客でも建てられたらアブナイとまで言われているとなると、宙ぶらりんなのが民政党だ。
小池さんに対抗できる力があるかもしれないと言われた宇都宮氏を強引に下して、あのトンデモ候補の鳥越俊太郎をかついで小池さんを罵倒した過去をわすれたかのように、蓮舫代表は「小池知事とは向いている方向は同じ」などと、媚をうりはじめており、蓮舫さんの本音は、「沈みゆく民政党は、溺れる者は藁を掴む思いで、小池さんにすがりたい！」というところのようだ。
孫氏の兵法では「敵の敵は味方」というから、確かに小池さんとしてもすり寄り、抱き着こうとする蓮舫さんに良い顔を見せてもよさそうなものだが―――今、あの二重国籍問題でウソをつきまくりながら安倍首相に「息を吐くようにウソをいう」などという罵倒を繰り返したために、品格も人格も疑われている蓮舫さんや、泥船民政党に抱き着かれるのは迷惑の様子だ。
小池さんは、もはや民政党、いや蓮舫さんを「敵の敵」として認めているかも怪しい状態では、蓮舫さんを拾ってくれそうなのは、今やあわれを留めるだけの、かつての政界のドン、生活の党やらというところの小沢一郎位なものだろうが、溺れる者同士の抱きつきあいでは、両方の加速度がついて沈むだけ―――という気もするし。
しばらくは、このサル山（いや都議会）の、せめぎあいは十分楽しめそうだ。
（1/15/17 10:00pm）
2017年1月13日
量子論と仏教哲学
西洋哲学の根本をなす決定論的な考え方では、「原因があって結果がある」大原則がある。この立場に立てば「何かの事象がなぜこうなっているのか？」という設問に対しては必ずやその「答え」がみつかるという論理が成り立つ。
ニュートンやアインシュタインも宇宙の法則はすべて決定論的な秩序において成り立っているはずだと考え、その原因にあたる法則を発見したし、近代科学のみならず、近代社会思想もすべてこの決定論的立場の上になりたっている。
しかし、20世紀初頭以降、科学の世界でこの「原因があって結果がある」という順番が成り立たない世界があることが実証されてきた。それは量子の世界だ。
量子の世界では我々が今まで当然と考えていた「あらゆるものごとには、原因がある」という法則がなりたたないことが分かったというのだ。そんなバカな！ではあるが、近年の量子論は、「原因と結果は同時に存在しうる」ということがもはや常識であるかのような様相を呈している。
さて、そこで思い当たるのが仏教哲学でいう「因果俱時」である。仏教では蓮の花がつぼみの中に既に花があるのと同じように、世の中ではすべての事象が、結果と原因は同時に起きている、あるいは時によっては結果と原因の逆転もありうる（因果俱時）―――と教えている。
2500年前のブッダが考えたことと、現代における量子論の説くことが同じだとしたら―――何とも興味深いではないか。
（1/12/17
10:00pm）
2017年1月12日
線から面へ
ナイル川があれだけの大河であるにも関わらず、海運という点においてはエジプトの広大な大地の中で果たす役割が極めて小さいのも、カイロ以北のナイルデルタをのぞけば、上流からカイロ周辺までずっと一本の流れに過ぎず、海路としては線の働きしか果たせていない所為だ。
多くの支流が流れ、その支流同士がところどころでは運河によって結ばれているという世界の多くの都市では、水路がいわゆる「面」として活用できていることから輸送（海運）の利便性ははかりしれない。
日本の大都市における鉄道ネットワークの優れた点はこの「線から面への展開」が図れている点だと言われている。
ロンドンやニューヨークなどの大都市では郊外から都心に入る鉄道路線のターミナルはロンドンならヴィクトリア、ウォタールー、キングス・クロス、ニューヨークならペンステーション、グランドセントラルなどがあるが、それぞれのターミナル間の連絡は極めて不便で「線」にしか過ぎず、東京の山手線、大阪の環状線のようにターミナル間を結ぶネットワークがないに等しく、例えば大都市の東の郊外から、西の郊外への移動は結局車を使ってしまう場合が多い。
そんな意味で、東京圏から北陸金沢までを結ぶ今のところ「線」でしかない、北陸新幹線を延伸して京都、大阪の関西圏が新幹線網で結ばれれば、関東、北陸、関西、中京といった日本の心臓部を大きく「面」で結ぶネットワーク網が完成し、それは単に北陸の経済発展ばかりではなく日本経済全体に大きく寄与しそうな気もするのだが――。
もっとも、東京オリンピック同様に心配になるのがコストだ。年末に小浜から京都に向かう北回りルートが正式決定されたが、その工期は15年、建設費は2兆700億円となるというから採算が合うのか心配になるし、完成までにはリニア新幹線の東京・名古屋間が開通、2045年には大阪まで延伸予定というから、ひょっとしたら北陸新幹線延伸で作った「面」も、囲碁でいうところの「駄目」（打つ価値のない場所）になってしまう可能性もないではないことだ。
2045年となれば、日本の人口も大分減っていることだろうから、その頃には「線から面へ」などという常識も却って「無駄遣い」といわれかねないし―――中々悩ましいところではある。
（1/11/17 10:00pm）
2017年1月11日
札幌オリンピックだって？
2020年の東京での夏季オリンピック開催が決まったのは2013年にブエノスアイレスで開催されたIOC総会でのことであった。
最終的に候補として残ったのは、マドリッドとイスタンブール、そして東京の3候補地だったが3都市ともに問題点があることが事前に言われていた。
東京にとっての問題点には、中国と韓国によるいやがらせ的妨害工作というのがあったが、それよりもなによりも、他の2都市に比べオリンピック開催に対する国民の支持率が低すぎた点だった。
総会開催直前のIOCによる調査では、マドリッド、イスタンブールにおける両市民の開催賛成意見が8割近かったのに比べ、東京のそれは47%程度と過半数を割っており、反対意見が23%とイスタンブールの3％の8倍にも上っていた点だった。あの時点では東京都民はそれほどにはオリンピックを待望してはいなかったのだ。
しかし、結局東日本大震災からの「復興」をテーマとするという訴えかけだとか、コンパクトオリンピックの訴え、あるいは他の2都市に比べもっとも「金満」だとおもわれたこと、2016年開催にも立候補しながら落選して等々の理由から東京が「可哀想だ」と選ばれた訳だが、当時、日本中がオリンピック開催で沸き返っているかの国内メディアのいささか大政翼賛会的な報道に違和感をもった人は多かったように思う。
あれから4年近くが経ったが、その間の新国立競技場の見直し、ロゴ盗作問題をはじめ東京オリンピックを巡る次から次へと起きる「チョンボ」、そして一時は3兆円を超えると言われた大会経費や、昨年末まで決まらなかった4競技場の建設計画、そして今も続いている大会開催経費の費用分担等々の騒ぎには、国民の多くが再び2013年当時のようにオリンピック開催に対してネガティブな感情を抱き始めているような気がしてならない。
今や「コンパクト開催」の看板は、あの2013年に行われたプレゼンとは似ても似つかわないものになっているし、「震災復興オリンピック」の看板だってせいぜい｛福島で野球をやる」位の話では羊頭狗肉も甚だしく、「あのプレゼンは詐欺話だったではないか！」と世界に責められたらいい訳もできない状態だ。
3兆円と言われた開催経費が、なんだかわからない内にあっという間に１兆８千億に削減された！という話も、まるで魔法か詐欺話かのいずれかのような気がしないではないし―――これから先まだ３年もこんなバカ騒ぎが続くと思うと―――本当にオリンピックなんか返上した方がよいのではないかとすら思う。
確かに、2020年東京オリンピックは既に走り始めた暴走列車のようなもので、もはや止めることもできないのだろうが、テロ対策がますます重要になるであろう現在の不穏な世界情勢などを考えると本当に、なんのために東京でオリンピックを開催するのだろうか―――という疑念は拭えない。
そんな最中、2026年の冬季オリンピックの開催地として札幌が招致に動いているという。JR北海道の多くの路線を廃止せざるを得ないといった問題を抱えた北海道が、現在の東京の混乱から何も学ばずに、ひたすら招致に走るとしたら―――何とも、空恐ろしいような気がしてならない。
（1/10/17 10:00pm）
2017年1月10日
幸せな世界
医療技術の凄まじい勢いでの発達は、一体どこへ向かっていくのかを考える時、一抹の不安を感じないではない。
既にこの世に生を受けたものにとっては不老不死が究極の目標のようにも思われているが、手塚治虫の「火の鳥」ではないけれど、体は朽ちても死ぬこともできなくなったまさに神のような存在になった人間が果たして「幸せ」なのだろうか。
不老不死とまでいかなくても寿命が130歳,120歳、いや110歳まで伸びることですら本人にとってはひょっとしたら苦痛なのではないかとも思う。（83歳で亡くなった古今亭志ん生は、80を過ぎると「やんなっちゃうなぁ〜 まだ死なないよ〜」というのが口癖だったとか）
臓器移植もいまや移植できない臓器はない、といってもよいほどだ。生体移植のみならず今や様々な人工臓器がつくられ移植され場合によっては、そういった人工臓器がまるで入れ歯のように新品と交換されるというのだから、その内、もって生まれた身体の部品なんか跡形もないそっくり人工物に入れ替わった人間（果たして人間といえるのか？）なんていうのが100年後（いや50年後？）には実現しているかもしれない。これって本当に我々が本当に望む医療技術の姿なのだろうか。
臓器移植だけをとってみても、今のところ不可能だろうと考えられている「脳移植」だって量子コンピューターが人の脳に収められている全データを読み取り保存できるような技術が実現すれば、私の、そしてあなたの「人格」すべてが電脳空間で生き続けることも可能になるだろう。身体のない脳の方が、脳のない身体よりは「生きている」と言える―――なんていう議論もあることを考えれば、そんな電脳空間に移し替えられた人々の脳は、まさに、人間にとっての不老不死の世界ということになるかもしれないのだ―――。
そんなSFチックな世界が実現するなんて全く考えられなかった10年前（いや5年前）に比べて最近の医療技術、そして科学技術の発展はすさまじく、タカさんが冒頭から書いている「ちょっと前までは夢物語と笑われたような」技術が今や真剣に取り組まれるようになっている。
まだ脳移植の研究が具体化しているという話しは寡聞にして知らないが、今朝の読売新聞には、慶応大学のチームが妊娠、出産を目的とした第三者からの子宮移植の臨床研究の申請準備に入ったというニュースが載っていた。
婦人参政権獲得運動で活躍した平塚雷鳥（らいてふ）が「青鞜」に書いた名文「元始、女性は太陽であった」ではないが、男にはできない「子供を産む」ことができる女性こそが太陽であるとする思想は、広く人々が認めるところではあるが、子宮移植などということができるようになれば、その内、男が妊娠し子供を産む、などということもできるようになるかもしれない。そんなことになれば、男性同士の同性婚が認められているのだから、その内そういった「男性カップルが出産！」なんていうニュースが当たり前に語られる時代がくるかもしれない―――。
人がいつまでも生きていて（死なないで）、男同士、女同士の夫婦が次々に子供を産んで―――そんな未来社会が、本当に人間にとって幸せな世界といえるのだろうか―――。
（1/09/17
10:00pm）
2017年1月6日
おせちは飽きた
正月七日の七草粥、お月見の時の草団子、大晦日といえば年越しそばといった具合に、日本には四季折々の行事食は実に多い。しかも、外国の行事でもどんどん取り入れる日本人だから、12月24日の「クリスマスケーキ」までいれたら、年間の行事食の延べ数は30ではきかないほどではないだろうか。
中でも一番の行事食といえば、お正月のおせち料理だが、欠かせない行事料理ナンバーワンの割には、美味いか？と問われて美味い、と答える人は余り多くなく、おせち料理とは、「正月の祝いの決りだから」という答えが返ってきそうだ。
タカさんがごく幼かった頃の思い出では、母親が、年越しそばの用意をする傍らでもまだその仕上げに精を出して姿を見ていただけに、元旦の祝い膳にならぶこのおせちに心弾んだこともあったが、その祝い重も飾り付けられた一品一品は美しくはあるものの、子供心には「これは美味い」と思える品はそれほどなかったように思う。
おせちの一品一品には、例えば「田作り」は五穀豊穣、「黒豆」は、「マメに働けるように」、「栗きんとん」は黄金に恵まれる―――勝負運がよくなる、といった一つ一つのおめでたい意味があるのだ―――と教えられてはいたが、子供にとっては五穀豊穣も、勝負運もピンとこなかったし、まして「数の子」の‘子宝にめぐまれて子孫繁栄’
だとか「海老」の‘長寿’といった意味もまるで縁がない話に聞こえたものだ。
そうそう、あのお正月ならではの「尾頭付き」の祝い鯛も、手につくと洗っても中々あの匂いが落ちないこともあって苦手だった。（今も焼き鯛はタカさんの苦手だ）
そんな訳で、正月料理はちょっと苦手だ〜と思って60数年を過ごしてきたのだが、今朝、ウォーキングをしながらラジオをきいていたら偶々、現代の若い世代の家庭でもやはりお節で正月を祝うという風習はしっかりと守られてはいるものの、その多くが「おせちが三日も続くのは勘弁してほしい！」といっている――と聞いて、「なん〜だ、タカさんの思いは、皆も同じだったのか〜」おもわず膝を打った次第だ。
かつては、各家庭でそれぞれにおせち料理を作ったものだが、近年はデパートやスーパーでおせちセットを買って来る家庭がほとんどだというが、安くても2万円から3万円、中には京都の料亭どこそこのおせちセットだ、博多のどこそこのセットで、5万円、7万円、10万円といったものもあるのだから、多くの人が「決して美味い物ではないけれど、まあ、お正月の決りだから」とこういった高額なものを買い求めるのは――――なんだか無駄遣いの極致のような気がしないではない。
田作りにせよ、黒豆、きんとんにせよ、その原材料費はどんなに良い物をつかったにせよ微々たるもの、「料亭どこそこ」という名がついてはいても、どうせ10月位から工場のようなところで作り置きした品物だろうから、5万、10万のセットどころか2万、3万のセットにせよ原価率なんてどうせ1-2割に過ぎないだろうに〜なんて、おせち料理の評価の低いタカさんは思うのだが。（12月には、3000万円とも5000万円ともいわれる全国紙の一面広告を月数回打っているおせちセット広告もあることを考えるとやっぱり、あれは相当ボロ儲けの出る商売なのだろう）
とはいうもののやはり日本人だから来年の正月もきっとおせち料理で祝うことになるのだろうなぁ〜。
（1/05/17
10:00pm）
2017年1月1日
2017年新春の所感
77年頃にテレビ人気シリーズだったテレビ時代劇「木枯し紋次郎」の忘れられないラストシーンに、その地にとどまって欲しいと懇願する村娘に紋次郎が｢あてのない旅でござんすが､先は急ぐもので〜｣と道中合羽を翻して去っていく―――と言った場面だ。
このセリフが最近のタカさんにとっては、紋次郎の名セリフである「あっしにはかかわりのないことで」や、｢おめえさんのことは､思い出しもしねえが､忘れもしやせん」以上に印象に残っているというか、よく思い出される。
というのも、現役時代とは比べものにならないほど時間に余裕ができているはずの昨今だが、とくに年末年始のこの時期に一年を振り返ると、これという出来事があった訳でもないのに一年があっという間に過ぎ去り、しかもやけに忙しい一年だった――と感じられるようになった所為だ。
紋次郎ならぬ「これといった予定がある訳ではござんせんが、忙しいもんで――」という心境の毎日、毎月、そして一年が過ぎてゆくからだ。
昨年一年も、振り返ってみた時「今年はこれとこれがあったから忙しかったのだ」と言えるようなことはなかったにも拘わらず、一年を通じて時間に追われ通しだったように思え、読みたいと思っていわゆる「積ん読」になっている本の数は増えるばかり、正月に立てた旅行やら、美術館探訪、野球観戦の計画も半分もこなせなかった。
年齢を重ねると時間の経つのが早く感じられるようになるからだとか、年齢とともに動作が遅くなり、気付かぬ内に覇気やら意欲に衰えが見られるようになるからだ――等と物の本には書いてあるが、いやいや、まだまだ覇気も意欲も往年と比べて衰えてなどいない！とも思うのだが―――。
今年は60代最後の年、紋次郎のようなニヒルなことばかり言っていないで、もう一度ネジを巻きなおして、年末には「ああ今年は、色々忙しかったけれど、計画以上のことをやり遂げることができた！」と言えるような一年にしたいものだと思う。
皆様にとって今年2017年が、より良い年でありますように、心からお祈り申し上げます。
日々早々は1月6日号の金曜日シリーズより再開いたします。
（01/01/17
00:00pm）
2016年上期の各月バックナンバー：1月、2月 3月 4月 5月 6月
タカさんの読書日記はこちらをクリック
金曜日シリーズ全目次 ←ここをクリック
「日々草々」全バックナンバーリンク表 ←ここをクリック